(1)ワールド・ニューズ・メール ☆ 金曜スペシャル版 2007.1.19 No.747
[2]特集…「軟実力」重視の国家戦略図る中国
●「大国崛起」ブームで着々と
中国中央テレビ(CCTV)が昨年11月に連続12回で放送したドキュメンタリー番組「大国の台頭(大国崛起)」は中国内で流行語となり、大反響を巻き起こした。過去五百年間に出現した九つの大国の興亡盛衰を従来より客観的に紹介、大国の制度や国民の素質、ソフト・パワー(軟実力)が永続発展のカギとなるとして、台頭しようとする中国の歴史的教訓にしようとしたものだ。党中央政治局が集団学習会で行った近現代世界史の客観的視点を基に制作された同番組を通し、中国独自の文化や伝統を最大限に活用する「軟実力」を再重視し始めた中国政府の国家戦略が見えてくる。(香港・深川耕治)
●映画、観光でも文化影響力拡大
歴史ドキュメンタリー番組「大国の台頭」は中国中央テレビ2(経済チャンネル)で昨年11月13日から24日まで12回連続(各回55分)でゴールデンタイムに放送された。
同番組は過去500年間に台頭した9つの大国(ポルトガル、スペイン、オランダ、英国、フランス、ドイツ、日本、ロシア、米国)の興亡盛衰史を時系列的に客観的視点から描出。特に米ロ英3国の世界史での地位と影響力にスポットを当てた。
中国共産党が一貫して支持するマルクス・レーニン主義による唯物史観での伝統的解釈ではなく、資本主義制度にある競争力と権力バランス、健全な社会システム(所得の公正分配)、憲政法治主義の尊重を評価しつつ、ドイツ、ロシア、日本の興隆と衰退が制度確立時の欠陥にあるとして、今後の中国現代化の教訓にすべきだとの結論を出している。
特に大国を永続維持するためには新たな制度創建、全民教育による国民の素質向上、国力に必要なソフト・パワー(中国語訳は軟実力)育成が最重要と強調し、「文明の衝突」論を提示したサミュエル・ハンチントン氏に対して批判的立場を取る米国のリベラル派国際政治学者、ジョセフ・ナイ・ハーバード大学特別功労教授(クリントン政権時の国防次官補)を番組に登場させ、同氏が提唱するソフト・パワー(その国の文化や政治的価値観、政策の魅力に対する支持や共感を得ることで国際社会からの信頼や発言力を勝ち取る力)が、ハード・パワー(軍事力や埋蔵資源など)と好対照に重要であることを力説している。
同番組のチーフディレクターである任学安・中国中央テレビ2(経済チャンネル)副編成局長(写真)は「2003年11月末、出勤途中にラジオで『15世紀以降の世界主要国家の発展歴史』をテーマに中央政治局集団学習会が行われていることを聞き、これをヒントに九つの大国の興亡盛衰を北京大学歴史系の教授陣らと協力して制作するようになった」と話している。(以下略)
☆★☆ コメント ☆★☆
過去500年間に台頭した9つの大国(ポルトガル、スペイン、オランダ、英国、フランス、ドイツ、日本、ロシア、米国)の興亡盛衰史を時系列的に客観的視点から描出という発送が面白い。日本はおそらく明治から戦前にかけてであろう。中国が、当時の日本のしくみをどうとらえ、何が衰に向かわせたと考えたかを見てみたい。
(2)kyositu.comニュース【小学校教育総合情報誌】.2007-01-16<TUE> [vol.766]
┃3┃図工/原点からみつめてみましょう、図画工作科教育(1月)
石川創未@栃木県今市市立大桑小学校教諭
図画工作科教育の歴史からみえてくること
(1)明治前期〜教科成立期
…「美術」という造語の登場
→学制に定められた科目「幾何学罫画大意」と「画学」
→「罫画」と「図学」(実用的で合理的な西洋画法の習得を目標とした)
→「図画科」(臨画ー模写のこと、
聴画ー教師の指示を聞きながら作図する方法、記憶画、工夫画)
→「手工科」の誕生
(2)明治中期〜図画科・手工科期
…鉛筆画(西洋画的内容)×毛筆画(日本画的内容)
→毛筆画教育
(3)明治後期〜教育的図画時代
…図画科を普通教育の一科目とする流れ
→教科書『毛筆画手本』『鉛筆画手本』の発行
→教科書『新定画帖』(鉛筆画・毛筆画の区別を廃し教育的図画を確立させたもの)の発行
(4)大正期〜自由画時代
…山本鼎による「自由画」(臨本によらない児童の直接な表現)の主張
→自由画教育運動が広がる
→「図画科」と「手工科」が必修科目になる
(5)昭和初期〜風景画・静物画脱却期
…「生活画」「想画」の実践、教科書『小学図画』(手本としての性格を弱める)の発行
(6)戦時下〜戦時体制期
…民間教育運動の挫折や転向
→国防意識の醸成を目的とした教科書『エノホン』『初等科図画』『初等科工作』の発行
(7)戦後〜図画工作科誕生期…連合国軍司令部の民間情報教育局の指導のもと、「図画工作科」が生ま れる。(教科書なし)
(8)独立回復後〜民間美術教育団体誕生期
…中学校図画工作科が「技術・家庭」科と「美術」科に分離される
→「創造美育協会」(児童の創造力を励まして育て個性を伸ばす)
×「新しい絵の会」(児童の社会的現実との切り結びを深め、新しい生活画を育てていく)
(9)昭和後期〜模索期
…子ども中心の教育観
→教材や指導法の定式化→鑑賞の指導法
→美術の本質の理解を目的とした方法論の模索
上記のように歴史をふり返ることによって、図画工作科教育において創造主義的な美術教育観をベースとして自己表現活動を重視することは理念として一般化してきたが、それを実践することは難しいということがみえてきた。ややもすると極端な放任主義やその逆の画一的指導や作品主義に陥ってしまうことがそのことを示している。
ここでは答をだすことはできないが目指す方向として、一人ひとりの子どもの思いや考えを大切にし子どもたち同士のかかわり合いを軸に活動の過程にこそ子どもの成長を見つめていく授業を模索していきたい。そのためにも、「子どもの発達と表現の指導」や「美術の本質」について造詣を深めていくことが欠かせないと感じている。(以下略)
☆★☆ コメント ☆★☆
図画工作教室については全くの門外漢だが、これを見るだけでも図画工作がここまでどういう変遷を遂げたかを垣間見ることができる。勉強になった。