-藁葺き屋根は厚さ60cmの断熱材 -働く床と座る床を分ける -いろりとかまど -便利なことはなんて不便なんだろう -渡辺家の改装 -市郎兵衛家の改装 -大山家の改装 古屋は今では手に入れられない資産浜松周辺でも少し郊外へ行くと結構古い住宅が大切にされています。 こうした昔の大型住宅は実は今から建てようと思うと、とてつもない資金が必要であり、殆ど不可能、といっても良いでしょう。 このような貴重な住宅資産が取り壊されてなくなって行くのは残念でもあり、勿体ないことこの上もありません。 こうした住宅も少しばかり手を入れることで、現代の生活にマッチした素晴しい建物に生まれ変わることができます。 ここではそうした改装例をご紹介したいと思います。 古屋は何故貴重か
戦後の家造りと戦前の家造りとの違いが古い住宅を貴重なものにしている最大の原因だと思います。
戦後の日本の住宅は戦災復興の為の緊急非難的な要請で始まりました。そしてそれに続く高度経済成長と産業構造の急変で、
日本人のライフスタイルは激変しました。
建物の「モノとしての寿命」よりも「道具としての機能的な寿命」のほうが短い、という状態が戦後50年にわたって続いたのです。
いつしか我々は住宅の寿命を30年前後と考えるようになり、これに早く建て替えてくれればそれだけ企業として収益が上がる。
という住宅産業の要請が重なりました。 これに対して戦前までの日本では、住宅は一度建て直せば3世代100年ぐらいはもつという住宅の建て方をしていました。 そのため今のように誰でも家を建てることができる、という訳にはいかなかったのですが、 新地町の様に養蚕が盛んな地方では養蚕農家は、100年の計をもって、産業施設でもある巨大な住宅を建てたのだと思います。 産業構造の変化と共に養蚕の為の建物、という意味は失われましたが、まだまだこうした大型住宅は、 新築当時に考えられていた寿命に達していないものが数多いと思います。 特に昭和11年の材木の戦時統制以前に建てられた住宅では現在では考えられないような贅沢な木使いをした住宅も多く見られ、 まだまだ壊してしまうには勿体ないものがあります。 古屋は何故ダメか
そうした貴重な古屋ですが、現代の私達の生活にはなかなか馴染みにくい点があるのも確かです。
養蚕時代の大型住宅は大きな家であっても農繁期には大勢の人々が寝起きする場であり、住宅でありながら産業施設でした。
個人個人の暮らしに合わせる、というよりも農業経営のために考えられていました。
一人一人が自分の生き方を大切にする、という今の暮らしからすれば考えられていない点、不便な点が多いかもしれません。
農業後継者に嫁が来ない、といわれるのにも、こうした住宅の問題があるのかもしれません。
こうした点さえ改善してやれば街中の狭い住宅よりも田園に囲まれた大きな住宅のほうが魅力的なものになるはずです。
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