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「浜名湖の立面図」展
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平野 昌さんからは新居町周辺の文学碑についてお寄せいただきました。浜名湖を取り巻くそれぞれの街には、万葉集の時代から現代に至るまで、和歌や俳句など、その土地々に残された文学作品があります。かって我が郷土に関わった文人や武人達の生きた証であり、ロマンでもあるこれらの文学を、文字どおり「いしぶみ」として残したものが「文学碑」です。

私達は今、碑の前に立って石に刻まれた文字を辿り、或いは目を閉じると、当時の浜名湖の水面の情景、それを取り巻く山や川の拡がり、そして風や光や、潮の香りや、人々の囁きさえも感ずることができます。

新居町は徳川幕府による東海道500年だけでなく、それよりも遥か古くから、我が国の東と西を繋ぐ重要な場所でした。いつの時代にも、それぞれの時代を代表する文学者で東西を旅した人々は、文学の上に浜名湖の姿を残してきました。そのため湖北のみちと並んで新居・舞阪にも優れた文化遺産が数多く残されています。特に漁業の町でもある舞阪に対し、関所の町であった新居町周辺には、変貌の著しい現代の風景の中にあっても香り豊かな文学の遺産が数多く内蔵されています。現代から次の時代へとこのような「文学のこころ」が受け継がれ、懐の深い街を作り上げることを願っていらっしゃる、とのことでした。


愛宕山山頂に立つこの歌碑は「都よりあづまへかへり下りて後、前大僧正慈鎮のもとへよみてつかわしける歌の中に」の前書きがある。建久三年征夷大将軍に任ぜられ、鎌倉幕府を開いて武門政治を始めた頼朝が、初めての上洛を果たした帰路、新居に立ち寄った時のものと思われ、その安堵感が伝わってくる。

頼朝は新居に一週間程滞在したと言われ、その折橋本駅の長者の娘妙相が頼朝より拝領の中啓や団扇が応賀寺に秘蔵されている。また橋本の「風炉の井」や「紅葉寺跡」などの史跡があり、頼朝・妙相の悲恋伝説も残されている。

幕末の新居関所役人山本忠佐(吉田藩士)はその「新居在勤中日録」の中で新居名勝として「富士山・日の出.海山の景色」を挙げている。愛宕山山頂からの眺望は優れ、両眼下に遠州灘を、東に目を転ずれば今切に架かる浜名大橋、更にアクトタワーや浜名湖越しに霊峰富士を見ることができる。

暮れ六ツには関所の木戸は閉まる。千鳥の啼く荒磯に近い関所を急ぎ通り抜けた太祇は、その背後に扉の軋む音を聞いたのである。この句が詠まれたのは1757年、太祇四十八歳の秋、京へ上がる二度めの旅の途次であった。

江戸にうまれた彼はこの後、京都を永住の地と定め、蕪村とも親交をもった。六十三歳で没するまで、生涯独身を貫き、俗塵に身を沈めながら人間性の複雑さと清雅な情趣を孤独の中から詠い上げたのであった。

いかめしい関所に千鳥を配し、そこはかとない旅情の漂うこの句には太祇の人間性すら感ぜられ、新居の関所に相応しい作品として私達の胸裡にいつまでも残る。

「句碑のある関所」への希いを込めて昭和37年に建立。この句碑建立にかかわられた幾人かは既に鬼籍に入ってしまわれた。

山頭火ブームはいまもしずかにつづいているといわれる。 大正・昭和期の漂泊の詩人、種田山頭火が何故、かくも現代に生きる私たちのこころを捉え、激しく揺さぶるのであろうか。

頽廃と自虐、求道と観照。山口県に生まれた山頭火は十一歳のとき、母は井戸に身を投げて自殺、父の放蕩は止むことなく、祖母の手で育てられた。後年、一笠一杖、乞食行脚による各地遍歴が始まり、禅味ある自由律の独自の作風を確立した。

この作品は、二度目の遠州路を旅した昭和十四年、当時の新居から弁天に至る「浜名街道」(現国道一号線)を直載に詠んだもので、作句年代は異なるけれども「春の海どこからともなく漕いでくる」と共に、浜名湖岸に住む人には忘れ難い懐かしい風景が瞼に浮かんでくる。

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