2008.2.16
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伝統工法では板倉などという特殊な建物を除き、土塗り壁が基本でした。下見板などの羽目板は、外壁の地面に近い部分などで,土壁を雨から守るために使われている様です。

ブリキが日本で初めて作られたのは大正年間だそうで、しばらくは軍用食料の容器に使われた様です。戦後そうした工場が使われなくなり,建材に転用されたということでしょうか。下見板の代わりに亜鉛鍍鉄板を使うことは画期的であったようで,今でもその頃のものらしい波板の壁が残っています。

昭和40年代になると、波トタンでは面白くない,ということで角波トタンが使われる様になります。そしてこの頃から間取りの中で洋間が増え始め,土塗り真壁が減り始めます。
 






昭和20年代ー
貫構造
クサビ飼い
竹小舞
土塗り真壁
波トタン




昭和40年代-
筋違構造
間柱大壁
アスファルト紙
角波トタン

昭和40年代には「防火サイディング」というものも出てきます。現在では「窯業系サイディング」と呼ばれることもありますが、木片などの骨材をセメントで固めた木片セメント板の表面に各種の塗料を塗ったものであり,タイルのように窯で焼いて板状にしているわけではありません。

基材の木片セメント板には、様々な模様を浮き出させることで,壁の表情を豊かにすることが出来、現在最も多く使われている外壁である様です。

昭和50年代頃からは、枠組壁工法と同じ様に、筋交の代わりに構造用合板を壁全面に張ることも行われています。構造壁+防水壁+防火壁を重ねて行くというやり方です。






昭和40年代-
筋違構造
間柱大壁
アスファルト紙
防火サイディング




昭和50年代-
構造用合板
間柱大壁
合成樹脂フィルム
防火サイディング

構造用合板と防火サイディングを重ねて張ると、間に水分が染込んだ場合、逃げ場が無くなる,という心配があります。このため間に空気層をとって防火サイディングを張る、ということも行われています。

単機能の建材を重ねるやり方では、防火‐石膏ボード+防水-合成樹脂フィルム+金属板という工法も見かけます。






昭和40年代-
構造用合板
合成樹脂フィルム
胴縁-空気層
防火サイディング




昭和50年代-
筋違構造
間柱大壁
せっこうボード
合成樹脂フィルム
横胴縁
金属板

木造住宅の外壁で見かけるタイル張りの壁にはハンギングタイルもあります。防火サイディングの基材と同じ木毛セメント板を成型してタイルを引っ掛ける様にしたものであり,構造的には板壁の一種と言って良いでしょう。






昭和40年代-
筋違構造
合成樹脂フィルム
タイルハンガー
ハンギングタイル