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(1)【教育zine メルマガ版】 明治図書ONLINE メールマガジン ◆ 2012年11月第3週号
野中流!学級経営&授業術(8)
備品が壊されたり、物がなくなったりすることが多い
元横浜市初任者指導教員 野中 信行
つまずき場面
学校の備品が壊されたり、クラスで使っている物がなくなったりすることが多くなりました。対処方法を教えてください。
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1 考えられるつまずきの原因
これは大変ですね。11月の段階でこのような状況が多くなるというのは、かなりクラスが深刻になっているということが予想されます。先生も、疲れ果てておられるのではないでしょうか。
クラスが荒れるというのは、次のような段階を踏んでいきます。
レベル1 「ほころびの状態」
レベル2 「すでに崩れかかっている状態」
レベル3 「荒れてしまっている状態」
レベル4 「騒乱状態」
学校の備品が壊されたり、クラスの備品がなくなったりする状態は、すでにレベル4の「騒乱状態」で頻発する事態です。
率直に指摘しますが、今対処できることはかなり限られてきているということになります。
2 対応法
その1 自分一人で何とかしようとしてはいけない
もう先生一人で何とかできる段階を越えています。管理職と相談し、できればクラスを持っていない先生にT・Tでついてもらうことが必要かもしれません。
絶対に、自分一人で何とかしようと考えてはいけません。周りの先生たちに助けてもらわなければいけないのです。
それでもこの「学校の備品が壊され、クラスの備品がなくなる事態」は放置されることではありません。
いじめが犯罪であるように、この事態も犯罪です。とにかく許せないということを子供たちに伝えなければいけません。そして、壊されたところはすぐに修復し、クラスの備品もきちんとした管理をしなければいけません。
その2 時間を守り、教室を整頓し、元気に振る舞う
ここでよく先生たちは、学級会を開いたり、子供たちに本音で語らせたり、……さまざまな手立てを取ろうとされます。しかし、それらはほとんど問題を混乱させていくだけに終わってしまいます。じたばたしてはだめです。
できることは3つです。3つだけと言えるかもしれません。
1つ目は、クラスの時間をきちんと守ること。
2つ目は、教室をいつもきれいな状態に保っていくこと。
3つ目は、先生からどんどん挨拶や言葉かけをして、元気に振る舞うこと。
1つ目は、決まっている時間通りに進めていくことです。朝の会、終わりの会を短く簡単にすること。授業は時間通りに進め、始めと終わりをきちんと守ること。そのようにできるだけがんばることです。
2つ目は、教室は荒れ放題になる恐れがありますので、きちんと整頓していくことを心がけて下さい。
3つ目が大変です。先生は多分いつも怖い顔をしておられるかもしれません。ここが勝負です。元気に振る舞ってください。そういう先生に助けられる子供たちがきっといるのですから。
3 今回のポイント
「時間を守り、教室を整頓して、元気に振る舞うこと」が、大変なクラスを凌いでいく方法です。
▼野中流!学級経営&授業術の一覧
授業が始まっても子供が席につかず、クラスがなかなか静かにならない(1)
クラスでよくケンカが起こり、子供たちがお互いに汚い言葉で罵り合う(2)
特別支援が必要な子どもへの対応がうまくできない(3)
授業中、子どもが飽きていたずらをしたり、隣の子としゃべったりすることが多い(4)
教師がしゃべりすぎる「おしゃべり授業」になっていませんか?(5)
高学年女子との関係づくりがうまくできず、クラスの雰囲気も悪い(6)
授業で、いつも3、4人の子供しか発言しない(7)
(2) 左大臣の古典・歴史の名場面【音声つき】 第111回
あしびきの山鳥の尾のしだり尾の
本日は柿本人麻呂の歌です。柿本人麻呂の人物、逸話についてもあわせて語っていきます。
◆音声が再生されます◆ ここでの本文を解説してくれます。
◆詳しい解説はこちら◆
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あしびきの山鳥の尾のしだり尾の
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あしびきの山鳥の尾のしだり尾の
ながながし夜をひとりかも寝む
(大意)山鳥の長く垂れ下がった尾のようにながーーい夜を独り寝するのかなぁ。
実際に人麻呂の歌ということではなく、「こんなに見事な歌だから人麻呂の歌といっても不自然ではない」ということで、人麻呂作になったと思われます。
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枕詞 その効果
「あしびきの」は「山」を導く枕詞です。枕言葉はもともとは意味があった言葉ですが、もとの意味を失い、定型文のようになったものです。
「あしびき」も、もともとは足を引きずり引きずり山道を歩いているイメージがあったのだと思われます。
しかし元の意味やイメージは失われ、「あしびきの」「山」「あしびきの」「山」と条件反射的に一つの言葉を導き出す、一種の定型文のようになりました。
こういうのを枕詞といっています。
文字に書くと枕詞にどんな効果があるのかわかりにくいと思いますが、もともと和歌は文字で書くよりも声に出して朗唱されるものでした。
たとえば詠み手が「あしびきのーーーォ」と詠むと、聞き手は「お、『山』の歌が来るな」と構えるわけです。
そこで期待どおり山の歌を歌うのか、この歌のように「山鳥」と来て「ちょっと変化球だね」と思わせるのか、そういう、詠み手と聞き手のコミュニケーションが発生するわけですね。
「山鳥」は雄の尾は長く雌が短く、昼間は雄雌いっしょにいるが夜になると遠く離れて過ごすという言い伝えがあることから一人寝のわびしさが連想されます。
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序詞と枕詞の違い
あしびきの山鳥の尾のしだり尾の」までが「ながながし」を導く序詞です。
序詞とはある言葉を導くための言葉ですが、枕言葉が多くは五音節と短く、一つの言葉に対応しているのに対し、序詞は歌ごと、歌人ごとに臨機応変に作られます。
また枕言葉と違い7音節以上の長いものが多いです。
文法用語の「助詞」と区別するため「じょことば」と言われます。
と言ってもわかりにくいという方もいらっしゃると思います。
序詞は訳してみると、よくわかります。「まるで〜のような」と訳するとしっくりくることが多いです。
ここでは「あしびきの山鳥の尾のしだり尾の」…山鳥の垂れ下がった尾、まるでそのような、
「ながながし夜をひとりかも寝む」…長ーい夜を独り寝るのかなあ。
「まるで〜のような」。つまり、たとえ話になっているわけです。
(以下略)
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