(1)日刊『中・高校教師用ニュースマガジン』(中高MM)☆第2963号☆
■「理科で使える模型を作ろう!」(10)原口栄一(鹿児島)
◆生物に関する模型
1 DNAを作ろう!
分子模型(3)では1億倍の模型として紹介しました。このインパクトはなかなかいいのですが、高価になり作り方もなかなか難しい。そこで、ペーパークラフトを紹介します。
DNA簡易模型(写真1,写真2)です。はさみを入れて指定されたところを折るだけ。それだけで写真のような物が作れます。製作は希望者だけとしました。一つ作る生徒は多いのですが、なかには3つつなげてくる生徒も。なかなかがんばります。これは「使える!生物の教材・実験 with CD−ROM」(以下生物CD)からの資料です。広島県高等学校教育研究会理科部会生物部に所属する「教材生物・教具研究会」の発足10周年を記念してつくられたものです。興味を持たれた方は下記から連絡をとられてみてはいかがでしょうか。
○広島県高等学校教育研究会理科部会生物部 教材生物・教具研究会
他に○「S.F.A1 サイエンスファクトリー」
からダウンロードして製作したこともあります。ペットボトルに入れるときれいです。
2 細胞を作ろう
動物細胞と植物細胞があります。(写真3,写真4)模型を買うと安くても数千円ですが、これだと生徒一人一人に作らせることが出来ます。これも生物CDからのものです。そして、パラパラ細胞分裂と発生。一枚一枚、印刷された紙を切って進行順に並べるだけ。製作は簡単です。
3 イカの解剖
新学習指導要領になり、各学校でも解剖が始まったと思いますが、ここで評価のために工夫をしました。解剖した各部をラミネート加工したA3用紙に名称の通り並べていくという方法。(写真5,写真6)
にイカのペーパークラフトがあります。これを左手に持ちながら説明するのもいいかも。
4 恐竜 動物
キャノン製ペーパークラフトには多くのペーパークラフトがあります。無料です。
有料ですが、私はこちらのペーパークラフトをよく作成していました。
まあ作りやすく,リアルに近いです。(写真7)
夏は、中学道徳セミナーのついでに表参道で作品を買い求めています。
最近は、マグロを作成しました。9倍に拡大してリアルな大マグロにして魚類を教える時等で生徒に見せています。(写真8)
(2)メールマガジン「学びのしかけプロジェクト」 162号 2011年11月6日発行
子どもの学習意欲を喚起し,力を付ける“登米っ子学習”
宮城・登米市立佐沼小学校 成瀬 陽子
1 「登米っ子学習」とは
「登米っ子学習(とめっこがくしゅう)」。一体,どんな学習なのか。多くの方が疑問をもったことだろう。「登米っ子学習」とは,登米市の学力向上策の切り札として,授業と家庭学習を連動させる取組であり,市内の全小中学校が実践しているものである。
勤務校では,「登米っ子学習」を授業と家庭学習を連携させる,いわゆる「サイクル学習」ととらえ,授業から家庭学習,家庭学習から授業をつなげる課題「登米っ子学習課題」を,算数科で毎日出している。今年度は,この登米っ子学習を展開しながら,「友達に自分の考えを話したい」「友達の考えを聞きたい」という意欲を高め,相手に分かりやすく伝えることのできる力を育てる研究に取り組んでいる。
先日,校内で研究授業が行われた。登米っ子学習の授業での生かし方,子どもの反応は次のとおりである。
2 授業の実際(第1学年 たしざん)
本時のねらい:3+9で被加数の3を分解して計算する方法があることを知り,計算の仕方について理解を深める。
教師は前時に,登米っ子学習課題として以下の課題(プリント形式)を出し,2回読んでくることを指示した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
7+6=
7は あと□で10になるので,
・はじめに6を□と□に分けます。
・つぎに7と□をたして10
・さいごに10と□をたして,こたえは□です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
前時に学習した内容で,本時につながる復習的課題を登米っ子学習課題とした。
(1)登米っ子学習課題を取り上げる
『昨日学習した7+6の計算の仕方をみんなで言ってみましょう。』
「7は,あと3で10になるので,はじめに,6を3と3に分けます。つぎに,7と3をたして10。さいごに10と3をたして,答えは13です。」
『そうだね。さくらんぼのように数を2つに分けてやるとよかったんだね。』
全員がノートや,ヒントコーナーを見ないで,大きな声で発表している。毎日,計算の仕方を読むことを家庭学習に取り入れてきた成果がうかがえる。
このように,教師は授業の中で,子どもが家庭でやってきたことを取り上げ,認める。
(2)登米っ子学習課題を本時に生かす
『今日の問題は〜』と言いながら,卵の絵を出した。
『3+9をどうやって計算したらいいかな。』
「3を1と2に分けて,計算をします。」
「10にしてわかりやすくするといい。」
方法の見通しをもたせた後,自力解決に入った。子どもたちは,ノートに自分の考えを書き始めた。ブツブツつぶやきが聞こえてくる。「3は,あと〜だから,〜」前時までに学習したことを,子ども自らが本時で生かしている姿だ。
「先生,説明を書いてもいいですか。」
なんと,計算の仕方を自分の言葉で書こうとしている。自信のない子は,ノートのページをひっくり返しながら説明を書いている。1年生でも十分,説明を書くことができる。
いよいよ,考えの発表だ。次の2とおりが出た。
・ 3+9 (加数分解の方法)
「3は,あと7で10。はじめに9を7と2に分けます。次に,3と7をたして10。最後に,10と2をたして12になります。」
・ 3+9 (被加数分解の方法)
「9は,あと1で10。はじめに3を2と1に分けます。次に,9と1をたして10。最後に,10と2をたして12になります。」
ブロックで操作しながら説明する子ども。担任は,説明の仕方をほめた。そして,説明を全体で唱えた。登米っ子学習課題を本時に生かす場面だ。
『2つの考えが出たけど,違うところはどこですか。』
比較検討の場面に入った。私は,事前にこの指導案を見せてもらった時,1年生の担任に,「比較検討は難しくないか。特に違いを見つけることは,1年生にとってハードルは高くないか」と尋ねた。しかし,担任は,「高度なことを狙っているのではなく,数字の位置や分け方に着目できればよい。今,そういう目を持ち始めている。」と答えた。
担任が言ったとおりだった。子どもたちは,「前の数字(3)を分けているところと,後ろの数字(9)を分けているところが違う。」
「前を10にしているところと,後ろを10にしているところが違う。」
見事,分解の方法の違いに目を付けた。常に,教師が比較検討する視点を子どもたちに与えている積み重ねの成果だと私は感じた。この後,子どもたちは9個に1個を移した方(足した方)が,卵は割れにくいことに気付き,被加数分解の仕方もあることを理解した。
(3)本時の学習を家庭学習につなげる
本時で『新しく』学習した「被加数分解の仕方」を家でも復習できるような登米っ子学習課題を出した。以下の課題を解き,2回読んでくることとした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4+9=
9は あと□で10になるので,
・はじめに4を□と□に分けます。
・つぎに9と□をたして10
・さいごに10と□をたして,こたえは□です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
研究も半ばで,まだまだ課題があるものの,少しずつ取組の手応えを感じている。これまでの授業を登米っ子学習課題で家庭学習とつなぎ,「サイクル化」させたことが今年度の研究(授業)のハイブリッドだ。今回の授業では,復習的課題を登米っ子学習課題として出したが,学年が上がるにつれ,予習的課題を出すことが多くなる。授業目標の達成を考え,「復習」と「予習」をバランスよく行うことも登米っ子学習課題の要素の一つになっている。これまで,高学年を受け持つことが多かった私は,予習をすると(教科書を見せてしまうと),授業で新たな発見や刺激,新鮮みが損なわれてしまう,と思っていた。
しかし,この登米っ子学習に取り組むようになってからは,それは,逆だと思えるようになってきた。次の授業への関心が高ければ,授業で獲得できる刺激や喜びが大きいのである。登米っ子学習は,そういった子どもの学習意欲を高めることを第一のねらいとしている。
「登米っ子学習」及び校内研究については,本校ホームページをご覧い
(3)島原です。さて,先日夏季の研修会に参加しました。紹介させていただきます。
講演記録 自らの命を守る防災教育のあり方 〜東日本大震災を教訓に〜
群馬大学大学院工学研究科
広域首都圏防災研究センター長 片田敏孝
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
県教委主催の防災教育指導者研修会に参加した。講師は片田先生。
強く心に残ったことは,想定外に対応するためには「常識」を打ち破ること,というお話。
片田先生は釜石の小中学校の防災教育に8年間関わってこられた。
「釜石の奇跡」とマスコミに取り上げられたように,小中学生に死者は1人もいなかったという。常識を打ち破るとは?
例えば,行政が作成するハザードマップ。
「ぼくの家は白(津波が届かない範囲)だから大丈夫だ!」「おまえの家は赤だからあぶないぞ!」これが子どもたちの思い込みにつながる。
また市民も色づけされたマップを見て,津波はここまでしか来ないという先入観をもってしまう。釜石のA小学校はハザードマップでは安全区域に入っていた。地域の緊急避難場所にもなっていた。しかし,全校の児童は津波警報が出たら直ちに避難を開始した。
子どもの教職員も想定を信じてはいなかった。
避難途中,保育園の前を通る。高学年の児童は園児の手を引いて避難する。これはふだんから訓練されているという。
丘の上から見た学校は,見るも無惨に津波に襲われていたそうだ。
これは片田先生の指導によるという。片田先生の指導は次のとおり。
1 想定にとらわれるな。
2 自分にできる最大限の行動をとれ。
3 率先避難者たれ。
自分だけは大丈夫,という思いを捨て去ること。
毎年5千人の方が交通事故で死亡している。
誰もが自分はその中に入らないと思っている。
しかし,ジャンボ宝くじ1等当選者が5千人と聞くと,自分も当たるのではないかと思って買って しまう。自分にとって不都合なことは「自分には関係ない。」と勝手に判断してしまう。
これはとても危険なこと。この他,多くのことをお話しされたが,いちいち納得するお話であった。
8 資料紹介
(1)大人も楽しい小学校社会科番組
3・4年生向け「知っトク地図帳」、5年生向け「社会のトビラ」
□「知っトク地図帳」「図書館」
○本放送:平成23年11月 9日(水)9:30〜9:40 NHKEテレ
再放送:平成23年11月16日(水)9:30〜9:40 NHKEテレ
○内容 17万冊の蔵書をそろえ、平日2500人もの利用客が訪れる東京都・区立千代田図書館。17万冊の本を分類する秘策の地図とは!?
今注目の「調べ方を教えてくれる」レファレンスサービス。
プロが教えてくれる「調べ方」の極意とは!?水道橋博士が徹底取材!
□「社会のトビラ」「日本の貿易」
○本放送:平成23年11月 9日(水)9:50〜10:00 NHKEテレ
再放送:平成23年11月16日(水)9:50〜10:00 NHKEテレ
○内容 子どもたちにとって身近な鉛筆は、実はほぼ100%が輸入された原材料で作られている。そこで、鉛筆を通して、資源を輸入して製品を海外に輸出するという貿易の形を紹介。
さらに、日本が外国と行っている様々な貿易の形を伝えていく。
2番組とも、インターネットでもご覧頂けます。