2008.1.1
-幻の近代都市住宅
-幻の近代都市
-幻の近代住宅
-中心市街地に住む
-木の家に住む
-市中山居
-外壁のこと


「都心居住」と言うお題を与えられたのはかれこれ5年程前でした。出題者は中心商店街にあるエスニックレストランの経営者です。浜松の製造業が海外へ足場を築き始めた頃、このレストランは海外駐在員と本社で研修を受ける各国からの生え抜きの技術者たちにとって、心のオアシスでした。現在の浜松市内はと言うと、あちこちから浜松に来た人々のエスニックコミュニティーが出来、それぞれに落ち着く場所がある、と大分様子が変わりました。中心商店街で30年以上にわたってレストランを経営する,ということ自体、大変なことだと思われます。彼の自宅の話は頭の片隅に鎮座して,ことあるごとに浮かび上がっては漂っていたのですが,そろそろ決着を付けなくてはなりません。

現在の建物は昭和40年代の建築と思われるもので、場所柄から一通りの手をかけた和洋折衷住宅です。しかし畳にテニスボールを置くと、ころころとあらぬ方向に転がるというのは、昭和40年代に流行った、斜面を利用した地下ガレージが,目には見えない地盤のくぼみにめり込んでしまったものの様です。

「都心居住」へのアプローチにはふたつのルートが考えられました。「近代都市」と「近代住宅」です。考えれば考える程、このふたつの課題に現代の設計者はきちんと取り組んでこなかったことが感じられ,冷汗三斗の思いがあります。