(1)小泉内閣メールマガジン 第84号 =========================== 2003/02/27
● 6兆6,320億円
6兆6,320億円とは、「対外資産負債残高統計」(財務省)による平成13年末の外国から我が国への直接投資の残高です。「直接投資」とは、国際間における長期の資本移動であって、企業経営へ参加・支配したり、新たに投資先国に法人を設立して行われるものです(統計上は、短期のものなども含まれています)。
近年、外国から我が国への直接投資は増加してきています。平成11年には、ルノーの日産自動車などへの資本参加に見られるように、主に製造業への投資が増加し、1年間で1兆4,513億円と過去最高を記録しました。また、平成13年には、ボーダフォン・グループの日本テレコムなどへの出資拡大に見られるように、主に通信業への投資が増加し、7,585億円の直接投資がありました。
しかし、我が国の経済規模を考えると、外国から我が国への直接投資の残高はまだまだ少ないといえます。アメリカ、欧州諸国では外国からの直接投資の残高がGDPの20〜30%(イギリス:31.9%、オーストラリア:29.8%、アメリカ:27.9%)を占めていますが、我が国はわずか1.1%にすぎないの
です。
また、我が国から外国への対外的な直接投資の残高(平成13年末は39兆5,550億円)と比べると、対内的な直接投資の残高は6分の1程度しかありません。
外国からの直接投資は、新しい技術や革新的な経営をもたらし、雇用機会の増大にもつながることが期待されており、日本経済の活性化に果たす役割はとても重要であるといえます。
このため、小泉総理は、先日行った施政方針演説の中で、5年後には日本への投資残高の倍増を目指すことを表明しました。対日投資会議では、今年度内に日本を外国企業にとって魅力ある進出先とするための具体策をとりまとめることとしています。
(2)日┃刊┃・ 小学校教師用ニュースマガジン NO 1097 ◇◆◇
連載 “面白半分”セレクション 第33回 学級閉鎖のめやす 佐々木彰
毎年、この時期(1月下旬〜2月)になると、インフルエンザが流行して児童生徒の欠席も多くなり、学級閉鎖や学年閉鎖・休校の措置をとったなどというニュースを聞く。
ご存知のように、インフルエンザ(流行性感冒)は、一般の風邪(普通感冒とは違い、強い全身症状が現れ、生命にも関わる伝染病である。(下表参照)
インフルエンザ(流行性感冒)
インフルエンザウイルスによる。ウイルスを吸収して1〜2日後に突然発病する。39度以上の高熱、悪寒頭痛、咳、全身倦怠感などの症状が出る。1週間ほど症状が続く。
風邪(普通感冒)
一般ウイルスによる。鼻から喉までの炎症の総称。喉の痛み、くしゃみや咳などの症状が出る。熱は38度程度までしか上がらない。安静にすれば1〜2日で症状が治まる。
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学校教育法や学校保健法でも、インフルエンザ等の伝染病が発生した場合、状況に応じて出席停止や臨時休業等の措置をとることができるとしている。
関係法規の内容は以下の通りである。
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□学校教育法施行規則第48条
[臨時休業]
非常変災その他急迫の事情があるときは、校長は、臨時に授業を行わないことができる。この場合において、公立小学校についてはこの旨を教育委員会に報告しなければならない。
(他の条項により中学校・高等学校・幼稚園でも同じ)
□学校保健法第12条
[出席停止]
校長は、伝染病にかかっており、かかっておる疑があり、又はかかるおそれのある児童、生徒、学生又は幼児があるときは、政令で定めるところにより、出席を停止させることができる。
□学校保健法第13条
[臨時休業]
学校の設置者は、伝染病予防上必要があるときは、臨時に、学校の全部又は一部の休業を行うことができる。
□学校保健法施行規則第19条
学校において予防すべき伝染病の種類は、次のとおりとする。
第一類
コレラ、赤痢(疫痢を含む)、腸チフス、パラチフス、痘瘡、発疹チフス、猩紅熱、ジフテリア、流行性脳脊髄膜炎、ペスト及び日本脳炎
第二類
インフルエンザ、百日咳、麻疹、急性灰白髄炎、ウイルス性肝炎、流行性耳下腺炎、風疹、水痘及び咽頭結膜熱
第三類
結核、流行性角結膜炎、急性結膜炎、その他の伝染病
□学校保健法施行規則第20条
令第5条第2項の出席停止の期間の基準は、前条の伝染病の種類に従い、次のとおりとする。
第二類の伝染病にかかった者については、次の期間。ただし、病状により学校医その他の医師においてその伝染病の予防上支障がないと認めたときには、この限りでない。
インフルエンザ… 解熱した後2日を経過するまで。
百日咳 … 特有の咳が消失するまで。
麻疹 … 解熱した後3日を経過するまで。
急性灰白髄炎 … 急性期の主要症状が消退するまで。
ウイルス性肝炎… 主要症状が消退するまで。
流行性耳下腺炎… 耳下腺の腫脹が消失するまで。
風疹 … 発疹が消失するまで。
水痘 … すべての発疹の痂皮化するまで。
咽頭結膜熱 … 主要症状が消退した後2日を経過するまで。
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ということで、学校でインフルエンザと診断された児童生徒が出た場合、その児童生徒は出席停止になる。実際には学校側で出席停止を命じなくても高熱や頭痛等で出席できない状態にあるわけだが、この場合、出席簿での扱いは一般の「病気欠席」とはならず「出席停止」扱いになるわけである。(出席簿や指導要録では「出席すべき日数」という欄があり、普通は授業日数がそのまま「出席すべき日数」になるわけだが、「出席停止」があった場合、その児童生徒の「出席すべき日数」は授業日数から出席停止日数を引いた日数になる。
「忌引き」の場合も同様の扱いとなる)
インフルエンザの場合、出席停止の期間が「解熱した後2日を経過するまで」(あるいは医師が伝染病予防上支障がないと認めたとき)ということに注意しなくてはならない。
インフルエンザの伝染期間は発症から3〜5日程度(小児の場合は7日程度)となっている。発症後5日程度で熱が下がっても、その後2日程度はインフルエンザウイルスを出していると考えられる。
熱が下がったからとすぐに出席すれば、他の児童生徒を感染させてしまうおそれもあるので、出席にあたっては保護者に児童生徒の病状をきちんとたずね平熱に戻ってから2日が経過したこと(あるいは医師が出席を許可したこと)を確認してから、出席停止を解除しなくてはならない。
インフルエンザにかかると、発症後3日程度で一度熱が下がり、その後2日ほどしてまた高熱を出すという例も多い。この場合は2度目の高熱が下がってから2日の経過が必要である。このような例も多いので、解熱後2日の経過をみるということが大事である。
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インフルエンザの発症が少人数の場合には、個々の児童生徒への出席停止という措置で対応できるが、発症者が多い場合には、学級あるいは学校としての「臨時休業」いわゆる学級閉鎖等の措置が必要になることもある。
多くの児童生徒が長時間いっしょに暮らす学校という場は、インフルエンザ伝染の危険性も高い。伝染を予防し、発症した児童生徒の病状が回復するのを待つためには、学級閉鎖あるいは学年閉鎖・休校という措置も効果が大きい。
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では、どの程度の児童生徒が欠席および罹患したら、閉鎖の措置をとるべきなのだろうか。
このことについて調べてみたが、学校関係法規の中にそれに当たるものはなかった。基本的には学校医等の医療関係者に相談をし、指示をあおぐことになる。
ただ、茨城県で昭和52年に県教育委員会教育長通知として出されている例を、「茨城県保健福祉部保健予防課」のホームページの中に見つけた。それによると「学級等における欠席率が20%に達した場合は、学級閉鎖、学年閉鎖及び休校等の措置をとる」を措置基準としている。
全国的な公式文書ではないのだが、ひとつの基準と考えてもよいだろう。
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「欠席率が20%に達する」となると、「30人の学級の場合は6人の欠席」、「100人の学年の場合は20人の欠席」、「500人の学校の場合は100人の欠席」ということになる。
いずれの場合も、かなり深刻な状況であるから、閉鎖の措置をとるのは当然かもしれない。
「欠席はしていないが風邪気味で出校している」という「罹患出席者」の割合については、学級閉鎖等の措置をとる基準はないようだ。「風邪気味」といってもいわゆる「普通感冒」の状態で「くしゃみや鼻水、咳などの病状があり特に病状が急激に悪くなる者は少ない」という状態であればインフルエンザの可能性は低いだろうし、「風邪気味を訴えた後、すぐに高熱を発して休む」という児童生徒が多ければ、インフルエンザ流行のおそれがある。
いずれにせよ、児童生徒の状況を的確に把握し、学校医等に相談して対応を考えることが大切だろう。
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学級閉鎖等の措置の効果を上げるためには、1日や2日の閉鎖ではあまり効果がないそうだ。
前述したように、インフルエンザにかかった児童生徒が出席できるようになるには1週間程度が必要である。学級閉鎖等の効果を期待するならば5日程度の閉鎖が必要だという。(金曜日から閉鎖し、間の土日をはさんで月曜日までの閉鎖というように、土日を活用すれば出席日数上の閉鎖は2日であっても効果はあるようだが)
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今年度(平成14年度)から新学習指導要領が施行され、学校完全週5日制が実施された。全ての土曜日が休みになったことによって、昨年度と比較し、授業日数にして約20日、授業時間数にして約70時間が削減された。
学習すべき内容も少なくはなったものの、授業を進めるうえで時間の余裕は少なくなっているのが現状である。仮に5日間の学級閉鎖等を行えば、授業時間数にして20数時間のカットになる。
学級の欠席者が20%を越えるような状況では通常の授業を進められないことも事実だが、かといって思い切って5日間程度の学級閉鎖にも踏み切れないような実情もあり、学校としてはインフルエンザが大規模に流行しないように願いながら(もちろんそのための予防措置もとり)個別の出席停止等で対応しようとするところが多いだろう。(繰り返しになるが1日・2日程度の閉鎖措置ではあまり効果がないので)
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いずれにしても、問題は児童生徒の健康・生命に関わることであり、授業日数がどうのこうのといった学校の都合だけを考えてはいられない。
学校としては、児童生徒の健康状態の把握をきちんと行い、関係医療機関との連絡を密に行って、適切な対応をとらなければならない。
同時に、保護者の方にも、子供が急激に高熱を出したり悪寒を訴えたりした場合には、「ただの風邪だろう」と楽観視せずに(インフルエンザの場合には市販の感冒薬は全く効かない)早めに医者に診せることをお願いしたい。<03.02.10>
□関連ホームページ□
(3) Vol.71 2003/ 3. 2(SUN) ≪ 教 育 情 報 Magazine /
ある小学校教師の独り言 ≫ “ よりよい学校教育を目指して ” 発行者/愛知@島原 洋
[1]“近代化遺産”って,聞いたことがありますか?
総合的な学習(地域学習)に使えそうなネタです
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近代化遺産,聞き慣れない言葉です。私もつい先日まで知りませんでした。
2月22日,名古屋で「建造環境から学ぶ総合学習シンポジウム」が開催されました。このシンポジウムは国土交通省主催で,身近な町の川,橋,道路,港などを題材とした総合的な学習を推進していこうというねらいのもとに開催されました。
近代化遺産という言葉は,講演(岡山大学教授の馬場俊介氏:「近代化遺産の教育的価値」)で知ったのです。「近代化遺産」という概念は,我が国が近代化してくる過程で作られた建築物や構造物のもつ歴史的価値に注目するというものです。
文化財指定には階層化という概念が根強くあり,古いものから順にという考え方が固定概念化しているそうです。そんな中で近世(江戸期)から近代(明治期)へと「近代化のためにつくられた構築物」が見捨てられ,続々破壊されている現状を憂う主張です。
近代化遺産には地域の近代化への特性が顕著に示されています。馬場氏は岡山大教授ですから,岡山,広島,山口の代表的な「近代化遺産」をあげて説明されましたが,それは岡山では「高梁川酒津用水取水堰」,広島では「広島湾要塞を形作る砲台」,山口では「小野田セメントの焼成炉」でした。これ1つを見ても,近代化を農業主体で進めようとした岡山県,軍事を重視した広島県,工業に目を向けた山口県という具合に,幕末から明治にかけての近代化への地域の特性がよく表れているというのです。私は岡山育ちですが,確かに岡山県は児島湾や高梁川干拓で農地を大量に造成しました。最近滋賀県で小学校校舎の取り壊しが問題になりましたが,教育に力を入れた地方は,地域でもっとも立派な建物が校舎という例が多いそうです。
この考えは非常におもしろいと思います。大いに知的好奇心をくすぐられました。以下に私が調べたことの一部を紹介します。
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■ 近代化遺産とは
近代化遺産は明治時代から昭和20年にいたる近代の産業・交通・土木などに関する建造物等が対象であるが、これまで十分な文化財的な保存措置がとられていなかった。そのためこれらの文化財的建造物も技術革新や産業構造の変革等により、取り壊しや改変が急速に進行しているのが実状である。
近代化遺産建造物の保存措置を検討するため、群馬県教育委員会では国庫補助事業として、平成2年度から総括的な基礎資料を収集するための「群馬県近代化遺産総合調査」を実施し、平成3年3月「群馬県近代化遺産総覧」として、1・2次調査の結果がまとめられた。それによると群馬県内においては982件が報告されたが、その内桐生市には約10%にあたる97件があり、群馬県では最も多いものとなった。現在でも独自の継続調査を実施しており、新たな発見がかなり認められている。
■ 全国近代化遺産活用連絡協議会(略称「全近」)
近代化遺産を有する全国の自治体が協調し、それらの保存と活用を研究協議することを目的に、平成9年11月22日に設立された全国組織です。「全近」は、各地域に残された近代化遺産の保存と活用の方法を、自治体、企業、市民が一体となって考えていくことを目指しています。近代化遺産の保存と活用に取り組む市民との交流や、全国の会員間の情報交換によって、近代化遺産の保存と活用にむけて活動しています。現在、自治体だけでなく会の主旨に賛同する法人、またはNPO法人等も賛助会員として仲間に加わっています。
○ 私たち「全近」は、めざします。
1 法制度の整備 2民間との協調 3支援財源の充実
○ 私たち「全近」は、近代化遺産の活用に向けて提言します。
1.関係省庁等者間において連携協力の一層の充実をはかること
2.技術者・技能者の育成・確保すること
3.所有者・管理者の負担を軽減するため、新たな税制優遇処置や補助制度を設けること
4.市民団体・NPO等支援団体の育成をはかること
5.公共投資によって改修の促進をはかること
6.改修に投資する特定財源(例えば宝くじ等)を創立すること
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既に「近代化遺産」を総合的な学習で取り扱ったことがあるといわれる方がいらっしゃいましたら,ぜひお知らせください。