平成28年度社会科教育研究大会は、11月1日(火)開催に決まりました。
1 拙稿紹介『社会科教育7月号』
別紙で紹介しました。その解説を、布袋小学校【校長日記】から紹介します。
『社会科教育』は、社会科教師のための唯一の全国版専門誌です。執筆は、大学教授や全国の実践家が依頼されます。
私は教師になって、社会科のいろいろな研究会に顔を出していましたが、初めて『社会科教育』執筆を依頼されたのは8年目の時。
これまでに載ったもののは大方ここに記録してあります。
この記録をみると、今回で53本目でしょうか。現在も執筆中の原稿があり、締め切りに追われています。
今回のテーマは、「写真・絵画の見方をさらに深める発問」。
詳しくは述べられませんので、書店で手に取って見ていただきたいのですが、資料『尾張名所図会』の「結城紬織屋の図」と「トヨタ自動車のカタログ」を題材にしました。
それでは、問題にしましょう。
Q 「結城紬織屋の図」と「トヨタ自動車」はどんな関連がある?こじつけてみてください。
その解説編です。
尾張部を含めた今の愛知県は、江戸時代から綿織物業が盛んでした。
「結城縞機屋の図」は、江戸時代後半に分業・協業といった新しい生産過程、いわゆるマニュファクチュア(工場制手工業)が始まった図として、多くの教科書等で紹介されています。
尾張は、第7代尾張藩主 徳川宗春が、規制緩和による経済の活性化を図りまた。
一方、世は享保の改革を推進する将軍徳川吉宗の時代。質素倹約の強化が徹底しており、お祭りも縮小されていた時代です。
宗春は、幕府の方針に逆らって、祭りを奨励したため、職を失いかけていた全国のからくり人形師が尾張に集まったのです。
そのため、現在でも、愛知県内には多くのからくり人形を載せた山車が残っています。
からくり人形は、歯車、ぜんまい、カム、棒テンプなどでその動きをコントロールします。
その技は、後の、機織り機、時計、航空機などに生かされました。ものづくり愛知の伝統は、このときに始まっていたのです。
機織り機は改良を重ね、自動化を試みたのが、あの豊田佐吉です。1924年に作られた「G型自動織機」は、当時世界一と評価されました。
その織機の技術を生かして、佐吉の長男、喜一郎は、1933年に豊田自動織機製作所 自動車部を設置しました。国産自動車を作り始めたのです。
それが、現在のトヨタ自動車に発展したのです。
「結城縞機屋の図」とトヨタ自動車との関連、わかりましたか?
歴史は、どこかで現在とつながっています。それを知ると、子どもたちにとって身近になります。歴史と今をつないでやるのも、大人の役割かも知れません。
平成26年度中・高校生の社会参画に係る実践力育成のための調査研究取組内容
文部科学省の指定です。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/shukensha/1358448.htm
高等学校が11校、中学校が2校です。
高等学校は、「地域におけるボランティア活動」「地域住民との交流や協働的な活動」「フィールドワークにより地域の課題を調べて・・・・・」「就業体験や地域における清掃活動、外部人材の活用等を通して・・・」「行政機関や社会福祉協議会など地域と連携し」など、総合的な学習として行っているのがほとんどです。
いずれも、具体的な課題についての解決策を考える提案型(意思決定型)授業です。
ここでは、2校の中学校を見てみましょう。
<宮城教育大学付属中学校>
農村部への民泊や農業体験を踏まえて庄内地域における課題解決策を考えることを通して、次代の地域社会の担い手となる中学生の主権者意識を涵養するとともに、主体的に形成に参画し、その発展に寄与する力の育成を図る。
ここも行事にリンクさせており、高等学校に似ています。
しかし、「庄内平野における課題解決策を考える」という、意思決定型授業であることは同じです。
<香川大学教育学部付属高松中学校>
人口減少が進む地域における観光資源の魅力化や新産業の発掘について考察することを通して、地域社会に参画する資質・能力を育成し、地域をよりよくする実践力を身に付けさせる。
具体的な課題に対して、新しい提案を考える意思決定型です。
2 『全国高校入試問題正解』(旺文社)
毎年紹介している私の「超」愛読書が、『全国高校入試問題正解 社会』。この30年近く、毎年愛読している珠玉の書です。
そもそも、高校入試問題 というのは、各都道府県から集められた中学高校教師の俊才が、知恵を振り絞って作った作品です。
制限は多いと思います。どの教科書会社で学習している生徒にも、不公平にならない問題です。その都道府県内のどの地域で学習していても差が付かない問題です。何より学習指導要領の範囲内の問題です。それでいて、適度に差が付かないと、合否が出せません。
実際に、各都道府県の入試問題を解いてみると、毎年、新しい発想に出会うことができます。実によく考えてあります。練ってあります。工夫してあります。
特に中学校の先生は必ず買ってください。47都道府県を全部解くと見えてくるものがあります。
「何回も出る問題がある」 それが、大切なポイントなのです。
「この問題面白い!」 試験問題を作成する時や授業づくりの大きなヒントになります。
3 高校入試・社会科での論述問題の数は・・・
『全国高校入試問題正解』(旺文社)により、論述問題の数を検証してみました。
解答に(例)と示してある文章で答える問題を数えてみました。数え間違いがあるかも?
ちなみに、昨年の上位は、23問:群馬、15問:山形、宮崎、13問:香川、10問:石川、静岡、三重、鹿児島でしたが・・・
16問:群馬
13問:石川、滋賀、鹿児島
11問:山形、福島、宮崎
10問:福井
9問:香川
8問:埼玉、新潟、三重、広島、福岡
7問:長野、静岡、奈良、山口、熊本、大分
6問:岩手、和歌山、徳島、愛媛、長崎
5問:青森、宮城、秋田、栃木、島根、佐賀
4問:東京、富山、山梨、岡山
3問:北海道、茨城、千葉、神奈川、岐阜、鳥取、高知、沖縄
2問:大阪
0問:愛知、京都、兵庫(←昨年と同じ顔ぶれ)
ということで、別紙で群馬の問題を解きました。
山内氏は、「世の中が国際化、高速化、高度化し、1人の先輩が教えられることではない。 」「自ら学び、自ら考え続ける人材になるための働きかけ、刺激を与えることが大切」と言われました。その通りでしょう。