第186回 社楽の会報告    第185回へ    第187回
                                           
報告者  土 井
2003年3月13日(木)布袋北学供にて、第186回社楽の会を開催しました。参加者(勤務校)を紹介しましす。
土井(大口町教委)、高橋先生(門弟山小)、勝村先生(犬山中)、大野先生(岩倉南小)、坪内先生(犬山北小)、川井先生(犬山南小)、木原先生(大口南小)、日比野先生(犬山西小)、天野先生(大口西小)、野沢先生(柏森小)、野口先生(楽田小)、野呂先生(岩倉中)、岩井先生(大口北小)、大島先生(犬東中)、尾関先生(江北中)、添田先生(宮田中)、奥村先生(愛教大大学院)、長瀬教頭先生(門弟山小)、長屋校長先生(大南小)、ゲストの河井先生(長良東小)の20名でした。

☆ 土井より、今回紹介したものの目次です。番号をクリックしてください。

  河井信幸先生に聞く
 Eスクエアアドバンス 参加報告
 Webページ紹介
 教育関係情報
 MM紹介
 ワールドウォッチ
 研究会紹介
ダイオキシン

 河井信幸先生に聞く
   http://www.tcp-ip.or.jp/~syaraku/nagarakawai.htm で紹介した長良東小学校の河井先生にお話をうかがいました。
  詳細はここで。

 Eスクエア・アドバンス成果発表会 参加報告
3月7日(土)・8(日)、東京ファッションタウンビルで行われたEスクエアアドバンスの報告をしました。詳しくはここ
 便利Webページ紹介
(1)国連バーチャルツアー    http://www.unic.or.jp/untour/index.htm 
    主に映像で安全保障理事会の様子などを伝えている。

(2)国連キッズ         http://www.unic.or.jp/kids.htm 
    国連の基礎知識を詳述。指導者向けの内容。

(3)Paper airplane - The best paper airplane in the world! http://www.zurqui.com/crinfocus/paper/airplane.html 
    最もよく飛ぶ紙飛行機の作り方。試してみますか?(英語)

(4)ブラジル特集
 ○ ブラジル大使館  http://www.brasemb.or.jp/frame1.html   基本情報はここ
 ○ ブラジルサイト http://www.brazil.ne.jp/       観光・音楽など多様な情報
 ○ サンパウロ新聞 http://www.spshimbun.com.br/  日本語です
 ○ 日本ブラジル交流協会 http://www.246.ne.jp/~nippaku/ 
 ○ ブラジル産の珈琲   http://www.coffeehouse.co.jp/coffee/beans/area1-1.html 
 ○ ブラジル音楽専門ウェブマガジン http://member.nifty.ne.jp/MusicaBrasileira/ 
 ○ ブラジル音楽情報サイト「ムンド・メリョール」http://www.botan.sakura.ne.jp/~n-dec/music/ 
 ○ 南米大陸夢紀行 http://www.brasil.co.jp/   旅行 観光
 ○ ブラジル旅行の手引き http://www.alfainter.co.jp/5-c.html 
 ○ 旅する青年  http://paulista.hp.infoseek.co.jp/  写真多数
    サンパウロに住む日本人作成
 ○ ぶんたのブラジル http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Ayame/7906/ 
    サンパウロ州はピラシカバに住んでおります「ぶんた」さん作成

(5)「風」に関するサイト■
   風に魅せられた人たちが、風にちなんだ様々なモノやコトを紹介。写真もいっぱい。
☆ TRON風力発電ネットワーク http://www.tronc.co.jp/ 
   風力発電の健全な育成を願い、さまざまな情報を提供。「マイ風車構想」進行中。
☆Wind Caravan http://www.wind-caravan.org/ 
   造形作家・新宮晋氏による風で動く彫刻。世界6カ所で開催した展示会の様子など。
☆TBS Weather Guide http://www.tbs.co.jp/weather/ 
   珍しい「アメダス風」では、関東各地の過去1時間の平均風向・風速が表示される。
☆ 羽やすめの里 ひじかわ http://www.town.hijikawa.ehime.jp/index.html 
   風のまちとして知られる愛媛県喜多郡肱川町。「風の博物館」に行ってみたい!
☆De Zaanse Schans http://www.zaanseschans.nl/ 
  昔ながらの風車が残るオランダの観光名所。蘭・英語のみだが、写真で楽しめる。
(6)手話学習システム南風くん 三条市立南小学校
  ものの名前を示す言葉など、多くの手話を写真で表示。手話クイズもある。
(7)手話勉強会
  指文字の一覧や、テーマを設けた会話などをイラストでわかりやすく解説。

【サーチ】環境用語(エコワード)
・バイオアッセイ http://eco.goo.ne.jp/ecoword/ecoword1.html 
・グリーン配送  http://eco.goo.ne.jp/ecoword/ecoword2.html 
・世界水発展報告書 http://eco.goo.ne.jp/ecoword/ecoword1.html 
・世界水ビジョン http://eco.goo.ne.jp/ecoword/ecoword2.html 
 
 教育関係情報
(1)EduMail)))【コラム】中3の多感な時期にこそ、卒業論文を    東京私学教育研究所長 堀 一郎
 青春期。全体的な身体的成熟と性的機能の出現に伴って、精神的な感受性や興奮性が高揚し、それまで未分化に結びついていた環境からの分化・独立(自我の発見)などに特徴づけられる不安・動揺の時期(平凡社、「マペディア」から)という。この時期に子どもたちは様々な様相を見せる。大人社会には理解できない行動も少なくない。
 2月21日(金)、東京板橋区の帝京中学高等学校(橋本悳正校長)で公開研究発表会が開かれた。午前中は公開授業と生徒たちの発表、午後からは教員による総合的な学習の時間についての発表と盛り沢山な内容。私立学校や周辺の公立学校の教員、父母たち多数が熱心に聞いた。
 「大人は(心の動揺による行動の1つである)学校に行けない生徒たちに『不登校』というレッテルをはっているように思う。かつて、『非行少年』というレッテルを使ったように」。中学3年生による卒業論文発表。ゆりさんの言葉は私の心を激しく揺さぶった。
 同校3年生の総合的学習の時間は、1、2学期は高校への進路コースを踏まえた企業訪問とその報告、そして3学期は大学のゼミナール形式を導入して、卒業論文を作成する。
 原稿用紙10枚以上と決められ、今年生徒たちが選んだテーマは、「水の浄化と環境問題」「アゴヒゲアザラシの住める川」「地域の先覚者の業績」「国際人としての日本人」「食品の安全性」などなど。1、2年生の時に取り組んだ環境問題が多いという傾向はあったが、各自が思い思いに作り上げている。
 青春期特有の心の動きから不登校問題に取り組んだのがゆりさんだった。ゆりさん自身が不登校生徒ではないし、身近にいるわけでもないようだ。不登校問題がマスコミなどで大きく取り上げられる中で、彼女には、心の病やいじめなどで学校に行けない生徒たちを一様に「不登校」と決め付ける大人たちへの不信感が芽生えたのだろう。
 口頭での発表であり、私のメモが不完全なので、十分に彼女の意図を把握しているとはいいがたいが、彼女はこうした生徒たちは自分の心との葛藤と戦いながら、自分探しに懸命なのではないか、そうした心を理解してほしい、「学校に行かない生徒は悪い生徒」ということでは決してないのだ、と主張していたと思う。
 「(大人は)何もしなくてもいい。じっと見つめることが、支援であり援助なのではないか」
 多感な時期に、自分なりに考え、まとめ、公表する。生徒たちは一回りも二回りも大きくなっただろうことを、発表の姿から感じ取ることができた。東京都内の私立学校では卒業論文作成に取り組む学校が増えている。他の学校での卒論発表会もぜひ聞きたいと思う。
★☆★コメント★☆★
 大賛成!「卒業論文」というネーミングは学びの記念としても大きな動機付けになる。逆に、「卒業論文」を目標にして、3年間の学び方学習を組み立てることが求められる。総合的な学習の時間の太い柱になる。
 
(2)日野市教委が全小中学校に教員補助者を配置へ(東京)
 日野市教委は新年度から、児童・生徒の個別指導などを手伝う教員補助者を、市立の全小中学校に配置する。
 計画では、小学校十九校で国語、算数の二科目に各一人、中学校八校では国語、数学、英語の三科目で各一人をそれぞれ割り当てる。
★☆★コメント★☆★
 予算が気になるところだが、効果を上げることは間違いない。
 一つの学級を二つに分けての少人数指導には「進度、評価、調整」という大きな課題が常につきまとう。また、正規教員を二人つぎ込むのも経済効率が悪い。もっとも望まれている少人数学級は、指導法の改善がなければこれまでの問題を解決したものとは言えない。現に、日本の小中学校の多くは、もうすでに少人数学級になっている。
 当面最も現実的なのは、この日野市の方法ではないかと思う。 
 
(3)小中生向けに起業家教育  東京理科大、ネットで開講
 東京理科大は4月から、小・中学生向けの起業家養成講座などを、インターネットを利用したオンラインスクールとして開講する。
 米国などでは、株式投資やベンチャー企業の活動などを小学生にも教える起業家教育が盛んだが、日本ではほとんど普及していないのが実態。同大経営学部の済藤友明教授は「将来の日本経済を背負って立つ社会人の育成につながれば」と期待している。
 対象は小学5年生から中学3年生。毎週日曜日に、インターネットを通じて起業家養成や英語、パソコンの3科目を各50分ずつ勉強する仕組み。起業家講座では、銀行の不良債権問題など最近のニュースを材料に経済の仕組みなどを分かりやすく解説。「生きた経済」から、経済学や経営学などの知識を分かりやすく教えるという。
 英語では、英検5級から2級の取得を目指す。パソコン教室ではメールの送信方法や表計算ソフトの使い方などを教え、最終的にはホームページの立ち上げまでできるよう指導する。
 講師には、大学教授やテレビの英会話教室で活躍する外国人教師などを起用。受講料は月4回で、5000円。受講生はパソコン以外に特別な機材は必要ない。
 同大は昨年4月から、経営学部のある埼玉県久喜市のキャンパスで土曜日に同様の講座を開設。人気が出たため、遠隔地からでも受講できるようオンラインスクールを開くことにした。問い合わせ先は03(5261)4068
★☆★コメント★☆★
 文句なしにおもしろい!これは我が家でも申し込みたい。そして親も子どもといっしょに学習したいと思っている。
 
(4)大洗町立南中学校で県内初導入の教科教室型が好評(茨城)
 大洗町大貫町の町立南中学校(鯉渕茂校長、生徒数二百十七人)は、二〇〇〇年度から、生徒が教科ごとに教科専用教室に移動して授業を受ける「教科教室型」授業を実施している。
★☆★コメント★☆★
 新設中学校は、従来のホームルーム型と、この教科教室型に大きく分かれているようだ。
 土井としては、教科教室型・ホームルーム併用型を支持したい。これにより、授業の質が大きくアップし、学級への所属意識も育てていきたい。
 今でも、音楽や体育は教科教室型と言える。いちいち教室にピアノやマットを運んでいては効率が悪い。だから生徒が音楽室や体育館に移動している。
 本来、社会科や英語も同じだ。長良東小の河井先生や川田先生の教室が社会科教室になっていたように、授業の質を上げるには、その授業の内容に合った環境をつくることが求められる。
 
(5) EduMail))) 【小学校】小学生が仮装してちんどんパレード 埼玉
 埼玉県大井町立鶴ケ丘小の5年生3学級計90人が5日、ちんどん屋に仮装して町の商店街に繰り出し、人目を引いた。
 同校では「総合的な学習の時間」のテーマを「チンドンパレード計画」と決め、24グループに分かれて、活動を行ってきた。パレードはその総括。侍やヒーロー、鬼などにふんし、空き缶に小石をいれたマラカスや太鼓、笛の手づくり楽器を持って行進した。
 商店街では立ち止まって「薬品を流さないきれいな川に」と口上を述べ、「街が活気づいたぞ」と激励の拍手まで起きた。また、県立坂戸ろう学校など福祉施設の入所者と交流してきた「点字ブロックを物でふさがないで隊」の隊長、下畑悠洸君(11)は、笛を吹き鳴らし、「目の不自由な人に、安全な散歩をさせて下さい」と、延べ3・5キロをジグザグ行進して訴え、ビラも配った。
 2組担任の市川啓教諭(32)はポケットマネーによる貸衣装で「大井おっかけ音次郎」の股旅姿。刀を差さず「暴力追放」をアピール。かすりのもんぺ姿で米ご飯の普及を訴えた1組担任の進洸子教諭(56)は、「地元のセミプロの大井チンドン一座の皆さんに鳴り物の指導を受けた。堂々と口上を述べる度胸がついた」と満足していた。
★☆★コメント★☆★
 タイトルを見た時は、「総合的な学習をなめている?」と思ったが、内容を読むと、これは自分の好みであることが分かった。こうした取り組みは理屈抜きに好きだ。楽しい。街の人を巻き込んでいる。しかも、本質である学びは失っていない。このイベントは、これはこれで立派な学びのプレゼンテーションになっている。
 これまでにない発想だ!
 
(6)EduMail)))【小学校】自分で作った机と椅子を新校舎で使用
 長野県上田市立城下小学校(藤森健郎校長、児童444人)でこのほど、5、6年生児童と保護者が参加して「自分の机と椅子作り」が行われた。同市が県の補助を受け、今年度から新事業として取り組む森林の恵み共生事業の一環。県産材のカラマツの間伐材を利用し、松本市の城北木材加工が製作した可動式木製机と椅子。
 体育館に集まった児童たちは、ボランティアの「にっぽんこどものじゃんぐる」会員ら12人の指導を受けながら身長に合わせて5段階調整のできる脚を組み立て、縦45センチ、横65センチの天板を取り付けた。新学期には新校舎で500組の木製机と椅子が使用される。
 同市教育委員会では今後、市内の全小中学校23校で順次、計1万1000組の机、椅子を作る計画だ。
★☆★コメント★☆★
 これもけっこう好きだ。
 どうせなら中学校に入った時に作り、自分で3年間使ってほしい。きっと大切に使うと思う。間伐材の利用法としてはアイデア賞ものだ。
 
(7)EduMail)))【事件】広島・尾道市の小学校で民間人校長が自殺
 広島県尾道市高須町の市立高須小学校(717人)で9日、慶徳(けいとく)和宏校長(56)が校舎西側1階非常階段の手すりにロープをかけて首をつっているのを保護者が見つけ、同県警尾道署に届けた。慶徳校長は既に死亡しており、校長室と上着の内ポケットから、「学校職を選んだのは間違いだった」などという内容の2通の遺書が見つかった。
 慶徳校長は、教育現場の活性化を目的に導入された民間人校長の1人。元広島銀行員で、昨年4月に民間人校長として同校に赴任するまでは同行の東京支店副支店長だった。市教委や学校関係者らによると、慶徳校長は学校運営などを巡って悩んでいたという。
 同署や同市教委によると、慶徳校長は9日午前8時半ごろに登校。教職員、PTA役員ら十数人と学校創立130周年記念行事の一環として、学校周辺の花壇の整備を行っていた。正午ごろ、1人で校舎に戻って行く姿をPTA役員に目撃されている。特に変わった様子はなかったという。
 同市教委は同夜、急きょ保護者会を開いて父母らに経緯を説明するとともに今後の対応などについて協議。10日朝、全校集会を開いて児童らにも説明した。
 同市教委は「まじめで一生懸命な仕事ぶりで、自殺の動機などについて心当たりはない」と話している。しかし、PTA役員らによると、自分が思い描いていた理想の教育と現実のギャップに悩んでいたほか、2人の教頭が相次いで入院したことなどもあり、親しい人に「辞めたい」などと漏らしていたという。常盤豊・県教育長は「民間の経験を生かし、活躍を期待していたので大変驚いている。原因について市教委とともに調査していきたい」と語っている。
★☆★コメント★☆★
 「それ見たことか!」と言うつもりは全くない。教育改革に取り組もうとする意気込みは貴重だ。
 しかし、小中学校の民間校長に対しては、前から疑問に思っていた。
 自分なら、来年ドラゴンズの監督を頼まれても困る。企業の社長もすぐにはできない。オーケストラの指揮者だって、プロのオーケストラは無理だ。
 だったら、なぜ小中学校のトップに民間から持ってくるのか?それをマスコミはさもすばらしいように書き立てるのか?「小中学校の校長」というきわめて専門性の高い職業をなめているとしか思えない。
 まだ教育長ならわかる。安定した大企業の社長でも、なんとかできるかもしれない。大学の学長でも?
 しかし、規模が小さい小中学校というのは、無理だ。校長も現場の一員なのだ。
 亡くなった方の遺志を大切にしたいのなら、最近特に流行に走りがちな教育改革を、もっと冷静にとらえていくべきだ。またそういったマスコミ報道を望む。
 
 MM紹介
(1)小泉内閣メールマガジン 第84号 =========================== 2003/02/27
● 6兆6,320億円
 6兆6,320億円とは、「対外資産負債残高統計」(財務省)による平成13年末の外国から我が国への直接投資の残高です。「直接投資」とは、国際間における長期の資本移動であって、企業経営へ参加・支配したり、新たに投資先国に法人を設立して行われるものです(統計上は、短期のものなども含まれています)。
 近年、外国から我が国への直接投資は増加してきています。平成11年には、ルノーの日産自動車などへの資本参加に見られるように、主に製造業への投資が増加し、1年間で1兆4,513億円と過去最高を記録しました。また、平成13年には、ボーダフォン・グループの日本テレコムなどへの出資拡大に見られるように、主に通信業への投資が増加し、7,585億円の直接投資がありました。
 しかし、我が国の経済規模を考えると、外国から我が国への直接投資の残高はまだまだ少ないといえます。アメリカ、欧州諸国では外国からの直接投資の残高がGDPの20〜30%(イギリス:31.9%、オーストラリア:29.8%、アメリカ:27.9%)を占めていますが、我が国はわずか1.1%にすぎないの
です。
 また、我が国から外国への対外的な直接投資の残高(平成13年末は39兆5,550億円)と比べると、対内的な直接投資の残高は6分の1程度しかありません。
 外国からの直接投資は、新しい技術や革新的な経営をもたらし、雇用機会の増大にもつながることが期待されており、日本経済の活性化に果たす役割はとても重要であるといえます。
 このため、小泉総理は、先日行った施政方針演説の中で、5年後には日本への投資残高の倍増を目指すことを表明しました。対日投資会議では、今年度内に日本を外国企業にとって魅力ある進出先とするための具体策をとりまとめることとしています。
※ 内閣府ホームページ(対日投資会議について) http://www5.cao.go.jp/access/japan/jic_main_j.html 
 
(2)日┃刊┃・ 小学校教師用ニュースマガジン  NO 1097 ◇◆◇
   連載 “面白半分”セレクション 第33回    学級閉鎖のめやす       佐々木彰  
 毎年、この時期(1月下旬〜2月)になると、インフルエンザが流行して児童生徒の欠席も多くなり、学級閉鎖や学年閉鎖・休校の措置をとったなどというニュースを聞く。
 ご存知のように、インフルエンザ(流行性感冒)は、一般の風邪(普通感冒とは違い、強い全身症状が現れ、生命にも関わる伝染病である。(下表参照)
インフルエンザ(流行性感冒)
インフルエンザウイルスによる。ウイルスを吸収して1〜2日後に突然発病する。39度以上の高熱、悪寒頭痛、咳、全身倦怠感などの症状が出る。1週間ほど症状が続く。
風邪(普通感冒)
一般ウイルスによる。鼻から喉までの炎症の総称。喉の痛み、くしゃみや咳などの症状が出る。熱は38度程度までしか上がらない。安静にすれば1〜2日で症状が治まる。
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 学校教育法や学校保健法でも、インフルエンザ等の伝染病が発生した場合、状況に応じて出席停止や臨時休業等の措置をとることができるとしている。
 関係法規の内容は以下の通りである。
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□学校教育法施行規則第48条
[臨時休業]
非常変災その他急迫の事情があるときは、校長は、臨時に授業を行わないことができる。この場合において、公立小学校についてはこの旨を教育委員会に報告しなければならない。
(他の条項により中学校・高等学校・幼稚園でも同じ)
 
□学校保健法第12条
[出席停止]
校長は、伝染病にかかっており、かかっておる疑があり、又はかかるおそれのある児童、生徒、学生又は幼児があるときは、政令で定めるところにより、出席を停止させることができる。
□学校保健法第13条
[臨時休業]
学校の設置者は、伝染病予防上必要があるときは、臨時に、学校の全部又は一部の休業を行うことができる。
□学校保健法施行規則第19条
学校において予防すべき伝染病の種類は、次のとおりとする。
第一類
コレラ、赤痢(疫痢を含む)、腸チフス、パラチフス、痘瘡、発疹チフス、猩紅熱、ジフテリア、流行性脳脊髄膜炎、ペスト及び日本脳炎
第二類
インフルエンザ、百日咳、麻疹、急性灰白髄炎、ウイルス性肝炎、流行性耳下腺炎、風疹、水痘及び咽頭結膜熱
第三類
結核、流行性角結膜炎、急性結膜炎、その他の伝染病
□学校保健法施行規則第20条
令第5条第2項の出席停止の期間の基準は、前条の伝染病の種類に従い、次のとおりとする。
第二類の伝染病にかかった者については、次の期間。ただし、病状により学校医その他の医師においてその伝染病の予防上支障がないと認めたときには、この限りでない。
インフルエンザ… 解熱した後2日を経過するまで。
百日咳    … 特有の咳が消失するまで。
麻疹     … 解熱した後3日を経過するまで。
急性灰白髄炎 … 急性期の主要症状が消退するまで。
ウイルス性肝炎… 主要症状が消退するまで。
流行性耳下腺炎… 耳下腺の腫脹が消失するまで。
風疹     … 発疹が消失するまで。
水痘     … すべての発疹の痂皮化するまで。
咽頭結膜熱  … 主要症状が消退した後2日を経過するまで。
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 ということで、学校でインフルエンザと診断された児童生徒が出た場合、その児童生徒は出席停止になる。実際には学校側で出席停止を命じなくても高熱や頭痛等で出席できない状態にあるわけだが、この場合、出席簿での扱いは一般の「病気欠席」とはならず「出席停止」扱いになるわけである。(出席簿や指導要録では「出席すべき日数」という欄があり、普通は授業日数がそのまま「出席すべき日数」になるわけだが、「出席停止」があった場合、その児童生徒の「出席すべき日数」は授業日数から出席停止日数を引いた日数になる。
「忌引き」の場合も同様の扱いとなる)
 インフルエンザの場合、出席停止の期間が「解熱した後2日を経過するまで」(あるいは医師が伝染病予防上支障がないと認めたとき)ということに注意しなくてはならない。
 インフルエンザの伝染期間は発症から3〜5日程度(小児の場合は7日程度)となっている。発症後5日程度で熱が下がっても、その後2日程度はインフルエンザウイルスを出していると考えられる。
 熱が下がったからとすぐに出席すれば、他の児童生徒を感染させてしまうおそれもあるので、出席にあたっては保護者に児童生徒の病状をきちんとたずね平熱に戻ってから2日が経過したこと(あるいは医師が出席を許可したこと)を確認してから、出席停止を解除しなくてはならない。
 インフルエンザにかかると、発症後3日程度で一度熱が下がり、その後2日ほどしてまた高熱を出すという例も多い。この場合は2度目の高熱が下がってから2日の経過が必要である。このような例も多いので、解熱後2日の経過をみるということが大事である。
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 インフルエンザの発症が少人数の場合には、個々の児童生徒への出席停止という措置で対応できるが、発症者が多い場合には、学級あるいは学校としての「臨時休業」いわゆる学級閉鎖等の措置が必要になることもある。
 多くの児童生徒が長時間いっしょに暮らす学校という場は、インフルエンザ伝染の危険性も高い。伝染を予防し、発症した児童生徒の病状が回復するのを待つためには、学級閉鎖あるいは学年閉鎖・休校という措置も効果が大きい。
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 では、どの程度の児童生徒が欠席および罹患したら、閉鎖の措置をとるべきなのだろうか。
 このことについて調べてみたが、学校関係法規の中にそれに当たるものはなかった。基本的には学校医等の医療関係者に相談をし、指示をあおぐことになる。
 ただ、茨城県で昭和52年に県教育委員会教育長通知として出されている例を、「茨城県保健福祉部保健予防課」のホームページの中に見つけた。それによると「学級等における欠席率が20%に達した場合は、学級閉鎖、学年閉鎖及び休校等の措置をとる」を措置基準としている。
 全国的な公式文書ではないのだが、ひとつの基準と考えてもよいだろう。
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 「欠席率が20%に達する」となると、「30人の学級の場合は6人の欠席」、「100人の学年の場合は20人の欠席」、「500人の学校の場合は100人の欠席」ということになる。
 いずれの場合も、かなり深刻な状況であるから、閉鎖の措置をとるのは当然かもしれない。
 
 「欠席はしていないが風邪気味で出校している」という「罹患出席者」の割合については、学級閉鎖等の措置をとる基準はないようだ。「風邪気味」といってもいわゆる「普通感冒」の状態で「くしゃみや鼻水、咳などの病状があり特に病状が急激に悪くなる者は少ない」という状態であればインフルエンザの可能性は低いだろうし、「風邪気味を訴えた後、すぐに高熱を発して休む」という児童生徒が多ければ、インフルエンザ流行のおそれがある。
 いずれにせよ、児童生徒の状況を的確に把握し、学校医等に相談して対応を考えることが大切だろう。
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 学級閉鎖等の措置の効果を上げるためには、1日や2日の閉鎖ではあまり効果がないそうだ。
 前述したように、インフルエンザにかかった児童生徒が出席できるようになるには1週間程度が必要である。学級閉鎖等の効果を期待するならば5日程度の閉鎖が必要だという。(金曜日から閉鎖し、間の土日をはさんで月曜日までの閉鎖というように、土日を活用すれば出席日数上の閉鎖は2日であっても効果はあるようだが)
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 今年度(平成14年度)から新学習指導要領が施行され、学校完全週5日制が実施された。全ての土曜日が休みになったことによって、昨年度と比較し、授業日数にして約20日、授業時間数にして約70時間が削減された。
 学習すべき内容も少なくはなったものの、授業を進めるうえで時間の余裕は少なくなっているのが現状である。仮に5日間の学級閉鎖等を行えば、授業時間数にして20数時間のカットになる。
 学級の欠席者が20%を越えるような状況では通常の授業を進められないことも事実だが、かといって思い切って5日間程度の学級閉鎖にも踏み切れないような実情もあり、学校としてはインフルエンザが大規模に流行しないように願いながら(もちろんそのための予防措置もとり)個別の出席停止等で対応しようとするところが多いだろう。(繰り返しになるが1日・2日程度の閉鎖措置ではあまり効果がないので)
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 いずれにしても、問題は児童生徒の健康・生命に関わることであり、授業日数がどうのこうのといった学校の都合だけを考えてはいられない。
 学校としては、児童生徒の健康状態の把握をきちんと行い、関係医療機関との連絡を密に行って、適切な対応をとらなければならない。
 同時に、保護者の方にも、子供が急激に高熱を出したり悪寒を訴えたりした場合には、「ただの風邪だろう」と楽観視せずに(インフルエンザの場合には市販の感冒薬は全く効かない)早めに医者に診せることをお願いしたい。<03.02.10>
□関連ホームページ□
 
(3) Vol.71   2003/ 3. 2(SUN)    ≪ 教 育 情 報 Magazine / ある小学校教師の独り言 ≫ “ よりよい学校教育を目指して ”                    発行者/愛知@島原 洋
[1]“近代化遺産”って,聞いたことがありますか?
            総合的な学習(地域学習)に使えそうなネタです
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 近代化遺産,聞き慣れない言葉です。私もつい先日まで知りませんでした。
 2月22日,名古屋で「建造環境から学ぶ総合学習シンポジウム」が開催されました。このシンポジウムは国土交通省主催で,身近な町の川,橋,道路,港などを題材とした総合的な学習を推進していこうというねらいのもとに開催されました。
 近代化遺産という言葉は,講演(岡山大学教授の馬場俊介氏:「近代化遺産の教育的価値」)で知ったのです。「近代化遺産」という概念は,我が国が近代化してくる過程で作られた建築物や構造物のもつ歴史的価値に注目するというものです。
 文化財指定には階層化という概念が根強くあり,古いものから順にという考え方が固定概念化しているそうです。そんな中で近世(江戸期)から近代(明治期)へと「近代化のためにつくられた構築物」が見捨てられ,続々破壊されている現状を憂う主張です。
 近代化遺産には地域の近代化への特性が顕著に示されています。馬場氏は岡山大教授ですから,岡山,広島,山口の代表的な「近代化遺産」をあげて説明されましたが,それは岡山では「高梁川酒津用水取水堰」,広島では「広島湾要塞を形作る砲台」,山口では「小野田セメントの焼成炉」でした。これ1つを見ても,近代化を農業主体で進めようとした岡山県,軍事を重視した広島県,工業に目を向けた山口県という具合に,幕末から明治にかけての近代化への地域の特性がよく表れているというのです。私は岡山育ちですが,確かに岡山県は児島湾や高梁川干拓で農地を大量に造成しました。最近滋賀県で小学校校舎の取り壊しが問題になりましたが,教育に力を入れた地方は,地域でもっとも立派な建物が校舎という例が多いそうです。
 この考えは非常におもしろいと思います。大いに知的好奇心をくすぐられました。以下に私が調べたことの一部を紹介します。
 ………………………………………………………………………………………
■ 近代化遺産とは
  近代化遺産は明治時代から昭和20年にいたる近代の産業・交通・土木などに関する建造物等が対象であるが、これまで十分な文化財的な保存措置がとられていなかった。そのためこれらの文化財的建造物も技術革新や産業構造の変革等により、取り壊しや改変が急速に進行しているのが実状である。
  近代化遺産建造物の保存措置を検討するため、群馬県教育委員会では国庫補助事業として、平成2年度から総括的な基礎資料を収集するための「群馬県近代化遺産総合調査」を実施し、平成3年3月「群馬県近代化遺産総覧」として、1・2次調査の結果がまとめられた。それによると群馬県内においては982件が報告されたが、その内桐生市には約10%にあたる97件があり、群馬県では最も多いものとなった。現在でも独自の継続調査を実施しており、新たな発見がかなり認められている。
■ 全国近代化遺産活用連絡協議会(略称「全近」)  
  近代化遺産を有する全国の自治体が協調し、それらの保存と活用を研究協議することを目的に、平成9年11月22日に設立された全国組織です。「全近」は、各地域に残された近代化遺産の保存と活用の方法を、自治体、企業、市民が一体となって考えていくことを目指しています。近代化遺産の保存と活用に取り組む市民との交流や、全国の会員間の情報交換によって、近代化遺産の保存と活用にむけて活動しています。現在、自治体だけでなく会の主旨に賛同する法人、またはNPO法人等も賛助会員として仲間に加わっています。
 ○ 私たち「全近」は、めざします。
  1 法制度の整備    2民間との協調     3支援財源の充実
 ○ 私たち「全近」は、近代化遺産の活用に向けて提言します。
  1.関係省庁等者間において連携協力の一層の充実をはかること
  2.技術者・技能者の育成・確保すること
  3.所有者・管理者の負担を軽減するため、新たな税制優遇処置や補助制度を設けること
  4.市民団体・NPO等支援団体の育成をはかること
  5.公共投資によって改修の促進をはかること
  6.改修に投資する特定財源(例えば宝くじ等)を創立すること
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 既に「近代化遺産」を総合的な学習で取り扱ったことがあるといわれる方がいらっしゃいましたら,ぜひお知らせください。
 
 【ワールド・ウォッチ】中国    中国の教育制度と広州日本人学校
□□改革開放のスタート地
 広州は、2000年以上の歴史を持つ中国広東省の省都である。また華南地域の政治、経済、文化の中心都市であり、林立する高層ビルの間で暮らす人々は850万人(2000年11月現在)を数える。
 香港に隣接するこの地は、中国の改革開放のスタート地に指定されて以来23年間経済発展を遂げ、最近では連続6年間GDPが10パーセント以上増加し続けている。またこの5年間は「国際化」にも力を注ぎ、世界に向けた中国の顔として変貌を遂げてきている。
 しかしながら市民にとって、増加の一途をたどる自動車の排気ガス、工業・生活排水の問題は深刻であり、近年、広州市市長は「藍天、碧水」を目標として改善に努めている。2002年は「日中国交正常化30周年」に当たり、各種交流事業を通して、両国の友好をいっそう深める努力がなされた。
 中国の義務教育は9年間で、小学校は6年間、中学校は3年間である。子どもたちは学区制に従って、自分の住居に近い学校に通う。2学期制で、9月に始まり6月に終わる。1979年の経済改革開放以来、経済だけでなく、教育への関心も高まりつつある。特に英語教育においては小・中共に力を注いでおり、特色ある学校づくりの方針の1つに掲げられることが多い。
□□地域の特性取り入れ学習
 広州日本人学校ではこれまで地域素材やその特性を取り入れた体験的な学習を進めてきたが、それを発展させて総合的な学習として取り組んでいる。たとえば「大好き広州!大好きパソコン!」「食在広州」「広州の魅力再発見」など小・中学部共に学年ごとにテーマを決め、中国・広州と自分たちとのかかわりを見つめながら追究している。それらの成果は毎年、年度末の学習発表会で発表している。
 他校との交流で得られるものも多く、子どもたちは交流の日を心待ちにして準備する。相手校は現地校の小・中1校ずつとインターナショナルスクール1校であるが、互いの学校を行き交うことでより深い友情が育ちつつある。 
□□児童生徒数  ●小=15人 ●中=76人【広州日本人学校】mailto:jsgjsg@pub.guangzhou.gd.cn
http://www.geocities.co.jp/NeverLand/1205/ 
 
 研究会情報
(1)【京都】エデュテイメントフォーラム2003京都
   e−授業をのぞいてみよう!
   総合的な学習の時間・情報教育の魅力的な授業−
   ■日 時:3月25日(火)26日(水)9:00〜17:30
   ■会 場:京都リサーチ−パーク
   ■詳 細→http://www.kyoto-one.ad.jp/edutainment/ef2003/top.html 
 ※3/26(水)「D-project春の公開研究会」同時開催     詳細→http://www.d-project.jp/event2 
 
(2)名古屋市にて★ あなたも一緒に群読を!
  時 3月30日(日)13時〜16時
  所 名古屋市 瑞穂生涯学習センター(視聴覚室) 052-871-2255
     市内地下鉄 名鉄 名城線「堀田駅」北東へ400メートル
  講師 家本芳郎    参加費 二講座で1000円 
  申し込み  電話  近藤 俊克(名古屋市立室小学校)052-802-5264 
        メール 池田 憲一  FZA03443@nifty.ne.jp
   * なお、当日は午前10時から 家本講師による講座「あなたも授業のプロになれる」があります。
  参加費 二講座で1000円   主催 名古屋市生活指導研究会 
 
 ダイオキシン 『猛毒説は妄想』  渡辺正・東大生産技術研究所教授
 ダイオキシン類対策特別措置法(ダイオキシン法)が、昨年12月から本格適用され、各地に新しいごみ焼却炉が誕生している。一方、その毒性や人体への摂取ルートが明らかにされるにともない、同法の意義を疑問視する声も出てきた。「ダイオキシン−神話の終焉(おわり)」(日本評論社)を林俊郎目白大教授と共に著した渡辺正・東大生産技術研究所教授(生体機能化学)は「ダイオキシンは恐竜時代からあったし、その毒性も心配ない。日本の現状は誇大妄想だ」と警告する。 (引野 肇)
 
■人生10回分の食物で致死量
 ――猛毒説は間違いだったのですか。
 渡辺 ダイオキシンの半数致死量(LD50)は、一番弱いモルモットのデータを人間の体重にあてはめても、人生十回分の食物に含まれる量だ。イッキ食いでもしない限り、急性毒性で死ぬことはない。サルのデータなら七万年分だ。
 例えば、キャベツや果物は青酸を含むし、ジャガイモは有毒なソラニンという成分を含む。人体への摂取量を考えると、そんな物質に比べてダイオキシンはずっと安全だ。ダイオキシンは山火事でも、魚を焼いてもでき、縄文時代から人は摂取しているのです。
 ――日本人の摂取量は年々減少しているそうですね。
 渡辺 日本人のダイオキシン摂取量は、一九七〇年ごろから減り、今は当時の三分の一ぐらい。当時多かったのは、六、七〇年代、水田に有機塩素系の除草剤「PCP」「CNP」が使われ、その不純物としてダイオキシンが広がったためだ。PCPなどが使用禁止になるまでに約六百キロのダイオキシンが環境に出たという。ベトナム戦争で使われた除草剤中のダイオキシンが三百キロといわれるから、これは膨大な量だ。でも、そのころ健康被害に関する報告はありません。
■法規制は大失策
 ――焼却炉を規制するとダイオキシンは減りますか。
 渡辺 体に入るダイオキシンのほぼ95%が食事からで、その七割以上が魚由来。だから、空気や飲み水から摂取する量は心配ない。ダイオキシンは分解しにくく、六、七〇年代に田んぼに散布されたダイオキシンがまだ環境中に七、八割は残っている。それが田んぼから川へ、そして海へ行って、魚の体内に濃縮され、摂取されているのが現状だ。魚のダイオキシンの大半が農薬由来で、焼却から来る分はわずか。だから、焼却炉のダイオキシンをたとえゼロにしても、肝心な摂取量は少ししか減らない。
 ――焼却炉の規制は壮大な無駄だと。
 渡辺 その通り。ダイオキシン法は大失策だ。測定にも巨費がかかる。ダイオキシンを減らすには、八百度以上でごみを燃やし続けないといけない。そのため、常時ごみが必要となり、ごみ収集にも莫大(ばくだい)な輸送用エネルギーを使う。ごみは発生源で処理するのがベスト。
 学校の焼却炉をやめたのも間違いだ。ダイオキシン法がある限り、産業の下流に膨大な金額が費やされ、産業構造が狂うのではと心配だ。
 また、ポリ塩化ビニールが悪者になっているが、塩ビをごみからすっかり除いてもダイオキシン発生量は変わらない。ごみの塩素分が0・1%以上でダイオキシン発生は頭打ちになるが、生ごみも紙も塩素をすでに0・2%以上含んでいるのです。そういうことが市民に伝わっていない。


      問い合わせは 土井謙次  syaraku@tcp-ip.or.jp