ブリスベン見てある記−大口町中学生海外派遣 私的随行記− bV     

8月16・17日 8月18日 8月19日 8月20日 8月21日 8月22日

8月23日(土) 
 いよいよ最終日。3時半(日本時間で2時半)に起床した。今回の日程で問題点を挙げるなら名古屋からの直行便がないということだろう。空港の乗り継ぎはとにかくロスタイムが多い。日本国内で航空機がもっと普及するためにはロスタイムをいかに短くするかが課題だろう。日本人は時間にせっかちだから・・・

 空港ではまたの手荷物検査にひっかかる。筆箱の中のはさみが原因。よく見つけるものだと感心する。
 空港では、荷物チェックの中まで飛行機に乗らない添乗員も入ることができる。珍しいシステムだ。
 空港では小銭がなったため33,000円を両替。34$もらえるはずが27$しかない。手数料で引かれてしまった。
 ブリスベンからケアンズまでは1,900q。日本でいうと稚内から鹿児島までよりさらに遠く、日本列島がすっぽり入ってしまう。遠さを実感する。

 ケアンズ空港では飛行機が遅れ、40分も余分に待たされた。そのために航空会社から食費サービスがあり、7$50¢分の食費がサービスされた。そこで、12$(約千円)のラーメンを食べてみた。量も少なく、せいぜい300円というところか。16$のチャーシュー麺は、チャーシューと言ってもソーセージの薄切りが3きれのっているだけだ。
 お茶も2$必要。ちなみにおにぎりは4$。
 結局、オーストラリア航空の飛行機に代わり、カンタス航空の飛行機が来た。しかし、乗務員はオーストラリア航空。このあたりは連携がとれている。
【中学生に聞きました】  
 ここで、一部の中学生に日本との違いなどを聞いてみた。まず学校では・・・  : 以降は筆者
○ 生徒が教室を移動することが日本と違う。
○ 授業中にチョコレートなどを食べてもよいし、飲み物も飲んでよい。
○ ティータイムがあり、校内に売店がある。
○ 小学校が幼稚園っぽい。飾りが多いためか・・・
○ 日本人留学生と話をしたが、名古屋は知っているが愛知県は知らなかった。どこにあるのかももちろん知らない。
○ 遅刻してもしかられない。授業中うるさくてもそれほど厳しく言われない。
○ 男女の仲がよすぎる。
○ 音楽などのレッスンが授業より優先され、時間が来ると出て行ってしまう。
○ 授業中名前で呼ばれる。
○ 主食が決まっていない。パン、コーンフレーク、マカロニなど毎日ばらばら。フライドポテトは3〜4回食べた。
○ カロリーが高そう。味が濃く、甘い。
 次にホストファミリーの家では・・・
○ ガスコンロがなく、プレート。火を使った料理がなく、オーブンやレンジのみ。: なるほど!これは大事な発見!
○ バスはあるが実際には入らない。シャワーのみ。
○ くつでそのまま上がる。床はカーペットやタイル。
○ お米は一度も食べなかった。もちろん箸もない。
○ 電球の豆球がなく、明るいか暗いかのどっちかしかない。: これもよく気がついた。確かにそうだ。
○ 古い車が多い。免許が16歳から取れ、車で通っている高校生もいる。:車検制度がないため古い車が多い。日本の車検制度は厳しすぎないか?
○ テーブルがあるのに、膝の上に座布団を敷き、その上で食べた。(一部の家):これには驚いた。
○ 食べる前に手をつないでお祈りをし、全員が食べ終わるまで席を立ってはいけない。(一部生徒)
○ 一階建ての平屋で、敷地が広い。: そのため空が本当に広く感じる。
○ 帰宅後、必ずおやつを勧められる。
○ 部屋のドアは開けておく。開けておくと声をかけてくれるが、閉めると声をかけてくれない。: これは後輩に伝えなければならない大切なことだろう。
○ トイレのドアも使わないときは開けておく。閉まっている=使用中という意味。従って、トイレの扉に鍵のない家もあった。
○ 早く寝なさいと言われる。早い日は7時に寝た。
○ ファミリーの人が毎日シャワーを浴びているか疑問。歯磨きもしているところは見たこともない。
○ 他にもホームステイの子がいた。(香港、韓国など)
○ 毎朝ベッドメーキングをする。枕は2つあり、ふかふか。

 ブリスベンの街では・・・・
○ コンビニはセブン・イレブンしかない。セブン・イレブンのガソリンスタンドもあった。
○ ガソリンスタンドはセルフばかり。
○ ショッピッングセンターでは袋に入れてくれる。:日本でもかつてはそうだったぞ!
○ 食品が安い。ソフトクリームの40¢はうれしい。
○ どの店の店員も優しく親切。
 
機内サービスでアイスクリームが出たが、マンゴとチョコレートの選択だった。日本ならバニラだろうけど、マンゴは甘すぎてくどい。
帰りの飛行機は修学旅行と言えるほど中高生だらけだ。

【豪日文化比較】
 私流の海外旅行の楽しみ方は「日本との違いをさがせ!」である。この課題を自分に与えることで、周りをよく見るようになる。
 今回も拾い上げてみよう。
○ オーストラリアは検疫が厳しい
 これについては冒頭で述べた。日本が甘いとは言っていないが・・・
○ 「歯ごたえの文化」と「歯ざわりの文化」
 おいしい牛肉の考え方が全く違う。日本は脂肪が適度に混ざった霜降りが高級だが、豪では赤身の固くしまったものが高級だ。育て方も違い、豪州向けは牧場で運動させ、日本向けは運動させないようにしている。病気を防ぐために薬を大量に投与しているとの噂も聞いたことがある。(真偽のほどは定かではない。)
 ガムをかんでも同様で、日本のガムは柔らかいものを目指してきたが、豪は噛みごたえがある。
○ 「点の芸術」、「線の芸術」
 アボリジニーの絵を見て気がついた。点で表現している。洋画もゴッホをはじめとして点の表現が多い。伸びない油絵の具を基本としているから当然だ。
 日本は、もともと筆で書くことを前提にしているため、楷書が行書になったように、絵も一本の線を墨の濃淡で表現することが多くなってきた。まさしく、線の芸術だ。
○ くつを脱ぐ、脱がない
 前回キャンベラでホームステイしたときに、本当にくつのまま家に上がってソファでくつろいだことには感動した。豪州では当たり前なのだけれど、畳文化の日本では考えにくい。
 この違いはどこからくるのか?
 思いつきだが、「乾燥」がポイントではないか。
 日本は「湿」だ。田で仕事をし、そのために川の近くに集落を作った。当然、土地は低く川の氾濫に備える必要があった。
 かつて、竪穴式住居だったが、高床に移行していった。考えてみれば、日本伝統の茅葺きの屋根は、竪穴式住居全体を柱で持ち上げたものと酷似しているではないか。
 「湿」と「乾」を区別するためにも、土足の区別を厳密にする必要があったのだ。
 実はオーストラリアも高床式が多い。それは、毒蜘蛛や毒蛇の害を防ぐためだそうだ。
○ 豪州ではバスの乗客もシートベルトをする
 日本では後部座席まではあまり言われない。これは、日本では車の運転手に責任を集中させていることにも関係がありそうだ。
○ シートベルトをしていない場合、罰金は本人が払う。
 前の続きだが、これが大きなポイント。個を大切にするが、責任も個に及ぶ。自由を認めるが責任も負うのが豪州のスタイル。
○ 授業中名前で呼ばれる。
 これもシートベルトと根っこは同じだ。
 生徒が言うには、いつも名前で呼ばれ、姓を聞かれたことがないという。また、バディの相手も名前しか知らないという。姓は所属、名前こそが「名前」なのだ。それは、個を大切にするという発想につながる。
○ 豪州ではトイレのドアが二重
 外から見えないようになっている。日本ではドアのないトイレが多いのに・・・
○ 日本は主食がはっきりしている。
 日本人の主食は米だ。消費量は確かに落ちているが、主食の座は揺るぎそうにない。歴史的にそうであったし、おそらくこれからもそうあり続けるであろう。しかし、豪州では実に様々な炭水化物の取り方がある。パンは選択肢の一つでしかない。
 だからこそ、日本人における「米」の意味が欧米の人にわからないのは当然だ。WTOの農業交渉がまとまらないのは、実はここにある。
○ 味付けのポイントは塩か砂糖か
 豪州での食事はとにかく甘くて量が多いのが印象的だ。量の多さはともかく、味付けは砂糖がポイントであると感じた。
 しかし、日本はご飯が基準。ご飯に対してどう塩分を加えたおかずになるかが日本の「味」になる。
○ 大陸的・島国的
 豪州も他国と陸地で国境を接していないという点では日本と同様である。豪州は、巨大な島国と言うことができる。しかし、やはり豪州は大陸的だ。スケールが大きく、その分おおざっぱ。

 まだまだあるが、今回はこのあたりにしておこう。

 生徒も全員無事到着した。16名の生徒一人一人が、お金では買えない、貴重な、本当に貴重な体験をしてきたことを、この目でしっかりと見ることができた。コミュニケーションの大切を学び、人間が一回り大きくなった。日本を見つめ、自分を見つめ、今後の生き方を考えたに違いない。
 こうした機会を設定していただいた大口町・大口町教育委員会はじめ関係のみなさん、なかでも学校教育課の大森君、ハンセン先生はじめセントポールズスクールのみなさんとホストファミリー、また、その仲介をしていただいたみなさん、JTBの小林さん、子どもを快く送り出してくださった保護者のみなさんなど、多くの方々のおかげで子どもたちの成長する姿を見せてもらうことができた。みなさんに心から感謝したい。

 「ブリスベン見てある記」これで終了します。最後まで付き合ってくださった方、どうもありがとうございました。