国際理解の授業−オーストラリアへ行こう−         社楽へ   
                           江南市立布袋中学校 土 井 謙 次

1 基本的な考え方
(1)国際理解・情報活用能力の位置づけ
  本校では、21世紀に生きる生徒に必要な力を“共に生きる力”ととらえ、次 のように「共に生きたいと願う心情」「問題を解決する力」「行動力」の3点に分けて考えた。その中で国際理解、情報活用能力の育成を位置づけている

  @ 共に生きたいと願う心情を育てる
   共に生きたいと願う心は、さらに次の3つが考えられる。
     A 地域の人々と共に   家族や学校、地域など、それぞれの一員としてのあり方を考える。 …人権・福祉・地域協力
     B 世界の人々と共に   日本人として、国際社会のあり方を考える…国際理解
     C 自然と共に        地球人として、地球の明日を考える…環境問題         
  A 問題を解決する力を育てる

   共に生きるための社会の実現のためには、現状を正しく認識し、問題を見つけ解決できなければならない。そのためには、日常的に、問題解決型の授業に取り組むことが大切である。解決する力として、情報活用能力、特に情報収集・選択能力、表現力を高める授業を試みた。
  B 行動力を育てる
 行動するためには、まず行動すべき内容と方法を理解して いることが前提となる。生活経験の少ない中学生にとって、 多くの場面で体験活動の機会を与えることが、行動力をつけ る最良の方法と考える。
 
(2)全体計画
  はじめに、学校行事、道徳、学級活動の年間計画を参考にしながら、社会科の年間指 導計画(全140時間)を実施日まで含めて設定した。さらに、他教科とも協議しながら、横断的・総合的な学習の指導計画を作成した。→社会科年間指導計画 

 【横断的・総合的な学習のテーマ】

@情報活用能力をつける 4〜5月 各情報メディアの長所・短所を知り、その方法を知る。自己の課題に合った方法で、解決に必要な情報を収集・選択し、授業で発表する。
A自然とともに 4〜6月 野外学習を核に、水の大切さについて、社会科・家庭科、道徳などで学習する。水質調査も行う。
B世界の人々と共に 7〜9月 オーストラリアへ行こう!
C地域の人々と共に 10〜12月 職業体験・文化祭など地域で行う行事を核として、地域のつながり、助け合い、人権・福祉について考える。

2 実践にあたって
 (1)情報活用能力育成のために
 問題解決のためには、解決のための情報をいかに収集・選択するかが重要である。そのため、地理分野は、年間を通して生徒の課題づくり・調査・発表を生かした授業を行っている。
  4月には調査方法の指導(11/140)、5月には発表の技術指導(22/140)を行った。
調査では、手紙・電話・インターネットなど各種方法の長所・短所を紹介し、具体的な実例を挙げて、自分の目的にあった方法を使うように指導した。さらに、「日本の南西部」では次の条件を出した。
 @ 統計などの客観資料はそこで実際に生活している人の生の声を取材する。
 A 生の声には、客観的な統計資料などで裏付ける。
  生徒は手紙・電話をはじめ、インターネット・電子メールを駆使して情報を収集した。

 (2)国際理解のために
適切な課題を設けて行う学習として4時間の授業を設定した。
 @ 単元名 
オーストラリアへ行こう!
 A 単元の目標
 必要な情報を収集し、特定の立場になりきってオーストラリアへの旅行計画を考えることにより、現実的にオーストラリアを理解するとともに、他の立場と情報を交換することにより、オーストラリアを多面的にとらえる。さらに、これからのよりよい豪日の関係について考え、広く発信し、意見を交わす中で、考えをより深める。
 B 単元のポイント
ある立場の人になりきり、実際に現地へ行くことを想定して、旅行の行程をシミュレーションする。飛行機の所要時間、時差、服装、物価など、現実の社会にイメージの場を設定し、現地の人と実際に連絡をとりながら、オーストラリアを具体的に理解する。また、商社マンや学生、雑誌編集者など、なりきる人の立場を変えることで、オーストラリアを多面的に理解する。
 C 単元の計画

授 業 名 内         容
オーストラリアへ行こう! 各自がなりきる人を決め、行程表作成計画を立てる。パスポ
ート申請書に記入し、ビザの拾得方法を知る。
→指導案
  調 査 活 動 VTR「オーストラリア発見」をなりきる人ごとに視聴する
その後、各自が資料をもとに調査を開始する。
コース表・レポート作成 夏休みを利用して、時刻表・地図等の資料を駆使して旅行コ
ースをつくる。また、実際の旅行を想定してレポートを書く。
  発 表 会 各立場の代表が、視聴覚機器を用いて発表する。他の生徒
はメモを取りながら発表を聞き、その後Q&Aを行う。
パネルディスカッション
「豪日が今後ますます関係を深めるにはどうすればよいか」
というテーマでリレー・パネルディスカッションを行う。

   第1次授業記録

 D 単元構造図  略

3 活動する生徒の姿
(1) 社会的事象とのかかわりを探し、情報を収集・選択するために
 @ 自分とのかかわりを探る生徒
 
 本校では、夢と希望を持ち、明日を切り拓く生徒の育成をめざして、生き方指導に力を入れている。学校の教育活動を、「生き方について考える」「生きる力をつける」の2本の柱で再編成し、三年間を見通して計画的・組織的に取り組んでいる。そこでは、行事・学級活動により、適切な職業観を養うことも主要な活動の一つになっている。
 そこで、この授業でも、ある立場の人になりきって、シミュレーションすることにした。その立場とは、次の例から選んでも良いし、また、将来なりたい職業の人になっても良いこととした。

なりきる立場 予 想 さ れ る 発 表 内 容
A  学  生 オーストラリアの歴史を実地調査・研究して卒業論文を書きたい。
B  雑誌編集者 オーストラリアの自然(地形・動植物)を調査して雑誌を製作したい。
C  商社社員 資源を輸入する担当者。日本にない資源を輸入したい。
D  商社社員 畜産物・農産物を輸入して利益を上げたい。
E  学  生 ワーキングホリデー制度を利用して、卒業論文のテーマであるオーストラリアの国民生活を取材したい。
F  高校教師 国際理解につながる修学旅行のコースを考えたい。
その他自分の夢があれば 自然保護観察官、青年海外協力隊、ツアーコンダクター、写真家など自分の将来の夢に合ったものを考える。

  生徒は、これ以外に美容師やバスプロ、ミュージシャンなどになりきり、とりくんだ。
  自然保護観察官をめざすA子は、オーストラリア在住の自然愛好家向けの雑誌編集者と何度も連絡を取り合い、情報を得、また現地の動物園へも英語で手紙のやりとりを重ねた。
  これまで、どの教科にも興味を示さず、学校を休みがちであったB男は、ミュージシャンとして全豪ツアーを行う行程を考えた。主要都市のコンサート会場の所在地はもちろん、交通アクセス、滞在するホテル、昼食会場まで意欲的に調べ上げた。

 【MLへのメール】
 初めまして。
 私は、日本の愛知県(Aichi-ken)江南市(Kounan-shi)布袋(Hotei)中学校の2年2組○○○○14歳です。
 今、社会科の時間にオーストラリアのことについて調べています。将来、自然を守る仕事につきたいと考えている私は、オーストラリアの動物について知りたいと考えました。
 そこで、今オーストラリアで絶滅しそうな動物がいたら、その動物を教えてください。私なりに、その保護について考えたいと思います。
 よろしくお願いします。    

  それぞれの夢を心に抱いた学習は、生徒にこれまでに見ることができなかった学習意欲を呼び起こした。
 
A 情報を求めて行動する生徒
  第1時で生徒に紹介した資料は次のものである。

オーストラリア地図、各社旅行ガイドブック、飛行機路線図・時刻表、物価一覧表、旅行社ツアーパンフ各種、世界の食事、国勢図会、世界国勢図会、気候図、海外派遣生徒報告書(H7,8,9)、通商白書、オーストラリア国内航空機・鉄道時刻表、インターネット関連サイト一覧表、VTRオーストラリア発見、その他オーストラリア関連書籍

 しかし、これらの資料だけではオーストラリアの現地の情報を得るには不十分である。また、なりきる立場によっては専門的な知識も必要である。そこで、電子メールでオーストラリア在住の人に直接尋ねるように助言した。
   オーストラリア人の生活を調べているB子は、WH(ワーキング ホリデー)で現地で生活している 人から多くの情報を集めた。自然保護観察官をめざすO子は、在豪の自然保護団体職員をはじめ、オーストラリアの動植物園からも手紙で情報を集めていた。

【グリフィス大学の学生からのメール】
Hello Miho,
My name is Duncan Mcleod. I was happy to receive youre-mail, there was a lot of difficult kanji so I got my grandmother to help。.She is Japanese, and moved to Australia after the war. I am now 19 yearsold and study Japanese at Griffith University, in Brisbane.
In Australia we have 7 years of primary school and five years of high school, making twelve years in total. Students can leave school after year 10 or at the age of 15. It has been 2 years since I was at high school but i remember my daily schedule.
6:00 wake up, shower, get dressed and have breakfast and watch television.
7:00 My father takes me to school.
7:30-8:45 study in school library, sport (rugby league, soccer,cricket) and talk to friends.
8:45-14:55 school. I studied Japanese, grammar, biology, chemistry and art.
14:55-15:30 walk home from school
15:30-17:30 watch tv, play computer games. (free time)
17:30-18:00 household chores and read newspaper,
18:00-19:00 eat dinner
19:00-20:30 study
20:30-22:30/23:30 watch a movie on tv
23:30- sleep
I hope this helps, and thank you again for your e-mail         Duncan McLeod.

 生徒は英語の授業でイギリスの中学生と文通を続けている。そのため、英文の電子メールにも積極的に挑戦する姿が見られた。 グリフィス大学の学生とは数多くのメール交換をした。
 相互の語学の力を考え、日本語・英語混じりの文章が多かったが、オーストラリアの人の考え、生活スタイルなどを知るのにおおいに役立った。
     
 生徒には、個人宛のもの以外は教室で掲示し、意識を高めた。
 電子メールは確かに有効な手段だが、学校の情報通信環境は十分でなく、家庭からメールを送信できる生徒も3名のみなので、他の生徒は教師の手により送受信した。そのため、特に夏休み中には専用のメール申し込み箱を設置するなどの工夫をした。

(2)現状を正しく認識し、価値ある情報を自分なりに表現し、創造するために
 @ 授業の中で自分を表現する生徒
  地理の授業は、年間を通して「生徒の問題づくり−調査−発表」を基本としている。
 生徒の表現活動の一つ「発表」は次の約束で行っている。
 
 
何も見ない
 何かを見せる

 

 これにより、次の点で効果があった。
 ・ 自分で十分理解した上で、自分の言葉でわかりやすく説明するようになった。
 ・ 身振り・手振り、表情などの表現力が高まった。
 ・ 収集した資料を活用して、わかりやすい提示資料を作成するようになった。
 2学期には、自分で調べたことを“教師になりきって”授業をしている。これにより、授業を受ける側の姿勢も変化してきた。
表現力の育成は、日本人の国際化のためにも大切であると考える。

 A 作品の中で自分を表現する生徒
 夏休みには、自分で決めた人物になりきり、行程表の作成に取り組んだ。地図を見ながら距離を測り所要時間を計算する生徒、時刻表で長距離列車の時刻を調べる生徒、泊まるホテルの料金を調べる生徒など、それぞれのテーマにあった活動の跡が見られた。それらの行程表の多くは実現可能である。

  【 コース表 】 略
 
 コースには、それぞれの生徒の思いが込められており、生徒の個性そのものである。資源や農産物の輸入、気候や地形などの自然を調べた生徒の多い中、将来ミュージシャ ンをめざすC男はオーストラリアの主要都市でのコンサートツアーの計画を立てた。バスプロをめざすD男は、オーストラリア国内でのバスプロ大会の会場・日程を調べ、参加計画を立てた。
 これらの計画は、コンピュータ室でプレゼンテーション・ソフトなどを用いて発表会を行った。オーストラリアの自然、産業を紹介する発表の他、将来の夢を語る発表も見られた。

(3)共に生きたいとの願いをもち、情報を発信・交流するために
@ 友達と考えを高め合う生徒

 第4時では、「豪日が今後ますます関係を深めるにはどうすればよいか」について4クラスによるリレーパネルディスカッションを行った。それぞれの立場になりきったパネラーを中心に、具体的に討論が展開された。

《5組》 10月2日
主な意見
・ 旅行社の人は3万円で行ける。一般の人も航空料金を安くして相互に訪問しやすくする。それに伴い、便数も増やす。
・ すべての学校に姉妹校を作り、交換留学生やビデオレター・作品の交換を行う。 
・ 小学校からの英語教育を充実させる。
・ 会社にも相互派遣制度を作る。
・ 互いにスポーツを紹介し合い交流試合を行う。
・ 結局、日本の景気が良くならないとやりたいこともできないので、経済の建て直しが急がれる。

 この討論の内容をまとめ、2組の生徒に配布した。それをふまえて、2組のディスカッションが行われた。
《2組》 10月5日
主な意見
・ 互いの地理をもっと理解する必要がある。   
・ 町の話題など、身近なニュースを紹介し合う。専用のケーブルテレビのチャンネルがあってもよい。
・ 時差がないので、インターネットで同時に授業をし合う。
・ 「日本へ行こう!」の旅行計画書を立ててもらい、レポートを交換する。
・ 姉妹家族制度を作る。
・ EU並に人の移動を簡単にしたい。 
最後に、EUという国の枠を越えた新しい発想が初めて出された。5・2組で出された意見を4組に伝えた。

《4組》 10月6日
主な意見
・ 注入品の規制を撤廃する。真の自由貿易の 実現が国際理解を深めることにつながる。
・ 留学生の費用が高いので、運賃の学割、授業料軽減、などの保護がほしい。
・ 明治維新以来、日本は欧米を追っかけてきたが、今後はアジア・太平洋地区に目を向けるべきだ。文部省もそういった指導要領を作
るべきだ。
・ 経済的な国境をなくしていきたい。
・ 国民一人一人の理解が大切。文通など地道なところからまず始めよう。

 「自由貿易」「アジア・太平洋地区」という広い視野の意見が続いた中で、文通など地道なところからまず始めようという呼びかけがでてきた。3クラスの意見を最後の6組に伝えた。

《6組》 10月7日
 主な意見
・ 戦争の時日本がオーストラリアにしたこと、それに対して日本兵にしてくれたことは学校では教えない。こうしたことも教えるべきではな
いか。
・ 貿易の規制緩和を行う。
・ 豪日共同村を作る。
・ オーストラリアの人に、日本の観光地をもっと紹介する。
・ 生活習慣の違いがあるが、それを認め合うことが大切。そのためには、互いに接する機会を増やすしかない。

それぞれのクラスで話し合った内容をもとに、4人の司会者が集まり、提言としてまとめた。

→各クラスの報告    →提言

A 情報を発信し、世界の人と考えを深め合おうとする生徒
 4クラスの合同提言を手紙、電子メールでこれまで情報収集をした相手など、1,000名あまりの人に発信した。その結果、小渕総理など、90通ほどの意見・感想・激励の返信をいただいた。

 【小渕総理からの返信】
 愛知県江南市立布袋中学校2年生の皆さんへ今回、皆さんから日・豪両国間の国際交流についての様々な意見をお送りいただきましたが、これらの意見を拝見し、皆さんが日頃から国際交流について真剣に考えて下さっていることを知り、私も大変嬉しく思いました。
 我が国と世界の国々が親しく交流するための最も重要な架け橋の役割を果たすものが「国際文化交流」であると思います。
 それぞれの国の異なった文化や伝統を尊重するとともに、そこに暮らす人々が国境や言語あるいは慣習等を越えて親しく交流し、友情を分かち合うことは大変素晴らしいことであると思います。
 我が国も日頃から外務省、文部省、総務庁等を中心にこれらの国際文化交流には全力を挙げて取り組んでいます。
 皆さんもしっかり勉強し、体を鍛え、自分の夢を実現できるよう、勇気を持って目標に向かって大いにチャレンジして下さい。さようなら。
        内閣総理大臣 小渕 恵三

  現在も、多くの方とメールのやりとりが続いている。情報の収集を終えて、近況の報告、中には病気の見舞いなどもあり、数を重ねる中で、心のふれあいが生まれている。相手の人を友達ととらえている生徒もいる。
  また、生徒の発した提言は、社会の中で波紋も呼んでいる。                
  中でも、WH(ワーキングホリデー)制度の功罪については、世界の多くの人を巻き込んだ論争に発展した。WH制度により就職が有利な海外の若者が、現地の人の職を奪っている現実に対してである。その論争を目にした生徒は、国際交流の現実のきびしさを実感したようであった。
  これらの活動を通して、次のことを感じた。

1 多くのメールで指摘されたが、提言の内容が、中学生にしては子どもらしさがなく現実的であった。実際にオーストラリアに生活する相手から取材を重ねたためであろうと思われる。
2 良質の情報は良質の発信がないと得られない。発信のための指導の重要性を痛感した。生徒に対して日本人としての意識を問い返されたこともあり、質問をする際にも自分なりの考えを持った上で尋ねることが大切である。
3 心の交流は数を重ねないと深まらない。当初の目的を達成したあとに情報のやりとりが継続されてはじめて始まる。
4 国際理解のためには、相手の国に対する知識がやはり大切である。交流するためには、相手の国についてある程度知っていることが、相手への思いやりでもある。

4 実践を振り返って
  本校では、行事の感想、道徳や学級活動、横断的・総合的な学習のワークシートは個人ファイルに保存し、3年間累積している。昨年度に行った国際理解アンケート等をふまえて、今回の実践を振り返りたい。
(1) 21世紀に生きる情報活用能力
情報化社会では、情報を活用できることが生きる力が高いといえる。年間を通して行っている生徒による課題づくり・調査を生かした実践は、生徒 の生きる力を高めている。電話・手紙・インターネットなどの方法を具体的に指導し、やらせてみて、成功の充実感を味わわせたことが、「オーストラリアへ行こう!」の情報活用でも表れていた。
課題としては、@ 情報環境の整備、A 3年間を見通した、横断的・総合的な情報活用能力育成計画の作成、B 情報価値判断能力の育成があげられる。
(2) 個が生きる表現・創造活動
「情報をいかに作り出すことができるか」そうした表現能力も、昨年来の計画的な指導が生きてきた。特に生徒に対する「何も見ないこと」「何かを見せること」という2つの制約が、逆に生徒の表現技術を大きく高める原因になった。
 1年時の自己紹介で、自分の短所として「人前で話すこと」と書いていた6名いたが、現在は1名もいないことにも、その成果が表れているといえる。
 個が生きることをねらった、希望する職業になりきった旅行コース・レポート作成は、まさしく個性そのものの作品ができあがったが、学習意欲の伸張という点でも効果が大きかった。特に、日頃学習意欲を失いがちの生徒の意欲的な参加が目を引いた。表現技術としては、写真・イラストをふんだんに使った視覚に訴える作品が多く、ここでも「何 かを見せる」指導の成果が表れている。
課題としては、ここでも3年間の表現・創造に対する育成計画の作成があげられる。
(3) 国際社会を共に生きる心の交流
 夏休みの活動をふまえて行った、「豪日交流促進」の討論は、リレー討論にしたために内容に広がりを見せた。また、社会への発信は、多くの励ましとともに意見をいただき、現実社会の厳しい面も教えられ、生徒の視野を広げるのに有効であった。今も続く
 メールのやりとりからは、心の交流により相手への共感も生まれ、国際理解へ一歩踏み出したといえる。