6 MM紹介
(1)教育情報 Magazine/ある小学校教師の独り言 Vol.359
総合初等教育研究所主催 第16回 教育セミナー受講記録 その1
見出しの研究会に参加した。いい学びをしたときは,スイスイと文が進む。内容のよくない研修会ではこうはいかない。
また,これは講師の話し方にも拠る。順序よく,項目立てて話す講師であれば,メモのリライトも簡単。話があっち行きこっち行き,まとまりのない話をする講師の場合,あとでまとめるのに苦労する。
今回は,澤井調査官のお話を簡単に紹介したい。
─ 問題解決学習における授業づくり ─
1 子どもが「真剣に考える」授業づくり
2 子どもが「よくわかる」授業づくり
3 子ども同士が「学び合う」授業づくり
1 子どもが「真剣に考える」授業づくり
(1)学習問題や発問を明確にする。
○ 「何を調べ,何を考えるか」を明確にする。
・「何を」が大事・・・・学習指導要領に示されている。
・学習指導要領の「目標」と「内容」・・・・「内容」を熟読,理解する。
(2)自分なりの予想を持たせる。
○ 予想する場面
・一人ひとりが持っている知識や経験を生かした予想。
・主体的な学習のスタートとなる。
○ 学習計画を立てる。
・学級全体の学習問題を具体化し,自分が調べるべきことを明確にする。
(3)情報を焦点化して「考える場面」を設定する。
○ 目標に迫るための「考える場面」では,情報を絞ることが大切。
・情報がたくさんあれば考えるようになるわけではない。
・良質の情報を選択,活用する。
2 子どもが「よくわかる」授業づくり
(1)体験や資料活用でつかんだ具体的な事実を大切にする。
○「理解」とは,言葉の持つ意味を具体的な事実や情報と結びつけて,説明できること。
・具体的な事実や情報をもとに,「つまり〜」と理解への過程をたどる。
・その結果,「なぜなら」「例えば」と説明できる。
・自分でつかんだ事実や情報を背景としてたどり着いた理解は「確かな理解」と言え る。
(2)ふり返る場面を設定する。
○ 1時間の授業・・・・単元全体の中の1時間という確かな位置づけを。
・確かな学習目標を → これがないと一問一答式の授業
○ 確かな学習目標・・・・ふり返る場面が必須
・ふり返ることが本時の目標に迫る学習のまとめとなる。
・「何がわかったのか」「どのように目標をクリアしたのか」を整理する場面。
・「私は〜」というふり返り。
(3)学習内容の全体像がわかるように工夫する。
○ 1時間事の理解に終わらない工夫を。
・何を続けて学んでいるのかを,子どもが理解できるように。
・児童版単元計画のような工夫
3 子ども同士が「学び合う」授業づくり
(1)学習スタイルを確立する。
○ 自分たちの「学びのスタイル」を確立させる。
・思考スキルや思考ツールを使いこなす。
・ペア学習やグループ学習
・発言の仕方やルール
(2)教師の役割を発揮する。
○ 教師の指導力の発揮
・すべての学習で上記のことがらを取り入れた実践を。
・「社会だけ」「理科だけ」でなく,教育活動すべてで指導する。
(3)教師と子どもで一緒に考える学習問題を設定する。
○ 学習を発展させること。
・日常生活への反映・・・・未来を生きる子どもたちの資質
・これからの生き方を教師とともに知恵を出し合って考えるような授業を。
総合初等教育研究所主催 第16回 教育セミナー受講記録 その2
今回は,北先生の基調講演の概要を紹介する。
「いま,なぜ確かな学びか」 元文科省教科調査官 国士舘大教授 北 俊夫 先生
1 確かな学びとは?
○ 学び→個別に成立→多様に展開する。
・個別性と多様性=「確か」
・子ども・・・・楽しさと成就感〔情意面の確かさ〕
楽しくて学力がついているという自覚〔知的な確かさ〕
わかる(できる)授業
1)目的性→目標やねらい(学習問題)を確かに持つ=入口
2)自己評価→成果や変容がわかる→可視化=出口
1)と2)の両者が一体化
・教 師・・・・指導の手応えを実感できる。
1)目標と内容・方法の一体化→何のために何をどのように教えるのか?
2)目標と指導と評価の一体化 → 授業改善
○ 確かな学び
・子ども
1)学習への主体性(自ら学ぶ態度)
2)ふり返りによる学習成果の自覚
3)これからの新たな学習課題意識(自己評価)
・教師
1)目標と内容の確かさとこれを実現させる方法
2)子どもの実態や教材にあった指導の手立て(方法)
3)学習状況,学習成果の確認(評価)
2 どのようにつくるか?授業づくり
○ 授業研究から見た基本
「いかに教えるか?」に偏重して いないだろうか?
「いかに指導するか?」「いかに評価するか?」が大事
○ 学力とは何か?
1)知識・技能を明確にし,思考力・判断力を育てる。
2)「目標」「内容」「方法」から構成する。これをしっかり押さえる。
→「何をどうやって」。何を身につけさせようとしているのか?
3)「教」→教えるべきこと〈量的〉「教え上手」な先生はいる。
「育」→育てるべきこと〈質的〉「育て上手な先生」になりたい。
○ 言語活動の充実・・・・型にはまった形式的な指導になっていないか?
1)何のための言語活動か?
→背景:学習の「目的」「内容」を身につけるため。
表現された内容を確認=「目的」「内容」の確認
2)思考力・判断力・表現力をはぐくむため(学習指導要領総則)
3)自分の考えをしっかり持ち,他者とのコミュニケーションをとる。
4)「話す」「書く」を大事にしたい。
○ 評価・・・・目標準拠評価(絶対評価)→目標をいつも意識
評価規準→本時レベルで(目標に合致しているか) 必要がある評価を
(2)MM小学1995 中村健一 学年末に使えるネタ大放出!
学年末に使えるネタ大放出! 山口・岩国市立平田小学校 中村 健一
『思いっきり笑える爆笑クラスの作り方12ヶ月』『子どもが大喜びで先生もうれしい!学校のはじめとおわりのネタ108』から、学年末に使えるネタを大放出します!
■赤ちゃん当てクイズ大会
赤ちゃんの時の写真を見せ、それが誰かを当てるクイズ大会です。班対抗で行います。成長を実感させることができる良ネタです。
(1)子どもたちは、自分が赤ちゃんの時の写真を持ってくる。
(2)1班のメンバーが前に出る。教師はその写真を集め、シャッフルする。
(3)1枚目の写真を実物投影機などで大きく映し、クラスみんなに見せる。
1班以外の子は、1枚目の写真が1班の中の誰なのか予想して答えを書く。
(4)2枚目の写真、3枚目の写真・・・と順番に見せる。1班以外の子は、その写真の答えを書く。
(5)全員の写真を見せ終わったところで、もう1度1枚ずつの写真を見せ、正解を発表していく。
(6)2班、3班・・・と出題班を交代して、(2)〜(5)をくり返す。
■「卒業生(在校生)、起立!」
卒業式の練習の時、「卒業生、起立!」と言われて立ってしまう在校性が必ずいます。これを教室に持ち込み、厳しい中にも、ちょっとした笑いを作ります。
(1)卒業式の練習期間中、教室で何かをする時、やたらと「在校生、○○!」という指示を出す。「在校生、起立!」「在校生、着席!」「在校生、礼!」「在校生、拍手!」など。
(2)厳しいことを言った後、勢いよく「卒業生、起立!」と言うと、必ず間違えて立つ子が出る。
(3)間違って立ってしまった子に、「○○君は、この学校を卒業するそうです」などと笑顔でツッコむ。すると、厳しい中にもちょっとした笑いが起こる。
(4)6年生のクラスでは逆に、「在校生、起立!」と言う。間違って立ってしまった子に「○○君は、4月からもこの学校に残るそうです」とツッコむと、笑いが生まれる。
■思い出すごろく
1年間にあった出来事をすごろくにします。友達や先生と楽しく遊ぶ中で、1年間にあった出来事を楽しくふり返ることができます。
(1)教師は画用紙を配り、「今から『思い出すごろく』を作ります。1年間にあった楽しい出来事をすごろくのマスに書きましょう。完成したら、そのすごろくで楽しく遊びましょう」と言う。
(2)子どもたちは1人ずつ画用紙ですごろくを作る。「4月。入学式でドキドキして、1回休み」「5月。運動会、リレーがんばって、3マス進む」「2月。6年生を送る会、けんばんハーモニカ上手にふけたので、もう1度サイコロをふって進む」など、マスに書く。
(3)完成したすごろくを使って、隣同士や班で遊ぶ。
■思い出ビンゴ
9つのマスにクラスの1年間の思い出を書きます。みんなで思い出を1つずつ発表していき、ビンゴになった人が勝ちというルールです。
(1)子どもたちはノートにビンゴ用の9マスをかく。そして、マスに1年間で思い出に残ったクラスの出来事を書く。「長縄大会優勝」「中村君転入」など。
(2)じゃんけんで勝った子から、自分のマスに書いた出来事を1つずつ発表していく。
(3)自分が書いている出来事を言われたら、○をつける。縦、横、ななめ、○が1列そろえば、ビンゴ。ビンゴした数で勝負する。全部に○ができれば、8ビンゴ。
(4)出来事を発表する度に、○をつけた子の人数を確認するといい。すると、1年間で一番みんなの印象に残っている出来事が分かる。
(3)kyositu.comニュース 【小学校教育総合情報誌】……
┃1┃算数の豆知識 第2回〜江戸以前の分数〜 横山験也/算数研究者
小学校では,正数の勉強をした後に,小数と分数を学びます。
小数や分数をきちんと勉強するようになったのは,もちろん,明治時代になってからのことですが,明治以前,つまり,江戸時代まではどうだったのでしょうか。
江戸時代までの算数といえば,ソロバンが中心です。ですので,小数のような考え方は生活の中で使われていたことは,理解できます。
では,分数はどうかというと,あまり使われていませんでした。
それでも,本を読んでいると,思わぬところで分数が顔を出してきます。
その中から,なかなか面白いのを2つお話しします。
1つめは,日本最古の分数記述です。
どんな書に載っていたのかというと,驚く無かれ『日本書紀』です。
因幡の白ウサギや,八岐大蛇,天照大神が岩戸に隠れたことなど,まさに神話の世界が書かれている日本書紀に,分数が2回も出てきます。
1回目は持統天皇が出した,土地の分配の詔(みことのり)の中に登場します。
「下戸四分之一」・・・下戸は1町の1/4ということです。
2回目は天武天皇の詔です。神社の税金の分配に分数が使われています。
「三分之一,為擬共神,三分之二,給神主。」・・・神社への税金は,1/3が神事に使い, 2/3が神主に分けるということです。
古代のエジプトでも,分数は報酬の分配で使われてきているので,日本書紀でも基本的な使われ方がされていると見ることができます。
使い方としては,あまり面白みはありませんが,神様を扱っている本が,一方では日本の最古の分数記述の本だったことが,私には感動的でなりません。
2つめは,時代が進み,室町時代初期の世阿弥の『花鏡』です。能の修行について,みっちり書いてある本です。この本で,世阿弥は,次のように書いています。
「舞台を三分二程前をのこして立つべし」
舞台での立ち位置を伝えるときに,分数を用いて伝えていたのです。
こういう分数の使い方は,教室でも応用できます。「教室の後ろから1/4ぐらいの所に並びましょう」などと言うことができます。
分数を習ったばかりの教室でしたら,ちょっとハイクラスな指示となります。
そんなところから,もしかしたら,世阿弥の頃は分数で立ち位置を教えるのは,ハイクラスな言い方だったのかもしれません。今で言えば,カタカナ語でいうような感じだったのだろうと思えています。
私の思いはともかく,「教える」という立場に立つ人は,分数の使い方も,ひと味違いますね。