(1)JMM [Japan Mail Media] No.659 Monday Edition
■ 『村上龍、金融経済の専門家たちに聞く』
Q:日本の家電メーカーに未来はあるのか
◇回答 □真壁昭夫 :信州大学経済学部教授
日本の家電メーカーも、これからの展開次第で十分に生き残りが可能だと思います。ただ、今ある既存製品にしがみついていると、かなり厳しい経営状況に追い込まれることが考えられます。そのため、基本的なビジネスモデルを変革したり、産業再編を進めて企業体力を付けたり、さらにはいま存在しない新製品を開発することが必要になると思います。
まず、わが国の家電メーカーの現状と、家電メーカーを取り囲む経済環境を考えます。わが国には、世界で通用すると言われるブランドを持った家電メーカーがいくつもあります。それは、産業の再編が進んでいないことを如実に物語っています。わが国では、企業や企業の一部は売ったり買ったりするものではないという観念が強く、M&A等の動きも海外諸国に比べて遅れていると言われています。
特に、経済がグローバル化している現在、国内に相対的に規模の大きくない企業が犇めいているという状況は、経済合理性の観点ではあまり好ましくないと考えられます。というのは、国内の激烈な競争で体力を消耗してしまうと、成長が見込める新興国などでの事業展開に悪影響が出ることが懸念されるからです。海外の例を見ても、大きな企業同士が合従連行を行って一段と体力を付け、それを基礎にして世界市場で高いシェアを握るというケースが目立っています。そうした例から見ると、わが国の家電業界は再編が遅れている典型例と考えられます。
また、わが国は既に人口減少局面に入っており、少子高齢化も加速しています。人件費の水準が高いことも、家電メーカーにとってマイナス要因の一つです。こうした状況を考えると、国内で、今ある既存商品の売り上げを伸ばし、収益を拡大させることは容易ではありません。それに加えて、足元では円高が進んでいます。それもまた、家電メーカーにとって頭痛の種といえるでしょう。
ただし、家電メーカーに生き残りの余地がないかと言えば、そんなことはないと思います。やりようによっては十分に、今後の成長を期待することが可能だと思います。例えば、現在、世界最高のITメーカーの一つと言われるアップルという企業があります。この企業は、元々、主にマッキントッシュというパソコンを作っていました。
ところが、ウインドウズの開発に伴って、このPCの売り上げが伸びなくなりました。
その結果、1990年代半ばには経営危機に見舞われることになりました。その難局に復帰したのが、かつての創業者の一人であったスティーブ・ジョッブズでした。彼は、独自の発想によって、iPod、iPhone、iPadと立て続けにヒット製品を生み出しました。それらのヒットによって、アップル社は生き返り、今や世界有数のITメーカーになっています。わが国の家電メーカーも、そうしたプロセスを辿ることができれば、アップル社と同じようにアップトレンドに復帰することは可能です。
最大の問題は、わが国の家電メーカーが持つ企業家カルチャーのような気がします。わが国の家電メーカーは、細かい点に高い技術を持つと同時に、迅速にビジネスモデルを変えたり、組織を変革することがあまり得意ではないように見えます。そうした点が、1980年代に世界市場で高いシェアを誇ったわが国の家電メーカーの低迷を招く要因の一つと考えます。
先日、ある家電メーカーの子会社の経営者と話をした時、彼は、「日本の企業の経営者の頭には、未だに80年代半ばの成功体験が残っている」と指摘していました。もちろん、それがすべての原因とは思いませんが、経営者の発想の転換が必要なことは確かでしょう。彼がもう一つ言っていたのは、わが国の家電メーカーの技術水準は決して低くはないので、今なら、経営の発想を変えれば、わが国企業は十分に生き残れるということでした。ただし、「あと5年このままであれば、生き残りは難しいかもしれない」と言っていたのが印象的でした。
(2)★☆ 教育ながの Vol.587 ☆★
長野県教育委員会メールマガジン −平成23年(2011年) 11月号−
★☆★ 伊那市立伊那小学校 総合学習・総合活動 〜小学生が探究科?〜 ★☆★
教育総務課 島田俊彦
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「『プーリー』を使えばいい。」
5年勇組での総合活動「作って遊ぼう 勇組風車発電所」の授業での児童の提案です。「これが小学5年生の授業なのか、高校の探究科の授業のようだ。」と、目を疑ってしまいました。
このクラス(勇組)では、4年生の5月の図工でかざぐるまの作成がきっかけとなり、風力発電所(発電できる風車)の作成に取り組んでいました。
伊那小学校では、3年間を通じて子どもたちが興味を持ち、自分たちで決めたテーマに沿って、総合学習・総合活動を実施しており、5年生はその中間の学年にあたります。
9月1日の授業では、既に風車の基本は出来上がり、次は、如何に発電機を取り付け、風車の動力を伝えるかという段階でした。
「プーリー」や「ベアリング」、「ダイナモ」、名前だけなら知識として知っているかもしれませんが、それらの仕組みを理解し、どのような場面に活用できるか考えて、提案をしているのです。子どもたちが「探究」して、意見を述べており、まるで企業のものづくりの現場でのアイデア会議のようでした。
子どもたちは、ただ書籍やインターネットから知識を得ているのではありません。
去る6月28日、臨海学習で渥美風力発電所を訪ねていました。
発電機の種類についてアドバイスをもらい、回転がスムーズになるためにベアリングが必要なことなども教わってきていたのです。産業の先端で行われている技術を見て、そこで働いている人たちにアドバイスをもらい、自分たちが作りたいものを完成するために生きている知識を「学ぶ」姿がそこにはありました。
今回、伊那小学校での授業では、学校での学びが社会とこのように繋がっているということを示す、非常にわかりやすい授業を参観させていただきました。
伊那小学校には毎年100人程度の視察者が訪れるという全国的にも非常に注目されている授業が行われています。
伊那小学校が追求する子どもたちの学びの効果を如何に表し、義務教育としての必要性として位置付け、多くの教員に取り組んでもらえるようにすることができるかどうかは、教育行政に求められた課題なのかもしれません。
他に参観させていただいた授業の様子、伊那小学校での取組の一端など、詳しい内容は県教育委員会ホームページでご覧いただけます。
(3)初中教育ニュース(初等中等教育局メールマガジン)第189号 2011.10.13
[目次]のみ紹介します。
□【シリーズ】「コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)」の取組事例
(第4回)〜萩市の取組の紹介〜
□【シリーズ】「放課後子ども教室推進事業」(放課後子どもプラン)(第57
回)〜長野県長野市の取組の紹介〜
□【お知らせ】文部科学省ホームページ『高等学校教育』をリニューアルしました!
□【お知らせ】「平成24年版科学技術白書表紙絵・デザインコンクール」の実施について
□【お知らせ】全国生涯学習ネットワークフォーラム2011(まなびピア2011)
参加者募集中
□【お知らせ】「木材を活用した学校施設づくり講習会」の開催について
□【お知らせ】「平成23年度省エネルギー対策に関する研修会」の開催について
□【お知らせ】「文部科学時報」10月号が発行されました!(10月10日発行)
□【お知らせ】「文部科学広報」第143号が発行されました!(10月10日発行)
□【お知らせ】国際シンポジウム「教育テストの可能性−21世紀型能力の育成
と高大接続−」の開催について
□【不定期連載】地方教育行政実務研修生によるリレートークA
8 書籍紹介
『世界最速「超」記憶法』津川博義(講談社+α文庫)
◆DVD教材「平和を考える」差し上げます◆
読売新聞東京本社は小学校と協力して、6年生の教科書単元「平和について考える」
を発展させた授業(6コマ分)で、児童が身近な平和に気づいていく経過を収録した
DVD(約30分)を制作しました。
新聞と写真を活用した授業です。どこの小学校でもこうしたやり方で、
児童が抽象的な平和を具体的に考え、感じる学習を実現できます。
ご希望の学校に1枚無料送付します。ご利用下さい。
申し込みは、「学校名、所在地、担当教員名、電話番号」を明記し、
@メールは、nie7717@yomiuri.com
Aファクスは、03―3217―8362
Bはがきは、〒104―8243読売新聞東京本社NIE事務局DVD係へ。
このDVDの表紙を見ることができます。
8ページ別刷り「早わかり新聞活用(NIE)」を無料進呈するお知らせも掲載されて
おり、
学校教育における新聞活用にうまくご利用下さい。