1997.7.1
  1. 「洋風住宅」とは何だろう
  2. 「ニュー・アーバニズム」の出現
  3. 巨大化とローコスト化
  4. 象徴としての住宅
  5. アメリカの近代住宅が若かった頃
  6. 5.流通システム、労務・管理コスト

5.アメリカの近代住宅が若かった頃

高速道路と、女性解放と、住宅会社の営業努力と、そして何より殆ど無限と言っても良い住宅用地とによって、 公共サービス部門からは「お手上げ」と言われるほどに膨らみ切ったアメリカの住宅であるが、書店では結構これとは対照的な資料が棚に並んでいる。 19世紀、あるいは1920年代と言った頃の住宅プラン集のリプリントである。

アメリカの都市では、住宅地はそれぞれ開発された頃のデザインを街並みの基調として重視することが多く、建築協定などとして定められている。 そうした住宅地で建替えを行うときの参考にも使われているであろうこれらの住宅プラン集は、アメリカの近代住宅の流れを理解する上でも面白い。 例えば住宅規模から見ると、現在のアメリカで売り出されている住宅よりもはるかに小さく、50坪前後という現在の我が国の住宅に近いものである。 バスルームも一軒につき一箇所と言うものが多い。

現在のアメリカ住宅が、ハンバーガーの食べ過ぎで太りきってしまったオバサンだとすれば、すらりとした若い娘のようだ。 「より広く、より豪華に」という住宅開発の流れが「環境にやさしいまちづくり」と言う社会的要請に追い詰められているアメリカの現状を見ると、 当時のアメリカの近代住宅がまだ若かった頃の姿はとてもいとおしく見える。

古い住宅地では「その頃の街並」がルールになっている。(Seattles, WA 市内)
建替も地域のルールにしたがって行われる。(Seattles, WA 市内)
「町屋」も結構残っている。「古い」と言うことで結構人気があり、若い人を引き付けるので、きちんとメンテナンスをすれば、地域が「危険な場所」になることを防ぐ核にもなる。(Seattles, WA 市内)
古い家は小さく、可愛らしいものが多い。地域でも愛されているようだ。(Seattles, WA 市内)
(Camas, WA 市内)
「自ら範を示せ。」というわけで、建築指導課が、庁舎の向かいにある古い住宅を事務所にしている町があった。(Camas, WA 市内)