第43回 社楽の会報告    第42回へ   第44回へ
                                  報告者 布袋中 土 井
 
2月8日(木)7:00〜9:30、布袋北学供にて第43回の社楽の会を開催しました。参加者は、土井木本、日比野、岩井、滝口、川井、天野、高橋大薮、栗林、熊木、勝村、奥村(敬称略)そして山田信夫先生、丹羽校長先生の15名でした。

○ 会に先立ち、雑談の中で、「授業実践をしたクラスの子どもたちは幸せだ」という話が出ました。「○○先生に教えてもらってよかった」と言われるようになりたいものです。
 戦争に関して、中国映画“黒い太陽731”のビデオがUSVで借りられるので一度見ておくとよい、遠藤周作“海と毒薬”も一読の価値有りということです。

☆ 今日のメインは、丹羽校長先生による“授業雑感”です。先生御自身の経験から、授業について思うことを、自作の資料をもとに、率直に、具体的にお話ししていただきました。ここで要約することは、先生の真意が伝わらないおそれがあり、心苦しく思いますが、およその内容を抜粋して報告いたします。
・ 「起立」「礼」の呼吸が合うか合わないかによって、授業の冒頭部分の成否がかかわってくる。
・ 導入とは、授業の冒頭部分であり、生徒が本時は何をするかを明瞭に理解すればよいのである。時間は短いほど良い。
・ 発言しやすい席とそうでない席というのも不思議にあるものである。発言の傾向としては与党的発言は前や中央が楽であり、後ろや側方は批判的発言がしやすい。
 また、1度発言すると2度目は気軽に挙手してくるものである。従って、どうしてもA君にまとまった発言をポイント場面でさせたいと思ったら、授業の早い場面で簡単な発問に答えさせておけば良い。
 発言者の室内の位置が三角形型に変化していくと参観者はよく発言していると感じる。教師対生徒のやりとりは、教→生→教→生→教よりも、教→生→生→生→教のように進んだ方がよい。
・ 展開の計画を組む手順としては、教材研究→教材の構造研究→生徒の学習構造・学習活動立案→その文章化→教師の活動立案→その文章化が一般的。教材の構造研究の次に教師の活動を考えてしまうと生徒を育てるプランが甘くなりやすい。
・ 生徒の学習活動としては、調査、思考、創造、表現、作業、鑑賞、習得訓練などがあり、既習能力、時間等を勘案して教師の考える学習指導理論のもとにこれらを組み合わせる。 
・ 「調査・調べごと」の活動は、学ぶ方法の理解、生き方の学習ということにおいては極めて重要な意義を持っている。
 調査活動にあたっては、@学習計画全体の中における位置・意義、A調査方法、外部への依頼事項があるときはその方法、B集約、整理、分析の展望の指導のどれかが洩れると後が必要以上に大変になる。
・ 生徒が分担してことを進める場合、全貌を真に知っているのは指導する教師のみである。生徒は自分の担当した事については教師並のエキスパートになっているが他のことについては殆ど無知である。
・ 「思考」の活動こそ、学校の授業でしかできない重要な学習活動であり、個性が最もよく表れ、また育つ学習活動である。人間の知性を育てるという重要な意義を担う。高い指導技量を要する
・ 思考の方法を知らなくては考えることはできない。思考にもいろいろなタイプがあり、その類型を知っておく必要がある。思考訓練の第一歩としては、@原因と結果の分かっているものを取り上げ、その因果性を追究させる。A具体的な内容がいくつか存在する2者を比較させるあたりが適切。
・ 小集団思考から全体思考へと進める場合は、あまり時間をかけてはよくない。思考がほぼまとまってきていることから、全体での活動に入ったとき意欲が乏しくなりやすい。また、少数派の発想が消えてしまう恐れがある。
・ 理想的に小集団での思考が行われたときは、全体でも多数が挙手してくる。挙手したものをどんな順で指名していくかが成否を握る。主力の意見を2、3人、異質のものを入れて後は質問を織りまぜ議論を戦わさせていくのが定法。本時のエースとなる者の発言をどこにいれるかもポイントの一つ。教師はある時点まで司会業(意図は持ちながら)に徹すべし。
・ ディベートは本来的には相手を論破することを主眼としているから二者択一的発想にある。弱点を補強し合うとか練り上げ合うことを狙うこととは異なっていることを理解した上で取り入れていきたい。
・ 整理の段階では、@ 本時の内容を再度構造的に把握させること。A 記憶すべき点を確認させること。B 発展的な課題の例を示してやること。C 次時の予定をはっきりさせる。なお、単元のまとめには、レポートがもっと課せられても良い。
 この他に、評価・評定について、家庭学習について教えていただきました。
 これらのお話のあと、参加者の先生方から感想を出し合いました。山田先生は「先輩からこのような話を聞いたのは初めてで、いい機会であった。」という感想をいただきました。   全文はここ 

☆ 土井より、来年度に向けてのテーマの提案です。“共に生きる力を高める社会科学習”で、とりあえず‘国際理解’‘環境’‘人権’について考えてはどうでしょうか。
・ 次に「線引き自己評価表」の実践報告です。山田先生から紹介していただいた『埼玉県中学校教育課程評価資料』(平成5年)P.47を追試したもので、3分あれば、かなりの情報を得ることができます。一度試してみて下さい。
・ 布袋中の現職教育部で研究している「付箋紙の利用」についてです。生徒の考えを簡単に集約し、すぐに返すことができます。文章のレベルが上がります。
・ 最後に、朝の学習で行っている“年号コンクール”の実践報告です。覚え方、Q&Aも入っています。

☆ 勝村先生からは、学芸会の台本「あほろくの川だいこ」(6年生30名40分)、「美しい地球に輝く生命を」(5年生92名45分)の2本を紹介していただきました。
 後者は、環境問題についての学習発表の形をとっています。
 どちらもデータですので、今後アレンジが可能です。他の先生方の実践も紹介し合い、共有財産になればと思います。

☆ 高橋先生からは、“わかりやすい文章を書くために”を紹介していただきました。
 @考えをつくってから書く、A一文一義の文を書く、B短い文を書く。C接続詞を多く使う、D易しい言葉で書く、Eその他があり、それぞれ簡単に説明してあります。
 例で示されたWさんの文は、指導の成果が十分に現れていました。

☆ 山田先生からは、朝日新聞より、広島の外国籍のタクシー運転手の記事の紹介です。テレビでも紹介されましたが、市街地での流しの他、外国人相手に英語でツアーガイドもしています。アメリカ人として原爆資料館を見てショックを感じ、「核兵器使用は人類にとって正しくないのだとみんなが思うこと」「世界の多くの人にヒロシマを知ってもらうこと」と自らテーマ課すこの青年の生き方はすばらしいと思います。

☆ 木本先生からは、さる2月3日に行われた冬期研修会の報告です。社楽の会に支えられたこと。研究の内容と共に、発表の方法も大切であること。丹葉地区は、これまでの積み上げがあってできたこと、などの感想を紹介していただきました。
 栗林先生からは、名古屋と一宮地区の発表を聞いた報告をいただきました。

☆ 大薮先生からの「戦後の日本と国際関係」の自作資は、次回に紹介していただき ます。
◎ 3月9日(土)PM3:30より、江南市文大ホールにて、堺屋太一氏による市民文化講演会が開催されます。演題は「秀吉と戦後50年の日本」入場無料


 

      問い合わせは 土井謙次  syaraku@tcp-ip.or.jp