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報告者  土 井

 2017年4月27日(木)布袋北学習等供用施設にて社楽の会を開催しました 。

 参加者(勤務校)は、土井、藤田先生、水上先生(布袋小)、勝村先生、坪内先生、大野先生(犬山中)、高木先生(犬北小)、奥村先生(岩東小)、大藪先生(楽田小)、鈴木先生(総合教育センター)、早川先生(尾張教育事務所)の11名でした。

土井の資料を紹介します

1 社楽の会とは
 戦後の学力観・指導要領の精神の変遷
「社会に開かれた教育課程」と新学習指導要領  白梅学園特任教授 無藤 隆 
4 「教育勅語」全文を読む 4/11のブログ「あなたも社楽人」より

5 第1回 金融経済教育研究会 報告より

6 お役立ち資料
 

1 社楽の会とは 
              
 年度の初めなので、社楽の会の立ち位置を確認しておきましょう。
 
 社会科は、社会事象を学習の対象とします。その対象は広く、また常に変化していくので、一人で教材研究をしていたらやっていられません。そこで、個々で集めた資料を共有し、内容の濃い授業をして授業を楽しもうというのが本来の主旨です。平成6年6月3日から始めました。

 また、資料集部会をバックアップしようという目的も兼ねています。研究を一人の授業者にゆだねることなく、丹葉の教師みんなで支え、それにより次に繋がり、丹葉地区として研究成果を積み上げていくことを願っています。
2 戦後の学力観・指導要領の精神の変遷


 「社会に開かれた教育課程」と新学習指導要領  白梅学園特任教授 無藤 隆 
 中央教育審議会委員として教育課程部会の部会長を務めた無藤 隆先生の論文を読んでみましょう。

4 「教育勅語」全文を読む 4/11のブログ「あなたも社楽人」より
今朝の朝日新聞と産経新聞が社説に教育勅語を取り上げました。
間逆の内容です。
 
産経新聞「よく理解せず、批判する大人こそ、じっくりと読んだらよい。」
 
まずは読んでみましょう。
 
朕惟フニ我カ皇祖皇宗國ヲ肇ムルコト宏遠ニ德ヲ樹ツルコト深厚ナリ
我カ臣民克ク忠ニ克ク孝ニ億兆心ヲ一ニシテ世世厥ノ美ヲ濟セルハ
此レ我カ國體ノ精華ニシテ教育ノ淵源亦實ニ此ニ存ス
爾臣民父母ニ孝ニ兄弟ニ友ニ夫婦相和シ朋友相信シ恭儉己レヲ持シ
博愛衆ニ及ホシ學ヲ修メ業ヲ習ヒ以テ智能ヲ啓發シ德器ヲ成就シ
進テ公益ヲ廣メ世務ヲ開キ常ニ國憲ヲ重シ國法ニ遵ヒ
一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壤無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ
是ノ如キハ獨リ朕カ忠良ノ臣民タルノミナラス
又以テ爾祖先ノ遺風ヲ顯彰スルニ足ラン
斯ノ道ハ實ニ我カ皇祖皇宗ノ遺訓ニシテ子孫臣民ノ倶ニ遵守スヘキ所
之ヲ古今ニ通シテ謬ラス之ヲ中外ニ施シテ悖ラス
朕爾臣民ト倶ニ拳々
服膺シテ咸其德ヲ一ニセンコトヲ庶幾フ
 
明治二十三年十月三十日
  御名御璽
 
これではわかりませんね。
本文の読み方と現代語訳を次のサイトから引用します。
  http://kan-chan.stbbs.net/docs/chokugo.html
 
読み方です。
チンオモうにワがコウソコウソウクニをハジむることコウエンにトクをタつることシンコウなり
ワがシンミンヨくチュウにヨくコウにオクチョウココロをイツにしてヨヨソのビをナせるは
コれワがコクタイのセイカにしてキョウイクのエンゲンマタジツにココにソンす
ナンジシンミンフボにコウにケイテイにユウにフウフアイワしホウユウアイシンじキョウケンオノれをジし
ハクアイシュウにオヨボしガクをオサめギョウをナラいモッてチノウをケイハツしトクキをジョウジュし
ススンでコウエキをヒロめセイムをヒラきツネにコクケンをオモンじコクホウにシタガい
イッタンカンキュウあればギユウコウにホウじモッてテンジョウムキュウのコウウンをフヨクすべし
カクのゴトきはヒトりチンがチュウリョウのシンミンたるのみならず
マタモッてナンジソセンのイフウをケンショウするにタらん
コのミチはジツにワがコウソコウソウのイクンにしてシソンシンミンのトモにジュンシュすべきトコロ
コレをココンにツウじてアヤマらずコレをチュウガイにホドコしてモトらず
チンナンジシンミンとトモにケンケンフクヨウしてミナソノトクをイツにせんことをコイネガう
 
現代語訳です。
 私の思い起こすことには、我が皇室の祖先たちが国を御始めになったのは遙か遠き昔のことで、そこに御築きになった徳は深く厚きものでした。我が臣民は忠と孝の道をもって万民が心を一つにし、世々にわたってその美をなしていきましたが、これこそ我が国体の誉れであり、教育の根本もまたその中にあります。
 
 あなた方臣民よ、父母に孝行し、兄弟仲良くし、夫婦は調和よく協力しあい、友人は互いに信じ合い、慎み深く行動し、皆に博愛の手を広げ、学問を学び手に職を付け、知能を啓発し徳と才能を磨き上げ、世のため人のため進んで尽くし、いつも憲法を重んじ法律に従い、もし非常事態となったなら、公のため勇敢に仕え、このようにして天下に比類なき皇国の繁栄に尽くしていくべきです。これらは、ただあなた方が我が忠実で良き臣民であるというだけのことではなく、あなた方の祖先の遺(のこ)した良き伝統を反映していくものでもあります。
 
 このような道は実に、我が皇室の祖先の御遺(のこ)しになった教訓であり、子孫臣民の共に守らねばならないもので、昔も今も変わらず、国内だけでなく外国においても間違いなき道です。私はあなた方臣民と共にこれらを心に銘記し守っていきますし、皆一致してその徳の道を歩んでいくことを希(こいねが)っています。
 
次の部分は、道徳の内容です。
(矢印以降は、現行の学習指導要領の徳目です。)
 
「父母に孝行し、兄弟仲良くし、夫婦は調和よく協力しあい」→ 家族愛,家庭生活の充実
「友人は互いに信じ合い」→ 友情,信頼
「慎み深く行動し」→ 節度,節制
「皆に博愛の手を広げ」→ 親切,思いやり 他
「学問を学び手に職を付け、知能を啓発し徳と才能を磨き上げ、世のため人のため進んで尽くし」→ 勤労,公共の精神
 
この部分を大切にしようということなら賛同できます。それが産経新聞の主張です。
これ以外は、歴史資料として扱うべきでしょう。それが朝日新聞の主張です。
 
5 第1回 金融経済教育研究会 報告より
 昨日は、今年度最初の金融経済教育研究会へ行ってきました。
 この研究会は、小学校から大学までの社会科を専門とする教員の集まりで、今年で9年目になります。年間8回の講座があり、工場見学なども行います。私は設立当初から参加しています。
  最初の講義は、金融・経済インストラクターの石原敬子氏個人型確定拠出年金制度(iDeCo)で自分を年金つくる
 
 これまでの公的年金は、国の責任でその資金を運用してきました。この確定拠出年金は、自己の責任で運用商品を選び運用する年金制度です。
 これまでの国民年金基金や企業年金に加えて、新たな選択肢として公的年金に上乗せされる制度です。この1月から、主婦や公務員も加入できるようになりました。
 メリットは、掛金が所得控除され、所得税や住民税が軽減されるなどの税制上の優遇措置があることです。そしてもう一つ。多様な商品から、金融経済の仕組みがわかることです。
 興味を持たれた方はぜひ調べてみてください。
テンポ良く、歯切れのよい講義で、よくわかりました。
 
 昨日のメインは、みずほ総合研究所の太田 智之 氏 「保護主義の台頭とグローバル経済の展望~「トランプの米国」で世界はどう変わるのか?日本はどう対応すべきか?~」
 タイトルを見ただけでもワクワクします。
 太田氏の話から、アナリストがどうやって情報を手に入れて分析していくのかがわかりました。
たとえば、トランプ大統領のTwitterや、その他海外有力サイトをこまかくチェックしています。確かな経済の知識と英語力が必要です。
 太田氏は次の3点から話を進めました。
・ 期待と不安が入り交じる「トランプの米国」
 ~トランプは世界の救世主か、それとも破壊者か~
・ 各地でくすぶる火種。混迷の時代を迎えた世界経済
 ~2017年版「想定外」は欧州か、それとも新興国か~
・ 一方で2017年の世界経済は意外といいかも
 ~「トランプの米国」に吹く追い風~
 太田氏は、世界のパワーバランス、そもそもトランプ大統領はどんな人か、過去の大統領との違い、12の公約の良い点・悪い点 と話が進みます。
 太田氏は、これまでの第一幕は、過激な大統領令で実行力を印象づけて成功したと、具体的なデータを元に説明してくださいました。
 ただ、語られない不都合な真実もあります。保護主義では、結局損をするのは米国国民であることもデータで説明していただきました。そうでしょうね。
 いよいよ第二幕へ移ります。これからの公約は、議会の承認が必要となるのです。
 太田氏はデータを元に
・ 通商政策、移民政策で心配しすぎる必要はないが、減税やインフラ投資への期待も禁物
・ 成果を独自の基準でアピールするので、支持率は下がらない。
・ 公約できないことは他に責任転嫁するのでどたばたは続く  と見ています。
 次の火種は欧州です。EUに疑問を持つ政党の勢力が強くなっているからです。
 EUの市民は、移民とテロの問題を最も重視しているので、反グローバル勢力が伸びているのです。
まず、フランスの大統領選。ルペンかマクロンか。続いてイタリアの五つ星運動。目が離せません。
その後、中国情勢、製造業の動向、アベノミクスの成果と課題と話が移りました。
 知的な満足感に満ちた、楽しい80分間でした。
6 お役立ち資料
(1)「学級経営と授業づくり」/岡山県総合教育センター
 http://www.edu-ctr.pref.okayama.jp/gakkoushien/tokubetusien/pdf/08project01.pdf

(2)
初任者・1ヶ月のシナリオ/野中 信行
http://ikedaosamu.cocolog-nifty.com/kokugogakkyuu/2012/03/post-d9dc.html

(3)あきたのそこぢから-授業の基礎・基本-/秋田県総合教育センター
 
http://www.akita-c.ed.jp/~ckyk/sokodikara/sokodikara.pdf

(4)教師が身につけておきたい技術/ 福岡県教育センター
http://www.educ.pref.fukuoka.jp/one_html3/pub/default.aspx?c_id=386

(5)「とくしま授業技術の基礎・基本」/徳島県立総合教育センター
http://www.tokushima-ec.ed.jp/%E6%95%99%E8%81%B7%E5%93%A1%E6%94%AF%E6%8F%B4/%E5%AD%A6%E5%8A%9B%E5%90%91%E4%B8%8A%E9%96%A2%E4%BF%82%E8%B3%87%E6%96%99/?action=common_download_main&upload_id=1339


(6)『授業力向上研究 』/大阪府教育センター
  http://www.osaka-c.ed.jp/sog/kankoubutu21/jugyou-koujo-chapter01.html