2008.11.15
言わんこっちゃない
建築審査会の付言
浜松市都市計画マスタープラン
建築審査会
完成予想図2
Forest Park
完成予想図
ふさわしいか
臨江山の住宅地の景観
ブルーな話
入野臨江山のまちづくり

60/200を考える
住宅地の密度
住宅地の近代
外壁のはなし

浜松市建築審査会の口頭陳述で、建築士による「まちづくり」という点から、審査請求人を補佐する考えとして、次の通り述べさせて頂きました。

「景観法、浜松市都市景観条例、浜松市中高層建築物の建築に係る紛争の予防及び調整に関する条例、浜松市土地利用事業の適正化に関する指導要綱違反」についての再反論

1.駆け込みのよる違反の回避

再弁明書は、景観法につき、建築基準法に違反しないから建築確認がなされてしかるべきであると主張する。

従前の自主条例に代えて現在、景観法にもとづく条例が制定され、来年より施行されんとしている。これを知り、尊守すべき立場にありながら、施行前であることを持って合法となすのは、駆け込みによる違反の回避である。

2.根拠法

再弁明書では浜松市都市景観条例、浜松市中高層建築物の建築に係る紛争の予防及び調整に関する条例、浜松市土地利用事業の適正化に関する指導要綱は、建築基準法の違反対象にならないので、違法は存在しないと主張するが、これは上記条例の制定理由に関し、誤謬がある。 すなわち

都市計画法
(目的)
第一条
この法律は、都市計画の内容及びその決定手続、都市計画制限、都市計画事業その他都市計 画に関し必要な事項を定めることにより、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もつて国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。

(都市計画の基本理念)
第二条
都市計画は、農林漁業との健全な調和を図りつつ、健康で文化的な都市生活及び機能的な都 市活動を確保すべきこと並びにこのためには適正な制限のもとに土地の合理的な利用が図られるべきことを基本理念として定めるものとする。

(国、地方公共団体及び住民の責務)
第三条
国及び地方公共団体は、都市の整備、開発その他都市計画の適切な遂行に努めなければならない。


都市の住民は、国及び地方公共団体がこの法律の目的を達成するため行なう措置に協力し、良好な都市環境の形成に努めなければならない。


国及び地方公共団体は、都市の住民に対し、都市計画に関する知識の普及及び情報の提供に努めなければならない。

とあり、国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とする都市計画法において、浜松市は市民の健康で文化的な都市生活を確保すべきことを理念として、都市計画の適切な遂行を努めること、都市計画に関する知識の普及及び情報の提供に努めなければならないことが定められている。浜松市都市景観条例、浜松市中高層建築物の建築に係る紛争の予防及び調整に関する条例、浜松市土地利用事業の適正化に関する指導要綱は、これに基づく条例であり、建築基準法の違反対象である都市計画法に違反する建物には合法性を確認出来ない。

3.佐鳴湖西岸の都市計画

都市計画法

第十三条
都市計画区域について定められる都市計画(区域外都市施設に関するものを含む。次項にお いて同じ。)は、国土形成計画、首都圏整備計画、近畿圏整備計画、中部圏開発整備計画、北海道総合開発計画、沖縄振興計画その他の国土計画又は地方計画に関する法律に基づく計画(当該都市について公害防止計画が定められているときは、当該公害防止計画を含む。第三項において同じ。)及び道路、河川、鉄道、港湾、空港等の施設に関する国の計画に適合するとともに、当該都市の特質を考慮して、次に掲げるところに従つて、土地利用、都市施設の整備及び市街地開発事業に関する事項で当該都市の健全な発展と秩序ある整備を図るため必要なものを、一体的かつ総合的に定めなければならない。この場合においては、当該都市における自然的環境の整備又は保全に配慮しなければならない。

とあり、本件建物は都市計画法 第十三条ならびにこれの適切な遂行のために定められた地域指定に違反する。

本件敷地は昭和11年浜松都市計画により「緑地地域」と指定された地域に隣接し、その後昭和46年に至り、本件敷地を含む佐鳴湖西岸一帯が住居地域の指定を受けたものである。昭和11年の緑地地域とその西北部はまた、風致地区に指定され、佐鳴湖公園の景観をまもる上で、これと一体不可分の地域として、広く市民に認知されている。昭和58年には,用途地域の細分化に伴い、それまで住居地域であったこの一帯では、雄踏街道沿道、都市計画道路上島柏原線沿道を住居地域、 都市計画道路上島柏原線と佐鳴湖の間を第一種住居専用地域、それ以外を第二種住居専用地域とする指定変えが行われた。昭和63年には佐鳴湖西岸土地区画整理事業が都市計画決定され、新たな近隣商業地域、沿道型住居地域の指定を見たが、上島柏原線西側の地区は一体として第二種住居専用地域であることに変わりはない。その後、第二種住居専用地域は第二種中高層住居専用地域とされたが、佐鳴湖西岸土地区画整理事業施行地においては、昭和11年の緑地地域指定による景観を保全するため、地区計画、景観形成計画が導入された。しかし 上島柏原線西側の地区は一体として景観を保全するための施策が適用されて然るべきであり、佐鳴湖西岸土地区画整理事業施行地内のみでの地区計画、景観形成計画適用は景観保全上で十全とは言えない。

4.行政指導から建築審査会へ

「浜松市中高層建築物の建築に係る紛争の予防及び調整に関する条例」ならびに「浜松市土地利用事業の適正化に関する指導要綱」は、都市計画法 第一条・ 第二条・ 第三条ならびに第十三条に基づくものである。従来超法規的措置として、行政指導に委ねられて来たこれらの条例に基づく措置は、浜松市に課せられた職務である。本来これらの建築基準関係規定は、建築基準法の下で建築審査会が、その合法性を審査すべき性格のものであり、他を持って代えることの出来ない、貴職の専決事項である。 建築基準法並びに都市計画法の定める厳正な措置を賜らんことをお願いする。

佐鳴湖西岸における都市計画およびこれの遂行に必要な地区計画・景観形成計画は、佐鳴湖西岸土地区画整理事業施行地内のみにとどまっては、その目的を達成することが出来ない。 これらの都市計画に基づく措置は浜松市に課せられた職務であり、 本件処分庁に対し、 都市計画に基づく適切な措置を賜らんことをお願いする。