ブリスベン見てある記−大口町中学生海外派遣 私的随行記− bU    

8月16・17日 8月18日 8月19日 8月20日 8月21日 8月23日

8月22日(金)
 朝はいきなりの驚きだった。

 ゴミ収集車がゴミの回収にきたのだが、機械のアームが道ばたのゴミ箱をつかんで荷台に空けていった。しかも、リサイクルゴミ(紙、缶、ペット、ボトル、ビン)とその他のゴミを分けてタンクに詰めていた。
 その直後、今後は大型のコンテナゴミをアームで持ち上げて回収するトラックがきた。そのスケールの大きさと発想のすごさには驚いた。
 ゴミ収集車にはなんとかビジネスと書いてある。回収は民営なのだろう。ゴミ収集処理費は固定資産税の中に入っている。ゴミ箱は支給で、壊れたら取り替えてもらえる。

 消防費、水道基本料も固定資産税の中に含まれる。従って家主に払う義務がある。
 救急車は最近まで実費(1q100ドル)だったが、最近になり電気代と併せて支払うようになった。これはクイーンズランド州のルールだ。
 もう一つ驚くべきことがあった。
 ゴミ収集車の写真を撮っていたら、わざわざ車から降りてきて、「運転席を見ろよ」とドアを開けて見せてくれた。そこには助手席にもハンドルが付いていた。すなわち、運転席は2つあるのだ。道路左側のゴミを回収するときは左側の運転席、右側のゴミを回収するときは右側の運転席を使うようである。運転席にはモニターがあり、荷台の様子がわかるようになっていた。
 仕事中にわざわざ降りてきて説明してくれる親切さ、フレンドリーさ。日本なら仕事をさぼっていると誤解されそうだが、多少は見習うべきであろう。

 タクシーはこの日も遅い。オージータイムというが、朝8時の約束に間に合ったのは初日だけだ。この日は45分も遅刻し、その上セダンなのでスーツケースを運べない。

 この日は中学校のSchool assemblyに参加した。文字通り集会、日本でいう朝礼だ。
 体育館は、小学校の体育館ぐらい。ステージはなく、片側のサイドに階段状の座席がある。フロアには、いすが440席並べてあった。
 はじめに服装の注意がある。20人あまりの先生の多くが周囲におり、一部、生徒の中にいる。最初は全員起立し、聖書の一節を唱和して集会が始まった。
 大口町の中学生の紹介の後、来週金曜日にある王立病院への募金の話があった。何と、音楽に合わせて、派手な帽子などをかぶった生徒が登場(右写真)して来るではないか。募金日は、わざと派手な格好(服装違反)をしてくること、その罰金のつもりで募金をしようという呼びかけだった。学校が服装違反を勧めること自体、日本では考えられない。ただの募金に終わらない遊び心がある。
 同様に、遺伝子(agene)が原因となって起こる病気の患者に対する募金の日は、geneにかけて、わざとジーンズをはいてくるのだそうだ。その罰金として募金するのである。
 この日は、ガンの募金もあり、何人かの生徒が紙で作ったスイセンの花を持っていた。募金の証である。日本の赤い羽根と発想は同じ。
 朝礼は、その後、「ブレザーを着てきた人起立」「着てこなかった人起立」「ブレザーが家にある人挙手」など、服装のチェックにはいる。最後には、担任による服装チェックまであった。また、けんかをしたものへの注意、授業態度が悪い生徒が2人呼び出された。
 豪州でもお説教は好きではないようで、あまり生徒の態度はほめられたものではない。
 
 その後、生徒は小学校の教室へ行く。各教室に2人ずつ分かれて入っていった。小学校のこの日は物語の服装をしてくる日で、思い思いの格好をしている。シンデレラや魔法使い、101匹わんちゃんもいる。
 小学校は1棟に2教室あり、1年生は5,6歳。1クラスは25名以下。高学年は28名以下だ。中学校以上は生徒が教室を移動するが、小学校は固定した教室である。ただ、先生が来るまでは教室に入ることができないのは同じで、先生が来るまで教室の外で待っているそうである。
 特殊学級はないが、補充学級があり、決められた時間にホームルームを抜け出て補充の授業を受ける。先生が3人に対して、子どもは5人いた。
 他にも、バイオリンのレッスンを受けている子は、その時間だけ教室を抜けて音楽棟へ来る。すなわち、教育課程は人によって多少異なるのである。個性に合わせた教育とは、こういうことを言うのだろう。
 昼休みの前には、大口町の中学生が小学生を前に鳴子踊り(どっこいしょ)を披露した。その後、小学生の方から「いっしょに食事をしようよ」と誘いに来た。その積極性は見習うべきところである。
 午後の授業は再び日本人だけの英語の授業。フェアウェルパーティでお礼の挨拶をするための学習だ。
 そして授業後。調理室でフェアウェルパーティの準備が始まった。肉じゃが、手巻き寿司を作るグループと飾りを作るグループに分かれて作業が始まった。

小学生に鳴子踊りを披露 最後の英語の授業 パーティーの調理 パーティーの飾り作り

 パーティは体育館で行う。体育館も土足でそのまま上がり使用する。体育倉庫には、フェンシングのマスクと剣が並んでいた。
 折り紙の作品がハンセン先生に好評で、自然とみんなで作り始めた。集団の心がやっと一つになってきたように感じた。

 パーティでは、最初にハンセン先生から参加証を授与された。また、プレゼントもいただいた。
 料理は中華料理、そして生徒が作った肉じゃがと手巻き寿司。生徒の料理はとてもおいしく、参加者にも好評だったようだ。すぐになくなってしまった。
そして鳴子踊りと歌をプレゼント。日本からわざわざ持って行った半被が映えていた。鳴子はプレゼントして喜ばれた。
 そして、学校から思いもかけないケーキのプレゼントがあった。この日、最も盛り上がった場面だった。
 パーティーでは、似顔絵付きの英文名刺が役に立った。
 しかし、何より英語が話せることの方がもっと大切だ。次にこのような機会があれば、もっともっと勉強してから来たい。

参加証授与 ホストファミリーと最後の食事 鳴子踊りを披露 ケーキのプレゼント 涙のお別れ

 最後はバスまでファミリーに見送ってもらった。涙の別れだ。思わずもらい泣きしそうになってしまった。このホームステイをきっかけに、できるだけ長くつながって欲しいと感じた。

【セントポールズスクール特集】
 ここで、お世話になったセントポールズスクールの印象をまとめておきたい。
○ とにかく広い。50haと書いたが、樹木で区切られた敷地だけの面積である。実際にはその北側にさらにサッカーとラグビーができる芝生が計4面あり、その北が(学校の所有ではないが)牧場になっている。さらに、近くには18ホールの学校のゴルフ場まである。それらを含めると、その広さは想像もできない。
○ 校長はGoddard先生、教頭はDanielsen先生。そしてこの下に小学校・中学校・高校とそれぞれ校長がいる。小学校長のConnolly 先生はじめ、3人の校長はみな若い。そして併設のインターナショナルスクールの責任者がハンセン先生である。なんと、個室が与えられ秘書までいるからうらやましい。
○ 授業は次のようになっている。

第1時  9:00〜
第2時 10:00〜
ティータイム 11:00〜
第3時 11:20〜
ランチタイム 12:20〜
第4時 13:10〜
第5時 14:10〜
下校 15:10〜 広大な芝のグランド 通称ホワイトハウス 昼休みの小学生 下校時刻の子どもたち

ティータイムは完全な休憩で、仕事の話はしてもらえない(ような雰囲気だった)。
○ 調理室の隣に人をもてなす部屋がある。料理を作って終わりではなく、テーブルのセッティングからレイアウトまでが授業の内容になっている。また、調理室からの扉も、どちらからも押して入れる扉が一つずつあり、料理を両手で持ったまま入れ、しかもぶつからない仕組みになっている。
 調理室の台が高く、いすも高い。
○ 軍隊科がある。キリスト教系の学校の中で迷彩服を着ているので違和感もある。実に幅広い学校だ。
○ 音楽棟の充実度も特筆ものだ。個別のレッスン室や複数の合奏室、楽器や電子機器の充実ぶりはすばらしい。
○ セントポールの卒業生には、ワラビーズ(オーストラリア代表)の選手がいる。ベン・チューン選手だ。膝の故障でワールドカップに出られるかどうかとハンセン先生が心配していた。試しにインターネットでワラビーズを検索して驚いた。 いきなり選手紹介に登場した。セントポールのガイドブックにも載るわけだ。

ベン・チューンの豪快な走りに注目!(10/12)
 スター選手の揃うワラビーズだが、まず最初にWTB、FBといった目立つポジションから選手を紹介しておこう。
 まずは、「キャンピージ二世」と呼ばれるベン・チューン(185cm、93kg、23 歳)。キャンピージと言えば、101テストマッチに出場した豪州の英雄で、テストマッチ64トライの世界記録を持つ、希代のWTB。その二世と呼ばれるのだからチューンもただものではない。18歳の時、7人制豪州代表で出場したドバイ・セブンズで、鮮烈デビュー。96年にはウエールズとの試合で15人制代表入りを果 たし、ケガに泣かされることはあったが、39キャップを獲得。昨年秋のW杯では、フランスとの決勝戦で、勝負を決定づけるトライを挙げている。 大きなストライドで、力強く地面を蹴り、トライ時には、両手を脇に揃えて胸で芝生を滑る「チューン・スライディング」を披露。エキサイティングなプレーで人気も高い。

○ 校内はややゴミが多い。あいさつや服装はいいが、ゴミに関してはマナーはよくない。
○ 階段に車いす用のリフトが付いていた。
○ まもなく学校の改装が始まり、新しくゴルフコースもできるそうだ。生徒は日本からも募集するそうである。ヒルズ学園のようだ。

 この日は、ホテル グランド チャンセラー ブリスベンに宿泊した。ここでもやはりバスタブがなく、シャワーのみだった。