-昔の家づくりに学ぼう
-藁葺き屋根は厚さ60cmの断熱材
-働く床と座る床を分ける
-いろりとかまど
-便利なことはなんて不便なんだろう
-渡辺家の改装 
-市郎兵衛家の改装 
-大山家の改装 

囲炉裏と竃

「食べるところが家の中心」というが住宅の原形のひとつではないでしょうか。

「居間でくつろぐ」というのが必ずしも毎日の決まった行動、と言うには現代人は気ぜわしすぎるかもしれませんが、 食事の後でちょっとのんびりする。というのは相当にありそうな話です。

昔の家では「主人が食事を食べるところが家の中心」というデザインが厳格に守られている例もあります。

家の中心に囲炉裏が切られて、囲炉裏の周りの玄関から取り付いたところが 「客座」奥が「横座」と呼ばれる主人の席、裏側が「かか座」です。こうした席次は厳格に守られて、 他の人は座ることが出来ませんでした。


福島県指定史跡 観海堂 主屋保存修理工事報告書
福島県新地町教育委員会  より作図

「かか座」は大奥様の座るところで、嫁はかまどの陰で真っ黒になって働いている。
というのが昔話のシチュエーションでした。で、かまどの周り、土間で何をしていたか、というと、

  • 薪を割って湯を沸かす
  • 飯を焚く
  • 味噌を作る
  • 魚の頭を取ってはらわたを洗う。
  • ダイコンの葉っぱを刻み、魚のアラと一緒にして犬・猫・鶏のエサを作る
  • もちつき
とまあ、現代の我々はス−パ−マ−ケットに出かけて済ませてしまうか、蛇口を回して用を足していることが多い様です。 そう考えると、現代の台所はどちらかと言えばかまどより囲炉裏に近いのかもしれません。

たまにしか使わない「居間」が中心にあるよりも、毎日の食事の場を家の中心にして、 主婦がこちらを向いている、というオープンキッチンが「住居の原形」に近いかもしれませんね。