第163回 社楽の会報告 第162回へ 第164回へ 社楽の会へ
報告者 土
井
2002年1月31日(木)布袋北学供にて,第163回社楽の会を開催しました。参加者(勤務校)を紹介しましす。
土井(大口町教委)、勝村先生(犬山中)、高橋先生(木東小)、川井先生(犬南小)、野口先生(楽田小)、斎木先生(江南北中),奥村先生(藤里小),真島先生(古知野南小),野沢先生(扶桑中),池邑さんの,京都からはるばるお越しいただいた上西先生(京教大附属京都中),ゲストの岡本さん(朝日新聞社),滝係長,落語家の春風亭柳鳳さんの14名でした。
☆ 土井が今回紹介したものの目次です。番号をクリックしてください。
1 本日のゲスト紹介! 2 せわやきおばさん養成講座 3 Webページ紹介 4 教育関連情報 5 新聞に投書をしよう 〜書くことで考える力を伸ばす 6 研究会情報 7 MM紹介 8 ワールド・ウォッチ】フランス 9 音読授業を創る そのA面とB面と |
1 本日のゲスト紹介!
ゲストは,朝日新聞名古屋本社・社会部の岡本洋太郎さんです。
「情報化社会を生き抜く〜新聞記者の技術」をテーマに,興味深いお話しをしていただきました。
ポンペイ展は多くの人に見て欲しい。特に,子供たちを呼びたい。
今日は,テーマ「情報社会を生き抜く〜新聞記者の技術」でお話ししたい。
記者の仕事は,情報を集め,分析して話を作ること。地道な方法で,電話・足で情報をとっている。
朝日新聞の看板で信頼でできている部分もあるが,地道な作業が主であることを理解して欲しい。
新聞は,報道合戦の一面もあるが,現場の記者はその裏で昼も夜も朝も,相手と関係を作りながら全体像を作っていく。その点では人間的で生々しい仕事である。
取材の基本には15ある。
1 取材力,筆力は書く記事の量に比例する
2 教科書は新聞
3 取材先に密着
4 ニュースは新聞
5 報道は理屈よりデータ
客観報道のみ
言外に伝える
6 現場に足を運べ
7 当事者に取材を
表にでなかった話を出して,それに他の社が追随して世の中の改善につながるのが新聞記者の喜び情報を聞きにいく人を誰を選ぶか
8 恥をかけ
新聞記者は素人。素人に徹するプロ
9 確認,確認,また確認
10 疑わしきは書くな
11 誇張はさけろ
12 専門用語や役所用語は言い換えよう
13 追跡取材で新事実を確認
14 速報を上回る背景,解説,分析を
15 苦情は謙虚に聞こう
批判は楽。書いたことで制度がよくなることが喜びである。批判される側から納得される記事を書きたい。
2 せわやきおばさん養成講座
2月4日(月)に尾北おやこ劇場主催で行う「せわやきおばさん養成講座」のテキストを紹介しました。土井が講師を努めさせていただくもので,10のテーマから作成しました。参加者によるアンケートの結果上位のテーマで講演します。
テキストはここ http://www.tcp-ip.or.jp/~syaraku/kosodate.htm
3 Webページ紹介
(1)文部科学省 http://www.mext.go.jp/
【出典】☆ 日刊・小学校教師用ニュースマガジン 779
☆ 勝村先生より,冬休みの課題〈上級学校調べ〉プリントを紹介していただきました。近所の卒業生に,上級学校の様子を聞き取り調査するものです。特色(学校行事・生徒会活動・クラブ活動・校則・進路・その他),時間割,タイムスケジュール,通学方法,取得資格,アドバイスなどを聞き取りします。
● 第2学年社会科「戦争と平和についての討論会」に向けて プリントを紹介していただきました。
討論に向けて,これまでの学習成果を振り返り,討論の資料とするものです。ここでは,その質問を紹介します。
1 現在起きている戦争や紛争に目を向けてみよう。どこでどんな争いが起きているのだろうか? 2 日本が戦争という行為を行ってしまったことや戦時中の人々の生活に対する,あなた自身の意見や感想を自由に書いてみよう。 3 戦後57年が過ぎ,日本は戦争を再び繰り返すことなく過ぎてきました。大きな経済的発展を遂げた一方で,「平和ボケ」という指摘もあります。この間の平和の意義と我々日本人の平和に対する意識について,自分の考えをまとめてみよう。 4 戦争と平和をめぐる問題は,海外での紛争だけでなく沖縄米軍基地問題や自衛隊問題など国内においても問題は尽きません。現在,日本は戦争に発展する恐れがあるような海外からの脅威にさらされているのでしょうか。自分の考えを書いてみましょう。 5 20世紀は「戦争の世紀」と言われました。21世紀は「共生の世紀・平和の世紀」になることを願いますが,本当に世界の平和を築くことができるのでしょうか。今後どんな問題が平和の妨げになるのか,平和のためにとんな問題を解決すればよいのか考えてみましょう。 6 平和な社会を実現するためには,国として,あるいは地球市民として,とのような努力や行動が必要なのでしょうか。自分にとっての平和とは何かを考えた上でまとめてみましょう。 |
● 自己診断カルテを紹介していただきました。半分は,授業に対する自己評価,小単元テスト評価。右半分は,「世界恐慌と日本と世界の変動」について1枚にまとめる構造図です。構造図は,空欄に単語埋めるようになっています。
このような図を生徒が作ることができたらと思います。
☆ 野口先生より,実践レポート「わたしたちの生活と政治〜討論の場を重視し,互いに深め合う授業の創造〜」を報告していただきました。
「はじめに」だけ紹介します。
1.はじめに 6年生の子どもたちはこれまでの社会科の学習を通して様々な力を身に付けてきた。自ら調べたい人物や事柄を選択し、調査・発表することを通して、自分で課題を解決するカや、調査・表現方法の工夫を身に付けることができた。また、年表や絵.、当時の書簡などを活用することによって、資料を正確に読み取るだけでなく、その時代背景に関連させながら自己の考えを深めていくことができた。しかし、子どもたちの様子を見ていると、各自がいい考えを持っているのに、意見を交換し合って、深めることがまだ十分でないと感じられた。 本実践では、単元の中に討論の場を数回設定した。日本国憲法の「国民主権」、「基本的人権の尊重」、「平和主義」のよさや、問題点をそれぞれ討論し、互いに深め合うことで、多角的・多面的な見方を養うことに重点を置きたい。と同時に、さまざまな社会情勢に目を向けたり,行政の仕組みを調査したりすることによって、現代社会にどれだけ憲法の理念が反映しているのかを理解できるようにしたい。 |
ユニークなのは,第3時において,ある国(架空)からの手紙を紹介し,その国の問題点を話し合うという学習活動を行ったことです。児童は,日本の現状と照らし合わせて,改善点を提案していきます。このような学習のスタイルは,シミュレーション方のひとつであり,実践的な生きる力が養われると考えます。
☆ 川井先生から,「ソーシャル・スキル・トレーニングについて」教えていただきました。瀬戸市立幡山西小学校の現職教育へ,講師として参加した時の資料です。一部紹介します。
ソーシャル・スキル・トレーニング(SST)とは,
ソーシャル・スキルとは,“社会生活を円滑にするための対人関係能力”であり,社会的な問題解決学習などを養う目的でプログラムされたトレーニングをさす。人と人との付き合い方を学び,不適切な行動を改善し,より社会的に望ましい行動を新たに獲得していく方法である。 |
子どもたちの現状
本来ならソーシヤル・スキルは,子どもたちが家族や友達との日常的なかかわりの中で,自然に身につけていくものであったが,核家族,少子化,子どもたちの遊びの変化などによって,ソーシャル・スキルを体得する機会や場面が激減し,人とうまくかかわれなかったり,人間関係が豊かなものにならない状況がみられるようになってきた。
ソーシャル・スキル・トレーニングの有効性
社会性の問題は,一般的な考え方だと,その人の性格や気質に帰属して考えがちであるが,“スキルを学びそこなった問題”,“間違ったスキルを学んだ問題”、ととらえると,“学んだことなら新たに学べばいい”“間違って覚えたなら,学び治せばいい”ことになり,問題解決が可能だと考えることができる。
小学生に育てたい12のソーシャル・スキル(相川 充1999年) }
・あいさつ ・自己紹介 ・上手な聴き方 ・質問する ・仲間の誘い方 ・仲間への入り方 ・あたたかい言葉かけ ・気持ちを分かって働きかける ・やさしい頼み方 ・上手な断り方 ・自分を大切にする ・トラブルの解決策を考える
(以下略)
人間関係が心理学によって解明されるにしたがって,トレーニングが可能になってきました。少子化の時代,学校でも必要な教育内容かもしれません。
● 研究会情報です。平成14年6月2日(日)13:00受け付け開始 13:30〜16:00 愛知県中小企業センター1階講堂において,國分康孝先生による教育カウンセリング講演会が開催されます。ぜひ参加したいものです。
☆ 高橋先生より「世界の中の私」を意識する国際理解教育の授業−数字の力で子どもの心を動かす−を報告していただきました。
水槽の中を泳ぐ魚は,水槽の中にいる限り,もっと広い世界があることを知ることができない。これは,私たちにも同じことが言える。豊かな日本に住んでいて,世界の状況に無関心であり続けるならば,日本人の感覚が世界の常識であると思い込んでしまう。現在の世界の状況からすれば,日本人は極めて特殊な条件の中で生活していると言える。日本は,特別に豊かな国の一つであり,特別に平和な国の一つであるのだ。世界の中での日本の位置を知れば,ものの見方,考え方もまた変わってくるはずである。 そして,今回は,世界の状況を知るための方法として,数字の持つ力を利用した。数字には,事実を正確に伝える力がある。対象を具体的に捉えさせる力がある。つまり,見えなかったもの,見えにくかったものを,はっきりと見させる力を持っているのである。今回の実践では,この数字の持つ力に依拠した授業を行い,「世界の中のわたし」を意識させようと試みた。 |
実践1 100人の地球村 (引用文と数値は,『100人の地球村』日本語版MLのものを使った。)
今地球上には60億人以上の人が住んでいます。この地球全体を,たった100人の人だけが住む村に縮めてみます。
例えば日本の人口は,1億2600万人です。これを100人の村に直してみます。
1億2600万人÷60億人×100人=2.1人 l
となります。
つまり,この村の100人のうち,およそ2人が日本人であるということになります。
では,中国人はどうでしょうか。中国の人口を12億人として計算してみましょう。
12億÷60億×100=20
この村の100人のうち20人が中国人となります。
世界には,アジア人,ヨーロッパ人,南北アメリカ人,アフリカ人が住んでい去す。100人の村人を,この4つの人々に分けてみましょう。
答えは,57人のアジア人,21人のヨーロッパ人,14人の南北アメリカ人,8人のアフリカ人となります。
では,女性と男性は,何人ずつだと思いますか。
女性は52人,男性は48人です。
有色人種は何人で,白人は何人でしょう。
有色人種は70人で,白人は30人です。
キリスト教徒は何人で,それ以外の宗教を信じている人は何人でしょう。
キリスト教徒は30人で,キリスト教徒以外の人は70人です。
異性愛者は何人で,同性愛者は何人でしょう。
異性愛者は89人で,同性愛者は11人です。
この村の100人のうち,たった6人の人が,この村の59パ仙セントのお金,財産を持ってい
ます。この6人はどこの国の人だと思いますか。
6人ともアメリカ人です。
この村の平均以下の居住環境,つ去り満足な家に住んでいない人達は,何人いると思いますか。
満足な家に住めない人達は80人になります。
(以下略)
実践2 今,アフガニスタンに対して何ができるか
略
この実践の後,子どもたちの募金活動が始まりました。大型スーパーの入り口で,のべ5日間街頭募金活動を行い,15万円を超える募金が集まりました。
☆ 奥村先生より,ことばの教室だより27〜31を紹介していただきました。
今回も,『ことばをはぐくむ』(ぶどう社)中川信子 を効果的に引用し,まとめています。
また,ことばのQ&A,ことばの教室ニュースなど,言葉の学習について日ごろ情報を得にくい立場にある保護者にとって,有益な情報満載です。
問い合わせは 土井謙次 syaraku@tcp-ip.or.jp