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報告者  土 井

 2013年11月7日(木)布袋北学習等供用施設にて社楽の会を開催しました 。

 参加者(勤務校)は、土井、大藪先生(楽田小)、早川先生、(宮田中)、高木先生(犬南中)、鈴木先生(城東中)、天野先生(大口南小)、尾関先生、奥村先生(岩東小)、勝村先生(羽黒小学校)、寺谷先生、松田先生(曽野小学校)、織田先生(岩倉北小)、高橋先生(岩南中)の13名でした。

土井が資料提案した資料を紹介します。 

1  今の社会科研究の流れは・・・  
岐阜市立長良西小学校 社会科研究理論編 
  お役立ち資料
 
MM 授業実践力向上net紹介 


シーズンオフの授業者を募集します!

第403回 1月9日(木) 土井「いいつあよたまみの通知表−人の評価は誰がするのか−」
第404回 1月16日(木) 高橋先生にお願いします。
第405回 1月30日(木) 名古屋大学教育学部 柴田好章先生
第406回 2月13日(木)
第407回 2月27日(木)
第408回 3月13日(木)
 
 今の社会科研究の流れは・・・  
 最近の全小社では・・・
 
第46回 平成20年度
 大阪大会 社会とつながり、未来を拓く子どもを育てる社会科学習
第47回 平成21年度
 神奈川大会 社会とのかかわりを実感し、自らの生き方を問い続ける社会科学習
第48回 平成22年度
 徳島大会 明日を拓く子どもが育つ社会科学習
第49回 平成23年度
 石川大会 自ら社会に参画する力の基礎を養う社会科学習−自分発、社会経由、自分行
第50回 平成24年度 
 高知大会 人々の営みに学び、社会を切り拓く力を育てる社会科学習
第51回 平成25年度
 東京大会 よりよい社会の形成に参画する資質や能力の基礎を培う社会科教育
       〜自ら調べ・考え・表現しながら社会認識を深める学習を通して〜
 福岡大会 社会を形成していく生き方を創りつづける社会科学習
第52回 平成26年度
 京都大会  子どもがひらく社会科学習
     〜 人に・自分に問いかけ 社会への貢献を見つめる 問題解決的な学習の展開〜
 
平成25年度 阪神地区小学校社会科教育研究会
 確かな学びを築く社会科学習 〜調べたことや考えたことを表現する力を育てる〜
 演題:「調べたことや考えたことの見える化」
 講師:兵庫教育大学大学院  吉水裕也教授
 
 最近の全中社では・・・
第40回 平成19年度
  千葉大会 社会の形成者として主体的に判断し行動する力を育てる社会科学習
第41回 平成20年度
名古屋大会 人間の生き方を問い続ける社会科学習
第42回 平成21年度
宮崎大会 『社会について考え続ける力を育成する社会科学習の創造』〜思考を鍛える討論を通した授業の在り方〜
第43回  平成22年度
宮城・仙台大会 自ら学び、考え、未来を拓くたしかな力をはぐくむ社会科教育〜意欲と知識と能力の調和を目指して〜
第44回  平成23年度
 東京大会 『自分づくり』『社会づくり』をとおして生きる力をはぐくむ社会科学習
第45回  平成24年度
 香川大会 未来社会につなぐ社会認識の構築〜授業力の継承,そして創造〜
第46回 平成25年
 大阪大会「一人ひとりを見つめ、ともに学ぶ社会科学習」―交わる・つながる、高めあう―
  演題「授業研究の伝統と革新〜学びを中心とする教育の創造〜」
       講師 学習院大学教授・東京大学名誉教授  佐 藤  学 氏
 
 その他の今年の大会テーマは
第44回広島県中学校社会科教育研究大会(広島大会) 
  「思考力.判断力.表現力を育成する授業の創造」
    〜 子どもの思考をゆさぶる発問を通して〜
 演題「思考力を育成する社会科授業構成−知識を深め,ひっくり返し,活用させるために− 」
 講師 広島大学大学院教育学研究科准教授 草原和博先生
 
第66回 北海道社会科教育研究大会
 「未来を拓く社会科教育」?知識・技能を習得し活用できる児童生徒の育成?
 大会講師 小原 友行氏(広島大学大学院教育学研究科教授)
 演  題 「未来を拓く社会科教育の創造
       ?『思考力・判断力・表現力』を育成する学習を求めて?」
 
第52回東北社会科教育研究協議会 青森大会
平成25年度青森県小・中学校社会科教育研究大会 八戸大会
 小学校:社会に参加する力を育てる社会科学習のあり方
    〜合意をはかりながら問題解決的学習を進める学習活動〜
 中学校:社会の変化に対応し、生きる力を育む社会科教育
    〜郷土資料を活用して、思考力・判断力・表現力を育てる〜
   明治学院大学教授 長谷川 康男 先生
        演題:「合意をもって進める社会科授業と
             教師のファシリテーションについて」(仮)
 
関東ブロック中学校社会科教育研究大会 横浜大会
 「生徒に思考させるための教師の役割」―思わず考えたくなる授業をめざして―
  
第42回 埼玉県社会科教育研究会研究発表大会
 学ぶ楽しさを味わい、わかる喜びを体感できる社会科学習
 
 これらを見て、どう考えますか?
 
 
 
 
岐阜市立長良西小学校 社会科研究理論編
  とても良くできています。別紙で紹介しました。
 


 
3 お役立ち資料
(1)特別支援学級スタート応援ブック−学級経営編/茨城県教育研修センター http://www.center.ibk.ed.jp/contents/kenshuushiryou/tokubetsushien/files/ouenbook/ouenbook.html 
 はじめて特別支援学級を担任する人や、特別支援教育に関心のある人にはぴったりの資料です。
 
(2)特別支援学級スタート応援ブック−授業づくり編・授業実践事例編/茨城県教員研修センター
 授業づくりの過程をわかりやすく説明しています。
 
(3)THE PAGE  気になるニュースをわかりやすく
  ここから http://thepage.jp/ 
  これは社会科教師なら、しょっちゅう見てもいいページです。
 
(4)しらべる
  ここからhttp://homepage1.nifty.com/silabel/  情報量は膨大です。
 
(5)名城大学准教授 曽山 和彦先生のページ
 曽山先生は、自らの講演等を惜しげもなく公開しています。
 
(6)道徳の授業を進めるに当たって/茨城県教育研修センター
    おなじみの横山先生の理論が軸になっています。
 
(7)栄養教諭を中核とした食育推進事業事業結果報告書(平成24年度)/文部科学省
  各都道府県の取り組みが紹介されています。
 ビジュアルに実践報告がされています。
 
(8)木走日記
 ここから http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/ ホットな国際情勢を解説してくれます。
(9)文学どうでしょう
 書評家・文学ライター、立宮翔太の読書ブログ。 一日一冊の紹介を目標に日々読んだり書いたり。 http://ameblo.jp/classical-literature/ これもすごいサイトです。
 
(10)平成24年度「ICTを活用した防災教育に資する教材の開発・普及のための調査研究」に関する成果報告書
 
(11)小学校外国語活動 動画集/沖縄県立総合教育センター
  動画で見る小学校英語の仕方です。
 
(12)次世代の教職員を育てるために〜OJTの進め方〜【平成24年度版】/茨城県教育研修センター
 OJTとは、On The Job Trainingの略。
 若手教員が、職場において、上司や先輩などから実際の職務を通じたトレーニングにより、必要な資質能力を高めるように、意図的・計画的・継続的に教育を受けることをいいます。


4 MM 授業実践力向上net紹介
(1)「指導案研修 若手の不満と先輩の苦言」 ─ 本時の授業課題を絞り込む!─
 なかなか研究授業が機能しない。
 先日参加した某小学校の授業研究もしかり。私は,常々研究授業には「提案性」が必要と言っている。
 それを裏付ける興味深い小論を見つけた。安野先生の主張は「本時の授業課題を絞り込む!」
 研究授業が機能していないと悩んでいる方,ぜひご一読を。安野先生は以前,社会科担当の教科調査官を務めておられた。ご存じの方も多いと思う。
 
  「指導案研修 若手の不満と先輩の苦言」
    ― 本時の授業課題を絞り込む!―     國學院大學人間開発学部教授 安野 功
 
1 参観日の授業と研究授業の違いは何か?
  まずは先輩の苦言から……。
  参観日の授業と研究授業は似て非なるものである。そのことが分からない若手の先生が意 外と多い。どちらも他者に自分の学級の授業を公開する。だからこそ学級のすべての子ども が活躍する授業づくりを目指す。
  この2点だけを見れば参観日の授業と研究授業は酷似している。けれども両者には決定的 な違いがある。それは研究授業が文字通り“研究”を目的として特別に組まれた授業である という点である。だから,時々,先輩と若手との間でこんな会話が交わされる。
  先輩:授業の流れは分かるけど,この授業で何をやりたいの?
  若手:何をやりたいって,それはどういうことですか?
  先輩:もしこの指導案で授業をやればうまく流れそう?
  若手:はい。きっとうまくいくと思います。
  先輩:だったらこの授業は参観日にでもやったら。わざわざ研究授業でやるまでもないよ。
 
 これに対して若手の不満は……。
 いきなり「何をやりたいの」と問われても,どう答えていいのか分からない。そもそも研究授業って何?そんな戸惑いの声が聞こえてきそうである。
 
2 本時の授業課題を絞り込むことが大切!
 先輩と若手の言い分のズレ。それを解消するとっておきの解決策が,本時の授業課題を絞り込むことである。
 研究授業とは,今問題となっている教育課題・指導上のある事柄について,「こうすれば,こうなるはずだ」という授業仮説を立て,それを具現化する学習指導案を提示。
 子どもの姿を通してその学習指導のプランの有効性を検証する授業のことであろう。
 つまり,研究授業の学習指導案には,例えば「工場の見学カードの中から『おいしさのひみつに直接つながるカードはどれか』を吟味・検討し合う言語活動を行えば,工場で働く人の立場で工夫や努力を考えることができるだろう」といった本時の授業課題が必要不可欠なのである。
 そのことを先輩が若手に教え,授業課題を絞り込む指導案研修を進める必要がある。
                     〈社会科教育2011年6月号より転載〉
 
(2) Vol.407 ─ 2013.10/7(月)◆
◇ 「(第8回)育成すべき資質・能力を踏まえた教育目標・内容と評価の在り方に関する検討会」 配付資料
 文科省初中局メールマガジンから紹介する。
 開催日時 平成25年8月30日。詳細は以下のサイト参照。
 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/095/shiryo/1339236.htm     
 この検討会で,座長である安彦先生が(意見)として出された配付資料を紹介したい。
 この資料は必ず役立つ。実現する可能性すらあると思う。コピーして自分のPCに保存することをお勧めする。
 
─安彦座長提出資料─
○ 今後の日本がどんな社会になっているか,を想定してみる。
(1)日本は先進国の一員としての役割と責任を負う。
    →「問題解決能力=思考力」中心
(2)知識基盤社会が進行し,高度情報化社会となる。
    →「情報活用能力・情報批判能力」
(3)グローバル化社会が進行し,国境を越える諸課題が拡大する。
    →「国際的連携能力」
(4)地球環境問題・環境汚染問題に正面から対応する要あり。
    →「地球的視野・価値観」
  これらのうち,(1)〜(3)は(4)に向けて,幅広く柔軟に育成すべきものである。
    →ESD を,地球環境問題を中核にして,教育目的の一つの焦点
   (人類の生存)に据える。主に「総合的な学習の時間」を活用する。
    →(1)〜(3)は従来の「能力開発型」教育でよいが,(4)は「能力制御型」
      教育とし,前者を後者の枠の中に入れて,吟味にかけ,方向付ける。
○ これとは別に,高学歴社会が極限に来て,大学への教育が全面展開し始めたことにより, 本来の「教育」が入試準備のための「訓練training」に変質していることの問題あり。
  (1)学習指導要領の改善点
 (教育目標)
・ 子どもたちを「日本の未来の主権者」と表現して,それにふさわしい資質・能力を提示す ることが望ましい。「学力」だけがよくなっても,「人格」がよくなければ駄目。
・ 「資質・能力」は両者を明確に区別する必要がある。「資質」は「生来の性質・特性」で 「育てられないが,磨けば外に出てくるもの」,「能力」は「育てて,より質の高いものに変 えていけるもの」ということでよい。前者は,面接やパフォーマンスにおいてとらえられる もので,ペーパーテストで見るものではない。
・ 「目標・内容」は,「資質」「能力」で表わすが,とくに「人格」(道徳性)は「資質」で あらわす。「学力」は「思考力」中心の「能力」で表わすが,「内容」は欠くことはできない。 しかし,「内容」は「大学まで必要な知識・技能は何か」という観点から,これまで以上に 絞り込む。全体に「最低基準」であることを明記する。
・ 公教育学校全体としても「子どもの自立」をめざすこととし,小学校では「自立の基礎」 を,中学校では「自立の基礎」と「個性の探求」を,高校では「自立の準備」と「個性の伸 長」を,それぞれ明確に追求するものとする。この視点が欠けてきている。
(教育内容)
・ 「内容」は小学校中学年までの「道具的な知識・技能」と,それらを使って身に付ける「理 論的・概念的な知識・思考技能thinking skills」とを区別することが必要である。
  前者は内容であるとともに認識の手段・方法・用具でもあるという独自性があるので,し っかり記憶ないし行動の定着を,また技能は十分な習熟を図る必要がある。
  この部分は「到達目標」で表わす。後者の部分は「方向目標」でよい。
・ 「人格形成」と「学力形成」を分け,前者を全体,後者を部分として位置づけ,前者は, 学校外の教育の場との協働で推進するという原則を明示する。「道徳教育」は学校外の保護 者・地域住民等との連携の下で行うことを明記する。
・ 発達的観点を明らかにして,一定の発達的筋道を,暫定的枠組みとして決める。とくに5 歳前後(言語技能)や9歳前後(抽象的思考)に見られる段階に十分に配慮する。
・ 全学校段階で「学び方」「発表・伝達の仕方」「考え方」=「自己教育力」を身につけさせ る。
・ 教育課程全体に,「地球環境問題」を核としたESDの概念で関連づけ,方向づける。
(組織原理)
・ 教科目構成については,とくに高校段階では科目に分化するとしても,大学受験教科目は 「教科」レベルの問題内容によるものとし,科目レベルの細かい知識は問わないようにさせ る。
・ 新教科を立てるのではなく,現在の教科目構成は残すが,教科内容を変えて,経験的な活 動を加味して,知識と体験とのバランスをとる。
(履修原理)
・ 小学校4年までの「国語」「算数」の技能部分は到達目標を明確にした「課程主義」,その後は「年齢主義」という,全体としては「半課程主義」の教育課程とする。
・ 小学校中学年まではすべて共通必修教科,小学校高学年から中学校までは,それに加えて 「個性をさぐる」ための選択教科(履修原理:広く,浅く,短く,多く,軽く),高校から 後は「個性を伸ばす」ための選択教科(履修原理:中学校までと反対)を設ける。
(指導方法・形態) 
・ 学習指導要領に指導方法・指導形態も明記する必要があるとの意見もあるが,それは,学 習指導要領の大綱化の流れの中では,「解説書」の方に入れる方が望ましい。解説書を,も っと資料や教え方なども入れて,現場教員が活用できるようなものにする方向を考える方が よい。
・ 最近の指導方法として小集団を活用するものが提案されているが,それだけが絶対ではな く,目的に応じて種々の指導方法を使い分けることが望ましい。その中にICTの利活用も含 まれる。
(授業日時数)
・ 授業日数・時数は,「最低基準」の数字だけ示して,具体的な配当は学校現場に任せる。
・ 授業時数は,小学校中学年以下は少なめに,高学年から中学校・高校では多めに配当する 必要がある。前者は多いと負担過重となり疲労が出るが,後者は少ないと実験・調査・討論 や発表などの活動ができなくなる。  
・ 学校五日制は原則として守る。
 
 (2) 学習評価の改善点
・ 量的(数値的)評価でなく,質的評価を重視する。
 →ポートフォリオ評価,パフォーマンス評価,文章評価等を前面に出す。前者を副にし, 補助的・二次的資料と位置づける。IBコースの評価法に学ぶ必要あり。
・ 評価を目的別に明確に区分する。
 →まず,成績(順位)をつけるための評価か(評定),活動改善のための評価か(評価), の区別を明確にする。それによって,評価方法が異なることを教員に自覚させる。活用型学 習の成果は「評定」に使わないこと。
・ 小学校中学年までの「国語」と「算数」の「技能」の部分は「到達目標」で表わし,教員 が全員到達に責任をもつこととする。それ以外は無理をせず「方向目標」でよい。
・ 高校入試,大学入試に対する提言を含めることが必要。 
 
(3)Vol.412 ── 2013.11/ 2(土)◆
  ◇ 未熟な教師の「ダメな点」
 未熟な教師の「ダメな点」。子供の実態を無視した,教師主導の思考する場面のない授業。
 ひと言で言うとこういうことになる。
 
 授業におけるありがちな失敗          京都文教大学 大前暁政
 
 授業経験の少ない人が小学校で授業をすることがあります。例えば新卒教師であったり,教育学部の学生であったりします。時には大学の研究者が小学生相手に授業をすることもあります。仕事柄,授業経験の乏しい人の授業を見る機会が増えました。授業経験のほとんどない人の授業には,ある共通する「ダメな点」があります。その「ダメな点」の最たるものは,次です。
 
◆ プレゼン授業になっている。
 要するに,教師が一方的に説明して終わるわけです。「講義型の授業」とでも呼べるしろものです。どうして授業の初心者はプレゼン授業になるのでしょうか。様々な理由がありますが,最たる原因は次の三つです。
 1.思考場面がない。  2.説明が長い。 3.子どもの実態に合った指導になっていない。
 この3つは,どれも授業にとっては,致命的です。
 しかしながら,これらの共通点は反面教師として役に立ちます。すなわち,このような点がなくなるように注意すれば授業はずいぶんと良くなるのです。
 まずは,「思考場面がない」ということを取り出して考えていきます。
 思考場面がないというのは,子どもに考えさせる場面がないことを意味します。思考場面は,例えば発問や指示で引き起こすことができます。授業の初心者も,いちおう,発問らしきものはしています。ところが,それが発問と呼べるレベルにまで達していないのです。知っていないと答えられないことを尋ねたり,ただの質問だったりといったものです。
 それに,助走問題をまず出して,だんだん難しい「主発問」に移るといったような原則も,まったく使えていません。
 おそらく,「助走発問から主発問へ」という概念をもっていないので,できないのだろうと思います。
 単発で発問らしき質問をして,次に進むといった感じの授業になってしまっています。
 
◆ 説明が長いこと。
 もちろん,重要な知識は教師が説明することも必要です。
 ですが,小学生相手に30秒以上説明すると途中から聞いていないことが多いです。写真や絵を提示すれば説明を省くことができます。
 教師が説明するところを子どもに発表させれば説明を省くことができます。説明する代わりに作業させることで,理解させることだってできます。
 「説明」ではなく,「発問→指示→誉める」の繰り返しで,理解させることができます。説明というのは,省くことができるのです。
 初心者には,このような「説明を省くことができる」といった概念がないのだと思います。
 
◆ 子どもの実態に合った指導になっていないこと。
 これはもう授業では,最大級にダメな点です。まずは,発達段階を無視していること。そして,レディネスを無視していること。
 さらに,子どもが今どういう理解をしているのかを無視していること。子どもの理解のことなどほうっておいて,次々と授業を展開するのが,初心者に共通する点です。
 一番まずいのは次の点です。
 今どういう理解を子どもがしているのかを確認していない。 授業では,「子どもはどういう理解をしたと,自分で思っているのか」を,その都度確認しなくてはなりません。
 ノートや発表で確認する場合もあるでしょうし,レベルが高くなると「子どもの表情」でも確認はできます。
 「わからないところや,疑問はないかな」と尋ねるのもよいでしょう。
 初心者がいつまで経っても授業が下手な原因は,「概念がないから」です。「授業とは思考場面を用意すべきである」という概念がないからそもそも思考場面を用意 しようとしません。
 思考場面は,発問や指示によって引き起こせるといった概念がないから,いつまでも発問 や指示を上達させようとしません。
 助走問題のあとで,主発問をすると,子どもが一生懸命考えるといった概念がないから, できないし,努力もできないのです。
 戦前の師範学校で,大変よい教育方法がありました。
 それは,授業の「原理・原則」をまず知識として学生に教え,その知識を今度は実地授業で技能として身につけるという授業です。
 つまり,まず,授業の原理原則を,教える側の教師も生徒も,共通理解をしておきます。
 次に,生徒に,その原理原則を知識として教えます。
 最後に,実習で,技能として身につけるまで練習させます。今から,120年前の師範学校の授業です。100年以上前なのに,こんなに効果的で,新鮮な授業は他にありません。
 授業の原理・原則を概念として知ろうとしないと,いつまで経っても授業の腕は上がらないのです。


    
 11月 9日(土) 長良中学校 http://cms.gifu-gif.ed.jp/nagara-j/
 11月15日(金) 東長良中学校 http://cms.gifu-gif.ed.jp/h-nagara-j/
 11月30日(土) 加納小学校 道徳・特活全国大会 http://cms.gifu-gif.ed.jp/kanou-e/