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報告者  土 井

 2015年5月14日(木)布袋北学習等供用施設にて社楽の会を開催しました 。

 参加者(勤務校)は、勝村先生(犬山市教委),高橋先生(岩倉南部中),奥村先生(岩倉東小),木先生(犬山南部中),
馬場先生(宮田中),小澤先生(愛教大学院),大島隆一先生(古知野北小),加藤先生(大口北小),池邑さん,大藪先生(楽田小)
の10名でした。

 土井は出席できませんでしたが、資料を紹介します。 

1 教師力アップセミナー第1回 菊池省三先生
 第2回 菊池省三先生 教育セミナー愛知 参加報告 「校長日記」より     
 国の借金 国民1人あたりで計算する意味は?
 ユニバーサルデザインの資料
 
お役立ち資料
 

 教師力アップセミナー第1回 菊池省三先生
 平成27年5月9日(土)大口中学校で開催された教師力アップセミナーの様子を紹介しました。
   

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第2回 菊池省三先生 教育セミナー愛知 参加報告 「校長日記」より  

 その明くる日に、今年1月に続いての第2回 菊池省三先生セミナーin愛知 に参加しました。
 今回は、犬山国際観光センターフロイデに、全国から130余名が集まりました。
 遠くは鳥取、和歌山、大阪、東京、神奈川、三重など。川崎からは大勢のグループで参加していました。
 県内も各地から集まってきています。高校の先生も数人いました。
 休日にも関わらず、熱心な参加者には頭が下がります。
 菊池省三先生は、NHKに取り上げられて以降、特にいろいろなメディアで取り上げられるようになりました。
  画像出典 http://www.nhk.or.jp/professional/2012/0716/ 
 私の理解では、次のようにまとめることができます。

 菊池学級は、教師の価値語とそれに対応する誉め言葉で、子供の自己肯定感と学級への所属感を育て、自立・自律・共同する力を育てていきます。
 「ほめ言葉のシャワー」やゲームなどで、温かい人間関係の集団をつくり、その中で自分の意見を堂々と話せる子供達が育っていきます。
 係活動でも、子供の創意工夫のできる時間と場を与え、成就感・達成感を育てていきます。
 しかも、遊び心をとても大切にしています。

 その価値観を表す写真がありました。
「6−1 成長診断」として、菊池学級の子が係活動として作ったものです。

 質問に答えていくと、個々が、SA・A・B・Cのどの段階かを診断できるというものです。
 ここで書かれた質問こそが、菊池先生が日頃から子供たちに言っている「価値語」であり、子供達に染みついているものなのです。

 ここに書かれた質問を列挙してみます。
・前向きに生きているか?
・自分は積極的か?
・「されど」を大切にしている。
・可視より不可視を大切にしているか?
  不可視とは「思いやり」「友情」など目に見えないもの
・自由な対話ができる?
・卒業までに「SA」の壁を越えられると思うか?
  「SA」とは集団の中の「スペシャルA」の働きができること
・「自分」を誉められるか?
・コミュニケーション力を果たせているか?
・自分のことが大好きだ!
・魂を込めた誉め言葉ができるか?
・「相手」を誉めることができるか?
・他己中ABになっているか?
  他己中とは、自己中心的の反対という意味です。
・みんな笑顔にできますか?
・「群れ」から「集団」に変えられるか?
・人と向き合えることができるか?
・人を牽制できるか?(だめといえるか?)
・自己開示できているか?
・ゆずり合い、助け合いができるか?
・自分と向き合うことができるか?
・男女関係なくできるか?
・学び合える?
・細部にこだわれるか?
・「D」の言葉から「Y」の言葉にかえられる 
  D(どうせ、でも、だって)、Y(はい、よし、やる)
・当たり前のことが当たり前にできるか?

 繰り返しますが、これは子供達が書き並べた言葉なのです。
 菊池省三先生の教育観がとてもよく表れています。
 印象に残った言葉・場面を列挙してみます。

 ・卒業式2日前の学級の動画を見ました。子どもたちによる即席記者会見の場面です。
 それぞれが、生き生きとして役割を演じています。遊び心たっぷりで、ユーモアが学級の柱になっています。そこには、教師対子供、子供 同士の絶対の信頼感がベースにあるのです。
 表現は悪いのですが、「バカになれる温かい人間関係」を感じます。
 
・「卒業式の練習後のダンスバトル」の動画では、自分らしさを発揮して活躍できるのは、特別活動、係活動ならではと感じました。
 学級には、いろいろな子がいます。外国籍の子、特別支援が必要な子もいます。
 菊池先生は、「この子は絶対に自分(担任)よりすごい人間なんだ、と思わないと伸ばすことができない。」と言います。
 そういう意味で、子供を信じているのです。

・4年生までには教室内を歩き回って、整理整頓もできなくなった子がいました。母親も、「小さい頃からはかわいかったが、今はどうすればよいのかわからない。」
 その子が、5年生の中頃からは(多動の)薬も飲まなくなり、今ではいろんな面でリーダーにもなっている。
 どんな子でも、安心する集団の中では生かされるのです。

・朝の「質問タイム」、帰りが「ほめ言葉のシャワー」の動画。
 M君に対して、みんなが批判をしていました。強烈でした。
 しかし、これは厚い信頼感があるからこそできたことです。普通なら、いじめ、学級崩壊です。
 最後は、M君をスタンディングオベーションで終えました。

・ちびまる子ちゃんに出てくる通称・野口さんの変容の動画。
 「かつては私は群れだった。しかし、このクラスになって自分の好きな自分を見つけた。それがまる子ちゃんだった。自分らしく、…」
 12歳の子が自分を俯瞰できるようになっています。
 「人のいいところを見つける。相手軸になる。常に考えることが大切。
 中学生になって、他の小学校からも人が来て、リバウンドしないかと不安だが、それは自分を信じられないから。」
 12歳の発言とは思えません。

・菊池先生はほめ方がうまい。
 話し合いの時、立ち上がる子をむちゃくちゃほめました。「相手に伝えようと思ったんだね。それが思いやりというんだよ。」
 ある子には、ちょうどよい声の大きさだったね。
 ある子には、下半身はどっしりと、上半身はゆったりと。それができていましたね。(態度・姿勢)
 あなたは、一瞬前の人の目を見た。読むのではなく話そうとした。偉いね。
 あなたは「これで終わります」といった。書いていないけど、とっさに考えた。偉いね。
 最後に残った子は何も読まなかった。原稿を見ると場になじまなかった。何も読まなかったことをめちゃほめた。

・(内容 + 声 + 態度)× 思いやり
 非言語の部分をほめてやる。

・1分間スピーチより60秒スピーチの方が締まる。59秒スピーチならなおさら。
 対話力 = 話すこと × 聞くこと
 
・朝の質問タイムでは、聞いてうなずいていれば関係性として○。
 聞いていない子を見る。
 メラビアンの法則 視覚 55%
   内容7%も大事だけど、表情、口調、姿勢
 お互いを大事にしようねという。
 ほめほめ選手権では、プラスのストロークを出しまくる。

・「こそ」の理論
 だからこそ がんばろう 

・価値語の指導も徹底
 1年間 戦略、戦術を持っていないとやっていけない。
 軌道に乗ればできる。それまでは我慢。5月は成果が出ない。だから踏ん張る。

・成長ノートに赤ペン。赤ペンは誉めるためにある。

・全国のどの学校で聞いても、教室であふれさせたい言葉は「ありがとう」しかし、一番使っていない人は担任の先生。
 赤ペンで「ありがとうと」書ける教師になりたい。

・ほめ言葉のシャワー
 気合いを入れたところをほめてくれてありがとう:自己確認。
 気づかなかったところをほめてくれた:自己拡大

・この子は、みんなが姿勢を正すまで待っていました。その強さに、教師が気づくようになることが大事。

・授業のところで、黒板を子供たちに開放する。見える化を図る。教師は、司会から消える。
 そうすると、子供たちも積極的に参画する。ホワイトボード、画用紙を活用するようになる。教室の中で同時に小集団の話し合いが起きる。それがよい。
 話し合いはもっと自由でよい。

・一斉指導のところで、隣の人と相談してごらん。これを普段からやっている。

・対話は人間の総合力。学級力。
 変わるものがなければ、対話ではなく会話。
 1回も発表しない子がいたがどうか?回数ではない。考え続けるかどうかが大切。それを見える化する。

・話し合いが上手な学級は笑顔。言葉がきつくなっても、笑顔。

・考え続ける人間を育てたい。次の授業までに家で調べてくる子を育てたい。

・掲示物は、最初は教師が作るが、最終的には子供がつくる。
 ほめ言葉のシャワーも必要なものは子供がつくる。
 それを許してやる。

・国語には絶対解と納得解がある。
  絶対解:やはり教える
  納得解:ある程度熱のこもった討論をさせる。
      そこで話し合いはおもしろいという経験をさせる。
      それが、絶対解の時に生きる。
 あいつが言ったら終わりだというようにしない。
 全体が仲良くなれば高まる。

・受験は団体戦だという人がいる。
それと同じで、個人戦みたいだけど、集団の質が高まれば、通常の教科の学力も上がる。
 見通しを持ってやっている。

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 これだけではよくわからないかもしれません。
ぜひ、第3回に参加してください。
 この会では、コミュニケーションゲームの紹介や、若手教師の実践発表もありました。
 個人的には、二人の実践発表に最も感動しました。
 主催されたみなさん、お手伝いのみなさん、そして参加されたみなさん、もちろん菊池先生。ありがとうございました。
 
 
3 国の借金  国民1人あたりで計算する意味は?
 国の借金:1053兆3572億円 国民1人830万円 という記事が載りました。
 ここから http://mainichi.jp/select/news/20150509k0000m020057000c.html

 国の借金が1人あたり・・・円というのは、金額の大きさを言いたいことはわかるのですが、社会科的には注意が必要です。
 ましてや、この金額を、「ギリシアやイタリア、ポルトガルより多い」と危機感を煽るのはナンセンスです。
 ギリシアなどのは、外国に借りた「ドル建て」の借金です。

 しかし、日本は、9割以上が国内から借りている「円建て国債」です。
 多くは企業や銀行、保険会社です。
 銀行の資金は国民の預金。
 結局、国民から借りているのです。

 だから、国民から借りている借金を、1人あたりいくらと計算することは、(社会科的には)意味がないのです。
 
 もう一つ。

 利子には20%課税されます。
 すなわち、国庫に組み入れられます。
 たかが20%ですが、借金が増えると利子収入も増えるのです。
 これらも踏まえて、説明すべきでしょう。
 
 もちろん、国の収支を改善することは必要です。
 借金の大半が社会保障費に流れる現状を理解させた上で、子供達に十分話し合わせたいものです。

 ユニバーサルデザインの資料

(1)ユニバーサルデザイン授業/京都府総合教育センター
 紹介ページはここ
http://www.kyoto-be.ne.jp/ed-center/cms/index.php?key=jomb8w5bf-179#_179

 全員参加型で、誰もがわかりやすい授業は、義務教育の基本中の基本です。
 そのノウハウを学ぶことができます。


(2)ユニバーサルデザインの視点を取り入れた授業づくり/山形県教育センター
  紹介ページはここ http://www.yamagata-c.ed.jp/%E7%A0%94%E4%BF%AE%E3%83%BB%E7%A0%94%E7%A9%B6%E7%AD%89%E6%A1%88%E5%86%85/%E7%A0%94%E7%A9%B6%E6%88%90%E6%9E%9C/%E7%A0%94%E7%A9%B6%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8/UD/

 配慮を要する児童生徒をはじめ、すべての児童生徒にとっての「わかる、できる」授業を目指し、「ユニバーサルデザインの視点を取り入れた授業づくり」について理解を深めることができます。
 「ユニバーサルデザインの視点を取り入れた授業づくり」が、授業改善や校内研究に向けてどのように活用できるか、その内容と方法を示しています。


(3)ユニバーサルデザインの視点を取り入れた授業づくりハンドブック/山形県教育センター
 昨日紹介した研究成果を、具体的にハンドブックにしたものです。

 ここからダウンロード
http://www.yamagata-c.ed.jp/%E7%A0%94%E4%BF%AE%E3%83%BB%E7%A0%94%E7%A9%B6%E7%AD%89%E6%A1%88%E5%86%85/%E7%A0%94%E7%A9%B6%E6%88%90%E6%9E%9C/%E7%A0%94%E7%A9%B6%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8/UD/
 とてもわかりやすくできています。


(4)ユニバーサルデザインによる通常の学級の指導/福岡県教育センター
  ここから http://www.educ.pref.fukuoka.jp/one_html3/pub/default.aspx?c_id=401
 学級担任等と、通級担当の両面からその指導法を紹介しています。

(5)ユニバーサルデザイン授業 実践事例集
 ここから http://www.edu.iwate-u.ac.jp/file/UDjissenjireisyuu.pdf
 きわめて具体的で、まさにユニバーサルデザイン的な書き方です。
(6) すべての子どもが「分かる」「できる」授業づくりガイドブック/高知県 教育委員会
  ここから http://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/311001/guide.html

(7)すべての子どもが「分かる」「できる」授業づくりガイドブック 実践事例集 Vol.1/高知県教育委員会
 上の実践事例集です。
ここから http://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/311001/files/2013050800313/file_201546112464_1.pdf
 

 お役立ち資料
(1)第2回ESD特別分科会配付資料
 ESDについての基本的な資料は網羅されています。

第1回ESD特別分科会 議事録
資料2 岡山地域におけるESD取組について(阿部委員) (PDF:258KB) PDF
資料3 多摩市におけるESDの取組について(清水委員) (PDF:2430KB) PDF
資料4 ESDの推進にあたっての課題の整理及び推進方策についての論点ペーパー(案) (PDF:228KB) PDF
ESD特別分科会設置要綱
ESD特別分科会委員名簿
参考3 ESDのさらなる推進に向けた取組(検討項目案) (PDF:69KB) PDF
参考4 ESDのさらなる推進に向けた取組(検討項目案)現状と課題 (PDF:2090KB) PDF
参考5 平成27年度予算主要事項からの抜粋 (PDF:499KB) PDF
参考6 現行学習指導要領での「持続可能な(社会の構築)」の言及箇所 (PDF:365KB) PDF
参考7 我が国における「国連持続可能な開発のための教育の10年」実施計画 (PDF:335KB) PDF
参考8 持続可能な開発のための教育(ESD)とユネスコスクールパンフレット (PDF:532KB) PDF
参考9 ユネスコ/日本ESD賞の国内公募について(報道発表資料) (PDF:554KB) PDF
  http://www.mext.go.jp/unesco/002/006/002/012/shiryo/1357388.htm

(2)生駒屋敷 歴史文庫

江南市小折町でかつて活躍していた生駒氏についてのサイトです。
ここから  http://www.ikoma-yashiki.com/
「お知らせ」として次のようにあるように、積極的に情報を発信しています。


2015年04月08日
歴史を説く 史乗管蠡に、「久昌寺領660石」を掲載致しました。

2015年03月17日
歴史史料のご説明に、「冨士塚碑銘(原文)」「冨士塚碑銘(書き下し)」「冨士塚碑銘(現代語訳)」を掲載致しました。

2015年01月06日
歴史を説く 史乗管蠡に、「生駒利豊の武功−続 富士塚の謎−」を掲載致しました。

(3)道徳教育の進め方 京都式ハンドブック/京都府総合教育センター
 ここから http://www.kyoto-be.ne.jp/ed-center/cms/index.php?key=joru2d0jt-177#_177 

 算数科  教材・教具集/京都府総合教育センター
  ここから http://www.kyoto-be.ne.jp/ed-center/gakko/syo_sansukyo.htm

(4) 性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について
  http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/27/04/1357468.htm