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「浜名湖の立面図」
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卒業旅行なんて言葉がまだ無かった頃、私たち三人組は、高校卒業の思い出づくりにと、一泊旅行を計画した。取りたての免許で、一泊にしてはやけに多い荷物を車に積め込んで、夏も終わりに近づいた、奥浜名湖へ。

幼い頃からそれぞれに、お花見や海水浴、秋にはミカン狩りにと慣れ親しんだ浜名湖でも、自分たちだけで訪れる場所は、どこも、新しいときめきに満ちている。水面を渡る風を感じながら湖岸道路を走ったり、少し道をそれて竹林の古寺を訪ねたりと、晩夏の陽光はさまざまなシーンを照らし出す。吸い込まれるように仏像を見つめる横顔の美しさに気づき、燃えたつように咲いたサルスベリに、言葉を失う自分を発見する。静かな庭園を見ながら、それぞれの思いを抱いたあの日は、三人の新しいスタートの日だったに違いないと、今思う。

「泳ごうね」湖岸に降りたのは、大崎のあたりだったろうか。お互いの水着姿がまぶしいほどに、太陽は水面からつま先まで届いていた。まだ訪れたことのないような、南の島と比べては、思わず、すくい上げたくなるような、浜名湖の透んだ水を、誇り合ったね。それは、自分たちが守らなければ変わってしまうものだと、まだ気づいていなかった。

「きっとまた、三人で来ようね」と乾杯した約束も、思いがけない、ひとりの早世によって、かなわぬこととなり、奥浜名湖は、私たち三人にとって、いつまでも蒼い思い出となった。



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