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報告者  土 井
 2007年12月13日(木)布袋北学習等供用施設にて社楽の会を開催しました。参加者(勤務校)を紹介しましす。
 土井(岩南中)、早川先生(江南北中)、大野先生(岩南小)、小澤先生(扶東小)、高木先生(犬山中)、坪内先生(犬南小)、勝村先生(楽田小)、野沢先生(柏森小)、天野先生(大口北小)、坪内先生(岩倉中)、織田先生(扶桑中)、高橋先生(門弟山小)、尾関先生(曽野小)の計13名です。

土井より、今回紹介したものの目次です。番号をクリックしてください。

  2007心理療法カウンセリング講座
 与田剛講演会 
  平成19年度全国中学生人権作文コンテスト
  OECD生徒の学習到達度調査(PISA2006)について  
 役立ちWeb特集  
 教育関連情報    
 MM紹介
 研究会紹介


 2007心理療法カウンセリング講座
   講師 安川雅史(全国Webカウンセリング協議会理事長・心理学者)
    主催 全国Webカウンセリング協議会  http://www.web-mind.jp/
      平成19年12月2日(日)13:30〜16:00   会場  名古屋港湾会館 5F
次にアップしてあります。 http://www.tcp-ip.or.jp/~syaraku/yasukawa.htm 

 与田剛講演会
12月9日、岩倉市総合体育館で与田剛さんの講演がありました。その様子を校長日記から紹介します。
☆★☆ スポーツ講演会−1− ☆★☆
 今日は、与田 剛さんの講演会がありました。テーマは、「私の野球人生〜自分を信じ、逆境を乗り越える〜」私は、かなりドラキチなので、今日の講演を楽しみにしていました。
 現在、NHKの大リーグ野球解説者としている与田さんは、1989年、ドラフト1位で中日ドラゴンズに入団。入団1年目の1990年、抑えの切り札として新人では史上最多31セーブを挙げ、新人王と最優秀救援投手を獲得。その剛速球と名前から剛球投手と呼ばれました。
 その華々しいデビューに比べて、それ以後の苦労はすさまじく、2年目は0勝3敗2セーブ。3年目に2勝5敗23セーブと持ち直したものの、それ以後はほとんど活躍がなく、1996年途中でロッテに移籍、1998年に日本ハムにテストで入団。この間1軍当番は全くなし。1999年にわずか1試合に登板して、翌年阪神にトライアウトで入団しそのまま引退しました。通算8勝中の6勝、59セーブ中の54セーブを1年目と3年目の2年間であげて、あとは故障との戦い、文字通り苦労の連続だった人です。
 今日は、小学校4年生から野球を始めてドラフトに指名されるまで、開幕戦での1軍デビュー、最初のトレード、阪神野村監督との出会い、引退、それ以後のいろいろな選手との関わりについてお話ししていただきました。
 紹介だけでスペースを取ってしまいました。
 今日は一つだけ。立浪選手について。
 立浪選手は、与田選手より4歳ほど若いのですが、与田選手が入団した時はすでにスター選手でした。しかし、与田選手が合宿所に入った時に、部屋に礼儀正しく挨拶に来てくれて感動したそうです。
 その年、与田投手が投げている時のこと、バッターの打球が右足下を抜けていきました。ショートの立浪も取れなかったのですが、その後「すみません。」と謝りに来ました。与田選手は「あれはヒット性の当たりで仕方ないよ。」と言ったら、立浪選手は「いえ、取れたのです。」と言うのです。
 明くる日、与田選手が球場へ行ったら、もうすでに立浪選手がノックを受けていました。しかも、投手の足下を抜ける昨日の打球を何回も打ってもらっているのです。
 与田選手は、「こんなすばらしい選手達にバックを守ってもらっているんだ。エラーしても何も言えないな。」と思ったそうです。明日に続きます。
 南風あったかげん記−283−
☆★☆ スポーツ講演会−2− ☆★☆
 与田剛さんの講演会で印象に残ったことを紹介します。
○ 小学校4年生から野球を始めて中学、高校、大学とやってきたが、「野球を嫌いにさせなかった指導者に感謝したい。」
○ コントロールはだめだけどスピードは速かった。記録がある。1試合で4人の頭にぶつけて、4つヘルメットを割ったこと。相手チームからは「人殺し!」と言われた。
○ 自分は教えられたことをそのままやってきたが、野茂や潮崎は、教えられたことを吸収しながら、自分に合ったものにしてきた。質が違った。
○ ドラフトでは指名1巡目で野茂に8球団。中日だけが与田を指名した。星野監督が挨拶に来るかと思ったら、スカウト部長が「監督はオーストラリアへ行った。」と言った。「やることをやったからあとは任せた。」という人だ。男気のあるメッセージをくれる人だと思った。
○ 新人の年の開幕戦、5対5で延長11回、ノーアウト1・3塁の場面で、星野監督に「行ってこい」と言われた。相手投手は大魔神・佐々木。なんとか抑えた。
 野球をやめる時、星野監督に「俺の家へ来い。」と言われたので、家に伺い「なぜ僕を指名したか?」と聞いてみた。笑いながら「やっぱり野茂にいけばよかったなぁ」と言われたが、その後で「俺はお前と野球がやれてよかったぞ」と言われた。それまでのすべての恥ずかしさや悔しさが吹っ飛んだ。
 「なぜ開幕のあの場面で新人に投げさせたのか?」とったら、「バクチだった」と言われた。
○ 僕には努力をしたという発想はない。準備をしてきた。「努力」は嫌なことをすること。好きなことは「準備」。準備は、気持ちが前向きになる。テレビを見ていても、「今、誰かが練習しているかも…」と思うと、自然とシャドーピッチングやバットを振ったりと、準備に入ることができた。
○ イチローは天才ではないが、準備を人よりできるという点では天才だ。尋ねてみたら、「やらなければと思ったことがない。これをしないと、お金を払ってプレーを見に来る多くのお客さんにうち克てない。だからやるんです。」と言われた。
○ イチローは誤解されやすい。「あなた方は報道のプロでしょう?そんな質問しかできないの?」という目で見ている。イチローは、相手を認めたいのだ。こうも言われた。「現場に来ない解説者の言うことは全く聞きませんよ。」自身があり、やることをやり、結果を出しているイチローだから言えることだ。
○ 「速い球を投げるためには?」それは、懸垂や腕立て、片足立ち、縄跳びなど、体重を意識したボディバランスが重要。足の指で地面をつかむ感触が特に大切。
 この他にも、いろいろと興味深い話を聞くことができました。やはり、本物の話はおもしろいです。これからも、こうした講演会には積極的に足を運びたいと思います。

 平成19年度全国中学生人権作文コンテスト 
   http://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken111.html  朝礼で紹介しました。ぜひご覧ください。

 OECD生徒の学習到達度調査(PISA2006)について
   http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakuryoku-chousa/sonota/07032813.htm 
新聞報道に惑わされないで、原本を読むことが大切です。

 役立ちWeb特集 
(1)文部省 用字用語例
 「ありかた」は「在り方」?「あり方」?。報告書等で漢字の使い方に迷った場合、ここを見ればばっちりです。  http://www.geocities.jp/tdm117/ 
(2)全国津々浦々自己研修資料   http://www.saga-ed.jp/ 
  いろいろな指導案を見ることができます。佐賀県教育センターのサイトです。
(3) キャリアミュージアム みらい     http://www.museum-mirai.jp/ 
     なりたい仕事をいろいろな人のブログで学びます。
(4)落とし物や忘れ物の情報がインターネットで公表
 12月10日に改正遺失物法が施行。落とし物や忘れ物の情報がインターネットで公表され、探しやすくなた。また、保管期間が3か月に変更されたり、傘や衣類など大量・安価な物等は、2週間以内に落とし主が見つからないと売却可能に。 http://www.npa.go.jp/safetylife/chiiki2/summary2.pdf 
(5)超高速インターネット衛星「きずな」打ち上げ日決定
 H-IIAロケット14号機による超高速インターネット衛星「きずな」の打ち上げが2月15日に決定。「きずな」は、地域による情報格差をなくし、誰もが平等に高速通信サービスを受けられる社会を実現するために、最大1.2Gbpsの超高速でデータ通信を行うことができる人工衛星。
  一般家庭でも直径45cm程度の小型アンテナを設置すれば、最大155Mbpsの受信、また6Mbpsの送信ができます。
(6)東京マラソン特集
☆東京マラソン公式サイト    http://www.tokyo42195.org/ 
☆東京マラソン2007 コース マップ 動画でツアーができる。
☆東京マラソン2008マラソンコース動画    http://ha2ra2.web.fc2.com/tokyo/ 
☆東京マラソン、一足お先に試走しました
☆コースマップ|東京マラソン2007|大塚製薬   http://www.otsuka.co.jp/health/tokyo/coursemap.php 
(7)略地図を自動的に生成するサービス おすすめ!
 道案内に利用可能な略地図を、手軽に生成することが可能なサービスが登場。ユーザーが入力したルートから、道路に沿った施設名を配置するとともに、ルートに関連する道路を強調し、それ以外の道路を省略するなど、シンプルで見やすいデザインの略地図を全自動で生成。
 ALPSLAB 白地図は授業で使える!  http://api.alpslab.jp/white/ 
(8)世界の学校を見てみよう http://www.mofa.go.jp/mofaj/world/kuni/index.html 
    世界の国々の教育制度がわかります。外務省のサイトです。
 世界各国の教育制度がコンパクトにまとめられています。
(9)実は意味を知らなかったビジネス用語ランキング
 雑誌やテレビ、社内の会議で飛び交っている ビジネス用語。何気なく使っているけれど、実は意味を知らなかった用語と意味をランキングで紹介。上位ランキングは、「クラウドソーシング」「CSF」「バズマーケティング」など。 http://ranking.goo.ne.jp/ranking/014/business_word/ 
 
6  教育関連情報
(1)社説:国際学力調査 順位より「低意欲」こそ問題だ(毎日新聞2007年12月5日)
 経済協力開発機構(OECD)の国際学力テスト「学習到達度調査」結果が出た。(中略) 
 この数字に一喜一憂するより、日本の生徒たちの日ごろの理科学習に対する関心や意欲の調査結果を考えたい。
 例えば、「30歳くらいでどんな職に」という問いに、科学関連の職業を挙げた生徒は8%という。え?と言いたくなる結果である。OECD加盟国平均では4人に1人が挙げた。また理科の勉強の目的も「自分に役立つので」と挙げた日本の生徒は4割余で、7割近いOECD平均の中で際立って低い。動機づけや学習活動面で日本は最低レベルに位置している。
 なぜか。理系の職業や社会的地位は、発展途上国で相対的に恵まれ、子供のあこがれが強いという事情もある。先進国では職業が多様に分化し、選択肢が増えるという側面もある。日本では理系の職種が必ずしも厚遇されていないからという指摘もある。でもそれだけでは日本の子供たちの関心・意欲が「ずば抜けて低い」(文部科学省)調査結果は説明できない。
 実は、こうした傾向は理科教育に限らず、既に多くの学校や子供たちの生活の場で指摘されていることだ。経済的な豊かさ、少子化と受験競争の緩和など、さまざまな要因が挙げられる。「生きる力の育成」を強調した「ゆとり教育」も、本来この状況の打開や改善を目指したものだった。
 前回のOECD調査で読解力の順位が下がったことで、ゆとり教育批判がにわかに強まり、教科学習を再び増やす学習指導要領の改定決定や、全国学力テスト実施に結びついた。ゆとり教育の手法や成果、OECD調査結果との因果関係について十分な検証が行われないまま、「ゆとりが学力低下の元凶」論が高まった面がある。
 今回の結果で、実験を工夫するなど理科教育の改善が進むことは期待したい。しかし、「やる気の薄さ」はこの分野に限ったものではなく、社会全体の問題、これからの日本の幅広い人材育成で避けて通れない問題、ととらえる視点と覚悟が必要ではないだろうか。
 単なる授業量増加が即効薬ではない。意欲、動機づけ、興味、関心などは、なかなかつかみどころがなく、これまで本格的に掘り下げて取り組みにくかった問題だが、もう先送りにはできない。
☆★☆ コメント ☆★☆
 毎日新聞の社説は、比較的冷静に書かれている。
 まず問題例を解いてみていただきたい。
 特に細かい知識は必要としない、普通に考えればできる問題である。ただ、選択肢がやや微妙で、言葉の問題(日本語の読解力)としてわかりにくいものもある。
 やってみて思ったのは、現行の授業にあまり関係ないのではないかということだ。理科の基本というより、むしろ、論理学の基本を問うている。日本では、論理学は義務教育の体系的なカリキュラムにない。
 もちろん、理科の実験や数学の証明で使う考え方ではあるが。
 次に、被験者である高校生をどうやって選んでいるのか?世界の高校生は進学率も違えば、システムも違う。それを、出てきた数値だけで比較してよいのか?順位まで出してよいのか?それも疑問だ。
 諸外国で高校まで進む子は、エリートが多い。一方、日本は、希望すれば大学全入の時代で、いわゆる学習意欲に欠けるのは目に見えている。数値を高めたければ、高校入試や大学入試の問題を、今回の問題のように変えればよい。
 
(2)学力転落ショック、指導要領・理数一部を前倒し実施へ  毎日新聞 2007年12月5日
 経済協力開発機構(OECD)が昨年、世界の15歳を対象に実施した国際学習到達度調査(略称PISA)で、日本が理数系の分野でトップレベルから転落したのを受け、文部科学省は5日、現在改定作業を進めている次期学習指導要領について、理科と、算数・数学の内容の一部を前倒しして、2009年度から実施する方針を固めた。
 今年度末に改定される新指導要領は、当初は小学校で11年度、中学は12年度、高校は13年度から実施される予定だったが、早期実施を求める保護者らの声を受け、文科省は先月、一部内容を09年度から前倒しする方針を打ち出していた。何を前倒しするかは未定だったが、今回の調査で理数系の順位の落ち込みが顕著だったことから、急きょ理科と、算数・数学の2分野から優先的に実施することにした。
 前倒しする内容は、来年1月の中央教育審議会の答申後に検討する。授業時間についても、現在の枠の範囲で、理数系の教科に振り分けられる時間がないかを検討する。
 渡海文部科学相は同日開かれた衆院文部科学委員会で「今回の結果は残念。これを踏まえて何が出来るのかを検討し、スピーディーに対応したい」と述べた。 (2007年12月5日 読売新聞)
☆★☆ コメント ☆★☆
 これは正しい対応と言えるか?日本の教育課程とやや異なる問題を、しかも実施条件も同一かわからないのみ結果だけを比較して、すぐに制度を変えるのは正しい対応なのか。授業時間数の変更するということは、教科の教員の変更になる。教員養成、教員採用から変わってくる問題だ。簡単に変えられることではないことを知ってほしい。
 
(3)杉並・和田中で塾講師が授業。希望者に夜間、英数国(東京)
 リクルート社出身の藤原和博氏が校長を務める杉並区立和田中学校(生徒373人)で、来年1月から大手進学塾「サピックス」(中央区)の講師を招いた夜間授業が始まる。学力上位の生徒をさらに伸ばすのが狙い。月謝は2教科1万8000円、3教科2万4000円。
☆★☆ コメント ☆★☆
 公立中学校がやることかどうか?冷静に考えたい。
 
(4)船場吉兆偽装 老舗のおごりと無責任  2007年12月11日
 高級料亭グループ「船場吉兆」の偽装表示や改ざんの実態が、農林水産省に提出された改善報告書から浮かび上がった。看板に偽りあり。責任逃れの経営陣。老舗ののれんが泣いている。
 開いた口がふさがらぬというよりは、食欲を失って、固く口を閉じたくなる。
 牛肉、鶏肉、アナゴに黒豆、めんたいこ…。経営トップが知っていながら偽装を放置、消費・賞味期限の改ざんは十年前から半ば当たり前になっており、経営者一族の役員が改ざんを指示していたことなども認めた。
 とどまるところを知らぬ食品偽装、虚偽表示の洪水の中でも、船場吉兆の悪質さは、目に余る。「食」への信頼を失墜させた責任も、ひときわ重い。
☆★☆ コメント ☆★☆
 連日、食品偽装の報道が流れる。確かに偽装はいけない。嘘もいけない。今回のように、下請け業者やパート職員に責任転嫁したのは論外だ。しかし、これだけ続いていたのは、そして、気づかなかったのはどこかおかしくないか?
 批判を恐れずに言えば、JAS法、特に「賞味期限又は消費期限」が厳しすぎるのではないだろうか?
 池間氏の講演を聴くと感じるが、日本人の食べ物を大切にする意識の低さは恥ずかしいほどだ。しかし、賞味期限を過ぎていたものが平気で売られ、これまで食べてきた。これからは、期限を過ぎれば捨てられるのだ。だったら、賞味期限を延ばせばいいのではないか?これから、ぼんぼん食べ物が捨てられるのを私達日本人は見逃してよいのだろうか? 
 かつて、製造日だけ書かれて、あとは店と消費者が判断していた昔に段階的に戻した方がよいのではないか?

 
 MM紹介
(1)MM小学1848  荒木茂□ 詩「今日」の音読授業をデザインする  
連載(88) 音読授業を創る  そのA面とB面と
   詩「今日」の音読授業をデザインする 荒木  茂  http://www16.ocn.ne.jp/~ondoku/
●詩「今日」(まど・みちお)の掲載教科書…………………………大書5下
            今日       まど・みちお
        きがつくと今日をむかえている        そして当たり前顔でその中にいて
        いつのまにかその今日をおくりだしている   くる日も くる日も
 
        今日の中にいて思うのは           明日のこと昨日のことだが
        その明日にも昨日にも出会うことはない    出会えないからこそ思うのだろうか
 
        たしかにあるのは今日だけなのか       今日こそ昨日であり明日でもあるのか
        今日こそ生きてさわれる全部なのか      今日こそこれしかない一生なのだ
 
            ★教材分析★
  わたしたち人間は、その日その日を仕事や雑事に追われ、毎日をあくせくと過ごしているのがふつうでしょう。なにやかやと今の今を何気なく、のほほんと過ごしているのがふつうでしょう。毎日の雑事にかまけて、一日一日を「今日の一瞬一瞬を充実して生きよう」などと意識して生活しているわけではありません。この詩は、こうした常態化を改めて考え直して、今日の今の今を充実させて生きようと反省させてくれる詩です。この詩は、それを言葉の表現として取り出し、詩的表現として構成して提示しているところに優れた存在意義があるといえましょう。
 
  第一連
  大体の内容はこうでしょう。
  わたしたち人間は、朝が来れば「夜があけたなあ、あさめしを食べなくちゃ、寝床から起きなくちゃ」と思います。当たり前のように今日の朝をいつものように迎えます。そして一日をあくせくと過ごし、いつのまにか今日の一日がなんとなく終わってしまっています。
  当たり前のように今日が昨日となり、当たり前のように明日が今日となり、漫然とそれを繰り返しています。「今日の今日、今の今を生きている、よい一日一日だった」などとその日その日の充実した時間を意識して、それを反省しながら、そうしようと努力しながら生活している訳ではありません。第一連では、このような現実を書いているように思われます。
  第二連
  大体の内容はこうでしょう。
  今日を生きるとは、昨日(過去)を引き受け、明日(未来)を見通しながら今日を生きている。しかし、今日を生きている時は、明日(未来)にも昨日(過去)にも出会えない(同じ時間に生きられない)のだ、と書いているように思います。
  「出会えないからこそ思うのだろうか」の「思う」は、補語「何を」が省略されています。「出会えないからこそ≪今日の中にいて、明日のことや昨日のことを≫思うのだ。」のようになるのではと思います。「のだろうか」は、単なる疑問の推量表現ではなく、「そうだ、そうだ。」という軽い反語表現にもなっているように思います。
  第三連
  大体の内容はこうでしょう。
  文末が「……なのか」と問いかけ表現になっていますが、これは言表に自信がなくて婉曲にぼかした言い方になっているわけではありません。問いかけ表現の裏に強力な肯定意見を含んだ反語表現があると思います。「今日だけだ」「明日でもあるのだ」「全部なのだ」という、語り手の強い肯定意思が裏に隠されている言い方になっていると言えます。
  ここで語り手が言いたいことは、最後の一行にあるように思います。「今日こそがこれしかない一生なのだ」です。
  「今日=一生」と、かなり強い言い方で言表しています。子ども達に、語り手(まど・みちお)が主張したい、訴えたい真意は何かと問いかけてみましょう。そして、わたし達は「だからどうすべきだ」ともうひと押しを言葉にするとどうなるかを考えさせたいと思います。
  全体の感想
  この詩全体を読んで、荒木はこんな感想を持ちました。
  わたしはこの詩を読んで、ハイデガー『存在と時間』の中で書いている事柄を思い出しました。
  ハイデガーはこう言います。人間たちの平均的な日常生活の過ごし方を考えてみよう。それはどうでもよい日常茶飯の空談やつまらんおしゃべりに夢中で、「気散じ・気晴らし」の中で我を忘れて、その日その日をのほほんと、なんとはなしに過ごしている。「空談」で満足し、他人への「好奇心」にうつつをぬかしては語り、どうでもよい事柄に熱心で、それら日常生活に「曖昧性」という本質が常態化している。日常生活は頽落しており、本当の自己を見失っている。非本来的生活の落とし穴の中にはまり込んでしまっている。
  わたしたち人間は、こうした非本来的な生活から脱却し、本来的な自己を見出し、それを取り戻すことが重要だ、そうした時間の中に生きることが重要だ、本来的な自己の実存のあり方を探すこと・開示することが重要だ、死の不安の脅かしや自己の良心の声の呼びかけに耳を傾けることが重要だ。かいつまんで言えば、こんなことをハイデガーが言っていたことを思い出します。
  つまり、時間は、過去・現在・未来と区分けされた客観的時間ではないということ、実存的時間として了解すべきだということを言っています。昨日(過去)を今(現在)の中に手繰り寄せ、明日(未来)を今(現在)の中に引きずり込み、そうした実存的時間の今(現在。瞬間瞬間の実存的な生活時間の流れ)をいかに生きるべきかを自覚して本来的な自分の生存を気遣いつつ生活すべきだと言っていたことを思い出しました。
          ★音声表現のしかた★
  次の【  】の中の詩文を、(  )の中のようなメリハリの音声表現にするのも一つの方法です。(  )の中は、音声表現するときの気持ちの入れ方やメリハリのつけ方について書いています。参考にしてみてください。
 
第一連
【きがつくと】(どうかというとの気持ちで次へつなげて)
【今日をむかえている】(軽く押さえて断止する。軽い間をとる。)
【そして】(つけたす気持ちで次へつなげて)
【当たり前顔でその中にいて】(次につながる息づかいで)
【いつのまにかその今日をおくりだしている】(はっきりと断止。軽い間をとる。)
【く・る・日・も】・【く・る・日・も・】(スタッカートのように一つ一つを区切る。ゆったりと、たっ                   ぷりと、声を落として読んで、繰り返す。)
第二連
【今日の中にいて思うのは】(次のようだという気持ちで次へつなげて)
【明日のこと・昨日のことだが】(二つを対比して目立たせ、「が」で軽い間をとる。)
【その明日にも・昨日にも・出会う・こ・と・は・な・い・】(はっきりと断止する。軽い間をとる。「こ          とはない」を、一つ一つ区切って、ゆっくりと読む)
【出会えないからこそ・思うのだろうか】(文末は推し量る気持ちの思いをたっぷりと入れて。「の・だ・    ろ・お・か・」のように一つ一つをスタッカートのように区切って、ゆっくりと読むのもよい)
第三連
【たしかにあるのは・今日だけ・な・の・か・】(軽い間。)
【今日こそ・・昨日であり・明日でも・あ・る・の・か・】(軽い間。)
【今日こそ・生きてさわれる・全部・な・の・か・】(軽い間。)
【今日こそが・これしかない・一・生・な・の・だ・】(いっ・しょう・な・の・だ/ のように一つ一つ      をスタッカートのように短く切って読み、あとに思いが残るように、印象に残るように、た      っぷりと・ゆっくりと・思いをこめて読む。)
☆★☆ コメント ☆★☆
 おもしろい!詩の解釈が正しいのかどうか、音読表現が合っているのかどうかはわからない。ただ、音読表現をデザインする過程を示してもらえたことが、これからの者にはありがたい。一つの詩を読むために、これだけのことを分析して読むんだということを教えてもらった。
 
(2)【世界の新聞「101紙」の視点】〜 2007年12月11日(火)〜  これはすごい!
☆本日のラインアップ☆
・国内主要6紙の本日の社説 ・「本日、あなたが最も共感した社説は?」アンケート
・国内主要6紙サイトのトップ記事・中東メディアの論調・世界主要紙の論調・今日のニュースレター
・国内政党機関紙の主張・読者の価値観
(各種お知らせ事項)
・去年の今日は、こんな社説でした・独断と偏見はご容赦! 最近の社説の、ここに注目・編集後記
 
(3)MM小学1849  内山義朗□飛び込み道徳授業  2007/12/11(火)蔵満逸司編集
正義と勇気を育てる学級&学年集団づくりNO73(2007年12月)
   飛び込み道徳授業             道徳教育改革集団鹿児島  内山 義朗
 先日、藏満逸司氏の勤務校で「飛び込み授業」をやらせていただいた。「人権・同和教育」研修会の一部であり、「いじめ」をテーマとする授業。
 授業学級は6年約30人の学級。問いかけに、くいついてくる素敵な6年生だった。子どもたちの表情が豊かで書く力もついている素敵な6年生だった。
 その時配布した授業案を掲載する。私の授業の組み立てや腕は、まだまだ。参考資料としてピックアップした関連法規や文書の部分は、人によっては役立つかもしれない。 
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小学校6年道徳授業案
         2007年11月26日(月)14:15〜15:00   授業者  内山 義朗
0 「飛び込み授業」をするに当たっての留意点
「5 展開案」は、小学校6年生を対象に45分間授業の前提で作成した内容である。今回の授業は、事前に授業学級の実態を全く知らない。よって、自らの担任学級での授業とは、次の点で変えて実施する。
 担任学級の道徳授業では、子どもたちは常時、横書き罫線ノート・国語辞典を活用している。辞書等は調べる・考える活動の際自由に使っても良いルールにしている。今回は、横書き罫線の紙のみを使用。
 また、日常は、子どもの発言に対し「発言し直し」や「突っ込み」や「ゆさぶり」も頻繁に行う場面でも、今回はソフトな指導のみ。1年間を見通した中での1単位時間の授業と1単位時間のみの「飛び込み授業」では当然異なるべきである。
 また、今回は「飛び込み」授業のため、初めて出会う子どもたちを対象とする授業。当然ながら自己紹介から導入する。
 いわゆる「年度初めの授業開き」と同じである。ということで、「学級づくり」も意識した授業づくりを進めていく。
 
1 テーマ 「いじめ」
2 授業名  刑法
3 ねらい
(1)「いじめ」は卑怯な行為であり、法律でも規制されている事実を知る。(知識・理解)
(2)人間関係にとっての+−行為を考え、箇条書きする技能を伸ばす。(技能)
(3)子ども同士・子どもと授業者の人間関係づくりを進める。(関心・意欲)
(4)よく聞き、堂々と意思表示(挙手・発言)する力を伸ばす。(態度)
4 学習指導要領の関連項目
【小学校学習指導要領・道徳[第5学年及び第6学年]から】
 4 主として集団や社会とのかかわりに関すること。
 (2)公徳心をもって法やきまりを守り、自他の権利を大切にし進んで義務を果たす。
5  展開案(部分掲載)
 0 授業者自己紹介。
 1 授業者について考える。
 (1) どんな教員だと思いますか。 
     ・怖い。・恐ろしい。・面白い。・不思議。・かっこいい。・真面目。
 (2) どれも当たっています。それぞれ、どんな子が、そう感じると思いますか。
     ・怖い。恐ろしい。→暴力行為。・面白い。不思議。→よく見る。よく聞く。よく学ぶ。
     ・かっこいい。→かっこいい行為をめざしている。 ・真面目。→真面目。
 2 人間関係を良くする行為(プラス行為) について考える。
 (1)「+」(プラス)には、どんな意味がある でしょう。
   ・加える。・加点。・増加。・向上。・良い。・良くなる。・良い方に考える。
 (2)「人間関係を+にする行為」は、どんな 行為ですか。 
   ・正義行為。・世のため人のための行為。 
 3 人間関係を悪くする行為(マイナス行為)について考える。
 (1)「−」(マイナス)には、どんな意味があるでしょう。
 ・減らす。・減点。・減少。・後退。・悪い。・悪くなる。・悪い方に考える。
 (2)「人間関係を−にする行為」は、例えばどんな行為ですか。
 ・暴力。暴言。・物を隠す行為。・盗み。・脅す行為。・無視。
 (3) まとめると何ですか。 ・いじめ。・卑怯な行為。
 4 資料「刑法」を読んで考える。
 (1) 読む。
 (2) 気づいたことを箇条書きしましょう。
 ・「いじめ」は、刑法に違反する行為。・「いじめ」行為の殆どが犯罪。
 (3)「無視は犯罪ではない。だから、やってもよい。」の意見に賛成ですか、反対ですか。
 5 授業感想を書く。 (以下略)

 研究会紹介 
愛知教育大学教授:布谷光俊先生の退官記念行事
 1 日 時  平成20年2月16日(土)
 2 場 所  リリオコンサートホール(愛知県知立市)
 3 内 容  第1部:生活科シンポジウム「科学的な見方・考え方の基礎を養う」
         福岡教育大学 寺尾慎一先生    上越教育大学 木村吉彦先生
         富山大学   松本謙一先生    愛知教育大学 野田敦敬先生(司会)
        第2部:布谷先生最終講義


  問い合わせは 土井謙次  syaraku@tcp-ip.or.jp