第42回 社楽の会報告    第41回へ   第43回へ
                                  報告者 布袋中 土 井

1月25日(金)7:00〜9:00、布袋北学供にて第42回の社楽の会を開催しました。参加者は土井、木本、日比野、岩井、滝口、川井、野呂、高橋(敬称略)の8名でした。

 土井からは、以前(第31回)にも紹介した、論述のトレーニングの実践報告です。中学校2年生の地理で、授業のまとめに行っているもので、1時間の授業につき、授業のねらいに即したテーマを100文字以内(内容によっては200文字)に5分間でまとめるものです。
 東北地方の仙台の学習では、「仙台が発展したようすを説明せよ」という課題に対して、T子は次のように書きました。

江戸時代城下町として発展した仙台は明治時代に国の機関が置かれた。高度経済成長期には国の機関や企業の支社などが置かれ地方中枢都市となる。89年には合併して政令指定都市となる。杜の都とよばれるほど緑が多い。(100字)

 100文字にまとめるためには、ある程度の慣れが必要ですが、実践を重ねる中で、生徒は確かに変容しています。それは、語句を構造的にとらえるようになってきたこと、すなわち、暗記から理解への転換です。授業中の発言も、単語から文による論理的なものが増えており、生徒の感想の中にも、級友の変容を賞賛するものが見られました。
 テーマの与え方により、思考・判断、知識・理解、資料活用のいずれも評価可能で、特に思考・判断の評価は、この方法が最適だと思います。
・ 続いて、「評価に関する用語の解説」です。参考書は、山田信夫先生からいただいた東京書籍発行の小冊子「新しい評価の実践」です。
 理論の第一歩は、用語の概念の規定です。それぞれの用語に対する解釈がそろっていなければ話し合いにはなりません。少なくとも、ここで示されている評価に関する用語は理解しておきたいと思います。特に、次の用語は自分も参考になりました。

 評価規準…学習活動において育って欲しい子どもの具体的なイメージ。
 評価基準…評価・測定目標の達成や発達の程度を判別するための量的尺度。
 到達度 …基礎的目標に使われる。
 達成度 …思考・応用・創造・態度などのように、ゴールの設定が明確でない発展的目標に使われる。
 実現状況…「達成」と同じ意味だが、現行の指導要領からこちらを用いる。   

・ 最後に、「内外教育」より「いじめ発見の点検項目示す」を紹介しました。福岡県の教師用手引書より、いじめ早期発見のチェックリストが紹介されています。登校時から休み時間、昼食・清掃・部活動など、学校生活の8つの場面から、100項目あまりの「児童・生徒を見るポイント」と、70近くの「教師自らを見直すポイント」が載っています。どれも納得できる内容で、特に後者には、はっとさせられることが多数あり、反省させられました。                   
 しかし、それ以上に感心したことは、これだけの内容をまとめた人に対してです。相当の実力があり、しかも実践した人でないと書けない内容だからです。世の中には、すごい人がいるものだと、そして私たちもさらに勉強しなければと素直に思いました。

☆ 高橋先生からは、千葉の岩根小学校で行われた“心の教育フェスティバル”の参加報告です。岩根小学校は、あの野口芳宏先生が校長を勤めてみえる学校(今年で定年御卒業)で、高橋先生は、2日間行われた中の2日目に参加されたそうです。
 パネルディスカッションと向山・有田・酒井の最強トリオによる公開授業が行われました。高橋先生によれば、酒井先生の似た色をつなげていく色環表作りが面白かったそうで、向山氏の道徳は重苦しい内容で「ひどい?授業」、有田氏は昔の内容で新しい提案はなかったということです。
 ともあれ、名人と呼ばれる3人の授業を見られたことをうらやましく思うと同時に、年休をとってまで千葉まで行かれた高橋先生の積極性に敬意を表したいと思います。

☆ 次は、学芸会・文化祭特集です。行事の精選により、全国的に学芸会・文化祭も圧縮の傾向が見られるなか、各校での持ち方が話題になりました。もちろん、それぞれの地域の事情やこれまでの経緯があるので、いい悪いを論じるのではなく、アイデアを紹介し合うのが目的です。  
 学芸会は、@なし。作品展のみ。A作品展と学芸会が隔年開催。B毎年開催、などの持ち方があり、Bも秋と3学期に開催時期が分かれました。また、開催しても午前中で終わるところもあるようです。
 その中で、岩南小の学芸会は、あの伝説の「ザ・歌舞伎」(平成6年度)のような、大がかりなものが、毎年行われているようです。
 展覧会は、時間がかかる共同作品はかなり姿を消し、日頃、図工や書写の学習を発表する形式が多いようです。
 いずれにしても、学芸会や運動会に力を入れるかどうかは、子どもを授業で伸ばすか、行事で伸ばすかの価値観により、結局は教育観の問題につきます。どの形・方法がよりベターなのかは、広く長い目で見て考えてみるべきです。そのために、多くの学校の例を参考にしていきたいものです。
・ 岩南小からは、関連として、児童会を中心とした「図書館祭」を紹介していただきました。読書や調べ学習に関連した授業参観の後、図書委員会が中心となった児童集会(読書感想文の発表、劇、スライドによる読み聞かせなど)がその内容です。
・ 岩井先生からは、木西小の「平成8年度 学校行事等について」を紹介していただきました。基本姿勢として、@指導要領の精神に沿っているか、A児童の学校生活に潤いを与えているか、B学校経営上必要であるか、C教科内容との関連はあるか、D法的に必要であるか、とありました。視点として過不足がなく、行事の内容と併せてとても参考になりました。

☆ 次に、中学校のいわゆる文化祭と呼ばれるものを紹介し合いました。布袋中・宮田中・犬山中3校の紹介がありましたが、名称・内容とも全く異なり、それぞれに趣向が凝らされ、面白い内容でした。
 布袋中は、これまでにも報告しましたが、地域の伝統芸能や校区の方の講演・選択教科や吹奏楽のステージ発表、さらに体験講座やビデオ視聴、戦後50年展という内容です。宮田中は、学年ごとの文化セミナー(篆刻や紙飛行機、ゲートボール、カラオケなど)、展示鑑賞、文化部発表会、PTA講演会という内容です。犬山中は、文化週間の中で、映画会や福祉実践教室、展示見学、選択教科や吹奏楽の発表と、多くの企画が組み込まれています。
 こうした学校行事や生徒会活動の取り組みは、他校の様子を聞く機会がほとんどな いのが現状で、担当者が新しいアイデアを求めて四苦八苦しているという話をよく聞きます。社楽の会のようなネットワークを活用して、いろいろな事例を頭にインプットしておき、発想の源にしていただけたらと思っています。
 今回発表されなかった学校の情報も、ぜひ紹介していただき、共有の財産になればと考えます。
 

      問い合わせは 土井謙次  syaraku@tcp-ip.or.jp