-昔の家づくりに学ぼう
-藁葺き屋根は厚さ60cmの断熱材
-働く床と座る床を分ける
-いろりとかまど
-便利なことはなんて不便なんだろう
-渡辺家の改装 
-市郎兵衛家の改装 
-大山家の改装 

和風住宅の改装



新町の渡辺先生はアクトシティー基本設計の審査委員長を芦原義信氏にお願いするについて、当時の都市計画部長が相談に来た、という浜松でも指折りの学識経験者です。 東街区に含まれる御自宅/診療所も、当局から然るべき配慮が合って当然という建築史的にも興味のある建物でした。

ところが再開発事業にはそうした文化的な配慮があるわけでは無さそうで、「半年後には立ち退いて下さい。」とのこと。阪神淡路大震災で被災した高齢者の「1/3が震災でボケて、1/3が仮設住宅への不適合でボケて、1/3が仮設住宅からの立ち退きでボケた。」といわれる教訓は活かされておりません。



しかたなく蜆塚の辺りが街になる前の面影を伝える赤松の残る屋敷を買い取ることに。 ところがこれが「暮らす」ことよりも「立派な屋敷」であることにエネルギーを費やしたという建物で、先生が気に入られた母屋東南の「居間」も、陽がさしていれば冬でも暖かいでしょうが、陽が陰ると外とそれほど変わらない寒さ、というものでした。

そこで大筋次の様な改装を施すことにしました。


  1. 寝室・婦人書斎・居間から東側を主な生活空間として構造補強と共に断熱性能を高める。
  2. 渡り廊下は無理矢理増築したという状態で、曲が多く、将来車椅子などの使用には耐えない為、便所を浴室とまとめ、必要があれば外部から内玄関として使用出来る様にし、動線を合理化する。
  3. 座敷・縁側周辺は現状のままとし、使う時のみ暖房する。
  4. 座敷北側の仏間はツブして納戸にする。
  5. 北側開口部を大きくし、庭との結びつきを強める。


実際にデザインしてみると、和風住宅の大きな要素は室内と屋外の結び付け方にある、ということを改めて実感しました。このあたり図面からではなかなか空間の様子が分かりません。アニメーションで見ていただきました。



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さて、仕上がりは如何に。