-Not So Small House
-Court House
-Let the Sunshine In
-Open Plan
-Say Hallo
-Rabbit Cage
-When I'm sixty-four
-月見の宴
-寄付
-Slide Show
-実施設計図(pdf)



When I get older losing my hair
many years from now
will you still be sending me a valentine
birthday greeting, bottle of wine
If I'd been out till quarter to three
would you lock the door
Will you still need me
Will you still feed me
When I'm sixty-four

Lennon-McCartney
(c) 1967 Northern Songs

住まいが新しくなっても、生活は変わる訳ではありません。ただ、これまでよりもいっそう自分らしい暮らし方ができる、ということでしょう。老後を考えた家づくりでは、これは結構大切なことだと思います。メーカー主導の「商品化住宅」ではこれがなかなか難しいのではないかと思います。

商品の基本は「欲しくさせる」ところにあるのではないでしょうか。これこれのお金を出せばあなたの「夢」が手に入ります、というわけです。「商品化技術は人を飢えさせる技術」と言っても良いでしょう。

確かに若者の餓えには時に美しいものももあります。「夢の我が家を手に入れて、それにふさわしい生活をする」あるいはその為に懸命に働く、と言うのもよいでしょう。しかし老後を考えた家づくりはこれとは違うものであるはずです。

老後の家はこれから未来の夢を築く人たちが拠り所とする家ではなく、人生の実りを手にする場所です。夢を手に入れる為にがむしゃらに働く為の家ではなく、「長年欲しいと思っていたものは、実は身の回りにあった」ということに気づくような家が老後にはふさわしいのではないかと思います。

テレビなどで目にする商品化住宅は「飽きるのではないか」という点でも心配です。洋風の「見たことない夢のような暮らし」が、実際にやってみると大したことはなく、そのうち飽きてしまう、というものです。「米国式のものが溢れる豊かな暮らし」というのも、実際に米国に行って大袈裟な作りのスーパーマーケットで買い物をしてみると、我々の感覚からすれば期待外れのものも沢山有り、そのうちげんなりしてくる。というのが近年、彼の地で日本食が流行っている原因なのではないかとも思われます。

有り難いことに、最近ではインターネットで.Safewayなど米国の大手スーパーの「今週の特売品」のちらしを見ることができるので、デスクトップで米国の「ものが溢れる豊かな暮らし」の実体を冷静に眺めることができます。一昔前の日本では、ものが無くて誰もが耐えていたのですが、今ではものが溢れ、ものに埋め殺されそうなのが現実では無いでしょうか。暮らしを軽くするのも老後の知恵、と言えそうです。

11月、特製「午後の椅子」で太陽の光が床の上を滑って行く様子を眺める季節になりました。