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報告者  土 井

 2012年9月13日(木)布袋北学習等供用施設にて社楽の会を開催しました 。

 参加者(勤務校)は、土井(江南市教委)、早川先生、長谷川先生、宗倉先生、森藤先生、服部先生、小池先生(藤里小)、坪内先生、川邉先生(岩倉中)、大島先生、柴田先生(草井小)、野沢先生(宮田中)、田中先生、高木先生(犬南中)、奥村先生(岩南小)、天野先生(大南小)、大藪先生(犬南小)、松田先生(曽野小)、岩井先生、水上先生(岩北小)、吉田先生(古知野中)、鈴木先生(城東中)の22名でした。

土井が提案した資料を紹介します。 

1  資料紹介「授業で役立つ指導の技術と考え方」
講座「楽しくなきゃ授業じゃない! 子どもが動く授業の裏技」
  「演劇指導を通した表現力レベルアップ大作戦!」
  平成23年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」結果について
 役立ちWeb特集  
 教育関連情報   
MM紹介
8 
 
 資料紹介「授業で役立つ指導の技術と考え方」
  毎年作成している研修に使用する資料です。お役に立てば幸いです。
            
 講座「楽しくなきゃ授業じゃない! 子どもが動く授業の裏技」
  夏休みに行った講座の提示資料の一部です。
いただいた感想の中から紹介します。
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土井先生の「楽しくなきゃ授業じゃない!子どもが動く授業の裏技」では、子どもの脳と心をどのように動かし、楽しい授業をつくるのかを学ぶことができました。特に子どもの意見をつないだり引き出したりする教師の問いかけが、いかに授業を動かすかを考えるいい機会となりました。普段の自分の授業を振り返ってみると、授業の進度を気にするあまり、考えの深まりがあまりない授業を展開してしまっているような気がします。これからは、生徒一人ひとりの意見や考えを大切にした授業、生徒のつながりが生まれる授業を目指していきたいと思います。
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 ここでは、よくある授業シナリオと、和田先生のような授業のシナリオを比較しました。
授業シミュレーション −2−
 別紙を見ながら違いを比較してみましょう。いかに子どもを繋いでいくか・・・。

  参考文献『学校を応援する人のための 学校がよくわかる本U』大西貞憲 著 PLANEXUS


 「演劇指導を通した表現力レベルアップ大作戦!」
 江南市教委の石原香蔵指導主事の講座の資料を紹介します。
 どうすると見栄えのする演劇になるかがテーマでしたが、その立ち位置、姿勢、声の出し方、目線など、授業における教師に役立つものでした。
 考えてみると、授業も総合芸術なのかもしれません。
 感想の一部を紹介します。
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石原先生の「演劇指導を通した表現力レベルアップ大作戦!」では,今まで知らなかった演劇のおもしろさを身をもって体験できたのが本当に良い経験でした。
私は今まで演劇に携わったことは一度もなく,講義の冒頭で聞かれた通り,小学生6年生が最後の演劇体験となっていました。ですので,学習発表会での演技指導も先輩の先生の見様見真似でしたし,基本となる発声方法も知りませんでした。更に立ち位置や顔の向き一つとっても意味があることを知り,演劇の世界の奥深さを知りました。
今回の講義で私が一番印象に残ったのは,役になりきる楽しさです。最後の発表会に向けた練習は,我を忘れて,役を演じることに熱中していました。4人で役柄や場面について話し合う時間がとても楽しく,あっという間に時間が過ぎていました。
なぜこんなに楽しかったのだろうと振り返ってみると,やはり講義の内容が順序立てて組み立てておられ,演劇の初心者でも安心して体験・理解できるようになっていたからではないかと思いました。計画的なシナリオと石原先生の話術で楽しく進んでいくと,あとは演劇のもつ魅力が自然とゴールまで導いてくれるのだと思います。このことは,学校の学習発表会の演劇指導でも生かせるのではないかと思います。子どもに演劇の魅力を伝えることができれば,よりよい学習発表会になると思います。そのためには教師がその魅力を知らないと伝えられません。今回の講義でその魅力を感じることができたのは大切な経験でした。是非石原先生の第2回の演劇講座を期待しています。
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 平成23年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」結果について
 紹介ページはここです。
 調査項目(1)暴力行為、(2)いじめ、(3)出席停止、(4)小・中学校の不登校、(5)高等学校の不登校、(6)高等学校中途退学等、(7)自殺(学校から報告のあったもの)、(8)教育相談 です。
 
調査結果の主な特徴は
 1)小・中・高等学校における、暴力行為の発生件数は約5万6千件と、前年度(約6万件)より約4千件減少し、児童生徒1千人当たりの発生件数は4.0件(前年度4.3件)である。
 2)小・中・高・特別支援学校における、いじめの認知件数は約7万件と、前年度(約7万8千件)より約7千件減少し、児童生徒1千人当たりの認知件数は5.0件(前年度5.5件)である。
 3)小・中学校における、不登校児童生徒数は約11万7千人と、前年度(約12万人)より約2千人減少し、不登校児童生徒の割合は1.12%(前年度1.13%)である。
 4)高等学校における、不登校生徒数は約5万6千人と、前年度(約5万6千人)より約6百人増加し、不登校生徒の割合は1.68%(前年度1.66%)である。
 5)高等学校における、中途退学者数は約5万4千人と、前年度(約5万5千人)より約1千人減少し、中途退学者の割合は1.6%(前年度1.6%)である。
 6)小・中・高等学校から報告のあった自殺した児童生徒数は200人と、前年度(156人)より44人(28.2%)増加している。
 
 毎年行っている調査ですが、こう見ていくと、確かに自殺の増加が目立ちます。
 実際に件数が増えたのか、大津関連でこれまで隠れていたのが顕在化したのか、吟味する必要があります。
 


 役立ちWeb特集 
(1)生徒指導・進路指導総合推進事業の参考事例
 一部タイトルのみ紹介します。
・安全で安心な学級風土づくりと教師の協働を促進する「子どもの社会的スキル横浜プログラム」(横浜市教育委員会) (PDF:104KB) 
・学校の問題解決に生かすガイダンスカリキュラムの実施(NPO法人日本教育カウンセラー協会) (PDF:99KB) 
・不登校や発達障害のある子どもへの支援(NPO法人トイボックス) (PDF:236KB) 
・メディア依存脱出プログラム(NPO法人子どもとメディア) (PDF:230KB) 
・不登校の今日的課題と適応指導教室の役割(山梨県教育委員会) (PDF:288KB) 
・学校アセスメントシートの活用(大阪府教育委員会) (PDF:494KB) 
・呉市自立支援サポート事業の取組(広島県呉市教育委員会) (PDF:240KB) 
・教育支援センターのネットワーク化の推進(神奈川県) (PDF:293KB) 
・「職場体験」にチャレンジ(NPO法人越谷らるご) (PDF:392KB) 
・公的第三者機関との連携による問題を抱える児童生徒の自立支援の在り方(岐阜県多治見市) (PDF:175KB) 
 
(2)小中連携、一貫教育に関する主な意見等の整理/文部科学省
  小中連携に取り組んでいる所は目を通しておくとよいでしょう。
 
(3)特別支援学級担任 通級による指導担当教員のためのサポートブック/高知県教育センター  http://www.pref.kochi.lg.jp/uploaded/life/66845_203594_misc.pdf 
   Q&A方式でわかりやすく書かれています。
 
(4)学校ができる 教員ができる 不登校の未然防止/神奈川県立総合教育センター 
 総合教育センターのもつ「研修」「研究」「相談」という三つの機能を生かし、不登校の未然防止に向けた、よりよい「学級づくり」・魅力ある授業に向けた「授業改善」、不登校対策に関する研修の受講をとおした「教員の力量アップ」、児童・生徒や保護者に対する「相談機能の向上」を目指して、研究を進めてきました。
 
(5)授業研究を中心とした若手教員の学び合いガイドブック/神奈川県立総合教育センター
 特別支援学校における新しい若手人材育成の研究成果を紹介しています。若手教員の学びのニーズ等の調査結果および県立特別支援学校2校における若手人材育成の取組みを通して、組織的な若手人材育成のポイントを知ることができます。
 
(6)高等学校初任者のための授業づくりガイド/神奈川県立総合教育センター
 良い授業づくりは、高校も、小中学校も変わりません。板書、振り返りなど、授業の基礎が体系的にまとめられています。
 
(7)「今後の青少年の体験活動の推進について(中間報告)」
 A教員の体験活動に関する指導力向上
○ 教員が、体験活動の意義・効果や実施の際の留意点等を理解し、体験活動に関する指導力を修得できるよう、養成段階や現職段階において、体験活動を実施する際の指導力向上に繋がる機会を積極的に設ける必要がある。
○ 島根大学教育学部では、教員志望の学生に対し「1000時間体験学修」プログラムの履修を卒業要件として導入しており、学生は4年間を通じて、学校現場や社会教育施設等で様々な体験活動を行い成果を上げている。こうした体験活動を取り入れた取組例やその効果を事例集にまとめる等して、教員養成課程を設置する大学等に広く周知する必要がある。
 
(8)いじめ問題への初期対応と対応マニュアル/岩手県立総合教育センター
 体系的に、見やすく、使いやすく作られている労作です。
 
(9)いじめの早期発見・早期対応の手引 −小・中学校編−/福岡県教育委員会
 「いじめの問題に対する基本的考え方」と、「いじめの早期発見のための取組」、「いじめの早期対応の取組」、「いじめの早期発見・早期対応のための校内体制」の4つの柱から構成しています。
 
(10) いじめのメカニズムとその対応/福岡県教育センター
おもしろい!いじめについて、動機や背景などを学問的に分析しています。他に例を見ません。


 教育関連情報
(1)「いじめ、学校安全等に関する総合的な取組方針」/文部科学省
   主に、いじめ、防災教育、体育授業中の安全の3点です。
いじめの部分を取りあげてみます。
 
1.学校・家庭・地域が一丸となって子どもの生命を守る
 ○ 道徳教育やコミュニケーション活動を重視した教育活動、児童会・生徒会における子どもの主体的な取組等の推進
 ○ 保護者等へのワークショップや学校・家庭・地域の連携協力によるいじめの問題への取組の推進
 
2.学校・教育委員会等との連携を強化する
 ○ 「子ども安全対策支援室」等、国におけるいじめの問題等に対応する体制の強化
 ○ 国に、「いじめ問題アドバイザー(仮称)」を配置(弁護士、精神科医、元警察官、大学教授等)
 ○ 電話相談体制(24時間相談ダイヤル)の見直しや全ての児童生徒への確実な周知
 
3.いじめの早期発見と適切な対応を促進する
 ○ 教職員への研修等の充実
 ○ 幅広い外部専門家を活用し、いじめの問題等の解決に向け調整・支援する、各地域の取組の推進
 ・第三者的立場から調整・解決する取組
 ・専門家による「いじめ問題等支援チーム(仮称)」配置
 ○ スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等、幅広い人材を活用した、悩みを相談できる体制等の充実
 ○ いじめの問題への適切な対応の評価
 
4.学校と関係機関の連携を促進する
 ○ 警察への早期相談・通報の周知徹底や、警察官経験者等の生徒指導推進協力員の配置による、警察との連携強化
 ○ 児童相談所や民生・児童委員、民間団体等の協力を得て組織する、サポートチームの活用促進
 

 MM紹介
(1)学習ジム・コーチ mag2 0000119639 <mailmag@mag2.com>
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千日の稽古を鍛とし、万日の稽古を練とす。   宮本武蔵
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 最近の親も子ども結果を早く求める傾向が多いです。
 少しやってダメだったら・・・
「もうだめ。もう無理。」「やっぱりダメ。」と。実は私も本当にここ何年前まではそうでした。
 ですが、最近考えがかわって、
「まずは、結果に関係なく1000回はやる」
「最終的には10000回やる」と決めて結果に関係なく、回数をすることを決めました。
 メルマガは、連続でなければ、1000回は軽く超えました。そして、今メルマガの発行は連続700回を超えています。
 まさに、「千日の稽古を鍛とし、万日の稽古を練とす。」です。結果より、途中どれだけ頑張れるかです。
 
(2)JMM [Japan Mail Media]                No.702 Saturday Edition
 ■ 『from 911/USAレポート』第587回
「日韓関係の現状をアメリカから見る」 ■ 冷泉彰彦:作家(米国ニュージャージー州在住)
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 まず、この2012年の8月という時点で、日韓関係が悪化したことの外部環境についてはどう見たらいいのでしょうか?
 
 一つには、アメリカのオバマ政権がどうして「同盟国間のトラブルを放置」しているのかという問題があります。この点に関しては、韓国の李明博政権も、日本の民主党政権も、また東アジアの軍事外交に大きな影響力を持つ中国の胡錦濤政権も、全てが「政権末期」という事情が大きいと思われます。(中略)
 
 それ以前の問題として、アメリカ自身が大統領選の真っ最中であるわけです。その大統領選では、特に今回はそうですが、内政問題へ関心が集中するわけで、外交については争点になることは少ないわけです。(中略)
 
 更に言えば、ここ十数年の間、東アジアにおいて何かと不安定要素であった北朝鮮の体制が、どうやら金正恩体制として固まりつつあるという問題があります。仮に北朝鮮の新体制が動揺を続け、内部の混乱が転じて体外強硬姿勢になるような状況では、日韓がケンカしているような余裕はなくなるわけです。ですが、どうやら金正恩体制というのは、中国を後見人としつつ「改革開放路線」へと舵を切りつつあり、その点に関して恐らくは米中間で「当面は静観」という暗黙の合意があるように見えます。
 
 では、こうしたアメリカの「静観姿勢」はずっと続くのでしょうか?(中略)
 そうではないと思います。(中略)
 
 まず動きとしては、今週既に少しその予兆が出てきています。例えば、22日の水曜日に「ウォール・ストリート・ジャーナル」が報道したところでは、オバマ政権は「アジアにおけるミサイル防衛の次の段階」について準備を始めているようです。主旨としては「北朝鮮の核の脅威は続くが、それ以上に拡大する中国の攻撃能力への抑止」だということが言われています。
 
 また今週発行された雑誌『フォーリン・アフェアーズ』には対中国政策に関する論文が二本掲載されていますが、基本的には「中国に対しては米国はもっと毅然とした姿勢で影響力を行使すべき」であり、米国が世界の軍事覇権を離さない限り中国は抑え込めるし、その限りにおいて中国は経済社会のソフトランディングに持ってゆくべきだという論調です。こうした姿勢には当然のことながら、同盟国である日本、韓国、台湾の協調が必要となるでしょう。
 
 勿論、ミサイル防衛の進展はオバマ政権の判断であり、『フォーリン・アフェアーズ』の論文も民主党系のものだとは言えます。この欄で数回にわたってお話したように、ロムニーの共和党政権ともなれば、対中国の姿勢はまた変わってくるでしょうし、中長期的には成り行きにもよりますが、「日本外し」を模索してくる危険も出てくるかもしれません。(中略)
 
 では、日本と韓国の関係について、アメリカではどんな理解がされているのでしょう?コピーが手元にないので詳細は省略しますが、90年代に『サイコロジー・トゥディ』という雑誌で日韓関係に関する記事を見たことがあります。この雑誌は、心理学を切り口に科学的なテーマや社会的なテーマに論評を加えるメジャーな雑誌なのですが、韓国の植民地時代の記憶に関する分析を加えて、日韓の間にある「心理」を分析していました。ただ、結論としては「日韓は二カ国としては言語も文化も歴史も非常に類似している」にも関わらず、心理的な距離感があるのは「近親憎悪」としか言えないということで、双方に冷ややかな内容でした。
 
 この雑誌の記事が多くのアメリカ人の感覚を代表しているとは即断できませんが、漠然と次のようなことは言えると思います。一つは、日韓の文化は非常に似ているという印象があるようです。ですから、日本の会社と韓国の会社を取り違えたり、日本人と韓国人を間違えたりということは日常茶飯です。
 
 例えば、ここ5年ぐらいのアメリカでは韓国の三大財閥、つまりサムソン、LG、現代の製品が市場を席巻しているのですが、この3つのブランドが「韓国製」だというのは、あまり意識はされていません。(中略)
 
 また、文化については日本文化の方が圧倒的に浸透しています。日本食は完全に「アメリカ人にとって最も身近な外国料理の一つ」になっていますし、アニメやデザインなど「クールジャパン」と言われる文化の浸透力は今でも衰えていません。これに対して、韓国は「Kポップ」がアメリカの若者に受けていますが、これは分かりやすい流暢な英語の歌ということと、アジア系の人口増を受けての現象ということで、ちょっと違うと思います。
 
 料理に関しては、韓国料理というのは、ゆっくりと普及してはいるものの、基本的には甘口の焼肉料理が主です。今でもキムチを含むトウガラシを使った料理に関しては「外国の食べ物の中では敷居の高い上級編」だと思われています。
 
 いずれにしても、アメリカの政権としても、社会としても日韓関係は「良好」であることが当然という感覚があるわけです。と言いますか、アメリカ社会の中では、日本も韓国も自然な存在感があり、それも違和感ではなく自然に受け入れらているという事実があるように思います。これに、軍事外交上の同盟関係ということが乗っかる形になっており、その結果として、今回のような紛争は「困る」ということになるわけです。
 
 ところで、ここに一つ気になる問題があります。いわゆる「従軍慰安婦」の問題です。例えば、私の住むニュージャージー州では、ニューヨークの通勤圏であるパラセイズ・パーク町という韓国人・韓国系の集中している居住区で、この問題に関する記念碑が建立されるという事件がありました。(中略)
 
 その前提として、先にこの問題に関する私の認識を申し述べます。まず、私は「謝罪外交」というのは、そもそも成立しないという考えです。戦前戦中の行為に関して、それが現在の常識や法律に照らして非難されるべきものであったとしても、現代の世代には責任はないし、従って公的な謝罪を行う立場でもない、また日本の周辺国の現代の世代には謝罪を要求する資格はないと考えます。いわゆる「従軍慰安婦問題」も同じです。
 
 問題は、にも関わらず韓国の世論と政治家が、この問題に関する「強制連行」の事実を認めよという要求と、現代の世代の日本の政府に対して公式謝罪を要求していることです。
 
 この問題に関して国際社会において可能なことは、次の三点であると考えます。
「(1)アジア女性基金により総額10億8千万円の経済的な支援が完了していることを改めてアピールする。(2)現代の世代の日本国は公式謝罪の主体にはならないという姿勢を明確にする。(3)事実関係の誇張に関しては誤報のある毎に事務的に訂正を求めるに留める。国際社会に対しては事実関係の訂正に関する積極的なPR活動はしない。」という三点です。
 
 この中で注釈が必要なのは、「事実関係の訂正に関して積極的なPR活動はしない」という部分でしょう。どうして事実関係の訂正に積極的になることが得策ではないのでしょうか?
 
 現在、日本の世論の一部は、この問題に関して事実関係の訂正を行えば、国際社会における日本の名誉回復になると考えています。今週は、こうした主旨での政治家の発言が相次いだのも事実です。また、そのために、外国の新聞に意見広告を出すなどの活動も知られています。この場合の事実関係の訂正は以下のようなものだと考えられます。
 
(誤)「日本軍は派遣軍に同行させて性的な奴隷とするために、朝鮮半島から多くの女性を強制的に連行した。これが従軍慰安婦である。」
 
(正)「従軍慰安婦という存在はない。慰安所に勤務していたのは職業売春婦であり、経済的な報酬は支払われていた。その中には、身売りと言って家族の借金を精算するために人身売買の対象として管理売春業者に拘束された者もあるが、これはあくまで私的な経済取引である。また売春婦の公娼登録には警察が関与し、売春目的の渡航には外務省が関与しているが、これはあくまで風俗取締が主旨であって、当時の日本政府が管理売春を強制したわけではない。慰安所の設置は軍が行ったが運営は管理売春業者に任されており、従って派遣軍に女性を同行させたのは、あくまで業者の私的行為である。戦地においては女性たちの管理は憲兵隊の管轄であったが、女性を拘束した主体はあくまで管理売春業者である。また、こうした人身売買を伴い、戦地での勤務を業務命令として強制し脱走を許さない管理売春には、大多数の日本人女性も勤務していたので朝鮮半島など植民地や非占領地出身者だけが対象になったのではない。」
 
 私自身、様々な資料や証言などを総合すると、事実関係としては「(誤)」はあくまで誤りであり、仮にそうしたケースがあったとしても例外的なものであり、事実としては「(正)」に近いという理解をしています。
 ですが、これを国際世論に対して「大声で訂正を求める」というのは、PR活動としてすべきではないと考えます。逆効果以外の何物でもないからです。
 というのは、現代の国際社会における常識に照らして考えれば、「(正)」の方でも十分に違法であり、倫理的には人間として最悪の行為とみなされるからです。(中略)
 
 日本国政府や外務省は、基本的にこのパラドックスを理解して慎重に行動してきたと思います。今回の総理大臣親書の受取拒否といった一連の外交心理戦の中でも、先方の挑発に乗って、この原則を大きく曲げるようなことがあってはならないと思います。    終わり
 
この他、JMMは、紹介したいような記事が満載です。  http://ryumurakami.jmm.co.jp/ 


8 研究発表会案内

 10月20日(土)青山中学校  長良西小学校
 10月27日(土)長良小学校
 11月 9日(金)陽南中学校
 11月10日(土)長良東小学校  長良中学校
 11月16日(金)東長良中学校
 11月17日(土)加納中学校
 11月24日(土)加納小学校