第9回 社楽の会報告     第8回へ    第10回へ
                                  報告者 布袋中 土 井

8月22日(月)5:30〜8:50,三勝(古南小北)にて第9回の学習会を開催しました。
参加者は,土井尾関滝口栗林,多和田,大薮日比野勝村熊木,高田,野呂,大島高木(敬称略)そして和田先生,特別ゲスト山田信夫先生の15名です。
 
 今回は,わざわざ山田先生にお越しいただきました。また,水野皓司先生,滝誠先 生からは,社楽の会に対してあたたかい励ましのお便りをいただいたことを報告いた します。
☆ 最初は,熊木先生から,教育課程研究集会のレポートの報告です。与えられたテーマは「3年間を見通した各分野の指導計画の作成と学習指導,評価の工夫改善をどのようにすればよいか」というものです。熊木先生は,社会科の改定の柱を落とすことなく次のようにまとめています。
 (1) 各分野で新設された項目や改善された項目の教材開発や学習指導,評価の工夫プリント学習で意欲化を図り,自己評価を取り入れ,発表の機会を増やす
 (2) 下限を越えて授業時数を設定した場合の補充や深化の学習の位置付けについてPKOなどの大きな話題を取り入れ話し合いを深める
 (3) 適切な課題を設けて行う学習,作業的,体験的な学習をはじめとする生徒の主体的な学習を促す指導と評価について
 課題学習を東北地方で行い,米を中心に農家と行政の2方向から考える
 (4) 選択教科「社会」の設置と学習指導,評価の工夫について
    自らテーマを設定し,現代史や政治経済,木曽川や愛知県などを探る

☆ 続いて,尾関先生からは,ハワイのおみやげ,真珠湾「USSアリゾナ記念館」のパンフをいただき説明を聞きました。「広島のようだった」という言葉が印象的でした。 日本人が広島に対する思いと同様,アメリカ人は真珠湾に対して思い入れがあるのでしょう。ヒロシマを世界に広めたいのなら,日本人はもっと真珠湾や南京を訪れなくてはならないのかもしれません。

☆ 土井からは,自作スライド番組「輪中に生きる人々」の紹介です。前任校(布袋小)ではいくつかこうしたものを作ったのですが,いつのまにか行方不明になってしまっていました。今回,たまたま発掘?できたので,紹介し,記憶にとどめていただきたいと思います。(これは昭和60年の作品です。今では貴重な写真もあります。)
 自分は,構成・脚本・音楽・写真を担当しましたが,やはり取材をしている時が最もおもしろく,このスライドを作る過程でも,多くの人と知り合うことができました。そこで得た知識こそが,授業での脱線話,児童・生徒にとって生きた知識になっているような気がします。
 みなさんも,かつて作った‘うずもれた資料’をぜひ紹介してください。もし,授業で役立てることができましたら,その資料も喜んでくれると思います。

☆ 大島先生からは,「東南アジア」の単元構想と学習メモの紹介です。
大北中は,昨年までセンターの協力校ということで,単元構想の柱を〔意識の高まり〕〔学習意欲〕〔意識の掘り起こし〕の3本とし,どの教科でも取り組まれたそうです。 私は〔意識の高まり〕と〔学習意欲〕の関係が今ひとつ理解できなかったのですが,生徒の学習意欲を中心に持ってくるこの流れは有効だと思いました。

☆ 高木先生からは,第4回で報告があった伝統工業の授業の実践を,教育課程の研究集会用に直したものの紹介がありました。「みなさんからいろいろ意見をいただいた」内容が聞きたいところです。
 冒頭で少し紹介した滝先生のお手紙には,「それがすべてだと思い込まないこと。受け入れる目と批判する目の両眼を持ち併そう」という御助言がありました。肝に銘じておきたいと思います。

☆ 高橋先生からは,すごいレポートをおみやげにいただきました。『「感性」って何?』というもので,今さかんに使われる「感性」について,国語辞典や哲学事典,学者の言葉などから追究したものです。
 私も,以前から「感性」は教師の重要な‘資質’だと思っていました。しかも,ある程度努力で磨くことはできても,やはり天才(というよりこれまでの生活経験の積み上げ)の部分が大きいとも考えています。みなさんは,どうお考えでしょうか?一度,このテーマでじっくり考えてみたいものです。

☆ 
次に,テーマ「個の追究意欲を高め,追究意欲を育てる授業実践」の確認しました。また,望ましい児童・生徒の姿として,第4回に出しました次の確認もしました。
 ○知的好奇心に満ち,身近な事象に問題意識を持つ 
 ○意欲的に課題に立ち向かう
 ○これまで身につけたいろいろな方法を駆使して,工夫して解決できる
 ○知的な成就感を得る (以上を 自己実現の姿ととらえたい)
 次に,第1回に提案した手だての確認をしました。
 山田先生から「特に支援が必要な児童・生徒を位置づけた指導過程」の表現は誤解を受けるという指摘がありました。もっともで,もっと意図がよく伝わる表現を考えなければなりません。

☆ 勝村先生から,環境教育のための児童向け参考文献の紹介がありました。環境に関する資料は,本当にたくさんあります。そこから,何を選び,どう料理するのか,ネタの料理人としての教師の腕が問われるところです。
 また,環境団体関連リストの一覧もいただきました。私は,本で調べるより,こういった団体に問い合わせる方がより高度だと考えています。理由は,追究する方法を学べること,実社会により近づくことができることです。

 滝口先生からは,児童への具体的支援の紹介,授業の予定を示していただきました。
 具体的な支援では,酸性雨測定,大気補集管設置,野府川水質調査など具体的な調査を児童と取り組まれています。調査を体験した児童はどう思ったのでしょうか。感想が楽しみです。23日には,美濃市の小川産業(再生紙工場)へ見学に行くそうです。

 日比野先生から,朝日新聞の製紙会社の広告を紹介していただきました。紙の原料は50%の古紙と使い道の少ない廃材だということです。

☆ 
大薮先生からは社会科に対する意識調査の紹介をしていただきました。個を把握する有力な手段のひとつです。この結果,二人のKの次のような姿が浮かび上がりました。
〈成績優秀,しかし社会科が嫌い,調査は面倒,話し合いは時間つぶしでしかない〉
私は思います。彼らのために,がんばろうではありませんか。社会科を好きにさせてあげたい,本当の楽しさを教えてあげようではありませんか。

☆ 栗林先生からは,「工業学習に環境問題を取り入れた授業試案」の提案です。栗林先生は,高い授業の構想力・構成力を持ってみえます。少しでも近づけるよう,みんなで学びたいものです。
 「工業生産と公害」で空気・水のグループを,「国土保全」で動植物・森林グループを活躍させるのは理にかなっています。また,「自分達でできることを考える」「プラス思考で,これからの工業のあり方を考える」ことは実践に移しましょう。

☆ 最後に山田先生から,横浜の開港資料館でのペリー来航に関する資料(特にTHE ILLUSTRATED LONDON NEWSHAは初めて見ました),故杉原千畝氏についての新聞記事,箱根の関所通行手形文書を紹介していただきました。「古文書を読めることで,生徒の先生に対する見方を変える」というお話をいただきました。
 さらに,社楽の会に対する御助言をいただきました。ありがとうございました。
 

      問い合わせは 土井謙次  syaraku@tcp-ip.or.jp