第39回 社楽の会報告    第38回へ   第40回へ
                                  報告者 布袋中 土 井

10月26日(木)7:00〜9:25、布袋北学供にて第39回の社楽の会を開催しました。参加者は、土井木本野呂日比野、大島、岩井奥村、滝口、川井勝村尾関(敬称略)そして和田先生の12名でした。

☆ 初めに、木本先生より、岩倉南小学校の図書館教育の審査で発表するパソコン画面を見せていただきました。ロータス・フリーランスを使って、おおよそ2日間で製作できたそうです。
使える部品が多く、写真を組み入れることができ、画面も変化に富み、とても優れたソフトだと思いました。さっそく、自分も勉強してみたいと思います。  

☆ 日比野先生からは、長崎で被爆した生徒の祖母に話を聞きに行ったこと、「原爆について仕方がなかったかどうか」の討論の授業の結果報告を聞きました。
 討論では、学級の生徒にアンケートをとった上で自分の意見を述べた生徒、現代の核問題に からめた意見を述べた生徒など、中身の濃い討論になったようです。結局、日本はアジアへの謝罪と原爆の被害の実態を世界に知らせる、米国は原爆を使用したことへの謝罪をするべきだという意見に落ち着いたそうです。詳細は、資料集をお読みください。

☆ 土井からは、全国中学校社会科研究名古屋大会の参加報告です。主題「人間の生き方を問い続ける社会科学習」、副主題「共生を志向する社会へのアプローチ」として、授業研究、基調提案、研究発表が行われました。
 「共生」とは、共によりよく生きることで、そのためには、二つの独立した存在を発見し、互いに異質なものを認知し、調整し合い、対等な契約を結ぶことで実現するとしています。その切り込み口として、「自然」「組織」「文化」を挙げ、教材化しています。授業では、かなり手の込んだ調査活動の様子が報告されました。
・ 続いて、道徳教育の文部省指定、扶桑北中学校の研究発表会から、神谷勝治先生の指導案の紹介です。「戦後50年目の選択」(愛国心)として、スミソニアン博物館の原爆展で被爆者の遺品などを展示すべきかの話し合いが中心です。今回の日比野先生の授業とよく似た展開で、このような道徳もあるのかと驚きました。当日は、参観者で満杯でした。

☆ 野呂先生からは、尾教研社会科小学校中学年部会の発表を紹介していただきました。「社会の変化に対応する」を「社会事象を正しくとらえる」こととし、@見つける力、A調べる力、Bつなげる力、Cまとめる力をつけることが必要だとしています。
具体的には、「火事をふせぐ」(9時間完了)で、問題づくり→解答・消防署見学→課題づくり「火事はなくせるか」→課題解答(個・グループ)→課題解決(討論)→まとめ(新聞作り)という流れです。他の単元でも応用が可能な流れだと思います。木東小では、実践が積み上げられていますので、興味を持たれた方はお問い合わせください。

 川井先生からは、初めに日本軍の加害の事実調べを行った報告です。アジア各国の大使館や交流協会等に児童が手紙で問い合わせをした相手のリスト、およびその返事の途中経過を教えていただきました。これまでに5つの機関から返事をいただきました。オーストラリア大使館からは、日本軍による史上最初の空爆の資料、マレーシア大使館からは、中学2年生が使用している歴史教科書の日本語訳が送られてきました。最終結果は、次回の社楽の会で聞くことができると思います。
・ 次に、全13時間の評価計画、抽出児の説明、第6時から第8時にかけての発問計画、12時間目の指導案の提案です。
 今年度は評価の研究で、これまでにも行ってきたように、評価基準や評価の方法・Cへの支援を指導過程の中に位置付けています。川井先生は全13時間中19の場面で計画を立てて評価・支援を実践する計画です。 
12時間目には、戦争はなくなるかどうか、戦争を起こさないためにどうするか、さらに平和を守るために自分たちはどんなことができるのかを話し合い感想をまとめます。どのような話し合いになるか、結果が楽しみです。
最後に、授業で使用する資料として、日本軍戦果および主要海戦図、中国研究所発行の冊子より「庶民が見た日本」の論文、戦中の松下電器のポスターなどを紹介していただきました。「庶民が見た日本」では、現代の中国の人々が日本をどう見ているかを調査したもので、世代による意識の差が大きいが、全体的に日本人が過去の過ちを認めないことが残念という論調の意見を紹介していました。

☆ 岩井先生からは、児童会総会の紹介です。代表委員会と各委員会の前期の反省→質問・意見→後期の計画→質問・意見という流れで行われていました。児童総会や生徒総会は、慣れてくるとどうしても形式的になってしまうので、そうならない工夫が必要だと思います。実践してみえる学校は、ぜひ紹介してください。また、委員会活動をいかに盛り上げるか、よいアイデアがあったら紹介してください。。

☆ 奥村先生からは、自閉症児への援助の仕方を教えていただきました。基本的態度としては、かわいがる・内面を理解・無理強いしないの3点で、事例に即して説明していただきました。特殊担当者会では、よく指導者に「根気・のん気・元気」が必要と言われますが、自閉症児の場合、根気が特に必要だと感じました。

☆ 勝村先生からは、学習に取り組む姿勢を高めるために行った、問題作りの実践例を紹介していただきました。社会科では「自動車を作る工業」で48問、国語科では「大造じいさんとがん」で132問作成し、この中から「よい話し合い」「よい調べ学習」のできる問題を話し合います。その結果決定した学習問題にみんなで取り組んでいくという流れです。身の回りの事象から疑問を持つということは大切なことで、このような授業の積み重ねにより、子ども達のセンスが磨かれていくと感じました。

☆ 尾関先生からは、『ビジネス便利帳』より日本統計協会など30あまりの情報源を教えていただきました。いざという時、ここに聞けばよいという機関を知っていると役に立ちます。
・ 最後に、論文「21世紀に通用する社会観を形成する視点−生命・人権・そして地球−」の紹介です。「生命」を中心にすえ、それを「人権トライアングル」(持っているもの・守ら れるべきもの・行使すべきもの)で囲み、最後に「地球」の円で囲むというものです。
 社会観を明確にとらえた好例だと思います。

◎ 「施設見学ガイドブック」がもらえます。工場や施設の見学問い合わせ先や所要時間、
申し込み先などの情報が県別・施設別に掲載してあります。関東・中部・中国・九州編が出ています。
申し込み先は エネルギー環境教育情報センター「施設見学ガイドブック」係(担当:志村、田村)п@03ー3593ー0936、FAX 03ー3593ー0930に問い合わせてください。
◎ 川田校長先生から、『全訳 世界の地理教科書』全30巻 帝国書院をいただきました。世界の主な国30カ国の中学生の地理の教科書の日本語訳です。昭和52〜55年発行でデータはやや古いのですが、伝統的な産業や地形・気候などは十分使えます。土井が保管していますので、ぜひご利用ください。

     問い合わせは 土井謙次  syaraku@tcp-ip.or.jp