第44回 社楽の会報告    第43回へ   第45回へ
                                  報告者 布袋中 土 井
 
2月22日(木)7:00〜9:30、布袋北学供にて第44回の社楽の会を開催しました。参加者は、土井木本日比野岩井、川井、勝村尾関(敬称略)そして 和田先生、ゲストの熊澤先生(布袋小)の9名でした。

☆ 初めに、木本先生より本の紹介がありました。春山茂雄著『脳内革命』(\1,600サンマーク出版)は興味深い内容でした。全体の要旨は、「心で考えることは、物質化されて体に作用する」というものです。昔から「病は気から」とか「くよくよすると長生きできない」などと言われてきた事柄を医学的に証明するも内容です。
   ○物事をプラス思考でとらえると分泌される物質は、ガン細胞をやっつけ、人を楽しい気分にさせる。 
   ○怒り、緊張、恐怖を感じたときに出る物質は有害である。
 病院の院長に言われると、説得力があります。
・ 次に、雁屋哲著『日本人の誇り』(\1,600飛鳥新社)の紹介です。日本人は、誇りを持って、過去の過ちに対して謝罪し補償しよう、という内容です。日本の国が「金を惜しむな、名を惜しめ」の思想を持とうという提案です。
・ 次は、名古屋市弁護士会発行の子どもの人権パンフレット1「いじめ解決のための8つの提言」\100を紹介していただきました。弁護士との相談は、通常30分¥5,000ですが、弁護士会館(052ー204ー0115)での窓口の相談(毎週土曜AM10:00〜12:00)は無料だそうです。
 いじめ根絶のための8つの提言として@子どもたちが主人公 A違いを認め一人一人を大切に B子どもはゆとり、休息、余暇を要求できます C登校を強制してはいけません、などが書かれていました。
 また、パンフレット2には、‘体罰根絶のための8つの視点4つの提言’が書かれていました。学校側には、やや痛烈な内容のものもありましたが、社会にそう見られているということは、教師として知っている方がいいと思います。

日比野先生からは、国際交流員について紹介していただきました。(財)自治体国際化協会を通して交流員を派遣してもらえるというシステムです。犬山中の資料では、ドイツのユリア・バーテルスさんのプロフィールが載っていました。
 AETといい、この制度といい、一昔前では考えられないすばらしい制度です。こうして育った生徒が社会に出たとき、どのように影響があるか楽しみであり、また国家として、今後どのような社会をめざしているのか気になるところです。

☆ 岩井先生からは、6年社会科のまとめのプリントを紹介していただきました。1では、人に「のろま」と言ったことに対して、憲法を参考に裁判で争うという設定で、その是非をクラスで話し合うものです。それぞれの訴えと弁護士の意見により論拠は示されているので、個々の価値観が出て面白くなると思いました。
 2は、歴史学習のまとめとして、‘木曽川西小学校平和宣言’を書くというものです。授業の成果が、十分表れていることを期待したいと思います。もし、全体のものとして練り上げるのなら、個々の意見をどう集約していくかが興味あるところです。
 3は、世界地理の導入で、知っている国名とその説明をマスに埋めていくものです。私も中学1年生で実践したことがあるのですが、いかに世界の国を知らないか、生徒が世俗的な既成概念にとらわれているかがよくわかりました。

☆ ここで世界の国の憲法について話題になりました。資料を取り寄せていますので、次回に紹介できると思いますが、社会主義国家の憲法を見てみたいという意見も出ま した。
 また、資料の取り寄せ方についても話題になりました。私もいくつかの情報源を持っていますが、‘憲法’については社会科の教科書の出版社(東京書籍中部支社 052ー211ー2323)に問い合わせました。アフターサービスの一つでもあり、親切に対応していただけます。

☆ 勝村先生からは、学級通信「あのねのね」の紹介です。学級の文集作りを、それぞれの日記をベースに行うというもので、その当時の気持ちが表れることがすぐれていると思います。野口芳宏氏の『文集づくりで鍛える』(明治図書)が参考になるということでした。 
学級通信と日記指導は日頃の学級経営の核であり、それが文集として結晶となることは児童にとっても、先生にとってもすばらしいことです。

☆ 尾関先生からは、前にもこの報告で紹介した『施設見学ガイドブック』について紹介していただきました。発行が“エネルギー環境教育情報センター”ということで、環境エネルギー問題に視点を合わせて紹介していますが、もちろん通常の社会見学のためにも有益な資料です。布袋中でも修学旅行の班別行動で利用しています。関東・中部・中国・四国の4編が完成していつので、ご希望の方は03ー3593ー0936にお問い合わせ下さい。
・ 次に、英語略語の社会科用語集を紹介していただきました。IMFやILOなどの略語は、名短や名城などの私立高校入試での頻出問題ですが、通常のカリキュラムですと授業で間に合わないことがよくあります。そのために、入試前に略語だけはやっておかなければなりません。このまとめは明瞭・簡潔で、とても参考になります。 

☆ 土井より高校入試頻出語句:歴史編の紹介です。ここ5年余りの全国の公立高校入試問題から各語句の頻度を拾い、ある程度以上のものを集めたものです。(私が拾ったわけではありません)入試のために指導しているわけではありませんが、重要事項が入試で出題されると考えれば、指導のポイントには違いありません。

☆ 今回のメインとして、熊澤先生よりアドラー心理学についてお話ししていただきました。アドラーを視野に入れたい理由は、“共に生きる”社会の実現に向けての研究の理論構築に、アドラーの理論が参考になると考えたからです。
 基本的な書物としては、野田俊作・萩昌子共著『クラスはよみがえる』(創元社 \1,500)、野田俊作著『アドラー心理学トーキングセミナー』『続 〃 』(星雲社\2,200)があげられます。アメリカでは、フロイトに次ぐ第2の心理学の勢力があるそうです。
 次に、熊澤先生の話や前掲書『クラスは〜』により、アドラーの考え方の一端を紹介します。
・クラスの病気はどのように悪化するか
  @賞賛を求める→A注目を引く→B教師に権力闘争を仕掛ける→C復讐する→D無気力を誇示する
    いわゆる‘荒れた学校’を経験され方は、よく理解できるのではないでしょうか。
・「…が悪い」と悪い原因ばかりを考えずに、今できることを考え行動に移す。
・教育の4S
  @尊敬、A責任、B社会性(人の関心に関心を持つ)、C生活力(創意工夫が豊かで機知に富んでいる)
・0点教育
「プラスになることを…」を考える前に「マイナス要因」を減らすようにする。
・競争原理→協力原理へ
・子どもを勇気づける7つのコツ
  @子どもを尊敬する、A子どもの強さを信頼する、B子どもと共に喜ぶ、C子どもに協力をお願いする、D子どもに「ありがとう」を言う、E子どもに行為の結末を体験させる、F子どもに「どうすれば」と問いかける
・幸福の3つの条件
  @自分のことが好きである、A他者を信頼していること、B社会の役に立てる人間だと感じていること……

  これらはあくまで一端で、これだけでアドラーを評価することは危険です。ぜひ前掲書をお読み下さい。熊澤先生も「今はアドラーが他の方法に比べて居心地がいいと思うだけで、絶対的な方法とは思っていない。他によりよい方法があれば知りたい。」と言ってみえました。役に立つ所は取り入れるという姿勢でいきたいと思います
 

      問い合わせは 土井謙次  syaraku@tcp-ip.or.jp