古山惠一郎
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その後の浜松

地区計画

1960年代に始まった住宅ブームはやがて土地神話を生み出し,1990年前後のバブル経済でその頂点に達しました。「土地価格は将来に向って限りなく上昇する。」という土地神話を基盤にしたバブル景気は、1987年に日本長期信用銀行の情報誌に載せられた、建設省(当時)の若手官僚による、1990年代の首都圏における事務所床需要は絶対的に不足する。という論文に端を発しているとも言われています。

この論文では需要が現実の2倍という予測が建てられており,企業の土地争奪戦にドライブがかかったのでありました。論文を書いた建設省(当時)の若手官僚がバカだったのか、あるいは由って以て為にするためのものだったのか、今となっては確かめるすべもありませんが,もし後者だとすれば近代日本における最大級の金融犯罪ではあります。

人口減少に向う日本における、最後のチャンスとばかり燃え上がった住宅ブームは,各地でさらなる住宅地の開発熱に向いました。浜松市では県・市を主体とした佐鳴台の開発に続き、佐鳴湖西岸の開発が区画整理によって行われました。区画整理によって道路などの公共用地を確保するだけでなく,余剰地の売却によって開発費用を捻出する,という区画整理事業は,「土地価格は将来に向って限りなく上昇する。」という前提があってのことでした。

佐鳴湖西岸開発で、住宅地の良好な環境を維持するために新たに取入れられた制度に,「地t区計画」がありました。これは従来の都市計画法による地域制度では,住宅地の環境を守れない,として、その補完を測ったものです。佐鳴湖西岸を始め,浜松市内の住宅地の広い部分が中高層住宅専用地域に指定されています。この地域は文字通り超高層マンションを建てるための地域なのですね。しかし我が国では敷地にどのくらいの建物が建てられるかによって地価が決まってしまう,という不動産市場が形成されており,現実には建ぺい率50%、容積率80%程度の住宅地でも60/200の密度を下げるのは難しい様です。そこで用途地域はそのままにして,住民の合意により高い建物は建てない,などとしたものが地区計画です。佐鳴湖西岸では地t区計画を販売条件に組込んで,という方法で実施された地区計画は,その後マンション反対運動などのきっかけによって、あちこちで住民の側から作られる様になっています。 

 市役所の「地区計画」紹介のページ













住民が望んで地区計画の指定を受けた地区では今後高層マンションが建つことはありません。すると今度は「地区計画」の指定を受けた「優れた環境」に隣接し,「地区計画」の指定が無いために「高層マンションが建てられる」地域にマンション開発圧力がかかる,という事態も発生します。













昭和40年代に開発された住宅地は,現在建替え時期を迎えています。上の様に良好な住宅地として使われていれば良いのですが、30年前と同じ条件で建替えが進むとは限りません。あちこちに空き家が増えれば、開発側から見れば「マンション用地」と見えるのは当然でしょう。



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