8. 妻良・子浦の活性化への施策
埋もれた歴史財を発掘しまちづくりに活用
- 日和待港としての歴史をPR
- 南伊豆では風景そのものが歴史であり、ここに来れば江戸時代の船乗りが見た湊の景観があること。
- 自然環境と生活との美しい交歓があること、伝統的な方法で自然の恵みを味わい、自然の厳しさを学ぶことができること。
- 千石船の船乗りが受けたのと同じ暖かいもてなしの心が活き続けていること。
等を南伊豆の他所では提供できない魅力として分かりやすく記したパンフレットなどとして整備する。
- ドラマを拡める
- 夫の無事を願うかがり火、海の男を繋ぎ留めようと逆風を祈った「ころばし地蔵」の話などを民話風にまとめる。
- 将軍家茂公や、勝海舟の日和待ちによる滞在記を絵本にする。
- 夫婦岬の由来をPR,さらにフィクションを加えて、土肥の恋人岬とのネットワーク化を図り、カップルの観光客を誘致する施策を構じる。
- 歴史財マップの整備
- 当時の人々と同じ気分で湊を歩けるような仕組みを考える、資料として整える。
民宿経営の合理化と高質化
- 民宿創立当時の原点にかえって、歴史的な建築空間で南伊豆の歴史と文化に触れることのできる家庭的なコミュニケーションを目標とする。
- ペンション的な経営感覚等、違った視点からの発想も必要。
- 後継者対策とも関連する仕入の共同化や大浴場、レストラン、売店、駐車場等の協同経営化も考えられる。
特に民宿を廃業して空白化が進む可能性ついては、宿泊と飲食の分離、
いわゆる「ベッド+ブレックファースト」等も含んで地域全体でバックアップしなければならない。
- いずれの場合にも国立公園の環境を生かし、
このような資源を持たない一般観光地と競合する形での単純な近代化、高度化を避け、「自然の博物館」としての地域の特性を生かした整備としたい。
駐車場の整備と集落内空間の保全
- 土地が狭いため、駐車場の確保が現状では難しい。山際の急斜面に景観を配慮した大型駐車場を整備する。
- 集落内の土地利用形態そのものが歴史的に貴重なものであることを明かにする。徒らに細街路整備等を行なわないで、地区計画の導入などにより歴史的な土地利用が保全できないかを検討する。
- 将来的には生活者やサービス以外は車の進入を禁止し、歩行者空間の確保を図るとともに、通り沿い景観を整備し、「日和待湊」としての特徴ある集落景観の再現を目指す。
- 船宿の屋号を復活し、看板として整備するなど、通り沿いの景観を日和待湊としての賑わいを感じられるものにする。また、案内番を整備するなどサイン整備を行なう。
遊歩道の再整備
妻良の日和山、子浦の日和山、妻良の海岸線の給水場跡までの、各遊歩道の整備が行われているが、
法規制や予算的なこともあり、維持管理が十分行われていないし素晴らしい景観にもかかわらず十分に活用されていない。
両日和山には方角石が残っているので、これを生かして展望台を再整備、案内板や風防機能を持った休憩所の確保等と、
加えてPR活動をもっとする必要がある。海辺の遊歩道は魅力的だが、高波や強風に対する安全対策を考慮したい。
海洋レジャーに向けた遊学基地
現在の港は漁港としてのみの機能しか持っていないが、今後、海洋レジャーが盛んになるにつれ、
外洋ヨットの寄港地、避難港として重要な役割を、妻良湾は再び持つようになるだろう。
ヨットの寄港施設を離岸堤や養浜事業と合わせて計画する。南伊豆の特徴として自然との歴史的な交歓、
海との伝統的な「付き合い方」を学習できる「海洋遊学基地」とする。
「歴史との交流」を南伊豆のロマンに
妻良湾の海のきれいなこと、千石船の時代に船乗りを迎えた自然が現在に到るまで守られてきたことが南伊豆の自慢である。
妻良湾を「海のかなたに千石船が見える」と感じることのできる姿にすることは、
現代の都市生活者に何よりの安らぎを提供し、南伊豆が広く愛される「夢」となろう。
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