5 岐阜市立長良東小学校 校内拡大研究会 参加報告 布袋小HPより
29日(土)、岐阜市立長良東小学校 校内拡大研究会へ行って来ました。
岐阜市立長良東小学校は、江南市がモデルとしている学校です。一昨日の古知野西小学校にも、その影響がはっきりと見られました。
学校は、校長はじめ、教員集団が毎年変わります。しかし、そのたびに基本方針が大きく変わるのはよくありません。改善はよいのですが、方針転換は何より子どもが戸惑います。組織は、システムで動くべきで、人事異動に左右されてはいけません。
長良東小学校は、私の知る限り、この20年近く、方向性は一貫しています。大きな方針の中での改善は常に行われていますが、基本的に変わらないものがあります。
教師は個人テーマなので、大テーマのもとで、自分で理論を考えて、自由に実践をします。
それでも学校全体としての一貫性があるのです。
授業規律は全校が揃っています。これは、長良小学校も同じで、上級学校である東長良中学校でも維持されています。そのため、児童は、学級が変わっても安心して授業に臨むことができるのです。
だとしたら、江南市の学校もこうした基準となる学校にもたれればよいのです。それが、長良東小学校であり、東長良中学校なのです。
授業公開は3コマありました。
1コマ目は、初めに社会科を見て、そのあとは広く全体を見て回りました。
社会科では、スーパーマーケットの学習で、一人の人に視点を当て、惣菜を揚げる量からスーパーの工夫を探るものでした。視点がユニークです。教材研究の質と量の高さに驚きです。
その後、自習の学級を回りました。自習を見れば学級経営が見えるからです。
私は声をかけるようにしています。「この時間は何をやるの?」さすがに、どの学級の誰に聞いても答えることができました。高学年は、教師不在でも自分たちで意見をまとめていきます。長良小学校でも驚きでしたが、こうしたことが東長良中学校での生徒の姿になるのです。
体育館では、1年生の体育です。これも始まる前に1年生に質問しました。「今日の授業は何をやるの?」1年生は見事に「わくわく生き物ランドをやります」、「どんな生き物なの?」「虫です」としっかりと答えてくれました。
2コマ目は、6年生の社会科を見ました。
これまでの長良東小の授業とは異なる、人物にターゲットを当てすぎない、いわばよりオーソドックスな展開でした。しかし、深い。大日本帝国憲法が、当時の日本にふさわしいかどうかを議論するものでした。
児童は、多くの資料の中から情報をつないで自論を組み立てていました。誰もがしっかりと答え、それに対する教師の反応も常に温かく、プラスのエネルギーを与えるものでした。
その内容は、普通の中学校2年生の授業よりも高いもので、分科会の意見にもあったように、もっと時間をとってもやっていけるような内容でした。
ただただ恐れ入りました。
3コマ目は、4年生の社会科で、東濃ヒノキを守るNさんに焦点を当てた授業でした。
「特色ある地域と人々の暮らし」の狙いを外すことなく、地理的な視点も入れながら、やっていることは中学校公民のまちづくりのレベル。深い教材研究に、児童も十分理解して討論していました。
途中で抜けたハンドボールでは、ミニゲームの後の振り返りを、タブレットの動画を見ながら行っていました。そのリーダーの言葉は、まるで部活動のコーチ。要領を得た的確なアドバイス。驚きました。
音楽もユニークで理科室もダイナミック。よい刺激になりました。
その後は、教科別に分かれて全体会と分科会。
この分科会が長良東小学校の最大の特徴です。これを見ないと損です。
正直、レベルが高すぎて、ついていけないような議論も出てきますが、あの2コマ目の非の打ち所のない授業に対しても、OBの先輩が次々に指導をしていきます。毎年来ているのですが、ここに来ると、自分の非力さを痛感します。だから毎年来るのですが・・・。
今年もたくさんのお土産とエネルギーをいただきました。
6 古知野西小学校 研究発表会 参加報告 布袋小HPより
28日(金)、江南市立古知野西小学校の研究発表会へ行って来ました。その個人的な感想を記録しておきます。
子どもたちの心の距離が近い
古知野西小学校のキーワードは、「9年間」です。西部中学校には、古知野南小学校区の赤童子からも通学しますが、大半は古西小の人間関係がそのまま維持されて進学していきます。9年間、集団が維持されるのです。
これはメリット・デメリットの両方を兼ね備えます。もし、人間関係で致命的な関係を負うと、中学校卒業まで響くからです。しかし、今回見た授業では、グループの活動が、どの学級も自然にできていました。これは、スマイルアップ研究グループの成果でしょう。
丹葉地区は、全国的に見ればQ−Uの先進地です。江南市も公費で予算化され、効果的に使われています。丹葉地区の学校で生徒指導上の問題が減少したのは、Q−Uの普及も少なからず影響していると思います。
学びスタイルが生きている
全体会で紹介のあった「学び集会」の成果が具現化されていました。社会科では、複数の資料を指示棒でつなぎながら論を組み立てる姿が見られました。自然に話し手を見て共感しながら聞く、みんなを見ながら話すというスタンダードは。定着していました。1年生が、しっかりやろうとする姿は印象的でした。
学びスタイルは、「いただきます」のようなもの。何も考えずに、自然にできて力になるのです。定着すれば、授業が崩れることはありません。西部中学校でも、ぜひ同じ方向で進んでくれればと思います。
授業のデザインが共有されている
毎年2校ずつ丹葉地区の研究校を見ます。それ以外を含めても、年間、数多くの授業を見ています。それを踏まえても、今回の授業はかなり上質でした。教師の語り(口調・声量・表情・間)、児童とのやりとり(問い・待ち)、立ち位置、目線など、みなさんが高いレベルでした。
教材も、特に発表会だからと奇をてらったものはなく、オーソドックスなものでした。それでよいと思います。
例えば、社会科でも、授業イメージが揃っていました。いわゆる「長良流」としましょう。ある共通のモデルに合わせることは、とても早道であり、有効な手法だと思っています。授業理論・それに伴う授業スタイルは、世の中にはたくさんあります。教師によって全く異なる授業スタイルは、子どもにとって迷惑千万。そうではなく、そろえるところはそろえて、教材研究で個性を発揮すべきです。取り上げるネタ、発問、資料、の収集・選択・開発に時間をかけるべきです。その方が、教師にとってずっと楽です。
その意味で、今回のように授業スタイルが共有されていると、誰もがやりやすくなります。
意見がつながっているか
昨日は、岐阜市立長良東小学校で授業を1日見ていました。古知野西小学校のスタイルと(当然)似ているのですが、違うとすると意見のつなぎ方です。
長良東小学校は、教師の意図的指名です。形は手を挙げている児童を指名しているのですが、実は、教師は児童が何をいうかほぼ分かっています。そのために、意見がつながるように、時には反対意見が出るように、有機的につないでいきます。児童も、「○○さんに似ていて、」「○○さんと違って、」のように、前の意見との立場の違いを述べてから発言します。だから聞いているのです。
古知野西小学校は、相互指名が多かったように思います。相互指名は、形は美しいのですが大きな問題があります。意見の中身がつながらず、単発の発表会になる。手を挙げないけど意見を言ってほしい子が言えない。簡単に言えば、全員参加型が難しいのです。そうでなくても、前の意見に関係なく自分の意見を言っているという感がぬぐえませんでした。
6年1組の社会科の授業では、最後の方で先生が意見をつなごうとしていました。それが、子ども同士でも自然にできるとさらにすばらしいと思いました。
丹葉地区の学校のレベルは、20年前を思うと、大きく向上しています。これからも、こうした機会を利用して高め合っていきましょう。
全体会での真島先生の講演は刺激的でしたね。