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報告者  土 井

 2011年10月13日(木)布袋北学習等供用施設にて社楽の会を開催しました。
 参加者(勤務校)は,土井(江南市教委)、早川先生、森藤先生、服部先生(藤里小)、吉田先生(古知野中)、奥村先生(岩南小)、岩井先生(岩北小)、天野先生(大南小)、阿部先生(江西中)、小沢先生(扶東小)、柴田先生(草井小)、坪内先生(岩倉中)、大藪先生(犬南小)、馬場先生(宮田中)、田中先生(犬南中)、大野先生(犬山中)、鈴木先生(城東中)17名です。

土井が提案したものを紹介します。 
1 第4回 教師力アップセミナー 野口芳宏 先生
学校訪問 古知野南小学校 現職教育に寄せて
  第53回「指導と評価大学講座」受講記録 曽山 和彦 氏
 教育関連情報
 役立ちWeb特集  
教育関連情報   
MM紹介

 第4回 教師力アップセミナー 野口芳宏 先生
 平成23年10月10日(月)小牧市立小牧中学校で行われた、野口芳宏 先生の講義、道徳の模擬授業「なぜ学校に来るのか」を別紙で紹介しました。
                    
 

 学校訪問 古知野南小学校 現職教育に寄せて
 別紙で紹介しました。
 

 第53回「指導と評価大学講座」受講記録 
「教室でできる特別支援教育」曽山和彦(名城大学准教授)  
 島原先生のまとめを紹介します。HPは http://www5a.biglobe.ne.jp/~shimacha/MyHomePage/ 
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 今回は特別支援教育についての講義。
 曽山先生の話は今年で3回目。現場経験がおありなので,とてもわかりやすい。
1 人とのかかわり不足の子どもたち
 (1) 環境の変化
  ・情報化,スピード化
  ・三間の消失 → 時間・空間・仲間
  ・その結果……自分勝手な振る舞い,わがままな行為
 (2) 昔と比べ,人とのかかわり不足の子どもたち 
2 人とのかかわり不足が生む問題
 (1) 子どもたちの社会性が低下している。
  ・ソーシャルスキル(人づきあいのコツ,技術)
   → 社会の常識(ありがとう,ごめんなさい)
  ・2極化した行動
   →通常学級における気になる子の問題がクローズアップ
  ・その結果……相手を消す(いじめ)か自分が消える(不登校)
 (2) 子どもたちの自尊感情が低下している。
  ・「自分はOK!」と言えない。「どうせぼくは…」
  ・自分自身だけでなく,他者の受け入れも困難に。
  ・これもいじめや不登校,気になる子の問題などに影響する。
  ・セルフエスティーム
   → 自己評価の感情。自分自身を価値あるものとする感覚。他者(身近な大人,友だち  など)の評価により育まれる。
3 現代の子ども像と教室でできる特別支援教育
 (1) ソーシャルスキル&自尊感情が乏しい子どもたち
  ・学級の気になる子の存在がクローズアップ
 (2) 気になる子の理解
 (3) 学級集団の理解
 (4) すべての子のソーシャルスキル&自尊感情を育成。
4 教室でできる特別支援教育 〜モデル実践に学ぶ〜
 (1) A小学校 ─ 授業3原則
          授業規律/リズムとテンポ/1指示1動作
 (2) B小学校 ─ SSTタイム
          週1回,朝の時間帯にSST(かかわり遊び)→学ぶことが楽しい
 (3) C中学校 ─ アサーション(さわやかな自己主張)
  *3校とも,気になる子が学級に溶け込んでいる。  
5 教室でできる特別支援教育 〜気になる子の理解〜
 (1) ユニバーサルな教育を行うために,障害特性,家庭環境,気になる子の理解は欠かせな  い。→ 気になる子(学級の6.3%:2002文科省調査)
  ・レッサーパンダ帽青年事件2001・同級生女児事件2004・奈良エリート少年自宅放火事件   2006など
  ・IQ136の少年は広汎性発達障害,父の言葉をその通り受け止め(字義性)事件に及ん   だ。
 (2) 障害が問題や事件を起こすのではなく,周囲の理解・対応の不十分さが問題や事件の呼   び水になる。
6 教室でできる特別支援教育 〜学んだ2つの言葉〜
 (1) 気になるこの理解に関して,忘れられない2つの言葉
  ・「うまく指導してもらえなくてもいい。でも,子どものことは理解してほしかった。」(保   護者)
  ・「教師は専門家である。教育を行う者が教育を行う子どもについて無知なまま教壇に立   つことは,子どもに失礼極まりない。」(愛知小児セ:杉山先生)
 (2) ドナ─ウイリアムズの著書「自閉症だったわたしへ」
7 教室でできる特別支援教育 〜学級集団の理解〜
 (1) 学習規律(ルール)が定着している学級には「安心」が生まれ,その安心をベースとし  て集団内に「ふれあい(リレーション)」が生まれる。
 (2) 「安心・ふれあい」のある学級は子どもたちにとって居場所となり,満足度も高い。
 (3) 学級集団の状態を把握する診断尺度Q-Uを活用する学校が増加。
   → 客観的なもの差し
  ・Q-Uデータによる学級状態が良好であれば,気になるこの学級適応状態もよい。
8 学級づくりの基本 〜どの子にも居場所となる学級づくり〜
 (1) ルールづくり
 (2) ふれあいづくり(リレーション)
  ・ラポートとの違い → ラポート:信頼関係=+面と+面だけの交流→浅い(断れない   関係)
   リレーション=−面も理解した交流
 (3) プラグマティズム(実用主義)づくりの薦める。
  ・使えるものは何でも使え/役に立つ知識こそ真の知識 → 教師のプロとしての腕の見   せどころ
9 教室でできる特別支援教育 〜ソーシャルスキル&自尊感情育成〜
 (1) SSTやSGE(構成的エンカウンター)を活用する。
 (2) カウンセリング理論による伝わる言葉をかける。
  ・「伝わる言葉」の番付表
    東の横綱 → いいところ探し
    西の横綱 → 対決アイメッセージ
    東の大関 → リフレーミング
    西の大関 → 例外探し
10 言葉かけチェック 〜大人の言葉は子どもにとどいているか?〜
 (1) 大人の言葉(親や教師)の言葉は子どものソーシャルスキルは自尊感情を育てているの  か?
  ・授業中おしゃべりをしている子には?
  ・言われなくてもゴミを拾ってくれた子には?
11 「いいところ探し」 〜東の横綱〜
 (1) 「ほめる・勇気づける・認める」をバランスよく。
  ・「ありがとう」「助かった」「うれしい」
 (2) いいところがない!
  ・毎日ちゃんと学校へ来る,朝ごはんを食べてくる,放課に外で遊ぶ・・・みん
   ないいところ
12 「対決アイメッセージ」 〜西の横綱〜 →アイ=I(私の感情を伝える)
 (1) 行動 
  ・相手の行動を非難がましくなく描写する。 → 「ちょっと,静かにしてくれるかな」「困  るんだけど」など
  ・自閉の子は「それで?」と答える。・・・・察することが苦手
 (2) 影響
  ・相手の行動が自分に与える影響を伝える。
 (3) 感情
  ・その影響が自分に抱かせる感情を伝える。
13 「リフレーミング」 〜東の大関〜 → 自尊感情に効く。
 (1) 言葉のチェンジ
  ・あきっぽい → いろんなことに興味があるんだね。
  ・おしゃべり → お話が上手だね・
  ・おせっかい → やさしいところがあるね。 
 (2) 考え方一つで悩みは消える。(アルバート・エリス:論理療法)
14 「例外探し」 〜西の大関〜
 (1) 例外とは?・・・・うまくやれていること
  ・暴言が多い → 丁寧な言葉を使うこともある。(例外)
  ・例外の責任追及 →なぜ例外が起きたのか(あのときはよかったよ)を心に貯めておく。
  ・自尊感情に効く。
15 教室でできる特別支援教育
  〜担任の構え:個への深入りはせず,配慮をする〜
 (1) 担任はすべての子どもにとって「ぼくの先生」
  ・40人の子どもと大きな道を歩く。
  ・脇道にそれる子 → それ方の程度により,校内体制(支援員等)が必要
  ・立ち止まるが脇道にははあいらない子
 (2) いつでも戻れる居場所の確保
16 一斉指導における個への配慮
 (1) 学習面
  ・学習レベルに合わせたプリント準備(2,3学年下げた内容) → 下げたことがわか  らない配慮を
 (2) 行動面
  ・時々立ち歩く程度は目をつむる。
  ・学習,対人ルールを掲示する。 → 違反の時は非言語メッセージを送る。
 (3) 対象児をバカにする,えこひいきと反発する場合もあるため,学習や行動の「練習」で  あることなど,他児童への説明は必要。また,後の対象児保護者トラブルを防ぐため,保  護者面談も必要。
17 おわりに
 ○ 新たな視座で実践更新を  
 ○ 情熱だけでは難しいことがある → 技が必要
 ○ アンテナを2本立てる → ルール違反&遵守の両方を見逃さずに。
 ○ 最強,最高の教材は教師自身
 

 お役立ち資料
 
 ブログで、9月30日から10月29日までに紹介した資料です。

「特別な教育的支援を必要とする子どものサポートマニュアル」 長崎県教育委員会
釜石市津波防災教育のための手引き 釜石市教育委員会
小学校外国語活動 研修・授業支援サイトについて 長崎県教育センター
特別支援教育ガイドブック  滋賀県教育委員会
中学校・高等学校における発達障害の子どもたちへの支援ガイドブック 滋賀県教育委員会
 
LD、ADHD、高機能自閉症支援ガイドブック(増補版) 滋賀県教育委員会
幼稚園、小・中・高等学校等における「個別の教育支援計画」作成の手引 愛媛県総合教育センター
 
学習指導要領データベース  
特別支援教育を推進するためのポイントと事例 愛媛県総合教育センター
通常の学級における支援の充実に向けて 愛媛県総合教育センター
言語活動の充実を図る学習指導の在り方 埼玉県総合教育センター
言語活動の充実を図る学習指導の在り方に関する調査研究(2年次 ) 埼玉県総合教育センター
 


 役立ちWeb特集 
(1)学習指導要領データベース(上で紹介したものです) http://www.nier.go.jp/guideline/index.htm 昭和22年度 学習指導要領一般編(試案)、同 社会科編(I)(試案)などとても面白いものです。 
 
(2)平成22年度体力・運動能力調査結果について
 
(3)平成23年版 科学技術白書
 
(4)【連載】 子どもの学習意欲を高める働きかけ
     平松 孝治郎・愛知県大府市立大府小学校教諭



 教育関連情報
(1)秋の岐阜市立研修校の発表日です。
 10月21日(金)岐阜市立長良東小学校 1日目 国・生・体・道・家
 10月22日 (土) 岐阜市立長良東小学校 2日目 社・算・理・音・図
岐阜市立青山中学校
 10月29日(土)岐阜市立陽南中学校、岐阜市立長良西小学校
 11月 5日(土)岐阜市立長良小学校、岐阜市立加納中学校
 11月12日(土)岐阜市立長良中学校 
 11月18日 (金) 岐阜市立東長良中学校
(2)平成24年度 概算要求書
 
 文部科学省は、全国の公立小中学校の耐震化工事に2325億円を求め、うち1419億円を復旧・復興対策の枠で要求した。文科省は「防災に特化した内容は復旧・復興対策、老朽化の対応は通常の枠で要求した」(文教施設企画部)と説明するが、境目は曖昧だ。
                          (2011年10月6日 読売新聞)
概算要求:文科省、学校耐震化に2325億円
 文部科学省は30日、一般会計総額で11年度当初比2.9%(1609億円)増の5兆7037億円となる来年度予算の概算要求を発表した。これとは別に、復旧・復興対策に5684億円も要求。公立小中学校の耐震化には計2325億円(約2200棟分)を盛り込み、耐震化率の全国平均は今年度3次補正予算案までを加え、4月現在の80.3%から約90%に引き上げる。
 35人以下学級の小学2年生までの拡大など義務教育費国庫負担金は1兆5675億円を計上した。低所得世帯などを支援する高校生向けの給付型奨学金の創設には、102億円を要求。13年度の全国学力テストについては全員参加方式を念頭に準備費を20億円とした。
                     毎日新聞 2011年9月30日 22時43分
 
(3)進学希望 過去最高96.6% 中3調査(愛知)
 県教育委員会は7日、来年春に卒業見込みの中学3年生を対象に実施した進路希望調査(9月10日現在)の結果を発表した。高校、特別支援学校の高等部、高等専門学校への進学希望率は96・6%(昨年比0・4ポイント増)で過去最高となる一方、就職希望率は0・8%(同0・2ポイント減)と、昨年に続いて過去最低を更新した。
 
 MM紹介
(1)授業中における教師の役割を考える その3   連載3/3
  〜ひきだす・つなぐ・まとめる〜   岡山県・津山市教育委員会指導主査 高岡昌司
Vol.324 2011.9/23(FRI) 教育情報 Magazine/ある小学校教師の独り言 からの引用です。
 
 前回の(2)「つなぐこと」(3)「もどすこと」に引き続き、【教師の役割】を考えます。

 教師は単に教えるというだけでなく、子どもの学びを組織し、学びの方向性を指し示していくという意味で、学びのコーディネーターとしての役割が重視される。
 
 最終回の今回は、(4)「まとめること」です。
 
 子どもの認識は決して白紙ではありません。その子なりの見方や考え方を(1)「ひきだすこと」、そして、それらを(2)「つなぐこと」と(3)「もどすこと」で、子ども同士の意見や考えを比較検討し、本時のねらいへと整理、焦点化させていきます。終末では、わかったことや結論を明確にする(4)「まとめること」という重要な役割があります。
 
 <教師の役割 その3 (4)「まとめること」>
(4)「まとめること」
  簡単に言うと、今日の授業でわかったこと、学んだことを明確にするということ です。いろいろな意見は出たけど、結局、結論(正解)は何?ということがあります。
  私の経験では、出たとこ勝負で、教師が話し合いの落としどころを想定していなかったり、つかませたいことを整理してなかったりする場合によくおこりました。
 授業構想の段階で、曖昧なまま、授業の流れで考えようとした場合も、必ず、その部分で失敗するという苦い経験も数知れずありました。
 これらの経験から、まとめるためには、その教材を通して「何を」をつかませるのかということをあらかじめ明らかにしておくことと合わせて、子どもから出てくる意見や考えを具体的に想定しておくことが必要だと思います。つまり、子どもの側からどのように認識を深めていくのかという学びの道筋を想定しておくということです。子どもの、どの意見に注目し、何を、どのようにつなげ、どうまとめ、どこへ収束させるのか。
  板書計画の中で、出てくる意見の整理(カテゴリー分けと結びつき等)を視覚化して考えておきます。単に、まとめを板書して枠で囲んでおしまいではなく、そこへどのように、結びつけていくのかという、主に教師側からの(4)「まとめること」という意味合いです。
 
  もう一方で、子ども自身が「まとめること」の想定も教師の(4)「まとめること」の重要な視点です。教科内容の習得だけでなく、子どもが自立(自学自習)する力を育てる視点です。
 
 自分の考えが、最初から終末ではどのように変わった(変わらなかった)のか、その理由は何か等を子ども自身が考えられる手立てや場面設定が必要です。一般的に、振り返りプリントを書かせたり、授業の感想を発表させたりしています。
 
 それ以外に、私なりに実践してきた方法を紹介します。
1.黒板にネームプレートを貼って,全員の考えが分かるように視覚化し、意見がかわった子どもやはっきりと理由が明確になった子どもを指名し、発表させることで、本時の学びの内容を明確にイメージさせます。
2.穴埋め形式で、本時のまとめをミニテスト等で板書し、ノートに書かせます。
3.本時の学習でわかったことやわからなかったことについて挙手させたり、ノートに書かせたりする中で、典型的なものを教師が紹介します。
4.(時間差によるまとめ)板書の写真を撮り、次時の導入で前時のまとめを確認します。少し時間をおくことで、冷静になったり客観的になったりすることで、自分の考えを整理することができる場合もあります。
 
 教師がはじめから結論(正解)をもっていたら、結局、それに捉われて強引な押し付けたまとめになると時々聞きます。しかしながら、私はそうは思いません。教師が結論(正解)をもっていることは当然であり、もう一方で、子どもがどのように結論(正解)を認識していくのかという子どもの側から学ぶ道筋を考えておくことが必要だと思います。
 つまり、結論と子どもをつなぐのは教師の重要な役割です。それが(4)「まとめること」だと思うのですが、いかがでしょうか。
 
 授業は、子どもと教師と教材の大きく3つの要素から成り立っています。中でも、教師の役割は大きく授業を左右します。授業中の教師の一瞬一瞬の判断で大きく変わってきます。質の高い授業づくりは本当に難しいです。『教師の成長なくして、授業の成長なし』を肝に銘じて、これからも頑張りたいです。