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目次 はじめに 監修の言葉 1.海の東海道と静岡県 2.千石船 3.江戸時代の港湾施設 4.伊豆の湊 5.駿河の湊 6.遠江の湊 調査を終えて
6-1.川崎 6-2.相良 6-3.御前崎 6-4.福田 6-5.掛塚 6-6.今切 6-2-1.はじめに 2.相良湊の概要 3.まちなみの現況と伝承 4.まちなみについての課題 5.次年度の課題 6.資料




誰にでも解かるために・・・江戸の魚屋
「江戸の町」、内藤 晶/穗積和夫、草思社、より



古い建物を大切に
「ちいさいおうち」、バージニア・バートン、岩波書店、より



歴史財マップの例
「歩いて見るシアトル中心部」 Downtown Seattle Walking Tour、シアトル市役所刊 より 簡単な町の歴史に続いて歩いて地域をまわるための地図が掲載され、それぞれの歴史的建物の説明が続いている。



案内標識の例・・・シアトル漁港にて
簡単な周辺の漁業の歴史、地域の漁法、捕れる魚の種類などが漁業関係の海難犠牲者の慰霊碑と共に表示されている。


6-2-5.次年度の課題

5-1.「考える会」

こうした形で相良のまちづくりを語るという機会は始めてなので有意義である。 これからもこうした会を続けたい。細くであっても長く続けることで必ず成果が上げられると思う。 昔のものは手当てをしないとどんどん無くなって行く。 地域に伝えられたものの中から「これが相良だ」と言うものを育てて行けば、文化的にもこれからの海岸地帯の中核となりうる。 相良のまちなみを素晴らしいものにして行くため、平成5年度に向けて考えられる課題は次のようなものである

相良に伝えられた環境資産と望ましい姿を誰にでもわかる形にまとめる

以上に見たような相良の町に守られ、残されてきた歴史財の価値を、誰もが「大切だ。」と思えるような形にして、 地元に住む人、相良町の町民、他所から相良を訪れる人、というようになるべく多くの人に知ってもらい、 価値観を共有できるような形にする必要がある。このためには例えば次のようなことが考えられる。

  • 歴史財マップを作る
    相良町に埋もれている歴史財を地図の形にまとめる。観光案内としても使えるであろう。 地域の人にとっては日常生活で見過ごしている生活の場を再発見する手助けにもなる。

  • 案内標識を整備する
    歴史財マップと連動して、例えば歩いて相良湊を一周するような案内表示が考えられる。 また、歴史財だけでなく、萩間川沿いに遊歩道が作られるならば、左下の図のように、 相良湊の歴史と共に、河川改修の歴史等も表示することができ、広く町民に河川について知ってもらうことができる。

  • ドラマを拡める
    例えば相良湊の歴史を絵本にする。田沼意次公を描いたドラマをTVで放送してもらう。

誰がまちなみを守るかを整理する

まちなみを形作っている歴史財のあるものは公共の財産であり、あるものはそこに住んで、 日常生活を営む為の住まいであり、あるものは観光客をもてなし、産業を活性化するための資産である。 それらを整理して、公共の財産として整備すべきものは行政当局に提言する。より良い住まい造り、 店造りの為の工夫をまとめて相良に住む人に知ってもらう。 産業の活性化と未来にむけてのヴィジョン作りをする。という作業が必要である。

地元に住む人と、行政による都市計画事業とをより密接に結び付ける方法としては「地区計画」などの手法も考えることができる。

5-2.「湊の博物館」・・・伝承の方法について
  • 「湊の博物館」は相良のまちなみを形作ってきた相良湊の沿革を展示する博物館であると共に、 御前崎港、相良・牧之原港(インター)、静岡空港といった近代交通機関によってもたらされる相良湊の将来を実感できるものとなる。

  • 「湊の博物館」は死んだ動かないものを並べるのでなく、行政と地元住民組織の協力、 コンピュータその他先端テクノロジーの活用によって「触って、話して、感じる」博物館となる。

  • 「湊の博物館」は館内の展示のみに留まらず、行政と地元のまちなみ作りと連係して、 相良のまち全体の環境、御船神事の様な季節行事が博物館の屋外展示となる。

相良で古くから行なわれている御船神事は、多くの人が実際には体験できない千石船の航海の様子を、 精密に作られた模型をつかって目の前に再現してみせるものであるが、コンピュータ・シュミレーションの技術を使えば、 飛行機や船を操縦するといったことがスクリーンを通して体験できる。 こうした体験から「湊の博物館」では御前崎港、東名高速道路、静岡空港といった新しい交通システムを実感をもって理解できる。 また、萩間川に和船を浮かべて、実際に櫓を漕ぐ体験なども博物館の展示の一環として考えられるであろう。