2010.7.1
-風の中の家 1
-風の中の家 2
-生態系に配慮した敷地
-省エネに配慮した敷地
-潮風のオープンキッチン
-床と壁
-夏と冬
-現代茶の間
-風の中の家 3
-
-Slide Show
-実施図面(pdf)


エアコンというのは、暑さ寒さを屋外に排出しよう、という技術です。これが人々のひしめき合って暮らす街中だと、嫌なものは他人に押し付けようとなって、外気そのものが郊外よりも「夏は暑く、冬は寒い」となります。

このお宅の様に、敷地環境に恵まれていれば、建物各部の通風をきちんと設計することで、冷暖房は最低限に押さえることが出来るはずです。

夏は部屋に熱がこもらない様に、風を通します。屋根外壁が外側に通気層を持っているので、これだけでかなり過ごしやすいはずです。



冬は部屋の天井近くに溜まる熱を、「風光塔」で集めて、床下に吹き込んでやります。基礎に熱を溜めれば、暖かい冬の朝が迎えられます。

庇の出も重要です。昔の家の様に、「夏は日を遮り、冬は日を部屋に入れる」ことが出来ないのは、多くの場合、敷地が狭く、充分に庇が出せない、又隣の家が迫っているので、冬は陰になる、というケースが多いようです。庇をきちんと付ければ、夏は心地よい日陰が、冬は日溜まりになります。



気を付けなければならないのは、暖房用の床下送風を夏期に行ってはいけないことです。左のクリモグラフで、浜松とヨーロッパ・ウェストコーストの、夏の湿気を較べてみます。浜松が夏期に高温多湿、冬期に低温低湿であるのに較べ、西岸海洋性気候では夏期が高温低湿、冬期が低温多湿であることが解ります。

しかし感覚的な湿気=相対湿度でなく、結露の条件となる水蒸気量を較べると、この格差は更に大きくなります。右の図は横軸に相対湿度ではなく、絶対湿度=水蒸気量をとったものです。これで見ると8月の浜松の大気の水蒸気量はローマの1.2倍、サンフランシスコの2倍以上になることが解ります。

この水蒸気を含んだ空気を床下に吹き込むと、冷たい基礎に触れて水蒸気が水滴になり、建物全体に悪影響を及ぼします。暖房用の床下送風は冬に限りましょう。







ソーラーデザインの基本の基本は庇です。夏の太陽と冬の太陽は次の様な角度で入射します。夏の朝晩は実は北側から差しているのです。




殿様か下男か
御殿か獄舎か
殿と獄
禍根