6-5-5.これからの課題
5-1.長期にわたる課題
道路整備
掛塚のまちなみの将来が4章にみたような姿に近づくためには解決しなくてはならない様々な課題がある。先ず竜洋町全体の中での都市計画的な位置づけと取り扱いについて考えてみたい。行政側からも
- 町全体を考えたとき、掛塚の町並みは都市計画事業のやりにくいところである。どうしても後回しになってしまう。農地を転用して新市街地を作る、というほうが簡単ではある。
- 掛塚の町並みについては、地元にしてみれば「再開発」という考え方もあると思うが、道巾を拡げるだけでよいのかどうか考えて行きたい。
- 掛塚のようなところでは、細い街路が多いが巾を拡げる、交差点の角を斜に切る。というのもなかなかできないでいる。しかし成り行きに任せておくと次第にブライト化してしまうので対策を考える必要がある。
という状況であることが報告された。
近代的都市一般においてはマイナス要因とみられがちなこのような状況は、掛塚においては歴史財の活用を基調にしたまちづくりを考えるならば、プラスに転化することが可能である。竜洋町全体の中で掛塚を位置づける際に、道路計画からは旧市街地の外周に必要な道路を配置することを提案したい。左図に示す様な交通イメージが考えられないであろうか。
掛塚では、「「道路を拡げろ」と言う声は少なく、歩車道を分離する必要はない。」という考えかたからうかがわれる様に、自動車のためにでなく、歩行者のために道路を使うというオランダにおけるボンエルフと同じ考え方が地域のマナーとして定着している。現代の都市では忘れられがちな地域の生活資産として大切にしたい。そのためには必要となる生活道路も本町通りの拡幅等によるのでなく、掛塚湊の旧市街地の外周に配置することが考えられる。地域住民の利用だけでなく、外部から掛塚を訪れる車両も一旦この外周道路に落し込む。沿線には公共駐車場、トイレ、観光案内所等の施設が配置されるであろう。
外周道路の存在を前提にすれば、本町通りは自動車でなく、歩行者を主体に考えた整備が可能となる。国道150号線の本町通り交差点も外部からの車両が入りにくくすることが考えられる。都市部で行なわれている、いわゆる「歩行者天国」なるものよりもより高度な自動車と歩行者の共存が、掛塚では地域のマナーとなっており、更に豊かなものにしてゆくことができるであろう。
|