3 第53回「指導と評価大学講座」受講記録 無藤 隆氏
教育情報 Magazine/ある小学校教師の独り言より、島原先生のまとめを紹介します。
無藤 隆(白梅学園大学教授/中央教育審議会委員)
今回は無藤先生の講義を紹介します。ちょっと難しいですが,知識と知っておくとたいへん具合が良さそうです。
1 学習指導要領における教育課程と指導とは
(1)今回の改定……生きる力と確かな学力の実現
→ そのために ・知識をつくり出していくことを強調
・知識を生成,改訂,組織 → その知識がさらなる知識生成の基盤
(2)言い換えると
・「現実の社会の中で使える力」
・「学校その他で学んできた知的な道具を活用する力」
・「様々な人といっしょに協力しながら,知的な活動・社会的な活動・文化的な活動を 行える力」を育てる。
(3)学校で学ぶべきことを学ぶ → 社会に出てさらなる学びを継続する
→ そこで ・学校でどういう形で学習するのがよいのかを改めて考え必要性
・学校を卒業したあとも知識を活用し,創造していくことを可能とする。
(4)知識を活用する,知識を創造する。
・将来の知的な活動のための道具ないしレパートリーを身につける。
・それを実際に近い場面で活用できるようにする。
→ そこで ・より複雑な場面,日常に近い場面,力一杯力を発揮しないと解けな いような課題,他の人と協力しながら協同で達成していくような課題を与える。
(5)単元ごとに指導しようとするねらいを確実に達成できるようにする。
→ これを「確かな学びのプロセスをつくる」と呼ぶ。
(6)余談
・学校評価 → 問題点を明らかにし,改善されているのか?学力がついているのか?
形式的にやるだけ・・・では無意味。
2 習得と活用のサイクルをつくる
(1)教科学習
・習得と活用のサイクルをつくる。
・習得とは → 習得させるべき基礎的基本的な知識・技能を繰り返しを通して身につ けさせる。
・活用とは → 教師の想定する目標としての理解に向けて子どもが考えるように仕向 ける。
(2)2つのタイプの習得
1)完全自動化すべき内容 → 例:計算の手続き
2)理解したことを道具として整備し,その後の場面でそれを使っていく。
→ 一度理解したら公式,ルールとして覚える。
→ 忘れたらまた思い出す。……活用の結果としての「習得」
3 確かな活用の指導へ
(1)活用とは
・教師の想定する目標としての理解に向けて子どもが考えるように仕向ける。
→ 理解させたい目標に確実に到達できるように。
・活用の中で,子どもが考えることが大事。
・子どもの脳の中で形成する知識の間の様々な結びつきをつくっていくこと。
「知のネットワーク」
・活用と「探究」を分けてとらえるべき。
(2)活用の指導において大切なこと
1)何を理解させるかをはっきり把握すること。
2)その方向に向けて思考をめぐらす条件をつくること。
3)考えるための十分なヒント,素材,課題を与えること。
→ 子どもが考えるように仕向けていく条件を整える。
4 豊かな探究の推進と総合的な学習の時間の強化
(1)探究とは
・正答の定まらないところで課題を見いだし,体験や調べ学習で考えをまとめていく学習
→ 総合的な学習を核とする。
(2)総合的な学習の時間
・自己課題を見いだし,探究活動を通して,その問題が社会的専門的に重要なものに発展 する。
5 指導と評価の一体化
(1)指導と評価の一体化
・単元計画に踏み込んで,評価と補充指導を結びつけること。
・毎時間の授業の中で子どもの様子を見ることが基本。
・見逃してはならない「半分かり状態」
→ 分かったつもり/思考不足を見つける教師の力をつける。
課題の見かけを変えると解答になっていない。
(2)単元をベース
・指導計画に合わせて評価計画を作成する。 → 評価課題
・指導のやり直しが必須 → 補充の時間を指導計画に組み込む。
(3)思考力,言語力の指導 → 何を指導するか?
×「さあ考えて」 ×「もう少し考えて」……教師の負け
→ 考えるタネを与える。ヒント,手がかり。
目標が見えていると考えたくなる。
→ 習得と活用のサイクルの中で。
(4)思考と表現をいっしょに考える。
・言語表現を通して思考力をつける。 → 表現したもので評価できる。
6 観点別の評価 ─ 特に「思考力」の評価
(1)表現 → 思考力につなぐ
・思考が育っていくためには,考えたことを言い表す必要がある。
言い表すことを通してさらに思考が深まっていく。
・思考と表現の循環(サイクル) → 思考力を言語力の育成と結びつける。
(2)思考力の評価
・パフォーマンス評価の導入
具体的な行動(子どもの様子)で評価 「こういう姿が見られればA」
こういう作文が書けたら,こういう解答ができればなど → 先行研究参照
(3)評価基準のつくり方
・これならA,Bはこの程度など,あれこれ想像して並べて話し合ってみる。
・学習内容に応じてできるだけ具体的に。 → 例をあげる(ルーブリック)
7 通知表や学習カルテなどの活用
(1)保護者との連携を強化
・通知表や学種カルテを通して。→ 教員間・学年間・校種間の接続可能にもつながる。
(2)学習カルテ
・学習の進み具合を全校で共有するためのファイル → ポートフォリオ
・子どもや保護者への評価情報や補充指導の進め方などを知らせる。
(3)通知表
・日頃の学習の進め方やそれに応じた指導のあり方を理解してもらう。
・子どもの学びをともに薦めるようにしていく道具
・「努力を要する」「もっとがんばろう」という所見
→ 指導上の責任を果たしていない。
→ 具体的なアドバイスを。
8 その他
(1)習得から活用の授業へ
・1行知識 → 覚えているが,頭の中でバラバラ……一問一答なら答えられ
るが,思考できない。
これをどうネットワーク化していくか。 → これとあれがどうつながるか?
例:歴史上の事実(1行知識)とその時代の時代性(思考)
4 お役立ち資料
ブログで、8月6日から8月31日までに紹介した資料です。
確かな学力定着向上のための指導改善資料 Part 2 |
愛媛県総合教育センター |
教科書制度の概要 |
文部科学省 |
「学級運営等の在り方についての調査研究」報告書 |
文部科学省 |
特別支援教育学級担任 通級による指導担当教員のためのサポートブック |
高知県教育センター
|
校内研修サポートブック 〜指導力向上をめざして〜 |
高知県教育センター |
学習・情報センターとしての学校図書館の役割と職務 |
茨城県教育研修センター |
「授業研究ハンドブック(高等学校版)」 |
山形県教育センター |
自殺予防教育について考える −危機を乗り越える力に焦点を当てて− |
栃木県総合教育センター |
リストカット・自殺企図・摂食障害の理解と対応 |
栃木県総合教育センター |
CLARINETへようこそ−補習授業校教師のためのワンポイントアドバイス集− |
文部科学省
|
小学校キャリア教育の手引き |
文部科学省 |
中学校キャリア教育の手引き |
文部科学省 |
特別支援教育を推進するための制度の在り方について(答申) |
文部科学省 |
特別支援教育関係 ボランティア活用事例集 |
文部科学省 |
自閉症のある子どもへの支援ガイドブック |
京都府総合教育センター |
小・中学校等における発達障害のある子どもへの教科教育等の支援に関する研究 |
国立特別支援教育総合研究所 |
自閉症スペクトラム障害のある児童生徒に対する効果的な指導 |
国立特別支援教育総合研究 |
内容・指導方法に関する実際的研究 |
所 |
小学校外国語活動にかかわる指導資料 「Hello」 |
北海道立教育研究所 |
不登校児童生徒の支援に関する研究 |
北海道立教育研究所 |
不登校児童生徒の支援に関する研究〜地域ネットワークづくりと |
北海道立教育研究所 |
支援チームによる取組の充実のために〜 |
|
青森県総合学校教育センター2010年研究紀要 |
青森県総合教育センター |
青森県総合学校教育センター2009年研究紀要 |
青森県総合教育センター |
青森県総合学校教育センター2008年研究紀要 |
青森県総合教育センター |
青森県総合学校教育センター2007年研究紀要 |
青森県総合教育センター |
教育研究 岩手 2010 |
岩手県立総合教育センター |
教育研究 2010 |
岩手県立総合教育センター |
5 役立ちWeb特集
朗読サイトを集めてみました。
(1)朗読 平家物語
主要30篇あまりを一字一句正確に記憶する平成の語り部・左大臣光永です。
メリハリのきいたドラマチックな朗読で『平家物語』の世界をぞんぶんにお楽しみください。
(2)『日本名作文学朗読選』(ver.1)
(3)『日本名作文学朗読選』(ver.2)
(4)表現よみ作品集−渡辺知明によるポッドキャスティングのための朗読作品−
(5)橋本美佳の朗読の部屋
(8)朗読で親しむ 日本名作文学全集 第2巻
(9)朗読で親しむ 日本名作文学全集 第3巻
(10)朗読で親しむ 日本名作文学全集 第4巻
(11)朗読で親しむ 日本名作文学全集 第5集
全くの別件
6 教育関連情報
(1)第178臨時国会 野田首相 所信表明演説
毎回、所信表明演説の教育部分はチェックしています。野田総理は何を述べたのでしょうか?
四 希望と誇りある日本に向けて
(分厚い中間層の復活と社会保障改革) 略
(世界に雄飛し、国際社会と人類全体に貢献する志)
日本人が「希望」と「誇り」を取り戻すために、もう一つ大事なことがあります。それは、決して「内向き」に陥らず、世界に雄飛する志を抱くことです。明治維新以来、先人たちは、果敢に世界に挑戦することにより、繁栄の道を切り拓いてきました。国際社会の抱える課題を解決し、人類全体の未来に貢献するために、私たち日本人にしかできないことが必ずあるはずです。新たな時代の開拓者たらん、という若者の大きな志を引き出すべく、グローバル人材の育成や自ら学び考える力を育む教育など人材の開発を進めます。また、豊かなふるさとを目指した新たな地域発展モデルの構築や、海洋資源の宝庫と言われる周辺海域の開発、宇宙空間の開発・利用の戦略的な推進体制の構築など、新しい日本のフロンティアを開拓するための方策を検討していきます。
(政治・行政の信頼回復)略