2008.2.21

軍隊は国を護るのが任務であります。でありますからして、国民を護るのは軍隊の任務では無いのであリます。昨日野島崎沖で、マグロはえ縄漁船を踏んじゃった軍艦愛宕も、国を護るのが任務であります。でありますから、体力の衰えを感じたオヤジが、やっと仕事を継いでくれる気になった小僧に、人には教えないマグロのポイントを、朝の暗いうちに教えようとしているのなんか、知ったこっちゃ無いんであります。艦橋の見張りも、国を護るための見張りでありますから、浦賀水道に入ってズータイばかりデカいコンテナ船とか、游漁船の木っ端船で渋滞する中を、おとなしく横須賀まで航行しなければならないので、少しはうたた寝をしておかなくてはならなかったのであります。

それにしてもタイミングが悪かったのであります。昨年の今頃ならキムジョンイルがミサイルをぶっ放す、ということで国防意識にマキをくべておった頃なので、軍艦が木っ端舟踏んじゃった、なんてのは新聞にバレても一行か二行だったでしょうが、今回は上海で女をあてがわれて、イージス艦のシミツを、敵にバラしてしまったバカがいたのが、バレた後なので、海上自衛隊は気合い入れを食らう、バッドタイミングだったのであります。いや国民の皆さんはどーでも良いのですが、これで米軍の最新鋭ステルス戦闘機F22を、売ってもらえなくなっちゃった、とお怒りの偉い人がおるからなのであります。

米国にしても海兵隊のモットーだか陰口だかは "First to Go, Last to Know" なんだそうで、戦地で殺し合いをやる前に、通りかかった女子中学生にまたがって気合いを入れる、なんてのはモットーに従っただけなのですが、戦争なんて知ったこっちゃ無い、というオバサン達が騒ぐのであります。軍隊は国を護るのが任務で、国民を護るのは軍隊の任務では無いのであリますから、敵が上陸してくれば足手まといになる住民は自決してもらい、軍は次の作戦行動に移るのが当然なのですが、そんな当たり前のことに、いちゃもんを付ける人々がいるのも困ったことであります。

もっとも米国では、ハワイ出身でオバマ候補と同郷という和多田陸軍大尉が「天に代わりて不義を討つ」んじゃなきゃイヤだ。と「日本陸軍」の伝統に則って、全米国陸軍を相手に士気高く、一歩も引かないで居るのは頼もしい限りであります。

200年前にはフランスで革命やらがあり、それまで戦争と言えばオサムライさんがやるものだったものを、ナポレオンとかいう隊長さんが「国民を護る国民の軍隊」というキャッチフレーズで、数年間にわたってヨーロッパを荒し回ったのでありますが、しまいに隊長サンが「朕は国家なり」などと言い出して、元のモクアミとなり、19世紀いっぱい戦国時代が続いたのであります。しかし19世紀にはまだ大量破壊兵器の開発も始まったばかりで、「家元の許しも得ずに大量破壊兵器を持とうなど、悪いヤツだ。」とインネンをつけて他国に攻め込む輩も居らず、隣村からガキをさらってきては、カラシニコフを持たせて、殺人機械に仕立てる酋長さんも居らなかったので、現代よりは大分ノンビリしていた、とも言えるのであります。

我が国でも「今度天朝様と公方様が戦争をやるんだってナー」と、現今の暴走族の立ち回りを見物するような気分で、戊戌戦争を眺めていた庶民も、「文明開化」と「神国日本」と「富国強兵」をごちゃ混ぜにして狂奔するうちに、「命有ってのモノダネ」という「犬死」思想はどこかへ吹っ飛んでしまったのであります。

中国にも同じ様な「中華帝国思想」旺盛な方は居るようで、1月16日には軍装に身を固めて、靖国神社に参拝しようとした、元大日本帝国陸軍憲兵隊員から日章旗を奪い、割って入った隊友を突き飛ばした中国人がおったそうです。時代が時代なら、その場で軍刀の餌食なのですが、外務省は某方面の顔色をうかがって弱腰なのは、言語道断なのであります。日章旗と旭日旗を持った方々は,どうせなら軍装のまま、重慶のサッカー競技場にお出かけになれば,実戦の相手には事欠かないのであります。

軍艦愛宕漁船踏んじゃった事件を見ても、国民を護るのではなく、国を護るのが任務でありますから、「自衛隊」というのは「国衛隊」とした方が体を良く表しているのではないでしょうか。どうも日本では肝心な時に「国」という字を使うのが、はばかられる様な気がします。地方行政機関にしても、漢字の国・中国では英語の "government" そのままに、「上海市政府」などと呼ぶ様ですが、日本では「自治体」と称しています。戦前の内務省は自治省であり、国の下請け・弾除けが自治の実態なのか、日本国は自治体ではなく他治体なのか、はたまたどこかの植民地なのか、ということがよく解るのであります。

上の絵は昭和12年12月刊、川瀬巴水画伯の「かちどき」でありますが、皇国教育をしっかりと身に付けて溌溂とした東亜の青年諸君と、戦争の実相に精通した隊長殿が、中国大陸の地平線を眺めて、ちょっとヤンナッチャッタところが、見事に書き分けられていておるのであります。