(1)知らなきゃ損する!面白法律講座 2011年 7月11日 第585号
■ 法律クイズ 第259回 【問題】
「プロバイダーの法的責任?」
Aさんは、とあるインターネット掲示板に自分を中傷する内容の書き込みをみつけ、ひどく傷つきました。
そこで、しかるべき法的処置を取ろうと考え、プロバイダーDに当該内容を書き込んだ者の情報を開示するように求めました。
プロバイダーDは開示する法的義務を負うでしょうか?
1. 負う
2. 負わない
解答は最後に。まずは予想してみましょう!
(2)『村上龍、金融経済の専門家たちに聞く』
Q:日本経済の衰退を示す指標、数値とは?
A:■ 真壁昭夫 :信州大学経済学部教授
確かに、私たちは"衰退"という言葉を、明確な定義なしに使ってきたと思います。その背景には、1980年代、わが国が"世界の工場"の地位にあったことが、とても強い印象として残っていることがあるのでしょう。既に、"世界の工場"の地位は中国に移ってしまいました。労働力が豊富で相対的に安価な中国は、かつてわが国で行っていたアセンブリー(組立型の製造業)を中心に活発な経済活動を行っています。
また、韓国や台湾なども中国同様に経済活動を活発化し、わが国の製造業中心の産業を脅かす存在として成長しています。特にIT関連の製品や自動車などについては、わが国は、これらの諸国に急速に追い上げられており、多くの分野で、かつての競争力を維持することが難しくなっています。そうした状況を目の当たりにすると、どうしても"衰退"という言葉を使いたくなってしまいます。
ただ、一方、アセンブリー中心であったわが国の企業は、主要な素材や部材、さらには部品などの分野で、依然として、世界の主要な地位を占めている分野もあります。今年3月の大震災によって、わが国の製造業は大きな痛手を受けました。それに伴い、自動車部品などいくつかの分野でサプライチェーンが寸断されました。わが国のサプライチェーンが寸断されたことによって影響を受けたのは、わが国企業だけではありませんでした。
とくに自動車に使われるマイコンと呼ばれる部品については、特定の分野でわが国企業が高いシェアを持っていたこともあり、世界的に生産活動にマイナスの影響が出ました。他にも、ICチップの基盤材のような主要部材についても、わが国の企業が高いシェアを持っていたため、その影響は世界的に広がったようです。
それについて、米国のある雑誌は、震災の発生によって、わが国企業が主要素材や部材などの分野で、いかに重要なポジションを占めていたかが再確認されたという特集記事を掲載していました。ということは、日本企業の経営戦略として、相対的に高い人件費によって競争力を失ったアセンブリーの分野から、高い技術力を生かせる素材や部材などの分野にターゲットをシフトしたとも考えられます。
その証拠として、震災の前まで、わが国は着実に貿易収支の黒字を稼いできたことからもわかります。ということは、IT製品に韓国製が多くなったから、あるいは、衣料品がミャンマーやバングラデッシュから輸入されているからと言って、直ぐに、わが国経済が衰退していると結論することは難しいと思います。
経済が衰退しているか否かの基準は、やはりGDPが主要なメルクマールになるのではないかと思います。というのは、GDPは、その国でどれだけの付加価値=儲けを生み出したかを示す指標であるため、当該国の経済が成長しているのか、あるいは衰退を辿っているのかを端的に表す指標と考えられるからです。ただ、GDPという場合、物価変動を考えない名目ベースの方が、私たちの実感に近いと思います。私たちの感覚に近づけるのであれば、実質ベースではなく、名目ベースの方が適切かもしれません。
GDPが増加傾向を辿るということは、企業が相応の競争力を持ち、国全体の儲け=付加価値を勝ち取っているということがいえるはずです。GDPが増加すると、基本的に私たちのお給料も増えることになりますから、生活水準を高めることもできることになります。
逆に、GDPが減少するということは、国全体で生み出す付加価値が減少するわけですから、一般的に、企業収益や私たちのお給料が減ることが想定されます。長期間、そうした状況が続くと、生活水準を落とす必要も出てきます。このような状態は、まさに国の経済力が衰退する、一つのプロセスと考えられます。
(3)JMM [Japan Mail Media] No.643 Saturday Edition
■ 『from 911/USAレポート』 第522回
「ボーイング787はどうして日本製でないのか?」
ボーイングの新世代機「ドリームライナー787」の試験機が羽田に飛来し、今週は岡山、広島、伊丹、関空、中部などへ飛んで就航までの検査などを行っています。この新型機は、全日本空輸が「ローンチング・カスタマー(立ち上げパートナーとしての購入者)」になっていますから、この飛来は正にこの新型機の世界に対する「お披露目」という意味合いもあるわけです。
そんなわけで、華やかな話題になっているのですが、私は強烈な違和感を感じざるを得ませんでした。自動車を中心とした「輸送用機器」製造ビジネスというのは、日本のお家芸に違いありません。にもかかわらず、現在この787クラスや更に747?8や380といった巨大機クラスを含めた民生用旅客機製造ビジネスという産業において、日本はあくまで下請けの部品メーカーに留まっているのです。
その代わりに世界を牛耳っているのは、ボーイングとエアバスの二大ライバル社だけであって、双方合わせれば年間の売上が10兆円近くある巨大産業に日本は食い込めていないのです。
部品メーカーに留まっていると申しましたが、今回の787の場合では、機体に量産機としては史上初となる炭素繊維が使用されているのですが、これが東レ製であることを筆頭に三菱重工、富士重工、川崎重工などが参加しており、全体に占める「メイド・イン・ジャパン」の比率は30%以上と言われています。
そのことで十分に誇りに思うという論調もあるのですが、経済効果としては最終組み立てをして、機体代金を売り上げにできる最終メーカーと、部分的な部品の納入業者としては天と地ほどの違いがあるのです。私の感じる違和感というのは、どうしてそうした地位に甘んじているのかということです。
このことに関しては、色々な理由が語られてきたようです。
一つは、たとえ民生用であっても、航空機の製造技術というのは軍需産業と密接に関係があり、枢軸国の国体を「護持」してしまった日本は歴史的に「自粛」を国策としてきたという説です。程度問題ということもありますが、こうした「空気」は以前はあったのだと思います。
ですが、私はもうそんな時代ではないと思うのです。何と言っても戦後日本の軍事外交の実績を見れば国際社会には、そのような疑念はなく、従って日本が自粛をする理由もないように思うからです。
民生機であっても、軍事技術開発の予算が政府から出るから開発が可能になる、そんな考え方もあります。確かにボーイングの747は、元来は軍の輸送機だった設計図が転用されたものですし、エアバスのA380には、同じく軍用バージョンの姉妹機があります。
ですが、例えば今回の787のような高効率が目的の中型機は、そうした要素は薄いですし、そもそもアメリカの宇宙航空予算はスペースシャトルを止めなくてはならないほど困窮する一方で、軍の航空関係の研究開発費も細っています。欧州も同じ構造があり、軍用の技術開発予算に頼らずに民生機を開発しなくてはいけないという点で、日本のハンディは少なくなっていると考えられます。
飛行機には高度な安全性が求められます。仮に商用運行中に全損事故を起こせば巨大な賠償責任が発生し、万が一製造上の欠陥が原因であるとされるような場合には、メーカーの責任も巨大なものとなります。この点で、日本企業は法廷での論戦を嫌う体質があるし、実際に国際間の法的紛争に弱いので、最終メーカーではなく、部品メーカーとして行動していた方が「安全」という見方もあるようです。
この点についても、根拠は薄い話です。確かに国際法務というのは手間であり、イザ法廷闘争となれば自己主張を途切らせない知恵と持久力が求められます。ですが、そのリスクということでは部品メーカーも同じだからです。
これは「都市伝説」かもしれませんが、日米の貿易紛争の関係で、日本はアメリカに自動車の輸出を認めてもらう代わりに、ボーイングや、以前はロッキード(今は民生機から撤退)や、ダグラス(現在はボーイングに吸収され消滅)など、アメリカが牛耳っていた航空機ビジネスは「遠慮」していたという説があります。
これまた真偽のほどはともかく、今は状況は変わっています。自動車に関しては、各社とも北米での現地生産を極大化しています。これ以上進めれば、雇用確保の責任ということでは日本企業ではなくなってしまうレベルまで来ているわけです。一方で、ヨーロッパからは「EU多国籍軍」というべきエアバスがボーイングに挑戦してきているわけです。
こうした状況下、日本が大きな民生機の最終メーカーを持つことは、例えばアメリカの部品メーカーにはメリットになるような協業関係は可能であり、日本が航空機ビジネスに本格参入することが、そのままアメリカの牙城への「反旗」になる時代ではないように思われます。
とにかく、計数感覚と手先の器用さ、そしてミスや欠陥への敏感なモラルを持った分厚い労働力が生かされないまま、国全体の競争力が低下するという現実というのは、怒りの対象である以前に何とも勿体ない話です。航空産業というのは、そのギャップを埋める大きなチャンスなのではないでしょうか。
労働力の活用だけでなく、大規模な航空機ビジネスというのは様々な形で日本社会にいい影響を与えるように思います。例えば、経営に対する考え方です。民生用中型機の開発というのは、巨大プロジェクトです。ですから、従来の日本的経営にあった「小さく生んで大きく育てる」という方法論は使えません。
航空機というのは大変に複雑な機械であり、しかも高い精度が求められることから、最初から、強いリーダーシップが、しっかり資金と人材を調達して「完成度の高い初期設計」を行うことが求められます。そうした経営が導入されれば、今はまだ抵抗感の残っている国際会計基準(IFRS)の重要性なども理解されてゆくのではと思われます。
ここまでは、787試験機飛来というニュースにかこつけて、中型機製造ビジネスのことを漠然と意識してお話してきました。確かにこのカテゴリについては、エアバスが350というモデルの開発を急ぐなどホットな市場であるのは間違いありません。ですが、その下の小型機市場も大きな可能性があるのです。
ここには、ボーイングの737というお化けのようなヒット商品があるのですが、これがサイクルの終焉を迎えつつある中、カテゴリ自体の市場にはまだまだ可能性はあるからです。
いずれにしても、小型機と中型機という巨大なビジネスチャンスに、日本経済は挑戦して行かない理由はないように思います。戦後日本の「輸送用機器」ビジネスは、まず造船業や二輪車を成功させ、その次に自動車で大きな成功をつかみました。その勢いのあるうちに、本格的に航空産業へ移行してゆく、それが自然な時間感覚だからです。
何と言っても、現代の航空機に求められているのは、規模や速度ではなく、あくまでも効率と安全性が中心です。この二つの価値を実現する文化と人材を持っている日本には、より安全で高効率な航空機を作ってゆくことに、むしろ人類的な責任があるのではないでしょうか。リージョナル・ジェットも良いですが、もっともっと先へ進むべきです。
(4)日刊『中・高校教師用ニュースマガジン』(中高MM)☆第2889号☆
2011年7月 6日:水曜日発行
■「理科で使える模型を作ろう!」(7)原口栄一(鹿児島)
◆エネルギー関連模型
原子力発電所に関しては前回紹介しました。今回は、原子力以外です。
下図写真番号は、
(1) 水力発電

宮ヶ瀬ダムのペーパクラフト(写真1)を入手しました。以前、ネットで発見し、どうしても欲しかったのでその趣旨を宮ヶ瀬ダムの事務所当てにメールしたところ、特別にいただけました。やはり欲しいと思ったときは、ダメモトで行動することが大事ということがわかりました。
このモデルを拡大して大きな物を作成しダムの模型とセットにして水力発電を教えようかと思っています。
(2) 火力発電
火力発電所の模型というのは、まだ見つかっていません。ペーパークラフトであるなら欲しいのですが・・・。そこで私が入手したのは、火力発電の燃料です。石油見本(写真2)に本物の石炭です。
石油見本は日本石油連盟広報課(TEL:03-3279-3816)に連絡して入手しました。石炭は理科のMLで希望者を募っていたのでいただきました。
チャンスはいろんなところにあるものです。
そして、分子模型も作りました。
天然ガス(メタン・エタン・プロパン・ブタン・ペンタン)分子模型(写真3)、石炭の分子模型(写真4)、これから利用されるかもしれないメタンハイドレードの分子模型(写真5)また、鉄道模型にガスタンクホルダーや石油タンク、ついでにガソリンスタンドまであります。ガスホルダー>
http://www.1999.co.jp/search.asp?Typ1_c=104&scope=

0&scope2=0&itkey=%83K%83X%83z%83%8B%83_%81%5B
ガスを運んでくる船のペーパークラフトもあります。
LNG船のぺーパークラフトのダウンロード先
(3) 風力発電
風車(写真6)は東京の科学技術館で購入したものです。まだ販売していると思います。
(4) 送電設備
変電所や鉄塔などは鉄道模型にあります。いくつか作りましたが、今はちょっと見つかりません。実家の倉庫のどこかにしまっているのですが・・・
鉄塔>http://www.1999.co.jp/search.asp?Typ1_c=104&scope=0&scope2=0&itkey=%93S%93%83
他に、バンザイ鉄塔のペーパークラフトのダウンロード先
電気の終着点=電化製品のペーパークラフトのダウンロード先
理科の実験で使う豆電球台やモーター台を自作しました。(写真7)
(5) 環境問題
ペーパークラフトでもいろいろとあります。
二酸化炭素の濃度分布の地球儀が作れます。ダウンロード先は
地球の海水面の温度分布がわかる地球儀です。ダウンロード先は
オゾン破壊に関係する分子模型も作りました。(写真8)
次回は、天文関連模型(1)です。
(1)知らなきゃ損する!面白法律講座 2011年 7月11日 第585号
■ 法律クイズ 第259回 【問題】
「プロバイダーの法的責任?」
(1)□解答□
1. 負う
最高裁平成22年4月8日判決は、インターネットの掲示板に中傷する内容を書き込まれた人が、書き込んだ相手の個人情報を教えるよう接続業者のプロバイダーに求めることができるかどうかについて、「掲示板の管理者だけでなく、プロバイダーにも個人情報を求めることができる」旨の判断を示しました。
したがって、本問でもAさんはプロバイダーDに情報の開示を求めることが可能であり、その裏返しとしてDは当該情報を開示する法的責任を負うといえます。