(1)「札幌掃除に学ぶ会」が鍵山秀三郎さん招き、講演会(北海道)
児童生徒らと学校のトイレ清掃をしている「札幌掃除に学ぶ会」(長沼昭夫・代表世話人)は21日、設立10年記念事業として、自動車用品店「イエローハット」創業者、鍵山秀三郎さん(73)の講演会を札幌市内で開催した。
鍵山さんは、「トイレ掃除をすると謙虚になれる。才能があっても謙虚でなければ人を幸せにできない」との哲学で、会社のトイレ掃除を続けた経営者として知られる。共鳴した経営者らが集まり1993年に「日本を美しくする会」を結成。心の教育に、トイレ掃除を始める学校が全国で相次ぐことになった。
札幌掃除に学ぶ会は、96年結成。2か月に1度程度のペースで、市内の学校でトイレ掃除を行ってきた。
講演で鍵山さんは「日本は豊かになったが、心が貧しくなったように思う。両方とも豊かにするために、謙虚の心を持つことが大事」と、約120人の聴衆に語りかけていた。
札幌掃除に学ぶ会は22日朝から、札幌市立新琴似中学校などでトイレ掃除を行う予定。代表の長沼さんは「学校の先生、生徒、保護者の皆さんと一体になって掃除の取り組みを広げていきたい」と話していた。 (2006年10月25日 読売新聞)
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前任校でも取り入れた。これだけで学校は変わる。社会は変わる。トイレ掃除にはそれだけの力がある。
(2)教員採用試験の工夫改善進む
模擬授業の実施や、資格を所有者に対して一部試験を免除するなど、教員採用試験の改善が各都道府県で一層進められていることが文部科学省の調査でわかった(平成18年度選考試験、全61都道府県・指定都市対象)。
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ペーパーテストだけよりは良いかもしれないが、結果を数値化しにくいことを考えると当然問題も生じてくる。フィギアスケートの審判は専門家である。それでも、採点の逆転現象はざらにある。ましてや、多くの受験者の中から短時間の模擬授業や面接で人を見抜くのはとうてい困難である。民間人だから良いという発想はいかがなものか。結局、最後は人による。
(3)公立学校の平均授業時間は704時間、日本は534時間 米国は1,000時間
OECD(経済協力開発機構)は、このほど、加盟国の教育の現状を比較、分析した「OECD インディケータ2006 年版」を発表した。それによるとわが国の初等中等レベルは依然として高いものの、大学教育では東アジア諸国に追い抜かれていることが分った。1995〜2004 年に、大学に在籍する学生数は中国とマレーシアで2 倍以上に増えているほか、タイで83%、インドで51%、と急増している。
同調査では学級規模と学力の面でも調査している。その結果は「少人数ほど良いとは限らない」と報告されている。
具体的には、教員1 人当たり生徒数と成績の間に単純な相関関係は見られない。1 クラスの生徒数は日本、韓国、メキシコ、ブラジル、チリ、イスラエルでは30 人以上であるのに対し、デンマーク、アイスランド、ルクセンブルク、スイス、ロシアでは20 人以下であるが、PISA 調査で数学の最上位成績者グループに入っている生徒の比率は、日本の8.2%に対し、例えばルクセンブルクでは2.7%に過ぎない。
教員と生徒の交流も教員1人が担任するクラス数もしくは生徒数、教科、授業とその他の職責への教員の時間配分、クラス内の生徒のグループ分け、チームティーチングの実践などの影響を受ける。
「教員の給与と仕事量」の調査では、15年以上の教員歴を持つ初等教育と前期中等教育の教員の場合、給与の1人当たりGDP比が低いのはハンガリー(0.91)、アイスランド(0.69)、ノルウェー(0.87)、ポーランド(0.83)、イスラエル(0.73)、高いのは韓国(初等教育で2.37、前期中等教育で2.36)、メキシコ(前期中等教育で2.09)、トルコ(初等教育で2.44)である。後期中等教育全般でこの比率が最も低いのはノルウェー(0.87)、ポーランド(0.83)、アイスランド(0.94)、イスラエル(0.73)である。
15年以上の教員歴を持つ前期中等教育の教員給与は、ポーランドの約1万ドルからドイツ、韓国、スイスの4万8,000ドル以上まで様々であり、ルクセンブルクでは8万ドルを超えている。
実質の教員給与はほぼすべての国で1996〜2004年に増加しており、増加幅が最も大きいのはフィンランド、ハンガリー、メキシコである。スペインの初等教育と後期中等教育の教員給与は、なおOECD平均を上回っているものの、この期間に実質で減少している。
公立校の年間授業時間は平均で704 時間であるが、メキシコと米国の1,000 時間強から日本の534 時間まで幅がある。授業時間の年間配分方法も大きく異なる。例えば、教員の労働時間は1学年42 週制のデンマークより1学年36 週制のアイスランドの方が長い。ただし、教員の仕事量には授業の準備や採点、課外活動などに費やされる膨大な時間も含まれるので、授業時間は教員の仕事量を測る1 つの目安に過ぎない。(以下略) 本文
http://www.gks.co.jp/2006/english/data/06101801.html より引用
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毎年出ているデータ集だが、以前にも増して注目されている。PISA調査等、OECDの規準を日本でも取り入れようとしているからだ。『図表でみる教育 OECDインディケータ(2006年版)』の内容構成を紹介したい。(○は日本のデータが掲載されている指標)
A章 教育機関の成果と教育・学習の効果
○インディケータA1: 成人の学歴分布
○インディケータA2: 後期中等教育卒業率
○インディケータA3: 高等教育卒業率
○インディケータA4: 15歳児の数学的リテラシー
○インディケータA5: 15歳児の数学的リテラシー得点に関する学校間と学校内でのばらつき
○インディケータA6: 数学的リテラシーの習熟度レベルが低い15歳児(PISA2003年調査)
○インディケータA7: 制度的分化、社会経済的背景と15歳児の数学的リテラシー(PISA2003年調査)
○インディケータA8: 最終学歴別の就業状況
インディケータA9: 教育からの収益:教育と所得
インディケータA10: 教育からの収益:教育と経済成長・社会的成果とのつながり
○インディケータA11: 人口動態が教育の提供に与える影響
B章 教育への支出と人的資源
○インディケータB1: 在学者一人当たり教育支出
○インディケータB2: 国内総生産(GDP)に対する教育支出の割合
○インディケータB3: 教育支出の公私負担割合
○インディケータB4: 公財政教育支出
○インディケータB5: 高等教育機関の授業料と私的部門に対する公的補助
○インディケータB6: 教育支出の使途別構成
C章 教育機会・在学・進学の状況
○インディケータC1: 初等教育から成人までの在学率
○インディケータC2: 中等・高等教育の在学率
○インディケータC3: 高等教育機関における留学生と外国人学生
○インディケータC4: 若年者の就学及び就業状況
インディケータC5: 成人教育への参加
D章 学習環境と学校組織
○インディケータD1: 初等・中等教育学校の生徒の標準授業時間数
○インディケータD2: 学級規模と教員一人当たり生徒数
○インディケータD3: 教員の給与
○インディケータD4: 教員の授業時間数及び勤務時間数
○インディケータD5: 情報通信技術(ICT)の導入と利用の状況(PISA2003年調査)
(4)江別市教委が全小中学生に郵送方式でいじめ実態調査へ(北海道)
北海道江別市教育委員会は25日、いじめの実態を調べるため、市内の全小・中学生と保護者に郵送方式で直接尋ねる「心のダイレクトメール事業」を実施すると発表した。市教委によると、調査の対象者は児童が19校の約7400人、生徒は10校の約4190人。
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今回のいじめ報道にはいささか困惑を隠せない。
@ はじめの犠牲者はともかく、後半の犠牲者は明らかにマスコミに煽られている。マスコミ報道によ り犠牲者が増えたことを、マスコミはどう考え、どう責任を取るのか。
A 犠牲者が出た学校の生徒に勝手にインタビューをしている。そこで「いじめを見た」と答えた生徒 をなぜ許すのだ。「それに対してあなたはどうしたのか?」と言うべきではないのか。それが大人社 会ではないのか。これを許すと、傍観者を増やすことになる。
B 学校の対応にも問題があったが、「隠蔽」という言葉は正しくないと思う。わからないから「いじ め」なのだ。分かっていれば当然指導しているはずだ。しかも、「自殺に結びつくいじめ」かどうか、 これは明確な遺書でもない限り、亡くなった本人しか分からない。
やや強い言い方をしたが、こう思っている一般市民は多いことを知って欲しいものだ。