(1)JMM [Japan Mail Media] No.686 Monday Edition
『村上龍、金融経済の専門家たちに聞く』
Q: 成功企業の何を参考にすればいいのか
◇回答 □真壁昭夫 :信州大学経済学部教授
「成功企業から学ぶこと」
成功している企業には、広い意味での共通要因はある一方、それに加えて、当該企業が持つ独特の要因があるような気がします。そう考えると、成功企業から学んで真似できることと、真似しようと思っても難しい要素の二つがあると思います。
一つは、真似しやすい共通要因です。共通要因の中で最も重要なものは、組織の構成員から高いコミットメントを受けることかもしれません。具体的には、経営者が従業員一人一人から、企業の業績に寄与することに対する高いコミットメント意識を引き出すことです。組織の構成員の中に一人でも業績寄与に対して疑問を持ったり、コミットメントが低い場合には、なかなか組織全体の活力が一つの方向にまとまりません。それでは、組織全体の実力をすべて発揮することは難しくなります。
組織の構成員から高いコミットメントを受けるためには、多くの手法がありそうな気がします。例えば、組織が相対的に小規模の場合には、経営者の人間性や人柄で、従業員全員を引っ張ることも可能でしょう。私の知っている企業の中には、家族的経営を目指して成果を上げている企業があります。当該企業の経営者は、従業員一人一人を家族の一員と考えて、社内で誕生会を行なったり、従業員家族を含めた福利面を充実させています。そうした家族的な経営によって、従業員は企業に対する帰属意識が高くなり、一人一人の生産性が大きく向上したようです。
組織規模が大きくなると、経営者個人の力量だけで組織を牽引することは難しいでしょう。その場合には、当該企業の目標を、従業員それぞれが理解しやすいパラメーターに分解して、それを組織内で周知させるような手法もあるかもしれません。
あるいは、組織の現場から上がってくる創意工夫を上手く生かす企業もあります。当該企業の経営者は、「現場で実際に仕事をしている従業員こそ、一番仕事をよく分っている人である」との考え方を持っています。そうした考え方に基づいて、社内全体で仕事に関する意見や創意工夫に対して報奨金を付ける制度を作ったそうです。その仕組みによって、従業員は、仕事に対する意識が向上し充実感も増したそうです。企業という組織が成功するためには、構成員から高いコミットメントを受けることが必須の条件だと思います。
一方、企業が成功するためには、それぞれの企業が持つ独特の強みやメリットを上手く生かすことが重要です。特に、当該企業が置かれた経済環境などの変化に迅速に対応するためには、色々な対応の方法があると思います。例えば、現在、世界最大のIT企業になったアップル社は、1990年代半ばに、ウインドウズのシステムの普及によってかなり苦しい時期を迎えました。
その時、アップル社は故スティ?ブ・ジョッブズ氏をアップルに復帰させて、企業の立て直しをはかりました。その後、同氏の圧倒的な個性の下で、いくつかの新商品を生み出し大ヒットを遂げています。アップル社の場合の成功の要素は、何と言ってもスティーブ・ジョッブ氏というカリスマの存在が大きかったと思います。アップル社は、スティーブ・ジョッブズ氏の考案した製品を、独自の生産システムで作り高い収益を実現しています。
アップル社の成功を後付で分析することはできますが、重要なファクターであるスティーブ・ジョッブズ氏と同じような経営者を探すことは容易ではないでしょう。アップル社の成功例を、そのまま他の企業で実現することは難しいことです。
恐らく、成功企業から学ばなければならないことは、何が成功をもたらしたかを分析して、それを参考にして、自社の強み特性などを生かして、自社に合ったビジネスモデルを作り上げることが最も重要なのだと思います。
(2)【教育zine メルマガ版】 明治図書ONLINE メールマガジン ◆ 2012年4月第3週号
◆◇ 野中流!新卒教師時代を生き抜く学級経営&授業術
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第1回 授業が始まっても子供が席につかず、クラスがなかなか静かにならない
元横浜市初任者指導教員 野中 信行
つまずき場面
授業が始まっても席につかない子供がいて、クラスがなかなか静かにならないのですが、どのように指導すればいいでしょうか?
1 考えられるつまずきの原因
4月から5月の段階で、このような状況が広がっているということは、先生による「学級づくり」の失敗が考えられます。
最初に行う「学級づくり」のポイントは2つです。1つは、教室の「空気」の統率。2つ目は、教室の「時間」の統率です。
先生は、教室の「空気」の統率に失敗していると思われます。「空気」とは、教室に流れる雰囲気です。目に見えないのですが、子供たちが敏感に感じるものです。その「空気」を、担任である先生が統率していなくて、やんちゃたちに掌握されている可能性があります。
「空気」を統率していくには、先生のリーダーシップが必要です。「教師」として子供たちをぐいぐいと引っ張っていくことです。そうしないで「友達」みたいな先生になろうとされたのではないでしょうか。
子供たちは「この先生は甘いな!」と判断して、勝手な行動を取るようになったのです。
2 対応法
その1 教室の「空気」の統率のやり直し
とりあえず、最初からやり直す必要があります。子供たちに次のように宣言します。
「このクラスの中で勉強が始まってもウロウロしたり、おしゃべりをしたりしている人がいます。これでいいと思う人は手を挙げなさい。(間を置く)先生も、これではだめだと思います。そこで、みんなにも協力してもらって、クラス全体でウロウロしたり、おしゃべりをしたりすることを注意していきたいと思います。これから先生も厳しく注意していきたいと思います」
ポイントは、1つ。
「先生が指示したことに対してすばやく行動させるようにする」こと。
このことが教室の「空気」を統率するためにまず最初にしなければいけない最も重要なことなのです。
だから、指示をしてすぐに行動できていない子供は即座に注意をしなければいけません。
その2 クラスで目標を作る
子供たち全員で守っていくようにクラス目標を作ります。こんな目標がいいでしょう。
「授業が始まったらすぐ席について、静かに待っているようにしよう」
朝の会でみんなで確認し、終わりの会で「できたかどうか」を全員に手を挙げさせるようにします。できた子どもの人数を書いていくようにします。合格は、32人以上(35人学級の場合)。完璧主義でやらないことです。合格できるように子供たち同士で注意し合う関係ができたらいいですね。合格したら先生は「とってもうれしい」と大喜びしてください。
私が提唱している「目標達成法」です。(『新卒教師時代を生き抜く学級づくり3原則』を参考にしてください。)
3 教師力アップのポイント
子供に媚びない。担任は、リーダーシップで、常に学級を引っ張っていく存在であることを知っておくことです。