第127回 社楽の会報告    第126回へ   第128回へ
                                  報告者 木曽川東小 土 井
 2000年3月9日(木)布袋北学供にて,第127回社楽の会を開催しました。参加者(勤務校)を紹介します。
 土井(木東小),高橋先生(木東小),奥村先生(藤里小),勝村先生(犬山中),尾関先生(江北中),木本先生(布袋小),岩井先生(大北小),野呂先生(岩倉中),山田昌宏先生(古東小),川井先生(犬南小),水野先生(黒田小),川端さん,ゲストの佐々木正さんの13名です。

☆ 前回のゲスト、愛知県議会議員、奥村悠二氏・藤川政人氏よりメールが届いています。ここでは、藤川氏のメッセージを紹介します。 

先日は、突然お邪魔いたしまして申し訳ございませんでした。
また、早々にメールまでいただき恐縮しております。

「教育」とは、その必要性を誰もが認めるものである反面、それを実践するということは本当に難しいものであると思います。
誰が誰を教育するのか?
「教育者」とはいったいどういう人なのか?
明治維新の時代、そして敗戦後の混沌とした中にはおいては、、新しい時代に対応するため、そして自らの豊かな生活を手に入れるため、人々は教育の場を求め、「学習」を怠りませんでした。
「学習」するという努力をしなくてもある意味での豊かさを手に入れてしまった現代において、「教育」は本当に難しいものであると思います。

「教育者」として自ら「学習」するという努力をされている皆さん方のお姿に接し、とても感動いたしました。今後も頑張ってください。
                                                     藤川政人
☆ 土井より、便利Webページを紹介しました。
(1)愛知県教育委員会のページ
http://www.webhits.co.jp/start/meta/search.cgi 
教育方針、生涯学習、国際理解、学校一覧などのほか、愛知の文化財探訪のページがある。
(2)タウンネット・コム アジア:日本
http://www.townnet.com/world/asia/japan-j.html 
日本紹介のページ。外国人向け紹介や地域情報リンク集もある。日本地理の学習や国 際理解でも使用可。
(3)住まいのお手入れ
http://kurashi.hi-ho.ne.jp/house/cleaning/index.html 
改装・修繕・掃除にはやり方がある。経験豊かなおばあちゃんの知恵やプロのノウハウを凝縮。
(4)食の教育
http://www.sannai.gr.jp/food/ 
これからの子ども達の健康と、未来のために『食』について学ぶページ。
(5)健康度チェック 
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/thi/thi.html
webで診断できるページ。
(6)学びチャンネル
http://www.infoseek.co.jp/17?tid=17&col=JT&svx=31&lk=noframes&sf=1
これは使えます。infoseekのなかのチャンネル
(7)江戸三百藩HTML便覧
http://www.asahi-net.or.jp/~me4k-skri/han/hantop.html
今回のおすすめ!石高や歴代藩主など詳しい。
(8)Eスクエア・プロジェクトのリニューアル実験ページ
http://www.cec.or.jp/e2/
いろんな広場が紹介されています。
(9) 宗教関係リンク集
http://www.jtvan.co.jp/link/ 
見ているだけで、勉強になります。
(10)検索デスク
http://www.searchdesk.com/
逆リンクも調べられるようです。すごいサイトです。

● 理科関連HPの続報です。河野晃さんよりメールが来ましたので紹介しました。
 パワーアップしたHP集Ver.2が届くのが楽しみです。詳しくはここ。

● 第39回愛知県教育センター研究発表会記念講演
 演 題 「総合的な学習にどう取り組むか −納得と計画づくりと−」

           講 師 国立教育研究所教科教育研究部長 中 野 重 人 氏
講演の内容はここをクリック!

● 書籍紹介です。超おすすめです。
(1)『〈神道〉のこころ』葉室頼昭(春秋社)\1,800 は久々に感銘を覚えた本です。
著者の葉室氏は、医学博士で36歳で病院長、41歳で形成外科病院を開業するかたわら、東洋医学にも関心を持ち、鍼を実際に治療に活用しています。さらに55歳で大阪国学院通信教育部に入学し、神職で最高階位の明階を取得されました。そして平成6年には春日大社の宮司になりました。その葉室氏に対して、平成9年にインタビュー形式で読みやすくまとめられたのがこの本です。 
第1章は医者から宮司になった葉室氏の半生が語られています。
第2章では、「東洋医学のふしぎ」として、鍼治療に始まり、宇宙の仕組みと命のバランスについて語られています。特にこの章が圧巻でした。
第3章では、「神道のこころ」として、神道を中心に古来から日本に伝わるものの良さについて語られています。
  第4章では、「素白の心・宇宙のいのち」として、自然の本当の姿について語られています。共生の本当の意味が分かった気がしました。
  編集者のインタビューに答えた平易な表現ながら、内容は崇高な宗教書・哲学書になっています。

(2)ぼくにはまだ一本の足がある』詩 周大観/著 宋芳綺/編訳 千島英一
(麗澤大学出版会)\1,400 は久びさに泣けた本です。台湾・香港で大ベストセラー、ディズニーでアニメ化されます。
 周大観は、天才でした。3歳で『千字文』『三字経』をすらすら読み、5歳で唐詩三百首、四書等を暗唱できたほどです。しかし、8歳で小児癌が発病、右足を切断、9歳6ヵ月でその短い命を終えました。
 彼は、癌と闘いながらも、42編の珠玉の詩を遺しました。また、その生き方は、本当にすばらしいものです。
 彼が自分の病状を知った後に書いた遺書は次のものです。

  パパ、ママ、弟よ。ぼくが死んだら、ぼくががんばって癌と闘ったことを、他の癌に罹った子どもやその両親に伝え、彼らに勇気と強い意志を持って癌の病魔に立ち向かってくださいと伝えてください。

 そして、初めて両親の前で涙を流します。
「パパ、ママ、ごめんなさい。ぼくはもう親孝行できなくなっちゃった。」
 その後も、詩に屈服しない詩を遺します。
 病院内の大観の病状についての会議にも、自ら希望して出席しました。最後に、次のように発言しました。
 「ぼく、もうひとこと言いたいんだ。先生、看護婦さん、これまでぼくのお世話をしてくれてありがとう。みなさん、一生懸命にやっていただきました。だから、ぼく、みなさんにお礼が言いたいんだ。」
自分のために真剣に討論してくれた医師たちにお礼を言ったのです。
 その後も生存への希望を捨てませんでしたが、「ママ、ぼくはパパとママが大好きなんだ。ぼくは本当に、パパ、ママ、上観(弟の名)と別れるのが辛いんだ。もし、ぼくが逝ってしまったら、きっとまたぼくを生んでちょうだいね。」と母に抱きついた日を最後に、息を引き取りました。
     
 ベートーベンは両耳が聞こえなかった
鄭龍水は両目を失明した
 だけど、ぼくにはまだ一本の足がある
地球の上に立ちたいから

 ヘレンケラーは両目を失明した
 鄭龍水は両足が不自由だった
 だけど、ぼくにはまだ一本の足がある
 美しい世界を歩き回りたいから

● PTAコンピュータ講座用Webテキスト
2月28日に行った、PTA対象のコンピュータ講座で使用したWebテキストです。 社楽のホームページからも入れます。
ここ をクリックしてください。

● ゲストティチャー甲斐裕美さんの「死」を考える授業
MMからの情報です。ここでは、甲斐裕美さんの紹介をします。
 甲斐さんは、大学卒業後機械メーカーに勤務のかたわら、休日にホスピスで、本の読み聞かせなどのボランティアを行い、また、「生」と「死」をテーマにした作品を書き続けました。5年ほど前から全国の小学校を訪問して、上学年を対象として「死について考える授業」を行っています。『ゆたかな命のために−ホスピスで出会った生と死』を偕成社より、絵本『ロン』を新風舎出版。

 4年生を対象に甲斐裕美さんがゲストティーチャーとして授業をされた報告を紹介しました。個人的にも、生と死を見つける授業は、とても重要だと思っています。

 情報発信者は、成田幸子さん(文溪堂・準教科書編集グループ)TEL03-5976-1512
E-mail:pitan@bunkei.co.jp

● CD−ROM紹介 人々の生活と環境−日本− 帝国書院 \18,000
テーマごとに画像と音声で説明され、充実しています。4,5年生、中学生の学習につかえます。
 
● 第48次 日教組教育研究全国集会 社会科リポートを読む(その1)
全国集会の社会科部会で提案されたレポートを5点紹介しました。
 
1 北海道のアイヌ学習 赤平市の実践 菊地直人 北海道
地域で複数の学年で実践している。北海道でのアイヌ差別に対する教師の意識の高さを感じた。しかし、児童にはどこまで差別意識があるのか疑問である。以前より差別教育については、「無知からくる差別」と「寝た子を起こすな」の論争がある。差別の理不尽さは教えなければならないと思うが、アイヌ差別については、実態以上に神経質になっているようなきもする。
 どんな指導・授業を行ったのかが書かれていないのは、レポートとして不十分である。
2 ごみ問題を考える 小野寺順子 岩手県 
体験的活動・表現活動に取り組んでいる小学校4年生(15時間完了)の実践。地域のゴミ拾いから、ゴミの行方を追い、ゴミ新聞にまとめている。最後は、ドイツのゴミ処理の現状をVTRで見て、これからのゴミ処理のあり方を考えている。よくある実践であるが、一つのスタイルとして定着してきたのではないか。
3 「楽しく印象に残る教科指導について。社会科教育への一考察。」テーマ学習・平和学習・タイムリー・視野を広げよう・夢を語ろう 北島亨 岩手県
 普通科・農業科・福祉科のある高校での、脱・暗記教科を目指した実践。時事問題を生かしたインパクトのある導入、記述式の試験をめざしている。
 小・中学校とは、かなりの開きを感じた。
4  討論・リポートによる授業づくり 鈴木昭彦 山形県 ○
討論の技術の向上に的を絞った実践で、具体的でわかりやすい。討論作文など、参考にしたい。実践例では、小学校6年生の明治の世の中、長く続いた戦争を扱っているが、小学校高学年から中学校まで実践できる。
5  戦争に反対した人々 子ども達は15年戦争をどうとらえたか 平山正之 宮城県
小学6年生による15時間完了の実践。映像資料を豊富に用いて、聞き取りを組み合わせて戦争の流れを指導している。その手法に目新しさはなく、また、平和教育の視点も弱い。
6  児童が主体的に取り組む社会化学習を目指して 倉持貴子 茨城県 ○
スタディノート(掲示板、メール、データベース)やインターネットを使った小学校5,6年の実践。
   
☆ 本日のゲスト、佐々木正先生のお話をうかがいました。佐々木先生は、公立小・中学校、養護学校の教員を24年勤められた後、かねてからの志に従って農業に転職されました。無農薬・有機農業を始められ、もう8年になります。
 つぎに、うかがった話の一部を土井が理解した範囲で紹介します。
・ ここ10年は有機農業がブームになっている。しかし、日本人がずっとやってきた農業
・ 昭和30年代、高度経済成長期が始まり、36年には農業基本法が制定された。これは、それまでの、複合経営(家畜飼育と農業を組み合わせた小規模農業)から単一経営(家畜と切り離した大規模農業)になり、それぞれの農家が大規模化し、効率的になり、余った人を工業へまわすための法律だった。それ以後、農薬・化学肥料の使用が大幅に増加した。
・ 米は、稲熱病(胞子で増える)にかかると焼いていたのが、農薬で抑えられるようになった。養鶏農家などの畜産農家は、排泄物の処理に困るようになった。
・ それ以後、農地が死にかけている。有効菌もなくしているので土壌が悪化している。水や土が汚染され、人体への悪影響も多い。
・ 有機農業は手間がかかる。しかし、だめになった土を戻すのには時間がかかる。最近、若い人に新しい農業をやっていこうという動きがあるのは希望が見える。
・ 自分は、市場に卸すのではなく、顔が見える農業をめざして、130軒ぐらいを宅配している。また、中学生にも体験学習に畑を開放している 。将来は、小・中学生対象の農業体験教室もやりたい。

● ここで、「雑草は抜かなくてもいい」『農薬を使わない野菜作り』JICC 徳野雅仁 \1,800 を紹介していただきました。次のような内容です。
 雑草が土に養分を蓄積し、小動物を育む。病害感染も防ぎ、土砂の流出もなくす。中耕も不要になる。作物の日照を妨げるほど成長したものは、根を残して刈り取り、根本に敷くだけでよい。乾燥害、地温の上昇を防ぐ。虫害も雑草があれば少なくなる。

● 次に、「食べられる野草」を紹介していただきました。出典は『野の図鑑「春の野あそび」』大日本図書 おくやまひさし \1,800
 「田畑や市街地の植生」『江南市史 近現代編「自然」』より紹介していただきました。
● 最後に、佐々木さんの畑の様子、身近な野草をスライドで紹介していただきました。

 山田先生より、国際日本文化センターの先生が、小学校に授業をしにやってきた を紹介していただきました。「国際日本文化センター」通称日文研は、国際的・学術的研究を目的に、昭和62年に設立された国立の総合研究機関だそうです。ここの教授陣は、それぞれの分野で世界的権威のある人ばかりです。
 その隣にある、京都市立桂坂小学校の村田喬子校長先生が、日文研所長の河合隼雄京都大学名誉教授に「日文研の先生方に小学校で授業をしていただきたい」と申し込まれ、前所長の梅原猛氏をはじめ、多くの教授陣の賛同が得られたそうです。
 そのあたりのいきさつと授業の様子が次の本に書かれています。

 『小学生に授業』 河合隼雄 梅原猛 小学館文庫 \514

 平成8年度から始まったこの試みですが、平成10年度から11年度にかけての授業内容を見ることができます。
ぜひご覧ください。ここ

● 次にリンゴの苗を紹介していただきました。昨年度から交流を続けているJAみなみ信州から送られてきたもので、ふじ8本と王林4本です。リンゴは他品種の花粉の方が結実が良くなるために2種類あるのです。
 リンゴの実がなるのが、今から楽しみです。

● 次に、「青木川を汚さないで」の新聞記事(2月11日中日)を紹介していただきました。
洗剤を使わなくてもいいアクリルたわしを作りアピタの前で配った班、台所の排水溝に置いて水を浄化する竹炭を作った班、川に掲げる看板作りの班の活動が紹介されています。

● 第2回「教科」や「みずき」に役立つホームページの紹介をいただきました。これまでに社楽の会で紹介されたものをはじめ、学習に役立つ59のWebページが紹介されています。

● 農文協の吉井さんから送られてきたVTR「21世紀を拓く食農教育−自然・農業・食べ物・身体・心 みんなつながっている−」1・2・3・8巻 企画 日本教育新聞社 農文協 紀伊国屋書店 を紹介していただきました。会では 第3巻 身のまわりには教材がいっぱい!〜自然と人間を結ぶ教材の提案〜 を視聴しました。第125回の会で吉井さんからうかがった内容が思い起こされました。
 関連として、農文協出版ダイジェスト 2枚、NCL図書目録、農文教単行本目録'99
をいただきました。

● 前回紹介していただき紙漉の作品を紹介していただきました。すすき、よもぎ、おおいぬのふぐり、稲から漉いたものです。
● 最後に書籍を紹介していただきました。
   『新教育課程弾力的な時間割の運用』 加藤幸次 ぎょうせい \2,400
   『ここ始める小学校「英語活動」』椎名仁 ぎょうせい \2,667
   『創る!見つける!つなげる!おがわっ子の活動』 ぎょうせい \2,381
   『「総合的な学習」のカリキュラム・プランニング』東京書籍 小学校「東書プラン」作成委員会 編著 東京書籍 \2,000

 岩井先生より、2月26日に行われた奈良県明日香村の酒船石遺跡第12次調査・現地説明会のようすを報告していただきました。
 伝飛鳥板蓋宮跡の東方、謎の建造物・酒船石のある丘陵を酒船石遺跡と呼んでいます。今回は、この丘陵の北裾の部分、約750uが調査されました。そこからは、階段状石垣、南北溝、石造物などの遺構が見つかっています。斉明天皇の「両槻宮」ではないかと考えられています。
 関連として、『飛鳥・藤原京の謎を掘る』千田稔・金子裕之 文英堂 \2,000 を紹介していただきました。

● 復刻『古知野町誌』古知野町教育会発行 \4,900 を紹介していただきました。この町史は、大正14年に発行されたもので、247ページ(内 写真11ページ)にわたり、当時の丹羽郡古知野町の様子が詳述されています。

● 前回紹介のあった奈良女子大学文学部附属小学校の資料を紹介していただきました。
『奈良の学習法「総合的な学習」の提案』奈良女子大学文学部附属小学校学習研究会編(明治図書)\3,000 は、大正期以来の奈良の教育法の歴史、総合的な「しごと」学習の展開、「生きる力」を育てる学習の総合的な展開が具体的に述べられています。
 総合的な学習の理論が、創立以来の奈良の学習法に基づいているところに、伝統ある学校の底力を感じました。

 2月18日に行われた全国総合学習実践交流会では、大会テーマ「こんな総合がしてみたい」のもと、公開学習、全国18校の実践発表協力校による発表、奈須正裕先生の講演がありました。
次に、実践発表校を紹介します。社楽でもたびたび名前が登場する学校です。
国際理解を育てる
  東京都文京区立誠之小学校   
  山口大学教育学部附属山口小学校 
   大阪教育大学教育学部附属平野小学校
情報の活用力を育てる
  大阪府箕面市立萱野小学校
  滋賀県大津市立平野小学校
  東京学芸大学教育学部附属世田谷小学校
環境から学ぶ子どもを育てる
  鳥取県東伯郡泊村立泊小学校
  新潟県上越市立大手町小学校
  岐阜市長良小学校
生の目と心を育てる
   千葉県館山市北条小学校
   愛知教育大学附属岡崎小学校
  兵庫県三木市立自由が丘小学校
地域に学ぶ子どもを育てる
  京都市立御所南小学校
  北九州市立門司海青小学校
  上越教育大学学校教育学部附属小学校
子どもの文化や生きる力を育てる
  富山市立堀川小学校
  神戸大学発達学部附属明石小学校
  愛知県知多郡東浦町立緒川小学校

奈良女子大学文学部附属小学校
 〒631-0024 奈良市百楽園1丁目7-28 TEL 0724-45-4455 FAX 0724-40-2160
 
☆ 勝村先生より、総合学習ノート(仮称 研衷タイム)プロット 勝村私案を紹介していただきました。
 研衷タイムとは、人や社会・自然とのかかわりの中で、ものの道理をきわめる(課題追究)活動を通して、他とともに手を取り合って未来社会に向かって生きていくための心(心の知性)をみがく総合的な学習の時間です。
研衷タイムには、次のねらいがあります。

○ 自分自身で問題を見つけ、自ら学び、考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決しようとする力や態度を身につける
○ 学び方やものの考え方を身に付け、問題の解決や追究活動に主体的・創造的に取り組む態度を身に付ける。
○ 追究活動を通して、自分の生き方や社会のあり方を考えることができるようにする。
 
 研衷タイムの学習の場は、学校行事を核にした事前・事後の学習、および夏休み自由研究
で、3年間使用できるワークシートが、総合学習ノートです。
 研究の成果を前向きに行かした実践といえるでしょう。

☆ 奥村先生からは、先生が執筆された、知的障害学級の教育課程案(愛知県教育センター)を紹介していただきました。年間指導計画一覧、単元構想表、教科・領域別の月案が示されています。
 内容はもとより、この形式もおもしろいと思いました。総合でも使えそうです。

● 次に、つくし・わかば学級だよりあゆみ第12号を紹介していただきました。前回紹介のあった、岡崎世界子ども美術博物館での社会見学の様子が書かれています。
 また、この日に行われた名古屋での社会見学の様子も口頭で報告していただきました。障害を持った子どもたちを、積極的に社会に触れることにより、自立する力を育てようとする先生方の気持ちが強く伝わってきました。 

☆ 川井先生より、犬山市の市教研で発表したレポート、学級内の人間関係を豊かにし、支持的な学級風土を作るための心の教育の実践〜構成的グループ・エンカウンターの実践を通して〜を紹介していただきました。
 研究のねらいは次の2点です。
(1)子どもたち一人一人のセルフ・エスティーム(self esteem:自分をかけがえのない存在と感じること)を高め、自分に自信を持ち、自分を価値のある人間として誇れる気持ちを持たせる。
(2)友達の良さを認め、豊かな人間関係を培うことで、学級の集団凝集性を高め、誰もが学級の中に心の居場所ができるようにする。
 このねらいをもとに、自己理解・他者理解・自己受容・自己開示・信頼体験・感受性の促進を次のような流れで図りました。

1学期 主に学級内のリレーションを高め、集団凝集性を高める活動
2学期 主にセルフ・エスティームを高め、学級内の支持的風土を作る活動
3学期 主に自己理解をさらに深め、学級集団を完成する活動
  
 それぞれに、8〜10種類のエクササイズが示されています。
 これらの活動の様子は、レポートの他、7枚の学級通信でも具体的に述べられています。
 川井先生自身、「1年間やってきて、子どもとしっくりくる関係になった。すぐに効果が表れるわけではなく、徐々に効いてくる。また、授業自体がエンカウンターの発想、すなわち、人やものと出会って自分が成長する、という発想で考えることができるようになった。」と述べています。
 構成的グループ・エンカウンターの実践では、おそらく日本でもかなり先端を走っていると思われる川井先生の今後の実践に、注目していきたいと思います。また、社楽の場でも、エンカウンターを学んでいきたいと思います。 

☆ 尾関先生より、江南北中での国際理解の実践を報告していただきました。
江南北中では、土曜日をノーカバンデーとして、福祉活動や廃品回収など、体験的な活動を組み入れています。
 先日は、青年海外協力隊でネパールへ行った経験のある、一柳先生を中心に、国際理解の授業に取り組まれました。まず、JICA(国際協力事業団)に電話をし、名古屋国際研修センターにアフリカから研修にきている人を紹介してもらいました。その中で、ケニア人のチャールズさんから、日本との違い、ケニアの中学校の様子などをインタビューしました。
 当日の国際理解の授業は、次のように行われました。

知っているアフリカの国を列挙し、白地図に記入する
VTR「約束」を視聴する
VTRの中のアフリカの環境で困ることを想起する
水を確保するため方法を考える
日本の援助の仕方を考える
チャールズさんへのインタビューを聞く
これから他の国と関わるときの態度についての話を聞く

 資料として、「いま問い直す国際理解教育とは」米田伸次(手塚山学院大学国際理解研究所所長)をいただきました。おおよそ次の内容です。
 「国際理解」の概念が、冷戦崩壊前の「国際社会の日本人」と言う考え方から、「地球市民」の資質をはぐくむという考えに重点が置かれるようになりました。
 ここでいう「地球市民の資質」とは、地球規模の問題を解決し、新しい地球社会の創造に向けて、世界の人々と協力して行動できる資質をいいます。
その切り口の一つが「開発教育」なのです。
 開発教育とは、60年代に欧米で始まったもので、途上国と先進国が共に開発に向けて連帯・協力していくという態度を養うもので、今では、途上国を貧しい対象としてみるのではなく、むしろその生活や文化を尊重し、先進国の豊かさを問い直すことで、新しい地球社会を創造しようという方向に変わってきました。
 しかし、日本では、開発教育という概念・言葉ともに、まだ、認知されているとはいえません。そこに一歩踏み出した今回の実践は、意義が大きいといえます。
 
 国際協力事業団 中部国際センター 〒465-0094 名古屋市名東区亀の井2-73
TEL 052-702-1391   FAX 052-702-1397
JICAホームページここ
 
川端さんより65ページにもわたる貴重な資料をいただきました。
東研研究報告193 特別課題シリーズ1『「総合的な学習の時間」を指導する教師に必要な力量形成』東京教育研究所編集 です。
 教師に必要な情報収集活動およびそれを生かした授業として、聞き取り、フィールドワーク、図書館や博物館、インターネット、観察・実験、討論、発表について、それぞれノウハウを細かく紹介してあります。これからの教育活動に大きな指針を与えるものです。

☆ 高橋先生より、小学校6年生の版画作品を紹介していただきましました。テーマは、手で何かやっているところで、手から描かせています。
児童作品は、どうしても手が小さくなりがちですが、その問題は見事にクリアできていました。また、正面はだめという課題については、コピーを取って、切り取って貼り直すことで、児童に理解させていました。その他、丸みに沿って掘るなど、指導のコツが随所に現れている作品ばかりでした。

● 最後に、やまなし評論文を紹介していただきました。どれも、原稿用紙数十枚の大作で、読み応えがあります。その作品を一点紹介します。とても小学生の文とは思えないほどの作品です。今後、これを参考にして、これ以上の評論文が生まれることを願っています。
      圧巻の評論文へ

      問い合わせは 土井謙次  syaraku@tcp-ip.or.jp