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報告者  土 井

 2012年1月5日(木)布袋北学習等供用施設にて社楽の会を開催しました。

 参加者(勤務校)は,土井(江南市教委)、早川先生(藤里小)、馬場先生(宮田中)、天野先生、(大南小)、阿部先生(江西中)、小沢先生(扶東小)、尾関先生(岩北小)、田中先生(犬南中)、大藪先生(犬南小)、坪内先生(犬北小))、吉田先生(古中)、柴田先生(草井小)、坪内先生(岩倉中)の13名でした。

土井が提案したものを紹介します。 

1 資料集部会リハーサル
 江南厚生病院見学
  2011年十大ニュース −ブログより−
  お役立ち資料
 役立ちWeb特集  
教育関連情報   
MM紹介
8 資料紹介
 
 恒例のシーズン・オフの内容が決まりました。
1月19日(木);土井の模擬授業「名古屋から人の器を考える」
2月 2日(木);江南市歴史民俗資料館長 山田信夫先生 「尾張名所図会」はこう見る!
2月16日(木);倉橋 寛先生 村国男依  藤里小 森藤先生、服部先生の課題研究発表
3月 1日(木);修文大学 太田昌孝先生  『文学と民俗学の出会うところ』  
3月15日(木);江西中阿部先生、城東中鈴木先生の模擬授業

ぜひ、多くの先生方に声をかけてください

 資料集部会リハーサル
   よろしくお願いします。  
            
 江南厚生病院見学
 明くる日に、市内の校長、教頭先生に報告した「おはようメール」です。
  
 昨日は、江南厚生病院へ15名で見学に行ってきました。
 江南厚生病院の情報システムと、病診連携・地域医療ネットワークシステムの説明を伺いました。
 その一部紹介します。
 
 平成20年の移転に伴い、愛北病院277床、昭和病院401床を併せて、江南厚生病院678床が誕生しました。
 この678床は、それ以上でも以下でもいけません。厳しく決められているそうです。
 これは一例ですが、法律で厳しく縛られている世界であることをうかがい知ることができました。
 
 病院に縁のない私は全然知らなかったのですが、江南厚生病院は「急性期病院」といわれ、地域の医院・診療所とは別のものです。
 「初期の診療は医院・診療所で、高度・専門医療は病院で行う」とH8に健康保険法が改正されたためです。すなわち、重症患者は江南厚生へ送り、安定(慢性期)してきたら地域の医院へ帰すという役割分担ができているのです。
 そのため、診療所に3ヶ月以内にかかっていない場合には、初診の保険外併用療養費として2,100円必要なのです。(名古屋や東京では5千円、大阪では7千円の病院もあるそうです。)救急車での来院はかかりません。
 
 というわけで、病診連携は今後ますます進んでいきます。
 江南厚生病院は、現在、尾北医師会の40機関と連携が取れています。江南市内の9割の医院が含まれます。
 そこからは、江南厚生病院での治療、画像、投薬、注射などの情報などを見ることが出来ます。
 今後は、周辺市町や、小牧市民、一宮市民などの総合病院、介護保険との連携を進めていくそうです。
 ちなみに、私が次の質問しました。
 「病病連携の場合、江南厚生が主に請け負うウリとなる診療は何ですか?」
 次のような回答がありました。
 「整形、血液、小児科です。」
 
 情報ネットワークは、電子カルテを中心に、医事会計、検査、調剤、放射線画像等が連携しています。
 電子カルテとは、従来の紙カルテに医師が記録してきた患者の訴え、身体所見、診断経過や結果、各種指示、看護記録、検査結果、画像情報、他の医療機関からの紹介状など、患者に付随して発生する診療に必要な情報をコンピュータで記録・統合管理するシステムです。
 初期投資に16億円(電子カルテ8億、医事会計8億)、毎年の保守費用が5千万円かかりますが、診療費に上乗せできません。病院の持ち出しです。
 メリットはいろいろありますが、デメリットもあり、投資分の価値が得られるまでには情報の蓄積と運用上の熟練が必要なようです。
 
 見学では、看護士さんのバックヤード、病診連携室、サーバ室などを見せていただき理解が深まりました。
 まだまだ多数の情報を得ましたが、ひとつわかったことは、自動車工場のような小学生の見学は難しいということです。
 教師が取材して教材化するしかないと思います。
 (以下略)
 これ以後は、口頭で・・・・

 2011年十大ニュース −ブログより−
2011年の十大ニュースを集めてみました。
 
(1)共同通信社と全国の加盟新聞社、民放契約社の編集・論説担当者らが報道現場の視点から選んだことしの十大ニュースです。 http://www.kyodonews.jp/feature/top10/ よりの引用です。
国内ニュース
【1位】東日本大震災と東電福島第1原発事故
【2位】菅首相が居座りの末退陣、ドジョウ野田内閣誕生
【3位】サッカー女子W杯、なでしこジャパン世界一
【4位】円が戦後最高値を更新、円売り介入、輸出産業苦境に
【5位】野田首相がTPP交渉参加を表明
【6位】東電が初の計画停電、夏は15%節電
【7位】政府要請で浜岡原発停止、九電ではやらせメール問題
【8位】大阪ダブル選で橋下氏、愛知トリプル選で河村氏側完勝
【9位】小沢民主党元代表を強制起訴、元秘書3人は有罪
【10位】八百長問題で大相撲春場所中止、25人が角界追放
 
国際ニュース
【1位】北朝鮮の金正日総書記が急死、世界に波紋
【2位】欧州の財政危機拡大、政権交代相次ぐ
【3位】中東に民主化の波、カダフィ大佐死亡
【4位】米特殊部隊がビンラディン容疑者を殺害
【5位】タイで大洪水、日本企業が操業停止
【6位】東電福島第1原発事故で欧州に脱原発の動き
【7位】米国で反格差デモ、世界へ拡大
【8位】ニュージーランド地震で日本人28人死亡
【9位】米アップル創業者ジョブズ氏が死去
【10位】中国高速鉄道で追突事故、40人死亡
 
(2)2011年読者が選ぶ10大ニュース
 読売新聞社は「日本10大ニュース」を1947年から、「海外10大ニュース」を1989年から、読者の投票によって毎年選んでいます。
 今年も国内外から「日本10大ニュース」に1万1306通、「海外10大ニュース」に7474通の応募がありました。その結果です。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/2011news10/ からの引用です。
 
日本のニュース
1 東日本大震災、死者・不明者約2万人
2 サッカー「なでしこジャパン」世界一
3 福島第一原発事故で深刻な被害
4 大相撲で八百長発覚、春場所中止に
5 新首相に野田佳彦氏
6 スカイツリー「世界一」634メートルに到達
7 大型台風上陸相次ぎ記録的被害
8 大阪ダブル選、「都構想」で共闘の橋下氏が大阪市長、松井氏が府知事に初当選
9 テレビ放送が地デジに移行
10 節電の夏、37年ぶり電力使用制限令
 
世界のニュース
1 タイで洪水被害、日系企業も大打撃
2 ウサマ・ビンラーディン殺害
3 チュニジアで長期独裁政権が崩壊、エジプト、リビアにも「アラブの春」
4 ニュージーランド地震で日本人28人を含む180人以上死亡
5 ユーロ危機深刻化、欧州各国に波及
6 中国高速鉄道で追突事故、40人死亡
7 米アップル社のスティーブ・ジョブズ会長が死去
8 世界人口が70億人突破
9 中国が日本を抜き世界第2の経済大国に
10 英ウィリアム王子が結婚
 金総書記の死は近すぎて票に入っていないようです。
 
(3)3東日本大震災は2位 タス通信十大ニュース
 http://sankei.jp.msn.com/world/news/111230/erp11123022170003-n1.htm からの引用です。
2011.12.30 22:17
 ロシアのタス通信は30日、同社が選んだ2011年の十大ニュースを配信、東京電力福島第1原発事故を招いた東日本大震災を2位とした。1位はエジプトのムバラク政権、リビアのカダフィ政権などを崩壊に導いた中東民主化運動「アラブの春」。
 3位はユーロ危機で、4位はロシア下院選不正疑惑に抗議し数万人が参加したモスクワでの大規模集会。以下、国際テロ組織アルカイダの指導者ウサマ・ビンラディン容疑者殺害(5位)、米アップル共同創業者のスティーブ・ジョブズ氏死去(6位)、北朝鮮の金正日総書記死去(7位)などとなっている。(共同)
 
中国政府系新聞・人民日報が選んだ国際10大ニュースです。
 http://j.people.com.cn/94474/7694246.html からの引用です。
(1)胡錦濤主席が米国訪問 中米関係の新たな位置づけが明確に
(2)中国、国民をリビアから退去させることに成功 在外国民の保護能力が向上
(3)大震災とそれに伴う津波、原発事故 日本に大きな打撃
(4)欧米の債務危機が激化 世界経済衰退のリスク高まる
(5)10年間の逃亡の末、ビン・ラディンが射殺される 国際反テロ闘争の任は重い
(6)南スーダン共和国が独立 南北スーダン平和に向け取り組み強化
(7)「盗聴事件」で英タブロイド紙が廃刊 西側諸国の報道倫理に疑問の声
(8)ノルウェーのテロ事件 欧州極右勢力が世界に衝撃
(9)光速を超えたニュートリノを計測 相対性理論に矛盾
(10)西アジア・北アフリカ情勢が動揺 多数の政治家が退陣
 金総書記の死には触れていません。何とも微妙な立ち位置です。
 
韓国の朝鮮日報
 本紙が選ぶ「2011年世界10大ニュース」
  http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2011/12/31/2011123100463.html 
■東日本大震災…日本の安全・原子力神話が崩壊
■カダフィ大佐死去、ムバラク大統領とベン・アリ大統領は追放…「アラブの春」
■ギリシャ発財政危機…欧州で格下げドミノ
■9・11テロから10年…米国、オサマ・ビンラディン容疑者殺害
■スティーブ・ジョブズ氏死去…「21世紀のダビンチ」を失う
■ウォール街発の「反資本主義」デモ、世界80カ国余りに拡大
■ノルウェーの「悪魔」、160人余りを殺傷…最悪の銃器乱射事件
■傷痕だけを残し…イラクの米軍、8年ぶりの帰還
■ベールを脱いだ「神の粒子」、ヒッグス粒子は宇宙誕生の謎を解き明かすか
■中国の空母が試験航海、米国は中国包囲…南シナ海でにらみ合い
 同じく、金総書記の死には触れていません。間に合わなかったのか、無視したのか?
 


 お役立ち資料
ブログで、12月16日から12月31日までに紹介した資料です。
個別的な人権課題に対する取組-実践編- 文部科学省
人権教育・啓発に関する基本計画 法務省
学校における望ましい動物飼育のあり方
 
日本初等理科教育研究会
平成17年度 紀要 第13号
 
栃木県総合教育センター
平成16年度 紀要 第12号
 
栃木県総合教育センター
平成23年版環境・循環型社会・生物多様性白書 環境省
図で見る環境・循環型社会・生物多様性白書 環境省
こども環境白書2011 環境省
「学校が社会と協働して一日も早くすべての児童生徒に充実したキャリア教育を行うために」 文部科学省
 
食に関する指導の手引 文部科学省
栄養教諭を中核とした食育推進事業事業結果報告書(平成22年度) 文部科学省
栄養教諭を中核とした食育推進事業事業結果報告書(平成21年度) 文部科学省
知的障害特別支援学校におけるキャリア教育の推進 東京都教育委員会
今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について 中央教育審議会答申
災害ボランティア受け入れ・派遣体制づくりのガイドライン 横浜市
災害救助図上シミュレーション訓練実施マニュアル 日本赤十字社


 役立ちWeb特集 
(1) 縄文と古代文明を探求しよう! http://blog.kodai-bunmei.net/blog/ 
 
(2)語源由来辞典 http://gogen-allguide.com/  
 
ここからは布袋中学校HPからの紹介です。
○ JSTバーチャル科学館   http://jvsc.jst.go.jp/ 
    ・みつけること  ・暮らすこと  ・この星のこと  ・この宇宙のこと
○ 【日本世界遺産めぐり】-世界遺産を探すたびに出かけよう!
○ フィギュアスケート・トップページ 財団法人日本スケート連盟
 http://skatingjapan.or.jp/figure/    技の解説がわかりやすい!
   動画付きです。6種類のジャンプの区別が付きますか?
○ 四字熟語データバンク http://www.sanabo.com/words/ 
○ 東日本大震災 写真保存プロジェクト 
 http://archive.shinsai.yahoo.co.jp/ これはいい!ネット文化の新しい形です。
地域で探す.  青森(481点)岩手(10,552点)宮城(21,328点)福島(6,122点)茨城(1,248点).栃木(102点)千葉(753点)新潟(20点)長野(13点)
.時期で探す.  震災前(12,016点)震災後(20,971点)
  日本一に関するデータが集められています。
○ インターネット自然研究所 http://www.sizenken.biodic.go.jp/ 
○ フラッシュ暗算:FLASH ANZAN
 http://www.japanmatrix.com/anzan/ ぜひやってみてください。脳トレに最適!

 教育関連情報
(1)学力テスト、一部問題非公開に/学力の経年変化把握−文科省
 全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の在り方を議論している文部科学省の専門家会議は28日、2013年度実施の学力テストについて、問題の一部を非公開とする方針を決めた。同じ問題を毎回出題して正答率の推移を分析するなど、学力の経年変化を把握するのが狙い。
 専門家会議が今年3月に提言した「きめ細かい調査」の基本的な枠組みの中で示された。
 ほかに、東日本大震災による影響や、家庭の経済状況が子どもの学力にどのような影響を与えるかなども調査する。
 
 MM紹介
(1)JMM [Japan Mail Media]                     No.668 Extra-Edition
  □ 3.11の夜…南相馬にて
     ■ 番場さち子(ばんばさちこ):福島県南相馬市原町区在住
                    わかば塾・番場塾・番場ゼミナール塾長
 3.11の夜、私は自宅近くの南相馬市立総合病院に逃げ込んでいた。午後2:46、私は教室のコピー機の前で、その日に行う単語テストの印刷を始める矢先だった。スリッパのまま、外へ飛び出し、隣に住む大家さんご夫妻と地震がおさまるのを待った。
 長い地震だったが、教室周辺の民家は、さほどの被害も見当たらないので、これがまた来ると噂されていた宮城県沖地震かと、その程度の認識だった。自宅の様子も見てきたら?という大家さんの言葉で我に返り、自宅周辺の様子を見に車を走らせた。後々知ったことだが、あのまま真っすぐ車を走らせていたら、私も津波に巻き込まれていた。たまたま偶然、右に曲がったことで、私は生かされた。
 大学生の元生徒達が、大震災直後「先生、大丈夫か?」とすぐさま駆けつけてくれ、壊滅的だった我が家の片付けを手伝ってくれていたが、夜は一人ぼっちになった。子ども達の気持ちが有難かった分、孤独感が募る。余震が頻繁に襲い、家に居るのが怖い。運悪く、母親は松島に旅行中で、父親は実家の伯父家族が行方不明となり、わずかな望みを託して、避難所を捜し回って帰って来ない。消防団の車が「津波警報が出ました!避難してくださーーい!」と巡回して叫んでいる。津波で家もなくなり、防風林もなくなり、遮るものがなくなって、波の音が我が家まで聞こえる。
 市立病院の薬局前のソファーを陣取って、私はテレビの映像に見入っていた。診察室前の長椅子は撤去され、ブルーシートやマットが一面に敷かれていた。津波に遭遇し、泥の中から救助された患者が、次々に運び込まれてくる。目を覆いたくなるようなドロドロの患者が運び込まれる毎に、(これは大変なことになった…)と、私の体は恐怖で震えた。テレビに映る映像が、目の前に起こっている。本物を見ているのか、夢を見ているのか…次々に起こる想像を絶するシーンの続出に、私の頭の中は冷静ではいられなくなった。
 行方不明者を捜して、病院を訪ねてくる親戚縁者もあとをたたない。市立病院内はごった返していた。会う人、会う人、お互いに「生きてたーー!?」と肩を抱き合い涙をこぼしていた。
 市立病院で働く看護師の中に、生徒の母親がいた。私の姿を見つけて駆け寄り「子供たちが心配です。」と涙を浮かべた。あの時間で良かった…きっとアヤカとユウトは学校で保護されているだろう…と私は子どもたちの無事を祈った。「母親なのに、そばにいてやれない。不安でたまらないと思う…母親失格です。」とこぼされた。いやいや、あなたがこうして気丈に働く姿を、子どもたちは誇りに思うでしょう。私が見届けたことを話してきかせましょう…私はそうつぶやいて、彼女の手際の良い働きぶりに感動さえ覚えて見届けていた。
(以下略 なまなましい報告が続きます。)
 
■ 『村上龍、金融経済の専門家たちに聞く』
 ■今回の質問【Q:1244】
 2012年、日本経済にとって、もっとも重要な課題は何なのでしょうか。
 
 日本国債暴落(円金利急騰)への対応でしょう。2012年は、2011年にリスク回避という名目で買い上げられた資産の値下がりが予想されます。具体的には、米国債、ドイツ国債、日本国債、さらには金です。特に値下がり(金利上昇)が激しいのは米国債だと思われますが、連動して下落する日本国債に対し、パニック売りの危険性は否定できないでしょう。そうなると、日銀へのプレッシャーが高まり、信用緩和として、日本国債の買い支えに出動せざるを得なくなるかもしれません。その際には、円相場も暴落し、円高が懐かしくなることでしょう。
まず、逆バブル的な状況にあるのは、欧州周縁国の国債です。必要以上に売り込まれているように思います。どのような相場であっても、悪循環や好循環という「正のフィードバック」で説明されるようになると、最終局面です。売るから下がる、下がるから売る。あるいは、買うから上がる、上がるから買うとなると、市場には売り手、買い手しか存在しなくなります。こうなると、価格はあってないようなもので、相場は急落、急騰します。
( 中 略 )
 ところで、90%以上、日本人に保有されているから大丈夫だというのは、本来価値のない日本国債に、日本人だけが特別な価値を見出していると言っていることに他なりません。日本人と外国人の間に、情報の非対称性があるということです。それは、何でしょうか。おそらく、いざとなったら、日本人は増税に応えるということでしょう。それを担保しているのは、世論調査のたびに示される日本人による増税への「理解」です。しかし、先週末に、日本経済新聞が実施した世論調査によると、消費税増税に反対が53%、賛成が38%と、反対が賛成を、珍しく大きく上回っていました。これは、由々しき事態ということになるでしょう。ちなみに、過去5年間の世論調査を平均すると、賛成が3%ポイント、反対を上回っております。
 なお、私は、90%日本人が持っているから大丈夫だとは考えておりません。今のインフレ率からすると、1%とは言え、妥当な利回りだと考えております。ただ、世の中では、「90%日本人が持っているから大丈夫だ」と考えている人があまりにも多い。だとすれば、そういう彼らは、この年末の二つの材料に、反応せねばならないと思います。
 こうした日本的な事情が、欧州周縁国の国債の逆バブル崩壊、G3国債のバブル崩壊に重なると、思わず金利が急騰してしまうリスクがあります。困ったことが起きると、なんでも、政府や中央銀行におねだりする日本人のこと、日銀へのプレッシャーが高まることでしょう。なんとかせいと。さて、その時どうするか。これが2012年の課題ではないでしょうか。
                 JPモルガン証券日本株ストラテジスト:北野一
 
■ 中空麻奈 :BNPパリバ証券クレジット調査部長
 2012年、日本経済にとって優先すべき問題をクレジットアナリストの観点から三つあげるとすると、順不同で以下のとおりとなります。
(1)東京電力の方向性を決定すること。
 ?国有化なのか、民営化継続か   ?国有化ならば部分国有化か、完全国有化か
 ?国有化の際の国の関与のあり方  ?今後の電力セクターのあり方
 ?日本の電力政策の着地点は
(2)日本の財政再建に向けた道筋への意気込みを見せること。
 ?消費税引き上げへの覚悟     ?社会保障費を含めた聖域なき歳出削減計画
(3)グローバル経済における日本の位置づけを確立すること。
 ?欧州危機によってIMFへの拠出が求められようが、それへいかに対応するのか
 ?欧州危機による円高継続とその対応
 
 どれも重要課題であることは間違いないでしょう。しかし、このうち、日本経済にとって優先すべき課題と言うことだとすれば、もっともフィットするのは、(2)日本の財政再建に向けた道筋への意気込みを示していくこと、だと考えます。
(以下略)
 
■ 中島精也 :伊藤忠商事チーフエコノミスト
(前半略)
 財政再建には(1)歳出の見直し、(2)経済成長促進による税収増加、(3)増税策の3つの施策がありますが、事態がここまで悪化してしまうと、最早優先順位というよりも、上記のすべての政策を実行に移すしかありません。歳出の見直しは民主党マニフェストにある無駄づかいの根絶として公共事業の見直し、公務員の総人件費の削減、衆議院比例代表定数の80削減等々を断行すること、経済成長促進による税収増加は各種改革の実行によりイノベーションを刺激することで実現する。
 ところが、この歳出の見直しと改革への展望がほとんど示されない中で、2015年までには消費税を10%まで引き上げるという増税の掛け声ばかりが政府から発せられています。今回の予算でもいつの間にか公共事業を始めとして無駄削減への切込みが甘くなっているのが目立ちます。
 国民は政府が考えている以上に今の財政状況を理解していますし、合理的な説明があれば増税策を受け入れても仕方ないという思いは持っているはずです。ところが、政府は歳出の見直し、改革にしろ、やるべきことをやっていないし、また、これからどうやっていくのか、その指針をしっかりと国民に示しているとも思えません。ここが国民が増税策に拒否反応を示している背景でしょう。もっと国民目線での説得力のある説明と政策の断行が不可欠です。
 わが国はこれまで経常黒字をベースとした資本輸出国でやってきました。しかし、産業空洞化の進展による輸出力の低下、資源高騰や原発事故以降の代替エネルギー需要の増大などによる輸入増加から貿易収支は今後、恒常的な赤字に転落、また、現在は所得収支の黒字のおかげで経常収支の黒字が維持されていますが、日本経済研究センターの中期経済予測によりますと、2020年には経常収支も赤字に転ずる模様です。
 先行きのことですので、まだ確たることは言えませんが、仮に経常赤字に転落することになれば、それは国内投資を国内貯蓄でカバーしきれない、すなわち資本を海外に依存しなくてはならない国に転ずるということですから、日本国債が大きく影響を受けることになるのは避けられません。そのときに大騒ぎしても遅すぎます。今から10年先を見据えて、欧州債務危機のような不測の事態に陥ることがないように、今、その抜本的対策を打てるか否か、それが2012年の重要な課題であると思われます。