第29回 社楽の会報告    第28回へ   第30回へ
                                  報告者 布袋中 土 井

6月22日(木)7:00〜9:20,布袋北学供にて第29回の社楽の会を開催しました。参加者は,土井,勝村,奥村川井,木本,日比野,大島尾関(敬称略)そして山田信夫先生の9名です。今回も内容が豊富です。

○ 6月18日,栗林先生から紹介のあった西上免遺跡の現地説明会がありました。前方後方墳としては最古のもので,「前方後方墳は畿内で生まれ東へ伝わった」というこれまでの説が,これにより覆されそうです。赤塚先生の‘狗奴国東海説’が一歩前進したと言ってもいいのかもしれません。

☆ 初めに,土井より6月13〜14日に愛知県スポーツ会館で行われた進路指導特別講座参加報告をしました。そこで集まった全60校分のレポートの中から,布袋中学校の視点になかったアイデアを集約してみました。親子交流作文,4者懇談など,ユニークな実践が多く,とても参考になりました。
 このように,各学校から出されたレポートはアイデアの宝庫です。ぜひ,目を通して,参考になるものはまとめておきたいですね。
・ つぎに,『社会科教育 9月号』の「日本と世界の国のNOW」の原稿紹介です。27回報告で紹介したように,@空洞化,Aワコールの下着,Bヤマハ音楽教室,Cドラえもん,D中田武仁氏・川原啓美氏を挙げました。他の執筆者が何を挙げるか楽しみです。

・ 3点目は,「激勉年号コンクール」の問題と年号の覚え方です。“理解”には時間をかけて“記憶”は要領よく,が私の授業の基本的な考え方です。その記憶のまとめが,学年一斉に行うコンクールです。といっても他人と競うのではなく,目標点に向かって自分と競うのです。暗記が社会科嫌いをつくっているので,楽しく覚える工夫は大切です。
・ さらに,第2回選択社会科パソ通ディベートの報告です。‘満州事変は侵略戦争か否か’の生徒2信→純さん2信→生徒3信を紹介しました。純さん2信から突然意見のレベルが上がり,生徒は3信に向けて必死で資料を探して読んでいました。そして,石原莞爾が佐久間大尉にあてた手紙を探してきました。
 つい,ふた月前までは,満州事変と日中戦争の区別もできなかった生徒たちが,すでにここまで議論ができるようになってきました。生徒の成長には目を見張ります。純さんの力と共に,パソ通ディベートの威力を感じます。討論の跡はここ
・ 5点目は,戦争体験記聞き取り集です。生徒が聞き取り調査した中から,10人の証言を紹介しました。すでに,布袋中校区だけで10名を越える死者,多くの焼失家屋もわかってきました。現在,生徒が被害地図を作成中です。
・ 最後に,三輪先生のレポート「パソコン通信による情報収集」を紹介しました。東北地方のボードに,大口西小5年2組児童の米作りに関する疑問を尋ねたもので,なんと11名から反応があり,7名から疑問の回答が寄せられました。児童の21項目の質問は,1haあたりの収穫量,農薬の量,稲刈りを人に頼むときの謝礼,米の値段が高い理由など鋭いものが多く,それらに農家の生の声が寄せられました。
パソコン通信の教育現場への導入は,実験ではなく,実践のレベルに入っています。まだ未体験の方,ぜひ夏休み中に体験して下さい。

☆ 奥村先生
からは,8月22日に行われる,第23回東海4県言語・聴覚障害児教育研究大会の紹介がありました。場所は愛知芸術文化センターです。
・ 次に,学級通信「あゆみ」を紹介していただきました。日曜参観の様子,児童紹介など,落ち着いた構成で紙面にまとめられています。学級通信は,保護者の信頼を得るには,最良の手段と言えるのではないでしょうか。

☆ 川井先生からは,A級戦犯7人の碑が三ヶ根山にあったという話です。7人の遺骨を幡豆町が引き取り,殉国7人の碑を建てたのだそうです。その周囲には航空隊の碑やフィリピン観音もあったそうです。
・ 次に,今年度の研究テーマ・方針について話がありました。@テーマは,県の話を聞いてから考える。A指導課程は,基本的には昨年の型で行う。ただし‘社会に働きかける’は行わない方がいいではという問題提起がありました。B評価は,カルテの作成,評価基準の設定,自己評価・相互評価の活用が提案されました。

☆ 川井先生からは,戦争の授業について,次のように具体的な提案がありました。
まず,「戦争と平和」学習の課題,戦争の授業の留意点を先行研究から確認しました。次に,夏休みまでの布石として,ビデオによる興味づけ,戦争の子供たちのくらしについての授業を,ジュニア朝日年鑑の86年版の挿し絵を使って行うというものです。発問は明解であり,児童の興味・関心を高め,思考をうながすことが予想されます。
 さらに,夏休みの課題案として,聞き取り,お墓・忠魂碑調べ,テレビ・新聞による資料収集,戦時中の道具・食べ物づくりなど12点が提案されました。

 日比野先生からは,犬山中の平和教育推進計画として,7月の平和学習週間・平和への願い集会,8月の広島生徒派遣学習,9月の平和を考える会の企画を紹介していただきました。今年度の授業実践は,これらにからめてできないかという提案ですが,積極的に関連させていただきたいと思います。理解がより深まり,さらに授業時間の短縮につながるのではないかと思います。
・ 戦争資料の追加として6点紹介していただきました。「桃太郎 海の神兵」『東京大空襲 戦災誌』『講座 日本映画 戦争と日本映画』など,すごいものばかりです。

☆ 大薮先生からは,学校訪問の授業の資料を紹介していただきました。個の考えをまとめた座席表や調査のための助言,レポートのまとめ方,個の変容を追うノート,幕末クイズ,井伊直弼への手紙など,実に多彩な方策で生徒を伸ばそうという気持ちがひしひしと伝わってきます。今回紹介されたアイデアの多くは,他の単元にも生かすことができるもので,すばらしい実践だと思います。

 大島先生からは,評価についての論文を4点紹介していただきました。
「社会的事象への関心・意欲・態度」の評価  東京大学   藤岡信勝氏
「社会的な思考・判断」の評価(中学校)   福島大学   臼井嘉一氏
「資料活用の技能・表現」の評価(中学校)  住吉中学校  吉田勝司氏
「社会的事象についての知識・理解」の評価  筑波大附属中 山口 正氏
 下の2点は,具体的に書かれており,参考になりました。

 尾関先生からは,『ザ・尾張』シリーズの原稿の紹介です。尾張の女として,布袋の大仏殿を作った駒田勇,一生を学問に身を捧げた大竹秀雄,布袋の大仏=御嶽薬師尊を造った開祖の妻・前田つた子さんを取り上げられました。ほとんど知らなかったことばかりで,よく調べられたと感心しました。

☆ 最後に山田先生から資料を紹介していただきました。1点目がこの夏放映されている戦争映画,「きけ,わだつみの声」「ひめゆりの塔」の紹介です。
・ 次に,あの『暮らしの手帖 戦争中の暮らしの記録』の続編『デルタの記』を見せていただきました。10編の実話には重みを感じます。\1,800は安いと思いました。
・ さらに,全国海外教育事情研究会の第11回募集論文に2等で入選された木西小・山田昌宏先生の論文の紹介です。「訪問国で学んだ国際理解・国際交流」として,アメリカ・メキシコ訪問の経験をふまえ,木西小が以前より取り組んでみえる韓国・九龍国民学校との交流の様子をまとめたものです。限られた紙面に,簡潔にまとめられた文章と国際交流教育の実践の内容はとても勉強になります。ぜひお読みいただきたいと思います。
・ 最後に,芭蕉が1カ月滞在した岐阜の妙照寺・芭蕉の間が壊されるという話,『文部時報』の鳥取大学乾燥地研究センターの記事,小学校の教育課程編成の話をうかがいました。特に,教育課程の編成について,意見を聞かせてほしいというお話でした。ぜひ,授業者の生の声を,大南小・山田先生までお寄せください

      問い合わせは 土井謙次  syaraku@tcp-ip.or.jp