title

目次 はじめに 監修の言葉 1.海の東海道と静岡県 2.千石船 3.江戸時代の港湾施設 4.伊豆の湊 5.駿河の湊 6.遠江の湊 調査を終えて
4-1.網代 4-2.川奈 4-3.稲取 4-4.下田 4-5.南伊豆 4-6.松崎 4-7.土肥 4-8.戸田 4-5-1.はじめに 4-5-2.南伊豆町の概要 4-5-3.手石 4-5-4.小稲 4-5-5.長津呂 4-5-6.妻良・小浦

4-5. 南伊豆の湊

4-5-1.はじめに

社団法人静岡県建築士会は静岡県より 「平成4年度 東海道歴史のふるさとづくり推進調査事業」として、 「海の東海道」のまちなみ調査を受託した。これはその報告書である。

静岡県は、「豊かな心と活力ある社会を目指してー21世紀へのまちづくり」 を基本目標として総合計画を推進しており、特に本事業は魅力ある住みよい県土を築くため、 歴史的、文化的に価値のある建築物やまち並みを保存・再生し、 静岡県の特性を生かしたまちづくりを行なうことを目的としている。 社団法人静岡県建築士会会員は地域にあって、 このような歴史的・文化的な環境の中で建築物の設計その他の業務に携わっており、 この事業に参加する機会が与えられたことを深く喜びとするものである。 調査は社団法人静岡県建築士会内に設置した特別委員会と、 賀茂支部との密接な協力の下に行なわれた。

南伊豆町は伊豆半島の最南端で国立公園第1種特別地域に属し、 文化庁から名勝伊豆南西海岸としても指定を受けている。 こうした自然環境の保護に対する、 厳しい規制によって守られてきた南伊豆町の豊かな自然は、 同時に我国海運史上比類なき地位を占める日和待湊としての環境でもある。

国民の余暇活動は景勝名所を訪ねる「見物の旅」から、 歴史、環境等に対する造詣を深める「遊学の旅」へと変化しつつある。 一方では海外旅行の増加と共に観光施設の特徴なき高度化、高額化が往き場を失っている現実もある。 こうした時、南伊豆町に残された豊かな歴史と、 歴史化された自然環境は全国民にとってのまたとない「宝」であり、 南伊豆町が来訪者に提供できる最上のものである。 日和待湊の歴史と歴史財には全国民にとっての「安らぎの湊」として大きな期待が寄せられている。 本報告書が地域の発展のために広く活用されることを願ってやまない。