第8回 社楽の会報告 第7回へ 第9回へ
報告者 布袋中 土
井
8月10日(水)5:30〜9:10,三勝(古南小北)にて第8回の社楽の会を開催しました。参加者は,土井,木本,尾関,滝口,栗林,川井,高橋,多和田,大薮,日比野(敬称略)の10名です。
☆ まず,土井より「愛知県社会科公立入試問題の徹底的研究」の紹介です。学校での夏休み学習会で行ったもので,過去14回分の問題を分析し,対策を示してあります。
具体的には,歴史は年号(年代の理解),地理は地図へのキーワードの位置づけと最新の統計の把握,公民は三権の内容と関わり,経済のキーワード,国連の機関をやれば,ほとんど大丈夫ということが,実例をもとに解説してあります。興味がある方は,一度じっくり問題を解きながらお読みください。
前回(暗記術)もそうでしたが,これも「塾みたい」かもしれません。しかし,私はこう思います。知識の整理の部分を要領よくやれば,それにより浮いた時間で調査活動などをさせる時間が生み出されます。知識の定着を図りながら,本来社会科がめざす授業に近づけることができるのです。
また,私は塾には負けたくありません。親が,「塾に行かないとダメだ」と思うこと自体,学校の力不足を表しているのです。自分が教えている生徒には,「社会だけは塾へ行く必要がない」と言わせたいといつも思っています。
☆ 多和田先生からは,前回紹介があった「天下統一をしたのは誰か」に関する,カルテ(サブノート)の紹介がありました。付属中の奥田先生の実践だそうです。
( )内に記入させることで,必要な知識が効果的にまとめることができそうです。それを出発点として,自分の考える信長・秀吉・家康の調べ学習を始めるのでしょう。自己評価の欄もあり,概ね好評でした。
ただ,テーマは「天下統一をしたのは誰か」では信長の根拠が弱いため,「戦国時代を終わらせたのは誰か」の方が討論が盛り上がるのではないか,という意見が出されました。ただ‘戦国時代’の解釈により意見が分かれるため,意見がかみ合わなくなる恐れがあるかもしれません。
いずれにしろ,このような実践はどんどん紹介し合い,追試していきたいものです。
☆ 高橋先生からは,有田和正氏の講座「環境教育をどう進めたらよいか」の紹介でした。実際に,答えを自分で考え用紙に記入しながら,解説を聞きました。
授業化への視点として,@身の回りを見直すこと,A子どもの常識をくつがえすこと,B明るく希望のもてるものはなるほどと思いました。@の教材例としての自動販売機,Aの例としての河川敷が川の浄化作用を弱めたことなどはとてもおもしろいネタだと思います。
さらに,環境科学研究所所長・久保添氏の論文「環境教育を考えるための視点」はとても興味深いものでした。美徳とされているリサイクルが,環境公害を起こすのではないかということを,再生紙と飲料缶を例に述べています。
結局,牛乳パックもアルミ缶も,使わないのがもっとも地球に優しいのかもしれません。それに変わる再生可能の容器の登場が待たれます。
☆ 尾関先生からは,富山大学付属中の研究発表より社会科授業「中部地方と関東地方」の紹介がありました。富山県の近未来を生徒がシュミレートして発表するもので,何となく私たちと発想が似ています。
「東京が死滅する日」は,未来の東京にやってきた人が体験することをビデオにまとめています。
紙芝居「富山と石川が合体したら」は,十分あり得る話です。
朝のニュースでは,2OOO年の富山を想定して作ったニュース番組です。
テレビ番組「国際都市富山」は,解説者のジョージが外国人へインタビューするものです。
いずれも,生徒はいきいきと楽しく活動したのではないかと想像されます。このような,遊び心たっぷりの実践は,個人的には大好きです。
☆ 滝口先生からは,教科書・指導書の紹介がありました。そして,今回の環境の実践は,工業単元の「4 工業生産と公害」「5 これからの工業」で考えていこうという話になりました。
公害防止とリサイクル,そしてそのための企業努力を追い,最後には‘地球に優しい工業’についてみんなで話し合っていこうという内容です。これについては,次回には詰めていきたいと思います。
☆ 大薮先生からは,「課題の進行状況はどうですか?」という生徒向けの案内文,身近な地域の調べ方の流れの提案がありました。
前者は,「犬山市が独立国としていくためには困ることは何だろうか」という視点で,犬山市を見つめ直していこうというもので,先生の思いが十分伝わってきます。生徒が,この思いを受けとめてくれればと祈らずにはいられません。
調べ方が,具体的に示されていることが良い点です。
身近な地域の調べ方では,9月22日の‘犬山市長に対する犬山市未来の町づくりの発表’に備えて,日程が逆算して考えられていました。
メインは第3時の「犬山市が独立することはYESかNO」の討論で,結論はどうであれ,討論の過程で多くの問題が提起されそうな気がします。
☆ 最後に川井先生から,木曽川町が行っている野府川の水質調査の結果,町が出しているパンフ「きれいな川やあおい海をこどもたちに―生活排水を考える」「ふるさとの川づくり」の紹介がありました。
水質調査は,町が業者に委託して行っているもので,めったに手に入らないものです。
環境基準に照らし合わせると,類型Eで,6段階の6番目(すなわち最もきれいでない)という結果でした。また,町に近づくにつれて汚れていることもわかります。
とにかく,調査の内容など自分の知らないことばかりで,とても興味深い内容でした。
問い合わせは 土井謙次 syaraku@tcp-ip.or.jp