内装

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間取り


内装の寿命は素材の物理的な「耐久性」というよりも「汚れ」から来ることが多いのではないでしょうか。天然素材では時間とともに自然に「古びて」来るものが多く、場合によっては美しさが増すのに対して、人工的な合成素材、特に天然素材を模倣した建材では時間が経っても「古く」ならずに「きたなくなる」だけ、というものが多いことに気を付けたいと思います。内装の寿命は汚れ方によると言えそうです。

生活とともに身の回りの物にしみ込んだ色合いを「サビ」と呼んで、生活そのものがいとおしければ、それによって生じた「サビ」も尊ぶというのが、欧米にはない我が国の伝統的な美意識でした。

昔のやり方だと木構造と土壁がそのまま室内に見えるわけで、内装工事は「内法仕事」と呼ばれる敷居鴨居などの枠まわりと壁の上塗りが主でした。

生活の洋風化とともに洋室が多くなり、柱を壁で隠してしまうという大壁が増えました。ツ−バイフォーなどと同じやり方です。昔の木構造はそのまま仕上げとなるわけですから、柱梁を屋根とともに残して壁・内装だけをやり直すことが出来ました。畳表を変えることで畳が生き返るのと同じです。

ところが大壁では柱は単なる構造材・下地材であって、壁を剥がせば元通り壁で仕上げなくてはなりません。木造軸組工法の洋風住宅ではもともと柱を仕上げ材として見せていた工法から始まっているので、無駄が多いような気もします。こうしたやり方で最も合理的なのはツ−バイフォ−工法です。

もうひとつ気を付けておきたいのは廃材処理です。これまで軸組大壁、ツーバイフォーでは下地の上にせっこうボードを張り、ビニルクロスを貼るという作り方が広く行われてきました。ところが「土と木と紙」で出来ていた昔の家ではそれほど問題にならなかったのですが、近年問題になっている建築廃材で、最も厄介なものがこのせっこうボードとビニルクロスだということが明らかになってきたのです。「新建材の逆襲」という感じがします。

これまで埋め立て処理してきたせっこうボードをリサイクルするには、中のせっこうと表面の紙を高純度で分離しなければなりません。ところが家電製品の引き取り代同様、「便乗商売」という感じもしないではありませんが、現在のところ40坪程度の住宅で処理コストが200万程度掛かってしまい、処理費用のローコスト化が課題となっているのだそうです。

またビニルクロスは基材だけでなく、製造工程にかかせない微量の添加物が、ホルムアルデヒド同様人体に好ましくない、として規制が始まりました。メーカー各社は「規制適合商品」を次々出していますが、ホルムアルデヒドの規制直後、規制対象外であったため代替品として使用されたアセトアルデヒドが、ホルムアルデヒドよりも毒性が強いとして後追いで規制されたこと、環境ホルモンと呼ばれるppm以下の微量成分については分析技術さえ確立していないと聞くと、判然としないものを感じます。



内装の寿命:汚れ方による

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